ソードアート・オンラインの世界に転生   作:錯也

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前回から結構開きましたがユウキ無しで投稿します。
アンケート結果次第ではまた別のタイミングでの登場考えます。


モンスター・パニック

 

 デスゲーム開始から今日で4日が過ぎた。初日のうちにアニール・ブレードを手に入れた俺とキリトは、三日目には《トールバーナ》へと移動していた。

 もっとも、俺はすぐに《ホルンカ》へ引き返して来たのだが。

 俺がキリトと共に《トールバーナ》へと移動したのは、あくまで道順の確認の為だったのだ。

 実を言うと、多分超六感頼りでテキトーに進んでも、俺は《ホルンカ》から《トールバーナ》へ移動することは難しく無かったと思う。

 一応そのことはキリトにも説明したのだが、それでもということでついて行ったのだ。

 さて、ここで何故俺だけが《ホルンカ》へ引き返したのか疑問に思う者がほとんどだろうから説明しておくと、俺はアニール・ブレードの予備を取りに来たのである。

 とりあえず10本くらい有ればいいかなと思っている。

 今の俺のレベルは11。キリト曰わく、この層でレベルが上げ辛くなるのがこのあたりのレベルからだという。

 ちなみに昨日の時点でキリトの方は7だ。

 何故こんなに違いがあるのかと言えば、アンチクリミナルコード有効圏外。一般的に「圏外」という呼ばれ方をする場所に出ると、強制的に装備される、アドレナクから送られてきた現在装備中の黒いコートのおかげだ。

 これは俺がこれまでの世界で使ってきた物と全く同じ形状なのだが、この世界では獲得経験値、コル(SAO内での通貨)がそれぞれ三倍になるという効果が付けられているのだ。

 そのせいで、キリトと同じ位の戦闘量どころか、それよりも少なくてもレベルが自然と上がっていくのである。

 ついでに金もたまるが。

 

 現在、五日目の昼をまわったところである。一昨日の午後から今日の現在までの間に、アニール・ブレードは全部で9本手には入った。

 とりあえず同じNPCと同じ会話するのがめんどくさかったです!

「あと一本手に入ったら撤収するかねぇ」

 そろそろ飽きてきたし。

 昼飯をとにかくビミョーな味のやたら堅いパンで済ませた俺は、残り一本のアニール・ブレードを手に入れるべく、NPCの家へと訪れた。

 ねぇ、ところであの病気の女の子のNPCを直すためにリトル・ペネントの胚珠集めてんだよね?もう9回は持って行ってるのになんで直らないのかなん?

 

 今回もNPCの話を聞き流してクエストだけ受けた俺は、とっととリトル・ペネントが出現する森へと移動した。

 と、進む先に何人かの人影が見えてきた。

 簡素な防具と初期の片手剣やら、曲刀やら、短槍やらを持っている。

 まあ、間違いなくプレイヤーである。

 数は全部で6人。うーん。面倒だなぁ。このクエストで持って行かなくてはいけないリトル・ペネントの胚珠は、中でも花付きのレアモンスターからしかドロップしないのだ。

 まあ、同じところでやらなければ特に問題は無いだろうと、いつもより奥でやろうかなぁとか考えていると、こちらを見つけた一人が俺に声を掛けてきた。

「おい、アンタも《森の秘薬》を受けに来たのかい?」

 声を掛けてきた男は、6人の中では唯一黒いフードをかぶっていた。顔には刺繍がある。

 超六感が危険性を知らせたのを感じ取りつつ、俺は頷く。

 さて、先程の危険性のお知らせはコイツ本人か?それともこれから厄介なことになるのかな?などと楽しい想像を働かせながら、俺は続けて尋ねた。

「そっちはこのクエスト6人でやるのかい?あんまオススメはしないけどねぇ」

 その言葉に、黒フードは一瞬キョトンとした顔になった。

 や、おそらく言葉にじゃなくて声にだね。どうせ女みたいな声だとか思ってるんだろう?これでも現実世界ではもう少し声低いんだけどね。コレが最適化というものか!?うん。違うね?

