IS【繰り返される世界から】   作:駄菓子

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2巻開始です。

今更投稿したものを見返してみて内容が薄いなと感じてしまいました。
かなり省略されていて分かりづらいところもたくさんありました。
なのでこれからはもっとしっかりと執筆していくのでこれからもよろしくお願いします。


第12話

6月に入りしばらくが経った頃。

怪我も無事に治ったことでようやく退院を許可された俺は、鈴を連れて弾たちとそれこそ厳さんにぶちのめされるまで馬鹿騒ぎをしてきた。

どんなことをしたのかはここでは割愛させてもらうけど、ナポレオンが自分の辞書に不可能をかきこむくらいのことをしてきたとだけは言っておく。

だけど犯罪まがいなことはして無いからな?

 

「織斑、授業中によそ見とはな?お前はただでさえ遅れているのが分からないか?」

 

「...............はい。先生」

 

ズバシッという容赦ない出席簿クラッシュ(命名、俺)が頭、もっと言うなら脳天に直撃した。

千冬姉、言いたいことはわかるけどもう少し優しくしてくれない?

これじゃあ卒業前に俺の脳細胞が全部死んでしまう。

 

「何か言いたげだな。別に私に構わず続けるといい」

 

「いや、大丈夫です。...............遅れてるのは紛れも無い事実だし」

 

「ふん。分かってるなら、勉学に励むことだな」

 

満足そうにうなづくと実技訓練の説明の続ける千冬姉。

確かに俺は千冬姉の言う通り遅れている。

一ヶ月半という月日は学生の身としてはかなりでかいと言える。

これが夏休みとかという長期休暇とかだったらまだどうにかなるけど、生憎今はまだ新学期が始まったばかり。

しかも基礎を学ぶ時期なので実質的には一ヶ月半じゃあ聞かないほど遅れていると言っていい。

その悲しい現実に泣きたくなるけれど、九死に一生を得た俺としては頑張ろうと思う。

なんせ学園長の配慮がなければ俺はとっくにここを退学になって、まぁ、モルモットになっていたことだろうから。

学園長まじありがとう。

一生は無理だけどあんたに付いてくぜ。

 

「さて、説明は以上だ。専用機持ち4人にそれぞれ分かれて実技訓練を行う。各班使用する訓練機は自由。時間は限られているぞ、迅速に行動しろ!」

 

「「「はいっ!」」」

 

アンタ軍人ですかと言いたいくらい厳しい言葉だと思うのだが、それを気にするクラスメイト(と2組の生徒)はぶっちゃけすごいんじゃなかろうか。

今時の男じゃこんなこと言われたら直ぐへこたれて役に立た無いというのに。

...............なんか女尊男卑って割と妥当のような気がしなくもない。

勿論例外はあるけど。

弾と数馬とか弾と数馬とか弾と数馬とか。

あいつらは何度厳さんにぶちのめされようとも、半殺しにされようとも反省のはの字すら無いやつだ。

先週遊びに行った時、新人のお巡りにイタズラ仕掛けて命がけの鬼ごっこをしたとか。

あれ?それって公務執行妨害とかで逮捕されんじゃね?と思ったけど、机の上にエロ本置いてきたとかなったらそりゃ怒られるに決まってる。

それってどこぞの700日戦争?

 

「お、おおお織斑先生!!たたたいへんですぅ!!」

 

「ん?どうしたんです?そんなに慌てて」

 

各班ごとに量産機が割り振られ歩行訓練を順調に進んでいた時のこと。

突然息切れすぎて顔が真っ赤になりながら山田先生が走ってきた。

その姿を鈴は般若のごとく睨みつけていたのには何も言わ無いでおこうと思う。

理由はなんとなく分かるが、触らぬ神に祟りなしだ。

鈴の場合は神というよりハンターだけど。

 

「こ、これを見てください!」

 

そう言って差し出したのは空中投影式のモニター。

10年前には無理だって言われてた技術が実用化されていると思うと何か感慨深いものがあるけどぶっちゃけどうでもいい。

それより気になるのは何故か興奮気味のアナウンサーの声。

比較的近い位置にいたから聞こえたものの、個人用の画面の大きさゆえどうしようもないのでちょっぴりズルをする。

いや、なに。ISのハイパーセンサーをちょこっとね。

 

「お、織斑君?どうしたの?何か先生たち慌てているようだけど」

 

「慌ててんのは山田先生だけだけどな」

 

ハイパーセンサーのおかげではっきりと見えるようになったが、調度テロップが流れきったところでなんのことか全くわから無い。

気がつけば鈴たちも同じようなことをしていたし、クラスメイトたちも聞き耳を立てていた。

 

“も、もう一度繰り返します!2人目の男性IS操縦者が発見されました!”

