ソードアート・オンラインの世界に転生   作:錯也

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亀更新なうえに量も少なくて申し訳ないです。

活動報告のアンケート是非見てください!

今回もホルンカに辿り着けなかった_| ̄|○


アルター・メッセージ

『諸君は今、なぜ、と思っているだろう。なぜ私は-SAO及びナーヴギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか?これは大規模なテロなのか?あるいは身代金目的の誘拐事件なのか?と』

 トウヤが言ったことに答えるように、赤ローブは話を続けた。

 一瞬だけ、俺はその声に感情のような物が乗ったのを感じていた。

『私の目的は、そのどちらでもない。それどころか今の私は、すでに一切の目的も、理由も持たない。なぜなら……この状況こそが、私にとっての最終的な目的だからだ。この世界を創り出し鑑賞するためだけにのみ私はナーヴギアを、SAOを造った。そして今、全ては達成せしめられた』

「ふぅむ……」

 俺の後ろに立つトウヤが、何かを理解したような声を出す。

 一体今の発言から何を読み取ったと言うのだろうか?

『以上で《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の-健闘を祈る』

 その言葉を最後に、赤ローブはゆっくり崩れて消えて行った。

 後ろで、誰かが踵を返した足音を俺は聞いて、振り返る。ちょうどその時、トウヤが広場から奥の道へと歩み出したところで俺はクラインの腕を引っ張って慌ててついて行くことにした。

 

 

 

sideトウヤ

「嘘だろ……なんだよこれ、嘘だろ!」

「ふざけるなよ!出せ!ここから出せよ!」

「嫌あぁ!帰して!帰してよおおぉ!」

 様々な声を背に、俺は、神無討也は……ゆったりと《始まりの街》の広場を後にする。

 茅場晶彦は、目的など無いと、イヤ、達成されたと言っていたが、きっとそうではない。

 奴は鑑賞するために、この世界を創ったのだと言った。

 つまり、彼には何か見たいものがあったのだ。イヤ、あるのだ、というべきだろうか。

 とはいえ、いくら俺が(その大半が涼宮ハルヒの憂鬱の世界の夏休みループとはいえ)数万年の時を行き長らえてきた人外でも、一度も会ったことの無い人間の全てを理解しろというのは無理がある。

 ゆえに、茅場晶彦がこの世界を創り何が見たかったのかは気にしないことにした。

 やることはただ一つ、茅場晶彦の言葉通り、100層までをクリアしていけば良いだけだ。そうすれば、この世界からユーザーは解放される。

 まず間違いなく、茅場晶彦みたいなタイプは自分で言った事は守るだろうと践んだのだ。

 そもそも、この世界で死んだからといって、現実の俺が死ぬとは限らない。イヤ、茅場晶彦の言葉通りなら、ナーヴギアが俺を殺す理屈は、脳を電子レンジにかけるのと同じ行為だが……ハッキリ言ってその程度で、あの肉体がダメージを受けるとは考えられない。その上、何年寝たきりだとしても、あの肉体の身体能力が衰えることはないだろう。なにせあのアドレナクが創ったらしいのだ、あの肉体は。

 ならば、気楽にクリア目指して楽しむのが一番だろう。

 そうは言っても、本来俺はこの世界には居ないはずの存在だ、あまり自由に行動して、原作(知らないけど)とあまりに異なる展開になって、ザ・シードが回収できなくなっては困る。

「どう立ち回ったものか……」

 そんな事を考えていると、後ろから二人ぶんの足音が聞こえ俺はユラリと背後を振り返った。

 足音は俺が知る二人の人物の物だった。

 振り返った先では、少し距離を置いてやや女顔のプレイヤー、キリトと、それに引きずられるような形で、山賊面のプレイヤークラインが立っていた。

 どうやら、キリトは俺の意図を理解して追ってきたようだが、クラインの方はそうではないようだ。

「トウヤ、お前、次の村に向かうつもりなんだろう?だったら俺達と行かないか?俺はベータテスターだから、村までの比較的安全な道のりだって知ってる」

 その言葉に、俺は一瞬だけ考えた。もし、俺が居なかったら、つまり、原作通りならどういう行動を取っていたのだろうかと。

 それから、そんな物は今自分が実際にこうして存在するこの世界においては何にも関係の無いことだと思い直し、キリトの方申し出を受ける旨を伝える。

 俺に限っては、一人より二人の方がいいなんて事は無いだろうが、キリトにとっては二人の方がはるかに楽だろうと考えたのだ。

 俺はこの時点で、クラインが俺達についてこない事を予期していた。

「その……悪いが、俺ぁお前達とは一緒には行けねぇ」

 予想通り。

 その言葉に、キリトが一瞬わずかに顔を歪める。きっと、ここでコイツを置いていったら見捨てた事になるとでも考えているのだろう。

「このゲーム、ダチだった奴らと徹夜で並んで買ったんだ。アイツらももうログインして、さっきの広場に居るはずだ……置いて…行けねぇ」

 キリトが唇を噛む。成る程、確かに俺とキリトでも、クラインの友人が何人居るかは知らないが、安全に守りながら次の村へたどり着くのは簡単では無いはずだ。

「…………トウヤ、今お前のレベルは幾つだ?」

 ん?とその言葉に俺はHPバーの上にあるレベルを一瞥する。

「今のレベルは4だね」

「…………俺より高いな……その上プレイヤースキルも高い……トウヤ、悪いが頼らせてもらっても良いか?」

 ああ、そういうことか、キリトはどちらかというと、俺を「お荷物」ではなく「戦力」と考えているのだろう。

「ああ、構わないぜ」

「い、いや、そこまで世話になるわけにはいかねぇ!俺だって前のゲームじゃアタマ張ってんだしよ、お前達に教わったテクでなんとかしてみせら……だから二人とも、俺のことは気にしないで、次の村へ向かってくれ」

