Convergence tower   作:久遠/kuon

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この短編集はネタ倉庫というか冷蔵庫というか…思いついたは良いものの上手く消化出来ないので短編にしちゃえ!というコンセプトで書いています!なのでかなり挑戦したりこの場で試してみたりといったことも多々あるので頭を空にして読んでくれると嬉しいですw


学者も体力仕事【2階】

「あぁ〜もう…なんっかなぁ…」

俺はあったかいが少し枯れた黄色っぽい草の上で寝転がっていた。おれは今、とある悩みを抱えている。

だがその悩みを言う前に私が何者かを言わねばならないだろう!

私は学者だ。この草原一帯の生物の生態調査を任されている。ここは実に豊かだ、今寝転がってる草だって覆われてないところが無いくらい生い茂っている。少し遠くに行けば川はあるし、すぐ近くにはほんの十数年前まで実際に使われていただろう小屋さえある。さらに、その豊かさを象徴するように大きく成長した《飛べない鳥》や《火吹きトカゲ》などがそこかしこにいる。少し細いものの木だっていくつも生えているのだ。

…でも、この木が問題なのであった。もう一度言おう。私は生態調査を依頼された学者だ。間違いなく神学者ではない。神様なんて腹痛の時と試験前に祈る程度の存在でしかない。

だが…実際に見たものは否定しようが無い。ほんとは否定したくてしたくてたまらないけど。

私が今回生態調査を行う対象は〈アルベロ〉とかいう『動く木』。

ほら、もう嫌んなってくるだろ?少なくとも私は嫌なんだ…。だがこの『動く木』を生態調査3日目に見てしまった。まったく…最悪だよ。その後色々と聞き込みをしたがまともな答えが返ってこない。

やれ、あれは神だの、悪魔だの、果ては元々人間だった。なんて抜かすやつもいた。だが奇妙なことに誰も木が動くことを否定しないのだ。

このアヴァベルという街はどこかおかしいようだ。依頼もこの街に来てから受けたものだし。

じゃあ一度、私に依頼された生態調査の少し詳しい内容を見てみよう。

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To.アレン・アーノルド博士

 

この度は博士の著書である「既存の進化論を越えた超越生物」がこの依頼に向いていて尚且つ博士自身、現地のフィールドワークを専攻なさっているということでご依頼させていただきました。

依頼の内容は〈アルベロ〉の生態調査です。この生物については現地で情報収集をお願いします。妙な先入観を与えたくは無いので。では、ご依頼のほどどうかご検討ください。

From ≠≠総≠研究≠R≠≠KA

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今思えばこの手紙には違和感がいくつもあった。そもそもこれの書き手はこういう書類を書き慣れていない。ちなみに差出人の名前はシミがついていて読み取れなかった。生態調査書類をこの手紙に同封して送り返せば良いらしい。

「全く…妙な依頼を受けちまったもんだなぁ…」

「まったくですねー!あなた無頓着にもほどがあるのでは?」

「あぁん?うっせーなーほっといてくれ…?」

ガバッと身を起こすと目の前にニコニコと笑う少女が立っていた。

「おおう!?誰だお前!?そしてなぜ私の考えてることが分かった!?」

うーん?と、その少女は口を軽くすぼめてそっぽを向きながら人差し指をこめかみの辺りに添えて考える仕草をした。

「あたしエスパーだから☆」

 

「あーそうかいそうかい、そういうのは科学的に立証されてから帰っておいでー」

「あー!信じてないね!?」

「なんだよ、ほんとだって言うのかよ」

「うぅん、嘘だよ」

「嘘かよっ!学者の前で嘘は吐かないでよ!」

「あはは、おじさん面白いねー!語り口調の独り言といい、ツッコミといい、相当楽しい人生だったんだろうね?」

なんかもう全体的に失礼な少女だった。もう無視することにしてしまおう。ゴロン…とまた元の場所に寝転がると少女がぐるっと回り込んできた。あ、コラ。しゃがみこむんじゃない。自覚無いかもしれないけど色々見えてしまってるから。