 

「「「「............................................................は?」」」」

 

そのあまりにもぶっ飛んだ内容に俺たちならいざ知らず、千冬姉までもが目を丸くする羽目に。

 

“その人物はみずからを円谷葵と名乗っておりますが、そのような名前の人物はどこの国のデータベースにも登録されていません!今日に至るまでの経歴が一切不明の彼はIS学園の教員になるということを条件と提示しており、IS委員会は緊急会議が開かれています!”

 

「...............」

 

「...............」

 

「...............」

 

「...............」

 

「...............アナウンサー誰って言った?」

 

「...............円谷葵って言ってたわね」

 

「...............なんか嫌な予感しかしないのだが」

 

「...............オルコット、葵の名字はなんだ?」

 

「...............円谷と言っておりましたわ」

 

「へ、へぇそうなのかー。葵と同姓同名なのかー」

 

「ま、まぁ、世界には同姓同名だったり似ている人物が3人はいるというからな。人違いだろう」

 

「そ、そうですわよ箒さん。葵さんがISを動かせるなんて聞いたことないですわ」

 

「そうに決まってるわよね。執事服を着た同姓同名の人くらいいるに決まってる」

 

「「「「ってそんなわけあるかぁ!!!」」」

 

この場にいた全員の渾身のツッコミがアリーナにこだました。

千冬姉が頭を抱えてブツブツ言いながらうずくまってしまったり、セシリアが混乱の極みに達してぶっ倒れたり。

クラスメイトが事の重大さにパニックになりかけたり。

もはや授業とは言えない凄まじい現状だがだれも注意する人はいない。

なんせ真っ先にそうするはずの千冬姉がだめになってるから。

ははっ。悪い冗談だと思いたいぜ。

 

「あっはっはっは。...............ふぅ」

 

「せ、せんせーっ!織斑君もたおれたーっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ申し訳ありません。まさかこんな事になっているとは思いませんでしたよ」

 

放課後。

葵の専用機のデータ取りのために駆り出された専用機持ちの俺たち。

IS学園で今日1日に起きた凄まじい騒乱をどうにか生き延びた、ある意味疲弊しきった俺たちを葵はあっはっはっはとわらう。

...............笑い事じゃねぇって言ってんのにこいつめ。

仕事のときのオンオフの差が激しいのが葵なのだが、今は確実にオフだな。

そうでもなければまずこんな風には笑わない。多分、本当に申し訳ありませんでした。私のせいでご迷惑をおかけしました。

くらいは言うはずだから。

と言ってもオフ状態の葵にいってもあまり意味はない。

...............なんだか、一夏兄に似た性格な気がするから。たいていこういう人にはあまり常識論的な言葉が通用しないのは経験上よぉーくわかってる。

 

“...............葵。これがお前の言う方法か”

 

「そうですね。これが一番手っ取り早いんですよ」

 

「ふん。まぁ、いい。さっさとデータ収集を終わらせるぞ。積もる話は山ほどある。無事て済むと思うなよ?”

 

「...............さぁ、早く始めるとしましょうか」

 

「おう」

 

「そ、そうですわね」

 

背筋も凍りかねない凄まじい殺意というかなんというか、取り敢えず通信越しに聞こえた怨念に身震いすると俺たちはISを展開させた。

 

「それが葵のISか?」

 

「えぇ、長年共にしてきた相棒です。久々に展開してみましたが、なんともなさそうでよかったです」

 

灰色を基調としたアーマーに2対のウィングスラスターが独特のそれ以外は目立った特徴のないISだと感じた。

だけど、生半可な機体じゃないと直感がそう告げる。

生身ですら凄まじい実力を誇る葵の事だから、ISの実力も相当高いはずだ。

相棒というほど長い年月を共にしていて、実力がないなんて事はまずありえない。

 

「侮っちゃだめだぞ箒。絶対強いぞ、葵は」

 

「案ずるな。私だとて武道を嗜む身だ。相手の実力を見誤るほど落ちぶれてはいないさ」

 

「ちょちょ、2人共盛り上がるのはいいんだけどさ、早く始めましょうよ。葵と戦いたくてウズウズしてたまんないの」

 

「それはわたくしも同意見ですわ。生身では全く叶いませんが、せめてISでは勝ちたいですから」

 

全員が全員の答えに思わず俺は笑いが漏れた。

これじゃあ俺たち全員戦闘狂みたいじゃないか。

葵と戦いたくて仕方ないのは認めるけどな。

 