「あぁそうか。6人でやるのはオススメしないかい?アンタも一緒にどうか誘いに来たんだがなぁ」

 その黒フードの言葉に俺は少しだけ考える。

 他のやつと狩りをするなら、《近接戦》スキルで武器両手持ちとか、素手攻撃とかが出来なくなるんだよなぁ。

 キリトからもなるべく見せない方が良いって言われたし。

 でもまぁ別に良いか。正直必要ないけど装備一つだけで戦うことにも慣れておこう。

 というかぶっちゃけ慣れてるけど。

「いいぜ?一緒にこのクエストやってもさ。ただし、俺が胚珠を手に入れたら《ホルンカ》に俺は帰るけどな?」

 すると黒フードは嬉しげに頷いて残りの5人のところへと俺を案内した。

 

 

 

 スタタタンッと三体のリトル・ペネントを連続で切り倒して、俺は武器を持つ手をダラリと下げた。

 周りの奴らから、歓声が上がったが無視しておく。

 うん。失敗した。まさかコイツ等がここまで弱いとは思わなかった。

 唯一まともに戦えるのが黒フードくらいなものである。

 コイツ等のレベル……だいたい3と見た。

 黒フードはその倍くらいあるだろう。まあ、どちらにせよ俺が突出して強いのは間違いない。ホント一人でやった方が早く終わってただろう。

 今更言っても始まらないけど。

 とはいえ、ここまでで結構な数を倒している。なんせあれから3時間はたっている。先程レベルが上がったくらいだから、かなりの数を俺が倒しているのだろう。

 6人とはパーティー登録はしていない。というより、パーティーは6人までなのだ。

 パーティー登録していないので、俺が倒した分は全部俺に入ってくるのだ。

 アレ?そういえばパーティー登録してるメンバーの獲得経験値も3倍になるのかなん?今度キリトに試してもらおう。

 さて、そろそろ花付きが出てもおかしく無さそうだが……。と、レベル10になったときに加えた《索敵》スキルで辺りを探ると、居た、全部で7体のリトル・ペネント。うち2体が花付きで、2体が実付き。残りはノーマルだ。

 ちなみに、実付きというのは、文字通り花付きと違い、実を付けているのだが、この実に対して攻撃を行い割ってしまうと、一気にリトル・ペネントが集まってくるのだ。

 キリト曰わく、ベータ版の時にはこれにやられるプレイヤーが続出したとか。

 多分製品版でも結構な被害が出ると言っていた。

 その話を聞いていたので、俺は6人にはこの実付きについてのことを説明している。

 こちらに気付いたリトル・ペネントたちが、それぞれ近づいてくるのを確認した俺は、すぐに前方から来る3体に突撃する。

 他の4体とも、後ろで戦いが始まったのを気配で感じ取りつつ、まずは実付きを実ではなく本体に攻撃してポリゴンに変えた。横合いから、体を膨らませる様に身を引いたノーマルの背後に素早く回り込み、通常攻撃を二発ほど叩き込んで相手のHPを削りきる。

 確かあの動作は、こちらの防御だったかを低下させる酸を吐き出すのだ。

 もっとも、ダメージは無いのだが。

 残りは一体。

 運のいいことに花付きだ、楽しげに笑みを浮かべ、距離を詰めたところで、背後で何かが破裂する音が響いた。

 というか聞き覚えがある。俺が昨日このクエストを受けているときに、リトル・ペネントを探し歩くのが面倒になって、実付きを見つけたときにわざと実を割ったのだが、その時の音だ。

