ソードアート・オンラインの世界に転生   作:錯也

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第一層ボス攻略!
ちょっと時間空いたけど(^-^;

プログレッシブ2巻無いしどうしよ…


ファースト・ボス

「で、キリト。お前結局アニールブレードは売ったの?」

「いや、売ってないけど…というか今俺が装備してるのアニールブレードなんだけど……?…………や、よく考えたら昨日お前もその話聞いてなかった?」

「いや、買い取りたいって言ってきたのがモヤットボールだって話聞いた直後に自室に戻ったろ?」

「……あ、そういえば確かに。まぁ売ってないよ?予備があるとはいえここまで強化してるのこれだけだし」

「そりゃ所詮予備だからね」

 そんな会話をしながら、俺とキリトは第一層ボス攻略の集合場所に向かっていた。

 昨日の夜、アルゴがキリトのところに訪ねてきて、キリトのアニールブレードを買い取りたいというやつがいる、と言い出したのだ。その買い取りたいやつというのがモヤットボール(俺とヒースクリフ命名)ことキバオウだったらしい。

 ところでキバオウって誰?あ、モヤットボールさんは知ってます。

 そんな会話をしながら、集合場所につくと、先に到着していた3人がこちらに向かってきた。

 一人は赤いフードを被ったアスナというプレイヤー(素顔は知らない)。もう一人はアスナよりも年下であろう、黒い髪のユウキというプレイヤー。最後が、鉄灰色の髪をしたヒースクリフという盾持ちの片手剣使いである。年はたぶん二十代後半位。

 集合した俺達は適当に話(アスナ除く)をしながら時間を潰し、全員が集合したということで、ボス部屋の前まで移動する集団の最後についていくことにした。

 

 

 道中は、比較的問題なく進んだ。比較的と言っても、問題があったのは俺たちのパーティーではない。なんというか、他のパーティーの緊張感が全然無い。まぁ、変にありすぎても困るのだろうが。

「あれ?」

 途中に出てきたMOBを素早く曲刀で倒して、ふと前を行く人物の背を見て俺はあることに気付いた。

「なぁキリト、あいつ装備変わってなくね?」

「え?…………本当だな昨日と同じだ」

 前を行く人物とはモヤットボールである。

「んー?どうかしたの、二人共?」

 後ろを歩いていたユウキに、なんでもないと答えてから、俺は少し考えてみる。

 キリトの持っているアニールブレードを一体いくらで買い取ろうとしたのかはわからないが、少なくとも交渉するくらいの金額は持っていたハズなのだ。にもかかわらず、モヤットボールが装備を買い換えていないということは……。

「その金は他人の金だった、かな?」

「つまり、キバオウはあくまでも買い取り役で、実際に金を出して買い取ろうとしたやつは別にいるってことか……」

「……うーん…俺の超六感によると……」

 怪しいのはディアベルだな。あいつ昨日の会議での様子からしてほぼ間違いなくβテスターだし。

 となると、キリトがβテスターであることに気づいてってことかな?なんでだ?

「おい、キリト。βテスターが他のβテスターの武器をボス戦前に買い取ろうとする理由何か心当たりあるかい?」

 このゲームについてはキリトの方が詳しいので、詳しいやつに聞くことにした。

「…………」

 しばらく考えていたキリトは、俺が聞いたことのない単語を口にした。

「ボスのラストアタック(LA)ボーナスをとりにくくするため……とか?」

 LAボーナスってなんだよ?

「ボスに最後に攻撃した者が手にいれることができる特別なドロップアイテムのことだ」

 話を聞いていたのか、ヒースクリフが会話に加わってLAボーナスのことを教えてくれた。

 なるほど、それを同じβテスターであるキリトがなるべくとりにくくなるように、ディアベルがキリトのアニールブレードを買い取ろうとしたって可能性は確かにあり得るかもしれない。

 とはいえ、俺はディアベルのことについては黙っておくことにした。キリトだけなら、超六感のことを知っているので教えてもいいのだが、ヒースクリフも会話に加わってきているから超六感が根拠の推測を伝えるわけにもいかない。

「ん?LAボーナスの事知ってるってことは……ヒースクリフさんもβテスターなの?」

「あ、ああ…………実はね」

「……ふぅん」

 βテスターがパーティーに二人か。これは思ったより楽になりそうだ。

 そんなことを考えながら迷宮区を進む先に、ようやく第一層のボス部屋の扉が見えてきた。

 あ、話に出てこない(話しかけてこない)だけで、アスナさんもちゃんとついてきてますよ?

