放射能の描写があります。
しかし福島原発などとの関連性は全くありませんし、
意識したつもりもないのでご了承ください。
なのでこの作品は、グロっぽい表現が平気な人。
上記のことが気にならない方のみ閲覧下さい。
まだこの作品は受け入れられない。
ちょっとこれ以上読むのは無理と思ったなら、
即読むことをやめてブラウザパックすることをお勧めします。
わたしの思っているかはグロくないかもしれませんが
念には念を入れておりますので気にしないという方は放っておいてください。
護りたかったものを護れない。
それは死ぬことよりも辛い。
本当に大切だったものは失ってからわかる。
気付いた時に残っているのは果てしなく後悔の念。
今の俺なら痛いほどその言葉の意味が分かる。
俺は誓った。
姉の名前を護ると。
孤独な少女を助けると。
うずくまって泣いていた少女を護ると。
誰よりも純粋な少女のヒーローになると。
俺は誓った。
誰も失わせたりなんてしないと。
だが、俺は蓋を開ければただの青臭い餓鬼でしかないと思い知らされた。
あの戦争が、あの戦いが俺の全てを変えた。
世界中が戦火に包まれ、安全な場所など地球上には残されておらず、地獄、そう形容するに値する光景がそこにはあった。
次々と彼女達が倒れていく。
護ると誓ったはずの少女が俺を庇って。
大口を叩くだけ叩いていざという時に何もできなかった俺のために、その一つしかない命を俺のために投げ打って散っていった。
しかし彼女達は笑っていた。
死ぬというのに、本当だったら怖いはずなのに弱い俺を護るために最後までずっと。
気が付いた時には手遅れだった。
俺は一人ぼっちで、地球もまた破滅の道を辿ろうとしていた。
戦争が終わり告げた時、その大地に勝者はなく、そして敗者も存在しない。
幾度となく核の炎に包まれ人類を消し去ったから。
きっと戦争が終わった時、地球には一握りしか残っていなかっただろう。
それでもヒトは生きようとした。
泥水をすすり、木の根をかじってまで生きようとした。
が、所詮それまで。
汚染され尽くした大地に草木は残っておらず、枯れ果てた大地は汚染され尽くし、残った人類をも消し去ろうとしている。
まるでそれは暴虐の限りを尽くしたヒトに自分たちの犯した罪を償えと。
その死をもって償えと。
だから俺は死を選んだ。
が、しかし世界は俺を許さなかった。
何もかもから逃げた俺に死という安息を与えることはせず、代わりにもう一度やり直せと告げた。
この世界がたどる未来を全てを知った上で、何もできなかった弱い人間というのに突きつけられたものは。
世界を終わらせるなだった。
それを達成しない限り何度も繰り返される、背負わされたその罪は重かったが、俺に逃げるという選択はなかった。
逃げようが無かったというのかもしれなかったが。
結果から言えば1度目は失敗した。
世界を終わらせない方法が分からず同じ道をたどった。
逃げずに戦ったがそれは無意味だった。
2度目。
俺は戦争を起こす側へと堕ち、かつての仲間を俺自身の手で殺した。
3度目。
俺は1人の少女と逃げ出した。
世界が崩壊する現実から目を背け耳を塞ぎ、ただ馬鹿の一つ覚えのように体を重ね合いそして殺された。
4度目。
世界を救うことに成功はした。
世界総人口の7割とかけがえのない彼女達の命を犠牲に。
そのとき俺の心から大切なものが壊れた。
150万7651度目。
何も変えられなかった。
やり直し。
結局何も変えることはできなかった。
何億回と繰り返してきた中で世界を護れたのはたった5回だけ。
しかしそのどれもが少なくはない犠牲を伴い、平和とは言い難い未来へと進んでいる。
もう疲れた。
生き地獄と呼ぶに相応しい死にたくても死ねない。
死んでも最初からやり直し。
精神が崩壊してもおかしくないはずなのにも関わらず、平然としていられるのは、俺の心がとうの昔に壊れたのか、それとも元々そんな人間だったのか。
目の前に広がる大火災に沈む都市と、空を飛んでいく核ミサイルの大群。
地平線の向こうに見える核の閃光と、キノコ雲。
緑という緑が赤く燃え上がり、空を染めんとするほどの黒煙が登っていた。
数分後には地球内部に到達したSPDBがこの地球を宇宙を漂う星屑へと変えることだろう。
今回もまた、この世界は破滅へと向かっている。
SPDBシステムが起動した今、それを止める手立てはどこにもない。
解除パスコードはRSA−1024という暗号文で複雑化されている。
スーパーコンピュータですら数千年かかると言われているそれをたった数分で解くなど不可能だ。
万が一パスコードを知り得たとしても、それを入力する機器は爆破されており、もし爆破されていなかった出しても、この地球上にその機器を動かすほどのエネルギーは残されていない。
今この地球に残った生命は俺1人だけ。
もう抗う必要もない。
そしてその残った俺の命の灯火も消えようとしていた。
深刻なまでな放射能汚染によって俺の細胞は破壊されて皮膚はただれ落ち腐り始めている。
身体中から血が流れ出しその量は致命的なまでな量に上ろうとしている。
身体中から毛が抜け落ち、もはや生ける屍。
ゾンビ、そう形容してもいいほどまでに成り果てた。
視界は白く濁り目に映るものは全てがぼやけてしまう。
身体中を気怠さが包み、意識はもういつ手放してもおかしくなかった。
なのにそれでも意識を手放したくなかったのはどうしてなのだろうか。
死ぬことにはもう慣れた。
何億回と無駄に死んできた身なために、俺にとっての死はもう一度繰り返す、いわばリセットのようなものだ。