「ねぇねぇーおじさん〜。おじさんの探してるアルベロってねー、もっと奥に住んでるんだよー」

「え〜……それ本当ぉ?」

「疑いすぎだってぇー、そりゃさっきのは悪かったけど現地では地元の人に付いてくのが1番なんだよ?」

言われなくても分かってる、なんてことはわざわざ口に出さない私、大人。

「はぁ…これも生活資金のため…行くよ…」

「よっしゃあ!さっすが大人!思い切りが良いねぇ!」

そんなにおだてても何も出ないぞ。っていうか何がしたいんだ?この子。

「その〈アルベロ〉ってのはなんなんだ?」

「そんなの見てのお楽しみだよー、すぐそこに居るのに答えを聞くなんて野暮だよ、おじさん♪」

「ああ、そうかい…」

先ほどキャンプしていたところから少し先に進むと木がまばらになった丘が見えてきた。

「ほら、あの木が全く無い丘の頂上あるでしょ?」

「あーあるな」

「大抵あの辺に居るんだけど___やばっ」

「え?」

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!まるで蜂が大量に飛んでるみたいな音が…あ、いやこれ蜂だわ。ってデケェェェ!?

大体1m半くらい?とにかく尋常じゃない大きさの赤色の蜂が大量に辺りを飛び回っていた。前にも…横にも…もちろん後ろにも。

「なぁ…これまずくないか?」

「ちょっ!あんた喋るな!」

ギュルッ…と蜂達が一斉にこっちを睨んだ。

「おい…どういうわけよ…」

「おじさんが声出すから場所バレたじゃない…」

「具体的にどうするわけ…」

「逃げるしか無いよ…」

ブワァァァァァァァッッッ!!

「「うわぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!」」

全力で丘を駆け上る!蜂が!迫る!

「おいおいおい!これどうするわけ!?逃げても追いつかれるってぇ!」

「あんた武器持ってないの!?使えない大人ねぇ!」

「すまん、今まで嘘吐いてた!おれまだ18!しかも自称学者!」

「はぁ!?じゃあ…あの『既存の進化論がどうたら』って本は!?」

「あんなのほとんど知られてないよ!今回声かけられてスッゲェ舞い上がったレベル!」

「あんた本当使えないー!」

「それさっきも聞いたー!」

ああもうラチが明かねぇ!

ザザザァッ。砂埃を上げながら立ち止まり、ドカッと《火吹きトカゲ》を蹴りつけて一撃で倒す。

「あんたそんなに強いならバトル・ビーも倒してよ!」

「おれが倒せるのはずっと見てた《火吹きトカゲ》と《飛べない鳥》だけだ!だけど…こいつらを倒すと何故か知らないけど武器が出てくる時がある…ッ!」

《火吹きトカゲ》が倒れた近くの地面に片手で振り回せそうな剣が刺さっているのを見つけて抜いた。ザッ…と少女を左手で庇いながら剣を右手に構える。

見よう見まねだけど…ここで引くわけにはいかねぇ…ッ!おれが産まれた街には手練れの剣士が何人か居た…そいつらが不思議な力を使っていたことがある。それを…ぶっつけ本番だが…試すッ!

スゥッ…と一歩前に右足を踏み出し剣身を正面の蜂から隠すように引いて構える。剣士は確か…「イアイの構え」とか言っていた。蜂達が完全に間合いに入るのをジリジリと焼け付くような緊張感の中、待つ。

「ね、ねぇ、何してるの?」

まだだ…まだ早い…。

「もう…もう間に合わないよ!」

もう少し…引き付ける…!