 

 

「みんな、俺から言えることはただ一つだ。…勝とうぜ!」

 そのディアベルの言葉に、他の者も呼応するように盛り上がり、ディアベルが扉を開け合図をすると同時にボス部屋の中央付近まで駆け込んでいった。

 俺たちのパーティーはそのあとを遅れてボス部屋に入る。

「うわぁっ……広いねぇ…」

「体育館位の広さか?なかなか良くできてるねぇ…」

 まぁ一回来たことあるけど。

 入って早々ボス部屋についての感想を言うユウキに調子を合わせつつ、俺は部屋の奥へと視線を向ける。

 丁度、ボスの取り巻きである《ルイン・コボルト・センチネル》が6体ポップして向かってくるところだった。

 内2体はモヤットボールのパーティーが交戦しだしたので、残り4体を相手にすることになる。

「1体任せた」

 ヒースクリフにそういうと、頷いて前に出る。キリトとアスナも1体と交戦を開始した。といってもすぐに決着がつくだろうが。

「ユウキちゃん、スイッチのしかた覚えてるね?」

「うん!」

「よし、行くぜ」

 残り2体は俺とユウキが担当する。

 先に接近してきた方に、《近接戦》スキルの曲刀用基本技《クレッセントファング》を放つ。

 これだけでは、ある程度の防御力を持つ取り巻きのHPバーは削り切れなかったので、後ろのユウキとスイッチして入れ替わり、ユウキに止めを任せる。その間に、こちらに近づいてきた最後の1体の斧の攻撃を、ソードスキル《リーパー》で弾き、ソードスキルの技後硬直を解除するべく、《近接戦》スキルの素手技《フィンガーバレット》を放ち、さらに曲刀スキルで止めを指した。

 ……。あ、思わずいつも通りにソードスキル連発しちゃった。

 一応回りを見ておくが、誰かに見られていたなんて事は無かったようで、一応安心しておく。

 まぁ、誰かに見られて何か聞かれたら全力ですっとぼけとけばいいと思うけど。

 そんなことを考えている間に、ボスである《イルファング・ザ・コボルトロード》の四本あるうちのHPバーの一本を、ボスと戦っているパーティーが削りきったようで、新たに6体の取り巻きがポップしてきた。

「まだあっち終わってないみたいだよ」

 ユウキにそう言われて指す方に視線を向けると、キバオウの隊はまだ取り巻き2体を倒し終えていなかった。

 使えないなぁあいつら。などと思いながら、俺はキリトたちに2体を任せる。一体はヒースクリフが、残り3体をほぼ先ほどと同じ手順でユウキと倒すのだった。

 

