小日向との出会いから数時間が過ぎて……今現在夜。
「いやぁ……やっぱり夜はいいなぁ。 血が騒ぐというか、イキイキするというか」
俺は買い物袋を片手に町中を歩いていた。
「そういえば……小日向とその友達とやらはちゃんと仲直りできたかな……まぁ、すぐには無理か」
なんてことを考えながら、街を眺める。街は夜であるのもあり、買い物をするもの、帰路に着くもの。そして夜なのも相まってかとても静かに感じた。聞こえるのは車や電車の音と、微かに人の声がするくらいだった。
「異常はなし……か、このところここではよくノイズが出てるって聞くけど……案外いつも出てるわけじゃないのかもな」
別にノイズに興味があるわけでもないが、沢山のノイズがここで見つかっているにもかかわらず、ここの町の人たちが全滅していないのを見ると、ノイズを退治している何者かがいるってことになる。
そいつらをどうこうしようってわけじゃないが、興味はあった、どんな奴らがノイズと闘っているのか……どんな思いで武器を取り、どんな思いで歌を紡いでいるのか……。
「いつかは殺すことになるのかもしれないがな……」
そんな言葉がポロッと口から漏れた後、俺は家への道を進んだ。そんな時……
「きゃー!!」
「ん……?」
人の叫び声が聞こえた。そして体中に感じるこの感覚と、耳に響く雑音。これはこの街に来る前も、飽きる程に感じていた感覚だった。
「あぁ……ノイズか」
叫び声のした方に行くと、そこには大量のノイズと……ノイズに取り囲まれている女性と女の子の二人がいた。子供は泣き、母親らしき女性は女の子を抱きしめている。
「絶対絶命って感じだな……」
ノイズはその家族にじりじりと近づいている。でも女性は自分の子供を離すことなく、抱きしめて必死に助けを呼んでいた。
助かる可能性なんて……ほぼ無いのに、あんな状況で……未だに助けが来ると信じている。女の子はお姉ちゃん、お姉ちゃん……助けて……と、誰かを呼んでいた。
「はぁ……俺は人助けをするためにここに来たんじゃないってのに……」
立花の時も、小日向の時もそうだ。この街に来てから俺は俺の目的に反したことばかりさせられている。別に俺の目的だけで生きるようなお硬い人間じゃないが……まったく見知らぬ人を助けるだなんてそんな得のないこと…
「調子狂うな……ほんとにっ」
二人を取り囲んでいるノイズを蹴り倒し、突き進む。炭素化が行われないことがもう普通になっている辺り、俺もあれから随分変わった……。
「お、お姉……ちゃん?」
「生憎……お姉ちゃんじゃないんだなこれが」
「あ、貴方は……」
「俺は通りすがりの一般人ですよ、ええ……たぶん、きっと」
「は、はぁ……」
二人はきょとんとした顔で俺を見ている。おいおい、助けに来たんだからもっと違う反応があるだろうに……まぁいいか。
「俺がこいつらを倒して道を作ります。あなた達はそれを見計らって突っ込んでいって逃げてください。わかったらイエスかはいで頼みます」
「は、はいっ」
「は〜いっ!」
女の子が元気よく手を挙げて返事をする。こんな状況だってのに……もう泣きやんでるのか……なんていうか、肝が座ってるな…この子。
「よし、いい返事だ……それじゃあ……作戦開始っ!」
俺はノイズの大群に突っ込み、道を開ける。次から次へと来るノイズを蹴り飛ばし殴り飛ばしながら、安全に道を作っていく。
「邪魔だ汚物共ぉ!!」
地面を殴り、その衝撃波でノイズを吹き飛ばす。
「さぁ、早く行けっ!」
「あ、ありがとうございますっ」
「お兄ちゃんは…?」
「お、お兄ちゃん……? ん〜……そうだな、お兄ちゃんは……ちょっとこいつらと遊んでくよ」
たぶん今の俺は普通に笑っているだろう……にこっと爽やかな笑みを浮かべられていることだろう……そして、あの家族が去り…ここには俺とノイズが残される。
「さてと……掃除の時間だな」
俺は笑っているだろう……でも、さっきまでの笑顔とは違う。自分でもわかるくらいに……ニヤニヤと笑っていた……。あぁ……楽しい……なにかを壊すことは……やっぱり最高だ。
「はは……はははっ……はぁ……」
楽しい時間はあっという間だった。まだ殺したりない……まだまだ殺したい……世界のすべてを……世界を……殺したい。
「………帰ろ…」
こうして俺は、帰路についた。大量に炭化したノイズ達の亡骸を残して……。今度はもっと……もっと、殺せるといいのにな。
ここまで読んでいただきありがとうございました
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