言い訳としましてリアルが忙しくて九月いっぱいまでは投稿できないのは当初からわかっていて、十月には投稿できると思っていたのですが、いろいろとモチベーションが下がってしまう事実が判明し、Gで櫂君が登場することでもモチベーションが上げることができず、ここまで時間がかかりました。
今まで以上にクオリティが下がっていますが、本当にリハビリなのでご容赦ください。
アインクラッド第三層。
深夜0時頃、30m以上ある木々で形成されている森の中。
第二層と繋がっている階段の近くで二人の人間が密会をしている。
一人は黒ずくめの剣士、キリト。
もう一人は謎多き情報屋、鼠。
二人が密会している理由はキリトが鼠に依頼していた調査の報告といくつかの情報を聞くためだ。
二人は数分で本題が終わらせた後、しばし雑談をし始める。
この雑談はキリトよりも鼠にとって意味がある。鼠はいろんな相手との雑談の中で売れる情報を手に入れている。
だが話を聞くばかりが目的ではない。
相手が興味がありそうな調査、検証中の事柄を話題に出すことで、今後その詳細な情報を買うように仕向けるなども目的としてある。
「そういえば面白い話を聞いたんだヨ」
「面白い話? 」
「まあキー坊は聞いたことがないだろうナ。なにせ下の層で噂になってる話だからナ」
鼠はにやりと笑っていた顔を少し引き締め、キリトに話題を出す。
「どうやら魔法が存在するらしイ」
「魔法? 」
キリトは訝しげに聞き返す。
今キリトたちが閉じ込められているフルダイブゲーム、ソードアート・オンラインはソードスキルというシステムアシストによる技は存在しても、他のRPGに登場するような魔法は存在しないのだ。
発売前の情報や取説、βテストに今まで一ヶ月半弱プレイをしてきた中でプレイヤーは勿論敵モンスターですらそれらしいスキルを使ったことはなかった。
「オレっちも正直信じちゃいないが、酒場のよた話や眉唾にしては証言や目撃者が具体的過ぎるんダ」
根も葉もない噂話だと思っていたキリトも鼠のあまり見せない真剣な顔に、態度を改めた。
「まだ本格的に調査を始めたわけじゃないが、何処で誰がどんなに状況で見たのかって話を2~3件聞いタ。これから本人たちに聞きに行くつもりダ」
「噂の内容は? 」
キリトのその質問を聞いた鼠はニンマリと口の端を吊り上げた。
「レベル上げの為にモンスターと戦闘中のプレイヤーがアクシデントやミスで殺されそうになった時に、襲いかかってきたモンスターが突然止まるんダ」
「バグじゃないのか? 」
「ああ、目撃者の話によるとまずありえないらしイ。どうもにただ停止するんじゃなくて、姿が変わるみたいダ」
「姿が変わる? 」
「周りに濃い赤と黒のラインが入った輪っかが二つ回っている球体になるらしイ。その数秒後、元のモンスターの戻るみたいダ」
キリトは顎に手をやり思案するが、答えはでない。
「確かに変わった現象だが、目撃者がバグじゃないと断言できる根拠は? 」
「目撃者の多くがプレイヤーがやったことだと思っていル。理由はその現象が起こる直前に同じ呪文を聞いたからだそうダ」
「呪文? 」
鼠はキリトにゆっくりと指を差し、こう言った。
「
どうしてこんなことになってしまったんだろう…
アインクラッド第一層の暗い森の中を黒いボブヘヤーと右の目尻のホクロが特徴的な少女、サチが一人で宛もなくさ迷っていた。
プレイヤー名《サチ》
彼女は通っている学校の部活仲間と一緒にこのデスゲームに巻き込まれてしまった被害者の一人だ。
勿論、他のプレイヤーと同じでこのゲームをプレイする時はクリアしないと出られないデスゲームに変わるなんて思ってもみなかった一人でもある。
仲間たちとバーチャル世界に憧れ、必死の思いでソードアート・オンラインのソフトを人数分手に入れ、リアルなバーチャル世界に感動した、saoプレイヤーの中で一番多いタイプの一人。
彼女がこんな森の中にいる一番の理由は本人の気性にあった。
彼女は自他共に認める怖がり。
それが彼女を一人で森の中に誘ったのだ。
saoがデスゲームになった時、サチには何がなんだかわからなかった。