 ボスのHPバージョンは、残り一本と少しに差し掛かっていた。

 既に取り巻きを倒し終えて、俺達はボスと戦っているパーティーの様子を見ている。

 今のところは特に問題はない。が、ディアベルがβテスターで、LAボーナスを狙っているなら、かつ、それを確実に狙おうとするなら必ず何かするはすなのだ。

そんなことを思いながら、様子を見ていると、ボスのHPバーが残り一本になった。

 思った通り、ディアベルはLAボーナスをとるための行動を始める。

「みんな下がれ!俺がやる!」

 なんとディアベルは、味方を下がらせ、単独で自分が前に出たのだ。

 ……って言っておきながら、おれ自身もこの前誰も見てないのをいいことにソードスキル連発して一人であれの相手をしたのだが……。

 言うまでもなく、ディアベルが一人でボスと戦うのと、俺が一人でボスと戦うのはわけが違う。

 しかも。

「おいおい、あれ、曲刀じゃあないんじゃねーのか?」

 タルワールといえば、インドやパキスタンなどでで見られる刀身が大きく湾曲した細身の片刃刀である。

 が、コボルトロードが新たに手にした武器は、片刃ではあるものの反りは少ない。

 つまり…………刀。

「ダメだ!全力で後ろにとべ!!」

 同じく気付いたキリトがディアベルに大声で警告を発したが、ディアベルは聞いていなかった。

「ここ、任せるぞ」

 ボスのHPバーが最後の一本になると同時に出現した取り巻きを、パーティーメンバーに任せ、俺はすぐさまボスとの距離を殺す。

 今からいったところで、ディアベルはおそらく助からない。

 既にディアベルのHPバーはボスのソードスキルを受けてレッドゾーンに入っている。その上、まだボスの攻撃は繰り出されようとしているのだ。

 だから、ディアベルのことは走り出した瞬間から見捨てていた。

 自分一人でボスに、それもLAボーナスをとるために突っ込んでいってそれで死ぬのなんて、そんなものは自業自得だからだ。

 攻撃受けて吹き飛ばされたディアベルにキリトが駆け寄るのにちらりと視線をやりつつ、俺はボスへのファースト・アタックを繰り出した。

 お馴染みの《曲刀》ソードスキル《リーパー》だ。

 攻撃を受けた俺にボスからのヘイトが向けられる。

 こちらを向き反撃の斬撃を放ってくるが、既に技後硬直からは離脱している。

 ギリギリで攻撃を交わしながら、ボスの左側から攻撃を叩き込み、背後に抜け、振り向き様に背中を斬りつけボス部屋の奥側へと後退する。

 これで、他のパーティーのやつらが逃げ出すならそれでよし、そうなったらあとは《近接戦》スキルも合わせたエンドレスアタックで一人でもボスを倒せるはずだ。

 そうならなかったとしたって、キリトなら確実に加勢に来るはずだ。

 ボスの背中側から、青いガラス片のような物が見えた。おそらく、ディアベルが死んだのだろう。

「さてさて……少しは楽しませてくれよ、ファースト・ボス?」

 楽しげに笑いながら、俺はボスとの距離を詰める。

 端から見たら、自分の命がかかっているデスゲームにもかかわらず、さも楽しそうにボスに挑んでいく俺の姿は、まさしく異常な人間の姿のように映っただろう。

 が、俺にとっては戦いに本物の命がかかっているなんて事は、当たり前の事である。

 これまでも、きっとこれからも。

 俺にとってSAOとは、単に戦いの舞台がバーチャル世界になったというそれだけの物でしかない。

 これまで数万年もの間生きてきたなかで、今よりも酷い状況など幾らでもあったのだから。

「くハハハッ!」

 トップスピードで迫り、正面からボスの体を切り裂く。これで、ボスのHPバーは最後の一本のうちの残り2/3。

 先程、ディアベルを空中に打ち上げたソードスキルを、力任せに受け止める。もっとも、それだけでは力が足りなかったのか、ダメージは食らわなかったものの、ディアベル同様空中に打ち上げられた。

 が、焦ることなく俺はクイックチェンジで曲刀をアニールブレードに変えると、先程ディアベルのHPバーを全損させたソードスキルの連撃、その初撃を《片手剣》スキルの《ホリゾンタル》で強引に弾き飛ばす。

 ソードスキルは、攻撃終了時以外にも、あまりにも規定から外れた動きになったときも強制停止後に技後硬直が発生する。

 プレイヤーだけでなく、ソードスキルを扱うエネミーにだって。

 剣線を反らされ、スキルを強制解除されたボスの動きがフリーズする。

 視界の端で、ヒースクリフが唖然としているのが見えた。

 キリトとユウキ、さらにアスナも加えた3人が加勢に来る。

 動きの止まったままのボスに、それぞれソードスキルを叩き込み、それに続くように、《ホリゾンタル》の技後硬直が解けた俺も再度ソードスキルでダメージを与えた。

 が、ボスのHPバーはほんの少しだけ残ってしまっている。

 俺は、普通に技後硬直が解けてからもう一撃ソードスキルを叩き込み撃破すればいいと考えたのだが、キリトの一言で考えを変えた。

「スタン攻撃が来る!」

 どうやら、先程ディアベルが斬撃を立て続けに受けた原因は、ボスの放った攻撃が関係しているらしい。さて、ここで問題なのは、俺には状態異常……デバフが、身につけたコートのおかげで一切発生しないということだ。

 技後硬直が解ける前に連続してソードスキルを繰り出すのと、他の3人がスタンしているなか一人だけ平然としているのと、どちらがチートっぽく見えるだろうか?

