何が起こっているのか整理がつかない。
目の前の気味の悪い空間から出てきた女がいきなり、お日柄が良いですわね?ああ、疲れてるんだ、これは夢だろう。
夢ならはよ覚めろ…。マジで頼むから。
「あらあら、ひどく動揺してるけど、これは夢なんかじゃなくれっきとした現実よ?」
そろそろトチ狂ってきたのかな俺。
目の前のチャイナドレスみたいな服着てる女は一体全体なんなんだ…とりあえずは…
「もしもし、警察ですか?ここに不審者が…」
「ちょちょ、いきなりそれはないでしょうよ…まあ、電話かけても誰も来ないけどね。私の式神がここら一帯に結界を張ってあるから、ここには誰も来ないわよ?」
ついには式神ときた。本当に精神科言行ったほうがいいのか俺。
取りあえず、落ち着いて女の事を聞いてみることにした
。
「まず、二、三質問させてくれないか?」
平常心で話したつもりだったが、女はくすくすと、扇子で口を隠しながら笑った。
「そこまで怖がらなくてもいいじゃない。取って食ったりはしないから。それで、質問は?」
「まず、一つ目だが、お前、いやあなたの名前を教えてほしい。二つ目はあなたは何者か、最後はどうして俺の前に現れた?」
「ええ、まず一つ目の答えは、私の名は八雲 紫。紫でいいですわよ?そして、二つ目。私は、妖怪ですわ。私の居る世界では、神隠しの犯人やら、スキマ妖怪やら、妖怪の賢者と呼ばれていますわ。そして、最後は、貴方を私の住む世界に招待すべく、貴方の前に現れましたわ。」
驚愕。
それしか頭に思い浮かばなかった。まず、妖怪の時点で頭がパニックの状態なのに、俺を別の世界に連れて行くときた。
最早、笑い話の領域だったが、紫は真剣な表情で俺を見ている。どうやら、全部本当の事らしい。
「…何故俺をお前の世界に連れて行こうとするんだ?ほかにも人はごまんといるだろう?」
紫は真剣な表情を崩さず、話し始める。
「それは、貴方が他のニンゲンとは違うからよ、末星 宙。貴方は生まれつきに神様からある能力を与えられているの。自覚はないだろうけど。さらには、六歳で両親が亡くなった時に、二つ目の能力を創り出しているのよ、貴方の意思とは関係なく。一つ目の能力は、龍神様にお尋ねしたところ、『光を操る程度の能力』と、二つ目は『不幸を押し付ける程度の能力』。」
これも何を言っているのか見当もつかない。
能力?生まれつき?馬鹿げている。二つ目は昔から近所の人々が次々と亡くなっていることで見当がつく。
が、何故一つ目はこれまで発動されなかったのだ?次々と疑問だけが浮かんでくる。
そんでもって、話の途中に出てきた龍神様って誰だよ。
「それで、俺をお前の世界に連れて行こうって言うのか?はは、冗談きついぜ…。」
その言葉しか口から出てこなかった。
疑問は山ほどあるのに、この言葉しか出てこないのだ。
「でも、貴方にとっては良い話でしょう?もう、化け物扱いされず、この世界からおさらばできるのだから。」
確かにそれは最初話を聞いた時には思っていたことだ。
周りを気にせず生きていけることが、どれだけ幸せか。
「……」
俺は決心を固めた。
「行ってやるよ、お前の世界に。どうせこの世界じゃ、息をすることすら嫌になってきたところだからな。」
紫は急に顔を明るくさせる。それ程嬉しかったのだろうか…。
「後悔は…その顔ならしないわね。ああ、忘れていたわ。貴方がこれから生きていく世界の名前を。」
紫はそこで一度言葉を止め、ゆっくりと、しかし力のある声でその名前を言った。
「幻想郷よ。」
俺は、気付けば口元がにやけていた。笑うなんて久しぶりだ。
それ程、俺にはその言葉が美しく、まるで神のような響きに聞こえた。
「幻想郷………。良い名だ…生きていけそうな名前だ。」
紫は嬉しそうに微笑み、俺をあの気味の悪い空間へと誘った。
「行きましょう、幻想の地へ。貴方の幻想へ。」
俺は力強く頷き、紫色の空間へ足を踏み入れた。
これが、俺の幻想の話の始まりだ。
「紫?少しいいかな?」
「何かしら?」
「この空間、もう少しなんとかならないのか?気味が悪い。」
「し、仕方が無いじゃないの!これしか出ないんだから!」
触れてはいけない部分に触れたようだ。
はい、二話目終了です。
いやはや、主人公の宙があまりしゃべってない…。
次はもっと喋らせないとな…というわけで、急ですが皆様に(見てくれる人がいるなら)質問です。
ここの後書きの部分で次回予告はいるでしょうか?いらないでしょうか?一応、今回はしときますね。
幻想郷に降り立った宙と紫。紫にここに住めと言われた場所は…
次回、「住む場所がやばい。」です。
さいなーらー。