「さて、それでは始めましょうか。まず最初は4対1でいいですね?」

 

側から見れば明らかに葵が不利な組み合わせだが、俺たちはだれも文句は言わない。

葵自身がそういう風にしようと最初から言っていたことだし、それに全員とタイマン勝負をすることで話は落ち着いた。

ISを同時に4機。しかも前衛と後衛のペアが2組というかなり状況的には不利だとはやっぱり思うけど、3年前までは亡国企業にいたただけあって丸腰での実力はかなり高い。

きっとISの実力もかなりあると考えると手を抜くなんてことはできないし、それは真剣勝負においては相手に失礼なことだ。

だが、俺たちにとって圧倒的に有利だというのに何故かきつい戦いになりそうな気がしてならない。

なんせIS8機に圧倒的な実力で立ち回ったというやつがいたというくらいだから。

 

「あ、そうだ。どうせやるんだったらさ、一番葵さんに攻撃を当てられなかった人が全員分の夕飯おごるってどう?これだったら十夏と箒にも不利なところはないしね?」

 

「まぁ、いいんじゃないか?」

 

「確かにな。その方がやりがいがある」

 

お互いに笑い合い、試合を始めるために距離を取った。

だいたい200メートル前後の位置。

ISの加速力などを考えると近いくらいだがアリーナ自体はもっと広いので、距離の取りようはいくらでもある。

むしろ前衛となる鈴と箒を、後ろから援護するよう位置を取る俺とセシリアからすれば、2人が引きつけてくれるため意固地になってまで距離を取る必要はない。

 

「さてと、最低限2人の邪魔にならない程には頑張らないとな」

 

「ふふっ。そこまで低く評価しなくてもいいのでは?十夏さんは元々素晴らしい射撃の才能があるではありませんか。腕だって確実にアップしているのでは?」

 

「あの日からくらべれば、な。だけどさ、才能があるからって言ってもそれを生かすのも殺すのも俺じゃん?たからさ、こんな程度で満足しちゃいけないんだよ」

 

「ふふっ。その考えは嫌いじゃありませんわ」

 

MM-200を構えながら他愛もない言葉のキャッチボールを交わす。

まだまだ乗り越えなきゃいけない壁なんていくらでもあるし、おれはまだ素人に毛が生えた程度だから慢心しちゃいけない。

まぁ、これも一夏兄の言葉なんだけど。

 

“さて、準備が整ったようだな。では、始め!”

 

試合開始のブザーが鳴り響き、それが終わらないうちにトリガーを引いた。

そして時同じくして鈴と箒も息のあった連携で葵を攻め立てていく。

セシリアもビット4機と自身の射撃を同時にこなつつも、一切前衛2人の行動を邪魔することのない斜線を確実に狙って行っていた。

対する葵もアサルトライフルとミサイルを絡めながら決して2人を得意な距離に持ち込ませないよう、加速を阻害するように射撃をしている。

それでいて俺たち2人の攻撃をも避けきりながら。

全員が全員最初から全力でやることは共通している。

ただ相手を倒すそれだけのことだ。

絶対に越えられない壁を越えようと足掻いて、一歩一歩確実に登っている快感。

そうそれはきっと楽しいという感覚。

空手でてっぺんに立とうと足掻いていた時ぶりの高揚が抑えられない。

 

「いくぞ葵!容赦しねぇからな!」

 

「望む所ですよ。本気で来なさい!」

 

俺に向けて不敵に笑う葵に鈴が喰らい付く。

 

「余所見なんていい度胸じゃないの!」

 

「おっと危ない」

 

上段から振り下ろした双天月牙を葵はいつの間にか持ち替えていた近接ブレードで受け止める。

 

「なっ!?いつの間に!」

 

「私は高速切替が得意何ですよ。近中遠どの戦法にも対応できるようにしていまして」

 

「チッ。ほんとつくづく思うけど葵さんて人間?」

 

「失礼な。私は一応人間ですよ?皮膚の下は機械骨格とか、人工臓器とかいうのもありませんし」

 

「はあっ!」

 

音もなく背後からの箒による一瞬とも言える刹那の斬撃。

 

「...............くっ、まさか受け止められるとはな」

 

しかしそれすらも、近接格闘に優れる人でさえ避けるのが難しいそれをも葵は受け止めた。

箒の全体重とISの補助そして箒自身の技によって生まれる圧倒的な重さをもったそれを、同じくISの補助があったとしても厳しいというのにもかかわらず一瞬で展開されたブレードで防いだ。もう片手で鈴を受けておきながら。