発狂したように騒ぐ周りと同じように取り乱してしまいそうになったが、そうならずにすんだ。それは部活仲間が一緒にいてくれたからだ。
彼らがいてくれたから、サチは最低限冷静でいられたのだ。
それは仲間たちも同じだった。知り合い、学友、仲間、その存在がサチは勿論、彼らにとって大きな支えだった。
しかし、いくら支えあっていたとしてもいきなり解放される目処がたたないしかもゲームの中に閉じ込められた人間すぐに切り替えられるわけなく、少なからず率先してゲームクリアを目指す気には彼ら全員なれなかった。
そうサチたちは『はじまりの街に留まる』ことを選択した。
その後は少ないお金をやりくりして生活するようになった。
最初は宿が高くて寝る所もまともに見つからず、食事も食べられる日があるかどうかだった。空腹感はあるが食べなくても餓死することはないのが救いだった。
しかし、ゲーム開始から約一ヶ月ほど経過した時には、ほぼはじまりの街にいるプレイヤーは『はじまりの街に留まる』ことを選択した者たちが殆んどになっていた。
そんなプレイヤーたちの多くは理由は様々ではあるが、ゲーム開始直後は何もする気がなかったプレイヤーだ。
だが、そんなプレイヤー達もお互いの生活を少しでも良くするために助け合うようになっていった。
そうはじまりの街から出ないプレイヤーたちが生活に慣れ始めていた時に事件が起こった。
第一層ボス討伐成功。
初のフロアボスに挑む事は事前情報としてはじまりの街全体に広がっていた為、プレイヤーの生存者と死亡者の確認が出来る黒鉄宮に多くの者が集まり、成功と安否を祈った。
黒鉄宮内に刻まれた全プレイヤー名の中から、ボス討伐メンバーのリーダーと聞いていたディアベルの名が消えたときは黒鉄宮の中は絶望に一色になったが、その後しばらくしてボス討伐成功の朗報を聞いたときは誰もが声を上げて喜んだ。
サチも素直に喜んだし、少しだが希望も持った。
しかし、サチの仲間のリーダーである《ケイタ》はその他に別の気持ちを持ったのだった。
第一層ボス討伐から数日後、ケイタからサチにとって驚くべき決意が語られた。
「自分たちもゲームクリアを目指そう」
ケイタは第一層ボスを倒したことを聞き、自分たちはこのままではいけないと思ったのだと言う。
他の仲間たちの《テツオ》《ササマル》《ダッカー》はケイタに賛同した。
しかし、サチだけは反対だった。
いや、反対したかった。
ケイタはリアルでは部活の部長で、このゲーム中でもリーダーだった。それ故に他のメンバーの為に一番動いていたのはケイタだ。
だからケイタに判断や選択を任せてきたところがあり、出来れば尊重するようにしたかったが、死ぬことが恐かったサチは賛成出来なかった。
しかし、メンバーの中で女性がサチだけなこともあり、本心を言えずに賛成してしまった。
全員の賛成を得たケイタは早速これからの計画を立てるために話し合いを始めようとする。
だがサチは乗り気では無いため、話し合いをしたくなかった。だから気分が優れないことを理由に休ませてもらうことにした。
他の仲間たちは少なからず今日中には動くことはないからと、了承してくれた。
自分の部屋に戻ったサチは布団にくるまり、これからのことを考える。
ゲームクリアを目指すということはモンスターと戦っていくということだ。
つまり死ぬかもしれないということ。
それは嫌だ。怖い。
嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い嫌だ怖い
その夜、サチは逃げ出した。
そして現在、サチは夜の暗い森の中にいる。
サチがいる森ははじまりの街との間の森…
普通ならレベル1で装備も初期のサチがくるには危険な場所である。
だが、はじまりの街から出ていったプレイヤーたちにはじまりの街周辺は勿論、一番近くの森のモンスターは狩り尽くされてしまっていた。
だからモンスターは滅多には出てこない。
だからサチはここまで無傷だ。
しかし、そんなことはサチは知らない。
がむしゃらに何かから逃げている。
