四葉達也は優等生   作:さすおに

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今回は短いです。


人外との契約

元造は野良に連れられて新国家を回っていた。

元造はそこで見た。

奇跡を。神の如き所業を。

 

荒地には石油が溢れ出し、ただの野山からはアンティナイトが産出されたのだ。

 

野良は何かを唱えただけだった。

CADを使ってはいなかった。

 

「ありえない」

元造は目の前で起きた事が信じられなかった。

 

次に案内されたのは工場だった。

そこでは男女のクローンを量産していた。非人道という言葉が生ぬるい。

 

試験管ベビーの状態から一気に成人まで成長させ、装置で詰め込み教育を行い、それを繰り返す。

 

もう一つの工場で作っていたのは兵器ということは分かったが、あまりに大きすぎた。元造には知らないものだった。それもそのはず。

 

この機械は、ある傭兵が主役の世界の兵器を量産していた。

今日、生産を始めたばかりだ。

 

魔法という概念が一切存在しない国

武力を限界まで追求した国家。

クローン達は洗脳され、死者が動き

化物共が蠢く国家。

 

 

 

場所を移し、会議室に来ていた。

「簡単に言いますと、大漢の国民全員に精神干渉をし、殺しあわせて国を乗っ取りました。そして今の状態ですね」

 

野良は笑っていた。

冗談に聞こえるようなことを言っているが、事実だった。

 

元造は恐怖を抱いていた。

人を殺すことに躊躇いもなく、死者を弄ぶ外道な所業。非人道な実験の数々。

 

「お前は一体なんなのだ」

その言葉しか出てこなかった。

迂闊に手を出すのもやめた。

周りに、兵士がいたからだ。

それに得体の知れない恐怖があったからだ。

 

「元造さん。貴方が恐怖を抱くのは無理もありません。私は人では無いのです」

 

 

「私は貴方達が世界と呼ぶ存在。

あるいは宇宙、あるいは神、あるいは真理。あるいは全、あるいは一」

 

「そして、私は貴方だ」

元造は言葉の意味を理解することは到底不可能だった。

 

しかし他家の秘匿魔法を使用できるのもこれなら説明がつく。

使用した魔法は一条の爆裂、十文字のファランクス。本来なら秘匿と呼ばれるだけあって知り得ない魔法。

それもCADを使わずに魔法を発動していた。あの発動速度は私が今まで見てきた中で最速だった。

 

処理速度、演算規模、干渉力、サイオン量がどれも規格外。

 

国を滅ぼし、傀儡国家を作り上げ、世界に戦いを挑む身の程知らず。

 

「何故、そこまで真夜に執着する?!」

 

「これを読んでください」

元造に渡されたのは一冊の薄い本。

表紙に題名が書いていた。アンタチャッブル 西暦二○六二年の悪夢と。

 

そこには2日前の四葉の状況と似たようなことが書いてあり、その後も書かれていた。

 

「とても似ていませんか? そこに書いてあるのが、この世界の本当のシナリオです」

 

信じ難いが説得力があった。

もし仮に、目の前にいる男が真夜を助けず大漢が攫ったのが分かったらこの本に書いてあることを実行しただろう。

 

真夜がこの男に懐いているのも事実。最強の存在。

四葉にはメリットしかない。

しかし不気味だ。

 

「七草弘一は真夜ちゃんを助けられなかった。正確には助けられないような役回りになっている。何故、助けたか教えてあげましょう。私の人格はありとあらゆる人物の人格から成り立っています。その人格の中に女の子を守りたいと思う方達がいたのです」

 

全能になったロリコン神父や

魔道書を愛した貧乏探偵や

根の国の王になったある世界の日本神話の英雄神など。

 

混沌している人格達の中に個性的な人物のも含まれている。

 

「意味が分からない」

そう呟くのが精一杯だった。

 

 

「今なら世界を滅ぼせる存在と神聖中華連邦が付いてきますよ?四葉が最強ということを世界に知らしめることが可能です。UNSAなんて目ではありません。それと娘の幸せを考えてみてください」

 

これは取引。契約。

悪魔の囁き。

 

誰もが一度は憧れたことがある最強。

そして傀儡国家。元造には、この死者と機械の国が戦争で負けるとは到底思えなかった。

 

対価は娘。

 

報酬は最強。

 

この男は四葉にメリットしかない。

七草弘一とは比べ物にならないほど規格外の魔法師。そして目の前で見せてもらった奇跡の数々。

 

四葉が大陸の魔法技術を入手できたのもこの男のおかげ。

男は娘の真夜に執着していた。

真夜もこの男の事は嫌いではなかったようだ。

 

そして元造は人外と契約を結んだ。

この日から統一戦争が始まった。

 

 

 

 

 




次回からイチャイチャ。
自信はありませんが、精一杯頑張ります。
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