よろしければどーぞ!
「ふぅ〜疲れた疲れた。やっぱ家はいーねー」
誰もいない部屋で、一人呟く。そして、俺は今日あったことを思い出していた。
「あぁ…逃げちまったんだな、俺」
平塚静、戸塚彩加の言葉を思い出すー「比企谷は、優しいやつだ」ー「八幡は、自分を諦めることが出来る」ー
すげぇな。”あいつ”俺なんかよりもよっぽどすげぇや。正直、見下してた。ダメなやつだと思ってた。文化祭の後からは嫌いな奴になった。
でもー本当にダメなやつだったのはー
「おれなんだ…」
水滴がポタポタと頬を伝う。あれ?おれ泣いてんのか。両親が二人とも海外に行くってなった時も泣かなかった。飼い猫が死んだ時も泣かなかった。のに、今俺は泣いている…
「明日、”あいつ”に会いにいこう」
横須賀海斗は逃げまどう。しかし、明日の横須賀海斗は…?
ー次の日ー
修学旅行の前日の今日は、教室全体のテンションが違った。いつもよりも2倍マシくらいの熱気を感じる。もともと、なんやかんやまとまれるクラスであるだけに、今日の一体感?的なものはマジでやばい。ちょーやばい。
「戸塚くん、昨日は途中で帰ってごめん」
まず俺は、戸塚彩加に謝った。
「いいよ、別に。それよりも、今日はなんだか晴れ晴れとした顔をしてるけど、どうしたの?」
「いやべつに、なんでもないよ。ただ、ケリをつけにいこうと思ってさ」
「そうなんだ…いい結果が出るといいね!海斗!」
「戸塚くん…」
はじのほうで、なんか聞こえる…
「かいさい、キマシタワー!!!ブフゥ」
「姫菜、擬態しろし。はい、チーンしなチーンって」
優美子、いい奴だなぁ、そして姫菜お前はどーした。
ここまでの結論,「戸塚くんは天使」
「きてしまった…」
時は放課後、場所は奉仕部前。俺こと横須賀海斗は、一世一代の大勝負をかけるつもりである。これまでのこと、この間のこと、そして、この先のことを。
コンコン
「どうぞ」
雪ノ下さんのビューティフルボイスが聞こえてくる。あぁ俺がこの扉を開けた瞬間、そんな声も聞こえなくなるのだろう…
「失礼します」
おれを見たときの顔は、三者三様だった。雪ノ下さんは、相変わらず凍てつくような目で、結衣は困ったような目で、そして”あいつ”いや、比企谷は、興味なさそうな目で俺を見つめる。
「あら、あなた。何をしにきたのかしら?この腐れ外道犯罪者さん?」
「海斗くん…どうしたの?」
結衣、頼むから雪ノ下さんを止めてくれ。マジで。というか、止めてくれないところを見ると、お前も相当怒ってるんだな(泣)
「今日は…謝りにきたんだ。この間はみんな、本当にすみませんでした。調子に乗りすぎてた。本当にゴメン」
俺は今までの人生で1度もなかったくらいの深々さで頭を下げる。下げ続ける。
「猿でも謝ることは出来るのね。でも、あなたのしたことは許されることじゃないと思うわ」
「海斗くん、酷いこといっぱい言ってたよね。それが、謝るだけで終わるとか、なんか…おかしい…」
クッと唇を噛みしめる。自分のしたことの大きさ、罪深さを思い知る。しばしの沈黙…心が痛い。
「なぁ…もうそこらへんにしておかないか?」
口を開いたのは、比企谷だった
「俺はもう気にしていないし、頭を上げてくれ。あーっと、横須賀?だっけか?」
頭をポリポリと書きながら、少し恥ずかしそうに言う。
「比企谷くん、いいの?」
「ヒッキー、怒ってないの?」
2人の美少女が、心配そうに、心底心配そうに確認している。やっぱ羨ましいな。比企谷。
「いいも何も、俺は怒ってないし、気にしてない。あんなことでいちいち怒ってたら、中学時代の俺は1時間、いや30分に1回キレてるまである(笑)」
.なんて強い男なんだ…土台、ハナっから薄っぺらい俺が敵う相手じゃなかったのな…
「比企谷、本当にすまなかった。俺は自分よりも立場が低そうな人間を下にみて、笑い者にしているだけの、どうしようもないやつだった」
でも…と真っ直ぐ比企谷をみながら、横須賀海斗は話続ける
「俺も、君たちみたいになりたいと思った。相手のことを本気で思いやれる君たちみたいに…」
言葉に熱が帯びる。キャラじゃない。今まで、こんなに真剣に他人のことを考えたことなんてなかった。そして、自分のことも…
「海斗くん…」
結衣が心配そうな顔でこちらをみる。雪ノ下さんも口を開きはしないが、こちらをじっと見つめている。
「はっ(笑)俺らはそんなんじゃねーよ。そこの目つきが鋭い猫好きの女には友達になるの断られたしな…あれ?自分でトラウマ抉っちゃったよ…」
「ひっひきがにゃくん!そんなこと、人に言うことではないと思うわ。恥を知りなさい」
雪ノ下さんが恥ずかしそうにかみまくっている。かわいいな。
「ヒッ、ヒッキー!私は…友達になってもいいよ?」
結衣がモジモジしながら言う。あれ?俺の存在みんな忘れちゃってるよね?あっれー?俺が熱い話してるところなんだけどなぁ〜
俺はいたたまれなくなって口を開く
「あっのー?まとめるとさ、比企谷は俺のこと許してくるってことでいいんだよな?」
「許すも何もないが…まぁ、それでいいや…」
じゃあさ、と俺は口を開く。彼らのような関係、ー本物がー欲しいから。ここなら、いや、比企谷と一緒にいれば、手に入れられそうだから。
「俺、奉仕部に入部します!」
そう高らかに宣言した彼の顔は、晴れ渡った空のように、爽やかだった。
横須賀海斗は逃げまどった。しかし、向き合った。比企谷八幡という憧れが出来たから。横須賀海斗は生まれ変わったのだ。
ー奉仕部の行く末が激変する修学旅行まで、あと1日ー
次回から奉仕部編です!
彼が入ることにより、奉仕部はどうなるのでしょうか?
僕もわかりません(笑)
では