だからサチは安全だ。しかし絶対ではない。
サチは気づかない、近づく黒い影に…
「ひっ! 」
突如、サチの前に何かが飛び出してきた。
それは狼型のモンスター。
森のモンスターは狩り尽くされた、それは必ずしも0にしたという意味ではなかった。
ほんの僅かだが残っていたモンスター。
今は下手なレアモンスターより遭遇率の低いモンスター。
サチはそのモンスターに出くわしてしまった。
「いやっ! 」
サチは今まで感じていた恐怖が形となって目の前に現れたことで完全にパニック状態になった。
それでもこの恐怖から脱却するためにモンスターとは別の方向に走り出す。
だがサチの不運はまだ続いた。
走るサチの前にまた狼型のモンスターが現れた。
「きゃっ! 」
突然のことにサチは尻餅をついてしまった。
前と後ろに二匹のモンスター。
今すぐにでも立ち上がって駆け出したかったサチだが、恐怖が文字通り倍増したことでパニックに拍車が掛かり、上手く体を動かせないでいた。
「来ないで…来ないで」
唸り声を出しながら、モンスターはサチに近づいていく。
サチは涙目になりながら、手を突き出し振るがそれは状況を変えるには何の効果もない。
何よりも恐怖していた死が現実のものになっていく。
目の前のモンスターが一瞬だけ体を屈めた。
それが次にどんな行動をとる為に行ったのかサチはすぐにわかった。
モンスターはサチに飛びかかった。
「
その声はハッキリと聞こえた。
特別大きくない、むしろ小さいくらいだ。
しかしどうしてかそのひどく澄んだ声はサチの耳に入った。
そして声がした直後、大きな口を開き、鋭い牙を剥き出しにしていたモンスターは黒い球体に変わった。
さらにそのすぐ後、後ろから「ピギャッ」という奇声がし、サチは振り返った。
そこにはポリゴンとなって消えていくモンスターと…
大きな両手剣を持った男性プレイヤーが立っていた。
男性プレイヤーは黒い球体に近づき、携えた両手剣を振り上げる。しかし、上段に構えた状態で動きを止める。
それから数秒、球体は元のモンスターに戻る。そのタイミングで男性プレイヤーは剣を振り下ろした。
モンスターはポリゴンとなり、消えていく。
その間、サチはずっと男性プレイヤーに見惚れていた。
綺麗な茶色の髪、翡翠色の鋭い目、整った顔。そしてポリゴンの光がとても幻想的な光景だった。
尻餅をついた状態のサチと立っている男性プレイヤーの目を合う。
その間数秒、だがサチにはそれ以上に感じた。
それから男性プレイヤーは黙って森の奥に消えていった。
暫く動かないでいたサチがはじまりの街に戻り、ケイタたちと合流できたのは30分ほど後のことだった。
櫂トシキの今の気持ちは一言で表せた。
最悪だ。
第四層に続く階段を上りながら、気分を害するのはわかっているのだが、思い起こすことをやめられない。
櫂が三層に上がってその森林エリアで一番最初に手に入れた情報は櫂が懸念していた形式のクエストが存在することだった。
大型キャンペーンクエスト。
キャンペーンクエストはストーリー形式で、一番の特徴はプレイヤーの選択しだいで複数にストーリーが分岐していくことだ。
そして大抵は一度限りのクエストなのだ。
つまり分岐するストーリーで一度しかできない。
それは櫂にとってそれは最悪のクエストだった。
櫂の目的であるアインクラッド…いやソードアート・オンラインに隠されているクランを見つける。
その為にはアインクラッドの隅々まで探さなくてはならない。少なからず櫂はそう考えている。
その為には何度か同じ所を回る必要がある。
なぜなら大抵のゲームではスキルのレベル、ゲームの進行(SAOの場合は階層)によって最初の頃のダンジョンや街で行ける場所、発生するクエストが増えることが常なのだ。
実際まだ三層にも関わらず、スキル値が低かったせいで行けなかったところがあったという話があった。
その行けなかった場所にクランがあるかもしれない。
だから櫂は同じ所を回る。行けることろが増えていないか確認するために…
だがキャンペーンクエストでは同じ所を回ることができないのだ。