 あ、ちなみに昨日集まったのは難なく蹴散らせた。

 おそらく誰かが実を割ったのだろう。と判断しつつ、俺は花付きとの距離を詰め、そのままソードスキル《リーパー》で斬り伏せる。

 ドロップでリトル・ペネントの胚珠が手に入ったのを一瞬で確認して、振り返った。

 黒フードはなんとか戦っているが、他の奴がとにかくひどい。というか数えたら黒フードと合わせて5人しか居なかった。

 逃げ出したのか……或いは死んだか。

 もし死んでいるのなら運が無かったなと欠けた一人に対して思いつつ、こちらをみていないリトル・ペネントを2体同時に斬り伏せた。

 視界の端で、さらに一人がポリゴンに変わるが、特に気にすることなくそのままもう一体に襲いかかる。

 異世界で培ってきた気配把握能力と、《索敵》スキルで残りの数を数えると、17。

 もしかしたら、実を割ってしまったが故に呼び寄せられたリトル・ペネントの中にさらに実付きが居てそれが連鎖しているのかもしれない。

 一体を通常攻撃で倒してから、一瞬だけ俺は考える。

 俺一人ならリトル・ペネントくらい問題ないが、他の残り四人はそうではない。

 このままのペースだと、レベルの割に善戦してる黒フードを除いて全員死ぬ。

 しょうがないなぁ。少しやる気出しますか。といっても、やることは武器の両手持ちだけである。俺は素早い動作でメニュー画面を開くと、アイテムストレージから今右手に持っているのと同じ初期の曲刀をオブジェクト化させ左手で持つ。

 この状態だと、《近接戦》スキルを持っている俺でもソードスキルは一切使えなくなってしまうのだが、そもそも俺のレベルならソードスキル無しでもリトル・ペネントくらい一撃で倒せるのだから、別に使えなくても問題はない。

 前方のリトル・ペネントが、のけぞって酸を発射してくる動作をしたが、無視して横から近づいてきたのを切り払う。酸を食らったが、気にせずにさらにもう一体。それから、前方のソイツを叩き斬った。

 何故、浴びせられる酸をよけなかったのかというと、この攻撃には、ダメージが伴わないからである。

 かといって、これを受けると、防具の耐久値が減ってしまうのだが、それについては、俺の装備しているコートにはそもそも耐久値が設定されていない。

 つまり、何があっても壊れることが無いのだ。

 だから、俺はこの攻撃を気にする必要は無いのである。

 ついでに言うと、俺がレベル10になったときに、このコートに新しい効果が加えられている。

 それが、装備者が一切の状態異常に陥らないというものである。

 アドレナクさん。これはチート過ぎだよん?

 誰にしているのかわからない俺の装備についての説明をしている最中、さらに5体のリトル・ペネントを切り倒すと、最初に買った曲刀の耐久値が無くなったのか、武器破壊エフェクトを出して砕け散ってしまう。

 誰かがそれを見て声を上げたが、俺は慌てずに《クイックチェンジ》というスキルを使って《アニールブレード》を砕けた曲刀の代わりに一瞬で装備した。

 

 3分後、全てのペネントが、俺(と少し黒フード)によって倒される。

「さっきのなんだったんだ?」

「ン?」

「ほら、曲刀が壊れたとき代わりにすぐにそれを装備したのだ」

 息を整えながらも、アニールブレードを指して聞いてくる黒フードに、クイックチェンジの事を少し教えてやり、それから俺は先ほどの戦闘で手に入れたらリトル・ペネントの胚珠2個を渡してやる。当然、俺の分の一個はとってある。

「二人死んだところでいきなり悪いが、俺は胚珠を手に入れたから抜けるぜ。その2個は好きに分けてくれ」

 そう言って、俺は《ホルンカ》のある方へと元来た道を引き返そうとする。

「おっと、ちょっとstopだ。アンタの名前を聞いても良いか?」

 黒フードが、俺を引き止めてそう聞いてきたので、俺はふと考えた。

 コイツとは、またどこかで関わり合いになりそうな気がするのだ。

「トウヤだよ」

 そう答えると、黒フードは若干納得したような顔をした。

「おう、やっぱり男か?」

 やっぱり女かもしれないとか思われてたか。

「男だよ、リアルでもな。で、お前名前は?」

「ああ、俺の名前は…Pohだ」

 あれか?赤い服着た黄色い熊の、確か蜂蜜だかオリゴ糖だかの入ったツボ年中なめてるイメージあるけど。まあ違うな。

「Pohね、一応覚えておくぜ」

 そう言って、俺は今度こそ《ホルンカ》へと歩き出した。




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