 そのクラインの言葉に、キリトはしばらく何かを考えていたようだが、やがてかすれた声で答えた。

「……そっか…………なら、ここで別れよう。何か有ったらメッセージ飛ばしてくれ……」

「ああ!」

 俯いて言うキリトにクラインが答えたのを確認してから、俺はメインメニューを操作する。

「大した額じゃ無いけど何の役にも立たない事は無いはずだ。貰っておいてくれ」

 そう言って、俺は今持っているコル全額をクラインに送る。

 しばらく、唖然としていたクラインだったが、やがて慌てたように。

「いや、トウヤ、こんな貰っちゃったらお前のコルは…すっからかんなんじゃねぇのか?」

「良いんだよ、どうせ次の《ホルンカ》にたどり着くまでに一度も戦闘しないでってのは無理だろうからな。どうしてもヤバくなったらキリトにたかるし」

「オイ」

 呆れたようにキリトが突っ込んで来るが、冗談めかして言ったおかげか、先ほどまでの重い空気は消えていた。

「わかった。大切に使わせてもらうぜ、ありがとうよ、トウヤ」

 はいよ、と適当に返しながら、俺は《始まりの街》の出口へ歩き出す。

 キリトもクラインに一言言って俺を追ってくる。

「お前達!」

 もう少しで《始まりの街》をでるというところで、クラインから声が掛けられた。

「本物は案外カワイイ顔してやがんな!結構好みだぜ!」

 キリトは苦笑しながら。

「お前もその野武士面の方が10倍似合ってるよ!」

 と肩越しに叫び、一方の俺は。

「イヤ、俺そういう趣味は無いんでマジスイマセン。ホントスイマセン」

「な!?おいトウヤ!おりゃそういう意味で言ったわけじゃねぇよ!」

 ハイハイと、俺は片手を上げて流しつつ、最期に一言告げる。

「せいぜい、死ぬなよクライン」

 その俺の言葉に、困ったように笑ったその野武士面は、グッと親指を立てながら返した。

「どっちかっつぅと、外に出るお前達のが危険だと思うんだがなぁ………まあ、なんとかしてみせら!」

「じゃあ、何かあったらメッセージ飛ばしてくれ、行こうトウヤ」

 キリトのその言葉を最後に、俺たちは今度こそ、《始まりの街》の外、圏外へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

俺たちが《ホルンカ》へ出発してから、約30分が経過した頃だった。ノンストップで走り続けていた俺は、メッセージの着信を告げる音を聞いて足を止める。

「どうした?」

 俺が足を止めたのに気づいてか、先行していたキリトも俺の方に駆け寄ってきた。

「あー、メッセージが来たみたいなんだ………クラインかな?」

 そう言いながら、俺は右手の人差し指と中指を揃えて下に軽く振る。

 メインメニューを呼び出した俺は、メッセージボタンをタップしながら考える。

-クラインなら、キリトにメッセージを飛ばすのではないか?と。

 クラインの可能性があると告げたためなのか、キリトも心配そうに俺の操作を見ていた。

 メッセージボタンをタップすると同時に表れたのは、二つの表示。

 が、この二つの表示は最早、表示の時点で異常と言えた。

 通常、メッセージ欄に表示のされるのは、メッセージの送り主のキャラネームのはずなのだが……。

「《Aからの贈り物》…と、《Aからのお言葉》?」

 俺が目だけで読んでいた文字列を、キリトが口に出す。

「《A》ってまさか……《アーガス》か!?」

 驚いたように、キリトが隣で叫ぶのを聞きながら、内心で俺は「いいや、アドレナクだ」と答えた。とりあえず、疑問に思った事を聞いてごまかしでもしておくか。

「アーガス?」

「知らないのか?この《ソードアート・オンライン》の運営会社だよ!どんなメッセージだ?」

 ごまかせなかった☆それどころか逆にメッセージの内容に興味を持たれてしまった。

 正直、キリトの居ないところで確認したかったが、仕方ない。と、俺は上にある《Aからの贈り物》をタッチしてメッセージを開く。

 と、その瞬間、俺がいままで色々な世界で使ってきた真っ黒なコートが今着ていた防具の上から装着された。

 それだけではない、俺の髪を纏めるように、白いリボンが出現して、髪を後ろで括る。

 この白いリボンも、ロード・トゥ・ドラゴンの世界で、宝条まゆという少女から貰ったものだ。

 俺の装備の変化に驚いているキリトを無視して、俺はメッセージを見る。

『斬竜剣がアイテムストレージに送信されました。

 