それどころか一度分岐するルートを決めてしまうと、クリアしても同じクエストを受けれないから別のルートは永久にできないのだ。
それはつまり別ルートでしか行けない場所には絶対に行けないということだ。
もしそこにクランがあったら…
しかもこのキャンペーンクエストはストーリー仕立てになっていることがこの恐怖に徹底的な追い打ちをかけている。
それは同じクエストを受けている複数のプレイヤーがブッキングしないようにする処置がほぼ間違いなく施されていることだ。
1プレイヤーもしくは1パーティが一回こっきりしか受けられないキャンペーンクエスト、逆に言えば一回は受けられるクエストなのだ。
当然、同じ時期に複数のプレイヤーが受けることも考えられる。ここでもし進行具合の違うプレイヤーが出くわしてしまった場合ストーリーに矛盾が生じてしまう。
それをなくすために、それぞれ個別に専用ダンジョンなり、専用のフィールドなどが用意される。
つまり同じではあるが、違うダンジョンやフィールドが言葉通り無限にあるこということだ。
もしそれの内、一つにしかクランが隠れていなかったら…もしくは別々のルートにそれぞれ別のクランが隠れていたら…そう考えると櫂は不安に挫けそうになる。
仮にその考えを考え過ぎと、捉えたとしても不安材料はまだあった。
このキャンペーンクエストはミスをしたらやり直しがきかないらしい。
βテストの時の事前情報はあるが、今までの経験から何かしら変更されている点がある可能性が非常に高い。
しかも大型いうだけあって九層まで続くクエストらしい。
櫂には今このキャンペーンクエストを受ける勇気はなかった。
幸い、キャンペーンクエストはいつでも受けられるものだったので、櫂はキャンペーンクエストとついでにギルド結成クエストを保留にし、今現在の第三層で探索に集中することにした。
ギルド結成クエストも保留にしたのは、ただ単にギルドは自分には無縁のものだからレベルが今より上がり、一人でもクリアできるようになってから受けようという考えのためだ。
第三層の探索は一週間かかった。
マップは見辛く、濃い霧がでることもあり、探索に苦労した。
その為、攻略組の三層ボス戦の話が出た頃にやっと三層を一周できただけであった。
櫂としては二週目の探索をしたかったが、ボスを調べる前に倒されては困るので、二週目は断念した。
櫂の今の気分の悪さの原因の一つでもある。
因みに攻略組で一悶着があったことを櫂は詳しくは知らない。
三層の二週目は断念したが、一、二層を櫂は回った。
今だと一、二層を回るのに一日もいらない。
その後、三層の迷宮区の探索をしてなんとか、攻略組よりも早くボス部屋に辿り着き、クランが隠れていないか調べるために一人でボスに挑んだ。
結果クランは隠れていなかった。
戦闘の内容は大苦戦だった。
このゲームの中に入って一番の苦戦だった。
それでも慎重に慎重を重ねてやっとの思いで、相手のHPを一ゲージにし、行動パターンが変わったところで探索は終了。
ボス戦に十時間かけたことだった。
流石の櫂も疲労困憊で三層の主街区のズムフトに戻り、爆睡した。
それから十時間ほど寝た後、こうして第四層に向かっている。
櫂は三層に入ってから、今ここでようやく一息ついている状態だった。
櫂の気分は最悪だ。
三層では心身ともに苦労したと言える。だが一つだけ良かったことがある。
クラン探索に集中しなくてはならない状況だったので、他のことを考える必要がなかったことだ。
しかし、今櫂は悪い意味で考える余裕がある。
罪悪感や迷いが押し寄せてくる。
櫂の気分は最悪だ。
第四層に続く白い扉の前で櫂が最後に思いを馳せたのは…
一層で出会った右目尻下の黒子が特徴的な少女の安否だった。
細かいことが全然書かれていない…
でも次回はからはちゃんと人との会話や戦闘を表現していきます。
モチベーションが上がらなかった理由のキーワードを挙げると
・両手剣
・キャンペーンクエスト
・モンスターの出現数
です。前までの話で修正する点はしました。察してもらえると助かります。