「ま、どっちもどっちって感じだな」

 ならば、俺たち4人のうち誰に放たれるかわからない追撃にひやひやするより、この場で早めに倒してしまった方が良いだろう。

 《近接戦》の素手技《フィンガーバレット》を放とうとして、俺はふと思う。

 今使ったのは、《片手剣》スキルの中の《ホリゾンタル》というソードスキルだ。では、《近接戦》スキルの片手剣用ソードスキルはこの状態で使えるのか?と。

 わからなければ、殺ってみるのが早い。

 

《近接戦》スキルの片手剣用単発ソードスキル《ファストストライク》を放つ。

 突くように放たれたそのソードスキルが、ボスのHPを削りきりポリゴンへと変えた。

 しばらく静まりかえったボス部屋は、勝利を喜ぶ声に満たされる。

 その中で、俺は「なるほど、そういうことか」と呟いた。

 《近接戦》スキルは、それ単体で強いというスキルではないのだ。他のスキルを放ったあとに、ノーモーション……どんな体制からでも放てるソードスキルで次のスキルに繋ぎ連発ができるところに強みがあるのだ。

 確かにチートである。

 同じ武器を使って、異なるスキルのソードスキルを連発する……。

「名付けるなら……スキルチェインってところかな」

 まぁ、あんまり人前で使わないように気を付けないといけないけれど。

 と、そんなことを考えていると、キバオウの「なんでや!?」という声が聞こえてきたので、なんだ?と思いながらそちらに視線を向けた。

「なんでディアベルはんを見殺しにしたんや!?」

「見殺し…?」

 キリトが、わけがわからないという風に呟く。

「そうや!自分はボスが使うスキル知っとったやんけ!わしは聞いたぞ!ディアベルはんに下がれ言うたのお前やろ!?」

「それは……!」

 俺たちの会話を聞いていたのか、アスナが何かいいかけたが、キバオウはすぐに次の矛先を俺に向けてきた。

「そっちのねぇちゃんもや!!あんた、さっきボスの攻撃に対処できたやんけ!?」

「武道をやってれば出来なくはないと思うよ?」

 ユウキが反論し、何故かヒースクリフも「同感だな」と、それに頷く。

 なんだ?こいつら二人共リアルで剣道でもやってんのか?というか、キバオウ……お前まだ俺が女の子だと思ってんの?

 とか、色々と突っ込みどころはあったが、俺が言うべきはただひとつ。

「ま、ボスのスキルに対処出来たのはそれが理由だな…………それよりも……」

 βテスターに対し、普通以上の敵意を持っているキバオウ。

恐らく、βテスターに良くない感情を持っているのは、何も彼だけでは無いだろう。が、彼らは気付いているのだろうか?βテスターに対して敵意を持っているとかそんなのは、はっきり言って八つ当たりと変わらないのだ。

 俺に言わせれば、そもそもの原因は、この状況を、デスゲームを産み出した張本人(名前忘れた)なのだから。

 だから、まずはその辺りの認識からどうにかするしかない。βテスターだろうと、そうでなかろうと、死ぬもんは死ぬのだ。同じデスゲームに巻き込まれた囚人なのだということを、教えてやるしかない。

 だから。

 

 

「ディアベルを見捨てたのは、直接ボスを相手したお前らだろう?何故ディアベルに下がれと言われておとなしく下がった?一人でボスに挑んでいく危険性を理解できなかった訳じゃないだろう?」

「……それは、ディアベルさんが、下がれって言うから……」

 周りから視線を向けられたディアベルのパーティーメンバーが、居心地悪そうにそう答える。

「何も考えずにただ下がれって言われたから下がったのか?…………ま、それならそれでも良いが……じゃあなんでディアベルはそんなことを、ボスに自分一人で挑むと言ったんだと思う?」

 まずは知れ、ディアベルの死は本人の自業自得だった事を。




討也が居たってディアベルは助からんのです( ・∇・)
第二層やらなきゃダメっすかね?(^-^;
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