今更怖がることはない。
不意に体から力が抜け、視界が横へ。
立ち眩みのように目の前が真っ暗に。
死に時のようだ。
残り僅かな命を背後で薄ら笑う死神へと明け渡す。
何億回目かの命が尽きるその時。
最後に見えたのは大地が崩壊し、爆破せんとする目を焼くほどの閃光。
たった1秒。
完全に意識を失うその直前。
そのわずかな差で俺の体は摂氏1万度にも達する灼熱と星をも吹き飛ばす爆風で俺は文字通り消えた。
この世界は救いなどなかった。
ようやく手に入れた幸せは完全に壊された。
誰でもなく、ただひたすらに平和で幸せな世界にせよと幾度となく繰り返させた世界自身の手によって。
彼女は死んだ。
地球と天秤にかけたとしても迷わず彼女を俺は選ぶだろう。
何百億と人生を繰り返し、神経を心をすり減らし、何兆年という途方もない時を生きた末にやっと見つけることのできたたった一人のかけがえのない愛おしい人。
彼女もまた俺を庇って死んだ。
永遠にも等しい時を生きておきながら俺は何一つとして変わってなどいなかった。
結局俺はたった一人の女ですら守れない弱い人間。
何億年ぶりかの涙を三日三晩流し、何もかもを拒絶した。
それこそ他人も、物も、挙句には記憶すらも全てを徹底的なまでに拒絶し続けた。
そして俺はたった一つの結論を出した。
この世界を壊してやる、と。
こんな救いのない世界などいらない。
俺の全てを捧げてまで手を打ったのにいつも世界は裏切り破滅へと向かう。
手のひらから水か溢れるようにどんな手も無駄で、嘲笑うように俺を地獄へと突き落とし、そして命令する。
世界を平和にせよと。
俺は気付いた。
原因がこの世界だと。
平和にせよとと命令するのはこの世界。
そしてそれを邪魔するのもまたこの世界。
掌の上で終わらないエンドレスゲームをやらされていただけ。
だからこそ俺はこの世界を終わらせる。
このゲームは決して俺が勝利することはない。
このゲームの敵はこの世界であり、ゲームマスターもまたこの世界。
全てを掌握する神にも等しい存在に対して俺はただの一人のプレイヤー。
それでも俺はこの世界を壊す。
世界が繰り返すことを止めるその時まで俺は何度でも壊し続けるのだ。
俺という過去未来これから創造される世界全てにおいて存在を抹消されるその時まで。
「...............5年か。月日が流れるのは早い物だな」
「...............そう、だね」
雲に覆われた空からは朝からずっと雨が降り続けていた。
どんよりとしたその天気が余計に俺たちの空気を暗くしている。
5年はあっという間だった。
また10歳の餓鬼でしかなかった今でも餓鬼のまま。
だけど当時の面影は殆ど残っておらず、低かった身長も、やけに甲高い声も今じゃ声変わりをて低くなったし、背も高くなった。
「生きていたら今年で20歳、か。見てみたかったものだな。あいつの成人服姿」
「でも、今じゃ俺の方が年上になっちまった。俺の中じゃ15のまま止まったっきりだ」
「...............ふん。上だと言ってもまだ半年程度じゃないか」
「それでも、ほんの少しでも上になったんだ。俺、まだ越えられないままなんだよな。同じ歳になってもまだ」
「まぁ、あいつは歳の割には大人びていたからな。正直私よりしっかりしていたかもしれん」
「...............千冬姉がだらしないだけじゃ」
「...............五月蝿いぞ」
今日は俺より5つ上で義理の兄の命日。
飄々とした性格ながらも自分の信念は貫き通す熱い人だった。
困っている人をほっておけないと自分自身が入っているように面倒事に巻き込まれることも多かったが、その分慕う人は多かった。
好意を寄せる女子も少なくなかったが、幼い俺ですら気づいたほどだというのに、モテないというような異常なまでな鈍感野郎でもあったが。
とはいえ俺からすれば優しい自慢の兄出会ったことには変わりなく。
だが、それも5年前にあっけなく終わりを告げた。
飛行機の墜落事故。
乗員乗客含め生存者なし。
墜落時の爆発の影響で誰一人と綺麗な遺体は無かったとまで言われた未曾有の事故。
その飛行機に兄は乗っていた。
それ以来越えられないとわかっていながら、その背中を追い続けた。
性格を真似てみたり、同じことをしたりもした。
いつの間にかそれは、感受性豊かな時期にそれをするというのは俺自身を押し殺すほかなく、似たような性格になった今、俺はある意味殺人者ともいえた。
しかしそこまでしても、それはただのおままごとであり、兄は兄であって俺ごときに変わりなどなれなかった。
人の上に立つカリスマ性というものを持ち合わせてなどいないから。
そのまま無駄に時間を浪費し俺は未だその背中をーー止まったままの五年前の姿すらーー越えられないまま。
俺はいつの間にか高校生になっていた。
唯一越えられたのは何もしなくていい歳だけで。
降り止むことがない豪雨は、涙が枯れた俺に変わって、超えることのできない悔しさを泣いているかのようだった。
まともに遠くが見えなくなるほどの豪雨の中。
享年15歳。
織斑一夏。
なぜかその文字だけははっきりと見えた。
用語解説
SPDB。
ただ単に地球を一撃で消し飛ばす最強の爆弾と思ってくれて結構です。
SPDBシステムも単に爆弾の発射装置と入力装置なだけです。
RSAー1024。
サマーウォーズのパスワードを必死になって解いていたアレです。
え?SPDBの使い道?
んー、アルマゲドンのように使うんじゃないですか?(すっとぼけ