 

「ほんっと恐ろしおほどの実力よね。敵に回さなきゃよかったわ」

 

「同感だ」

 

「...............2年以上一緒に過ごしてきましたが、これほどまでに凄まじい人だったとは思いませんでしたわ」

 

「だな。あんなの千冬姉でも出来ねえぞ」

 

遠くで繰り広げられる人間離れした神業に思わず見とれる俺たち。

相変わらず2人を相手にしながらもなお確実に一撃を決めていくその実力には脱帽ものだ。

千冬姉が昔言っていたけど、二刀流でそれでいて多人数を相手にするのは相当な技術と視野の広さを要求されるという。

私には無理だというあたり、それがどれだけ難易度が高いかなんて言われなくてもわかる。

 

「ですが、このチャンスを逃すわけにはいきませんわね」

 

「まぁ、な」

 

正直言ってこの状況を葵みたいな実力者が気づかないはずがない。

なんせ自ら撃ってくださいと言っているようなもの。

それでも俺たちはこのチャンスを逃すわけにはいかない。

俺は拡張領域から超高出力レーザーライフルノヴァバスターZDを呼び出す。

射程距離1240メートルを誇り、MMF-200の36倍近くの単発火力を持つこの銃はたった1発で無傷のISを撃墜せしめるほどであり、まさしく一撃必殺に相応しい。

だけど、それに見合った代償として装填されているエネルギーは1発分だけ、その凄まじい量のエネルギーを一瞬で放出するため銃身が耐えられず融解してしまうという欠点もある。

1発で戦況をひっくり返すほどの可能性がある、しかし外してしまえばそれまで。

ハイリスクハイリターンな武器と言えたが、俺はそれを構え十字のレティクルに葵を捉える。

展開からここまで僅か1秒。

流石にこの銃のことは悟られていないはずだし、万が一知られても特に問題はない。

なんせこの銃はぶっつけ本番、つまりここにいる中で俺以外は正体を知らないのだから。

 

「...............セシリア。一瞬で良い。それで決める」

 

「わかりましたわ。その代わりほんの一瞬ですわよ?わたくしごときではそれが限界です」

 

「平気だ。一瞬あれば十分カタがつく」

 

冗談抜きで一瞬あれば十分。

トリガーを引いた時にはもう着弾するのだからな。

 

「葵さん!そろそろ先手を打たせてもらいますわ!」

 

そういうが早く。

セシリアはスラスターを吹かし俺から離れながら、今までと同じようにビットを同時に操作しながら攻撃の手を加える。

そんなセシリアの攻撃から逃れるために葵は2人を力任せに弾き飛ばし、そして 反撃を加える。

高速切替によって展開したスナイパーライフルで。

 

「わたくしはココに来てからも鍛錬を怠ったことはありませんでしたわ!」

 

「そうですか?ならうれしいかぎりですね」

 

お互いの持てる限りの実力を発揮せんばかりの戦いっぷりに、鈴も箒もあっけにとられていた。

単純な実力差で言えばセシリアは圧倒的に不利だが、別に勝つ必要はない。

本命はこれだから。

 

「ですから、今からお見せしてあげますわ。...............曲がりなさい」

 

「ッ!?へ、偏向射撃!?」

 

今までは直線にしか飛ばなかったBTレーザー。

だけど、葵の横を通過しようとしていたそれは、セシリアの命を受けて曲がった。

ほぼ直角に近い角度で、葵に殺到した。

動きが止まり、驚愕に染まる葵の表情。

だけどすごいのはそんな状態でなお、BTレーザーを無理な体勢になってしまったとしても避けたということか。

しかし、それは俺にとって最大のチャンス。

逃すはずもない。

 

(貰ったぞ、葵)

 

せっかく手に入れたチャンスをわざわざ声を出して無碍ににするはずもなく、心の中にとどめトリガーを引く。

独特の重低音を響かせエネルギーを放出し、そして融解した銃身。

俺はそれを投げ捨てると、ハイパーセンサーで葵の状況を確認する。

ノヴァバスターはチャージされていたエネルギーを、ありとあらゆる物質を気化させるほどの熱線な光として打ち出す。

そのため照射地点に起こるのはその膨大な熱量により大気の膨張が原因で衝撃波を伴う爆風が荒れ狂う。

凄まじい爆風のせいで土が巻き上げられたせいで視界が遮られ、気化した物質がプラズマとなった影響でハイパーセンサーが一時的にだが使用不可能となる。

だけど、あの体勢から避けるのは確実に不可能。

そう俺たちは初めて葵に勝利した。

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