どうなるのでしょうか?
「雪ノ下さん、結衣、比企谷、俺を置いていかないでよ〜」
絶賛置いていきぼりの俺である。
「あら?あなたいたの?視界に入らなかったから気づかなかったわ」
いやいや、視界にいたよ?雪ノ下さんの視界にいたよ?それってもはや視界に入らないんじゃなくて入れたくないんじゃないですかね…
「あ、海斗くんごめんね。なんか3人の世界に入ってた!」
にっこりと満面の笑みで言う結衣。ダメダメ、人間っていうのは、そう言う純真な人の本音に一番えぐられるんだよ?
「すまんな横須賀(合掌)」
「みんなおれにたいしてつめたい!?俺のこと嫌いなら言ってよ?言っていいんだよ?」
「あなたに対して感じることなんて特にないわ」
「海斗君はいいひとだよ?」
「俺は特に何とも思ってないな」
はい!3人ともやり直して!特に結衣!「いい人」っていうのはどうでもいい人ってことだよね?それ一番きついんだよ!俺みたいなキョロ充にはさ…
3人で肉まん?の食べあいとかしやがってよ〜クッソクッソクッソー!
でもまぁ、これがこの3人の距離感なのかな?なんかすげー心地いいわ。俺、はぶられてるけど。見てるだけでも癒されるっていうかなんていうか…「本物」って感じがする。
ー告白前の宿ー
「あ〜もうめっちゃやばいわぁ〜まじこのやばさないわぁ〜でもやりきるわぁ〜」
ここまで来てもうざい戸部。もはや戸部がうざいのは構造。
「大丈夫だって」
「戸部も彼女持ちかぁ〜俺らと遊んでくれなくなるんだろうな〜」
「そんなことね〜って〜」
大和、大岡お前ら適当だな。というか戸部、お前考え直せよ。
すると、隼人が口を開く
「戸部…いや、なんでもない。お前の顔見てたら、言う気が失せたよ(笑)」
「ひどくね!?」
隼人は去っていった。比企谷は隼人のことがきになるらしく、彼を追っていった。彼らが何を話すのか、知る由も無い。
ー運命の時ー
鬱蒼と繁った竹やぶ、一際告白に向いていそうなロケーション。ロケーションだけはバッチリだなぁおいおい。さっき結衣がモジモジしながら比企谷に「告られるなら…ここがいいよ!」って言ってたが、夜になるとさらにおあつらえ向きだな。ていうか結衣ちゃん?なんで受動態なの?そこ普通能動態でしょ?
比企谷が緊張してガッチガチの戸部に話しかける。なんか戸部を応援しているみたいだ。雪ノ下さんが「あの男にもあんなことが出来るのね…」とボソッと言っていたが、それひどくね!?
姫菜が向かってくる。あぁ、戸部は振られちまうんだな…俺らのグループもこれで終わりか…なかなかに楽しかったな…とかボケーっと思っていた時だった。
「ずっと前から好きでした。俺と付き合ってください」
おぉう戸部、お前にしてはなかなか様になってるじゃないか。セリフはいいぞ、セリフは。
いや…違う。あれは…比企…谷?お前、なにしてんだ
「今は誰とも付き合う気がないよ。ごめんね。話し終わりなら私、もういくね」
姫菜が去る。戸部と比企谷が話しているところに隼人が向かい、慰めている。そしてー本当に小さな声で、苦虫を噛み潰したような顔でー
「すまないっ…君はそういうやり方しか知らないことを知っていたのに…」
隼人と友達になってはじめて、こいつのことが心底憎いと思った。ずるいと思った。こいつは、比企谷に全部押し付けて置いてそんなことを…こいつは、初めからわかってたのか。比企谷が偽告白をするって。そして、比企谷が傷つくってことが…
「あなたのやり方、嫌いだわ」
戻ってきた比企谷に雪ノ下さんがいう。その目は、今まで見たことのないくらい冷たくて、哀しくて、そして…怒ってて。
雪ノ下さんが去ったあと、結衣が笑いながら比企谷に近づいていった。その笑いは、結衣が優美子に自分の意見をしっかり言えるようになる前の渇いた笑い、表面上の笑顔だった。
「人の気持ち…もっと考えてよ!!なんで色んなことがわかるのに、それがわからないの!?」
結衣の哀しき咆哮だった。魂の叫びだった。比企谷には、とどいているんだろうか?
結衣が泣きながら去る。そこに残ったのは、傷つき傷つけた男と何も出来なかった無力な男だった…
「なぁ比企谷。はじめからこうするつもりだったのか?」
比企谷に問う
「まぁな…葉山隼人と海老名姫菜は”いま”を変えたくなかった。その中で、俺ができる範囲で最善のものを選んだつもりだ」
本当に…本当にそう思ってんのか?ならお前はなんでそんなに悲しそうなんだよ!
「比企谷…全てを押し付けて、ごめんな…」
無力だな俺は。こんな薄っぺらいことしか言えないんだ…
「おまえに謝られる義理はねーよ。俺が自分で選んでしたことだ。後悔はない」
「ありがとうな。俺たちのグループを、壊さないでくれて…」
俺は何を言っている?そのために、何が犠牲にされた?比企谷の事を大切に思っていた二人の少女の気持ちはどうなるんだ!?
「いっそそう言ってもらえた方が楽だわな。横須賀、俺の選択は間違えていたか?」
初めて見る。この男のこんな目は、こんな表情は。なんて顔してんだよ…
「お前のしたことは結果だけ見れば正しいよ。依頼者全員の願いを叶えてくれた。でも…さ、俺ももう奉仕部だから…さ、雪ノ下さんも結衣もそうだと思うけどお前が傷つくの、見たくなかったなぁ…」
涙は落ちる。そんな自分に驚いた。それほどまでに俺にとって奉仕部はーこの男はー大切だったのだろうか。
「そうか…ありがとな。横須賀。少し気持ち楽になったから、俺もう戻るわ」
そう言って去っていく。その瞳に、一厘の涙を携えて。俺の知る中で最も強くそして最も哀しき男が去っていく。
自分にできることはなかったのだろうか。思えば、昨日比企谷と話した時に、「方法は…ある」と言った時に気づくべきだった。いや、本当は気づいていたのかもしれない。でも、俺は止めなかった。止められなかった。仲間だと思っている人たちがバラバラになるのが怖かった。そして責任をすべて比企谷に押し付けたのだ。
「俺は本当に…何してんだろうな。これじゃあ隼人にキレる資格なんて…」
横須賀海斗は苦悩する。何も出来ずに苦悩する。彼の一番近くにいる男は自分だったのに…
ー奉仕部はこれからどうなるのだろうか?ー
こんな感じで締めてみました。
やっぱり、海斗君にとってはいつものグループも大事なんです。だから、彼は動けなかった。
まぁさすがに偽告白までちゃんと見通せたかどうかは少し疑問ですが(笑)
ご意見やご批判など頂けると幸いです。