「ああ…声なんかかけるんじゃなかったかも…!」

剣を中心に桜色のオーラが滲むように浮かんできた。

「[刹那]ッ!!」

シュキィンッッッ!!剣身が空気を高速で切り裂く音が聞こえた。

太刀筋上にいた蜂はもちろん、その延長上にいた蜂まで一斉に断ち切られた。

「すごいっ…」

「初めてやったけど…上手く…行ったな」息を切らしながら笑うと少女もようやく緊張から解き放たれたのかぎこちなく笑う。

 

「あれが…アルベロか…」蜂を撃退し、元々の目的だった丘の頂上の少し下で呟く。

「うん、あれがアルベロよ」

よし、とおれはキャンプ地から持ってきてたリュックサックからスケッチブックを取り出す。

シャッ…シャッ…。アルベロをデッサンしていると

「へぇ…あんたって絵、上手いんだね」いつの間にか今までに描いた《飛べない鳥》や《火吹きトカゲ》の絵を盗み見られていた。

「うわぁ…エミューとかすごい羽毛ふわふわじゃない…」そうか《飛べない鳥》はエミューと言うのか…。

「まあな…これだけが、唯一の特技みたいなもんだから」

「…さっきの剣技…凄かったよ」

え?と、少女の方に顔を向けると剣の切っ先が向けられていた。

「うぇっ、えぇ!?」

「絵、描き終わったらあたしの目的も果たしてよね!」

「お前の目的って…なんだよ?」

「アルベロを倒して手に入る【精霊の小石】を持って帰ること!転送管理人のステイルさんに頼まれてるんだよねー」

「あーはいはい…っておれが倒すの!?」言いながらスケッチブックを片付ける。

「だって剣使えるでしょ?あたしも手伝うから。」

「お前…自分も戦えるんじゃねぇかァ!」

「私支援専門なのよ、攻撃は何も出来ないの〜」

「oh...」

「さっ!行くわよ!」はぁ…と剣を手に取り、あまり慣れない構えを取りながら2人でアルベロへ近づいていく。

「あれ?お前武器は?」

「拳で十分…よ!」パァンッ!と実に頼もしい音を響かせながらスッと後ろへ下がる。

「え、さっきのフリじやなくてほんとに支援専門なの!?」

「杖は高くてね〜」

そうかい…と呟きながらアルベロの前に対峙する。

ウオオオオオァァァァッ!!アルベロが咆哮を上げながら近づいてくる。

「はぁ…早く帰って寝たいんだ…さっさと終わらそう…」

「おらー!斬れー!斬り刻めー!」

たじっ…とアルベロが身を引いた気がした。

 

「ほぉー、それが【精霊の小石】かぁ…案外綺麗なモンだなぁ」夕陽に照らされて真珠のように白く鮮やかな石が煌めく。

「ねぇ…あんた、あたしとずっと一緒にいてくれない?」

「え…?」

「よ、用心棒としてよ!その腕を見込んで!ね!」

「あ、ああ…喜ん…っておれは学者だって!剣なんてもう握らないからな!」

「な、なんでそんなこと言うかなーっ!」

顔が熱いのはきっと夕陽の照り返しのせいだろう。…どうか、陽が落ちる前に家に帰れますように。あ、もちろん1人で、ね。

 

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【生態調査報告書】

・アルベロ:文字通り木の化け物。自らが木であることを利用した攻撃方法で攻撃してくる。生息区域は草原のなだらかな丘の頂上付近。木のウロのように開いた口は想像より開くが特に噛み付いてきたりはしない。どうやら色違いのアルマという赤色をした個体もいるらしい。

 

備考:この依頼で出会った少女に付きまとわれている。少しくらい愚痴を書いても良いだろうか。大体私は学者だと言っているのに、あいつは____

 

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前回重かったし恋愛モノをぶち込む!w…と思ったけど恋愛モノなのかなぁ…コレw

アルベロさんは自分がアヴァベルをやり始めて初めて殺されたモンスターなのでネタ枠にしてやりました!w
へへっ、ざまぁみろ!wアルベロさん可愛いですけどねw
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