ダークマターコートがアイテムストレージに送信されました。

 

まゆのリボンがアイテムストレージに送信されました。

 

スキルストレージが拡張されました。

 

スキル《近接戦》を習得しました。』

 と、文字が並ぶ。

「どうなってんだ……コレ!?トウヤお前……」

 様々な疑問を込めた視線で、キリトが俺を見てくる。

 ええ、まあそうでしょうね。それが普通の反応ですよねぇ~。と、面倒な事になったと思いつつ、《Aからのお言葉》を続いてタッチした。

『どうやら、予定通りデスゲームが開始されたようだね  』

「!?…よ、予定通り?」

「アドレナクの奴……この事知ってやがったのかよ」

 メッセージには続きがある、というかなかなか長文のようだ、俺はメッセージ画面をスクロールして続きを確認する。

『ちなみに、このSAOでは僕が回収を支持した《ザ・シード》は手には入らないことを伝えておこう。無駄足だったね☆ザまぁw』

 オイ。何がしたいんだよあの駄神(怒)

「SAO行けってナーヴギアとソフト渡したのテメェだろうが!?」

 うーん。しかしなぁこの世界の名前って言うなれば《ソードアート・オンライン》なんだよなぁ……。それを考えたら、俺をこのゲームに参加させないって選択肢はあり得ないのかもしれない。

 と、勝手に納得し、糞神に対しての不満を抑えメッセージをスクロールする。

『このゲームを君たちが攻略しているあいだに、外ではナーヴギアの後継機《アミュスフィア》が開発されている。それ用に発売されたとあるゲーム内で入手可能だ。覚えておくと良い』

「入手場所を教えてくれるなんて、奴にしては珍しく気前が良いな……」

 なんか裏があるんじゃないかと、心配になる。

「俺たちがゲームを攻略してる間に?このメッセージどこから届いてるんだ?運営じゃ無いみたいだけど……」

 事情を知らないキリトは、当然横で混乱している。

 まあ、当然といえば当然だ。にしても、いささかパニくり過ぎだとは思うが。

「あとで教えてやるから」

 そう言って一旦キリトを落ち着かせ、続きを読む。

『ちなみに、君に送ったアイテムやスキルについてはなるべく他人には見せない方が良いと伝えておこう。チーターと間違われるだけならまだしも、最悪茅場晶彦本人だと疑われる可能性があるからね。それから、こんな事を言ったから君は気付いたと思うけれど教えておいてあげよう。茅場晶彦は先ほど《始まりの街》にいたプレイヤーの中に紛れ込んでいる』

「何だと!?」

「そこまで教えるなら、もう少しヒントくれりゃあ100点なんだけどなぁ……アドレナク君よぉ」

「アドレナクさんっていうのか?外人?」

 イヤ、そもそも人間じゃないんですよねぇ~。

 と、言えたら楽なのだが、今言っても混乱を招くだけなので黙って続きを読む。

『君の戸籍についても、こちらで操作しておいたから今君の身体は病院に運ばれているよ。現実世界に置いてきた肉体のことは気にするな、なにせ僕によって創った特別仕様の肉体だ、ちゃちな高出力マイクロウェーブ如きでダメージを受けるほど柔ではない』

 コレについては予想していたから驚きはしない。が、続く文字は俺が全く予想していない言葉だった。

『ただし、この世界で死亡時に行われるプログラムはログアウトではない。アバターの消失だ。死んだからといって現実世界に帰れる訳では無いということを伝えておこう。アバターを失い暇になるのが嫌なら精々死なないでくれ、替えのアバターくらい用意するのは容易いが、面倒だからやらない』

 なんでだよ!?容易いんじゃないのかよ!?

 と、最後に、という続きのメッセージが目に付いたので、スクロールして残りを確認する。

 ソコには……。

『僕は、転生者というのはチートであってこそだと思うんだ。』

 と、最後の最後に最高にどうでもいいことが書いてあった。

「知るかよ!」

 というか、ゲームっていうのは普通はシステム的にクリア可能なように作られてる物だ。

 コンテニュー前提のゲームとかいうのがたまにあるけど(何とは言わない)、そんな物ははっきり言ってクソゲー。

 つまり、ゲームでチートとか一番つまらないと俺は思うわけである。

 ダメだね、アドレナク君は何も分かってないねぇ~。

 まあ、神様にそういうのを理解しろと要求するの方が無理な話なのだろうが。

 と、俺は自分が人間で無いことを棚に上げて思うのだった。

「トウヤ、コレ……このメッセージはどういうことなんだ?」

 なんて事を考えていると、キリトが若干疑念を込めた目で俺を見てくるので、俺はため息を付いて言った。

「《ホルンカ》についたら詳しく説明するよ」

 面倒なタイミングでメッセージを送ってくれたものだと、アドレナクに内心で恨み言をつぶやきつつ、了承し先導するキリトを追って、俺たちは《ホルンカ》へと急ぐのだった。




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