死亡フラグは目の前に   作:空箱一揆

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意外に、これの更新を待ってくれている人がいるようで、びっくりです。
ただ、初期プロットをを変更しようかなと思い、いろいろ迷走しているところですが、切がよさそうな所まで書いたので、待ってくれている人がいるならと、3話更新します。
他の2作品と比べて、量が少なくてすみません。



第3話 拳銃と白衣と

「動かない(で)、私は医者で(す)。寝不足、肝機能の低下していま(す)。針の毒はじきに抜けま(す)」

 

 地面に倒れたマフィアに淡々と怪我の状況を解説していく白衣の女性。

 そして、撃たれ箇所に、適切な治療を施していく姿を見守るアザミだが、自分の右腕に違和感を感じた。

 右腕の感覚がまるで麻痺したかのようだ。

 ふと、視線を自分の右腕に移す、

 

「なっ、腕が白いッ!!」

 

 そして、どういうわけだか、隣を見つめると、ネオンの天使の自動書記(ラブリーゴーストライター)が発動した状態で現れている。

 ネオンは、自分の手のひらを開きは、閉じと繰り返し、返しながら現れたゴーストを不思議そうに眺めている。

 何故だか分からないが、状況から考えると、これは白衣の女性の念能力ということだろう。

 強制的に念を発動させているようだが、それ以上の効果は不明だ。

 しかし、どう警戒したところで、こちらは自分の能力すら把握していないのだ。

 明かに念を完全に習得した念能力者に対して、下手にたてつくことはこの世界の死亡フラグを加速させることにしかならないだだろう。

 腕は問題なく、自分の意思で動かすことができる。

 感触としては、腕全体に分厚いゴム手袋をかぶせたみたいに触感が鈍感になったように、思えるが、ひとまず問題はないだろう。

 しばらく、変質した自身の腕に見入っていたが、やがてその腕は、元の人間のものへと戻っていった。

 

「ところ(で)、あなたたちは何をやっていたんです(か)?」

 

 気が付けば、手当をしていた女医が、アザミとネオンの前に立っていた。

 近くの壁には、黒服たちが壁に寄りかかるように並べられている。口ひげの男も同じだ。

 黒く無機質な瞳で見下ろされ、

 

「あっ、ありがとうございます。あの、私ネオンって言います。もしかしてあなたもさっきのゴーストが見えるんですか?」

 

 なんと言葉をつなげれば良いか考えていると、隣で成り行きを見守っていたネオンが、半ば確信を持った様子で尋ねた。

 その様子は、初めて出会った仲間を見るような目で、若干のうれしさを宿した様子で、何故だか、小動物のような可愛さを備えていた。

 

「二人とも無自覚に使っているのです(ね)―――。少し、問診しましょう(か)」

 

 俺達は、そのまま騒ぎの中心から逃げ出すように、人込みへ紛れるようにして近くのカフェへと向かっていった。

 

 

 

「何だとッ! てめぇらッ!? お嬢様をどこの誰かにさらわれた挙句、行方不明だとッ!」

 

 厳めしい顔つきの男。目元には、Y字に似たタテゥーを入れており、手には、奇妙な梵字のような装飾が施された日本刀を手にしている。

 男の目の前には、震える男が三人。

 男は、最も近場に居た一人に近づくと、一切の迷いもなく、震える男の首を斬り飛ばした。

 同時に、残った二人は、恐怖に顔を引きつり後ずさるが、それ以上逃げることもできずに、恐怖に屈した様子で、地面に膝から崩れ堕ちる。

 その光景は、無表情に近くありながらも、滲み出す怒りがありありと浮彫になっていた。

 日本刀を持った男、名前をダルツォネルと呼ばれる男は、恐怖で震えながらも、頭を垂れる男達に向かって、ゆっくりと近づいて行く。

 そして、地に触れた男の手の甲を、まるで豆腐を突き刺すかのように、一切力を込めた様子もなく、地面に縫い付けた。

 

「ひっ!? いだぁああああああッ「騒ぐなッ!」」

 

痛みで悲鳴を上げた男の顔を、横から蹴りつける。

 手を縫い止められた男は、そのまま、頭を地面に叩きつけられ、悲鳴すら上げる暇もなく、痛みと恐怖で、短い呼吸を吐き出した。

 転がった頭を力を込めて踏みつけると、残った男へ視線を向ける。

 

「奴は、どうしたッ! アイツが付いていながらむざむざお嬢様を攫われたのかッ!? お前らの仕事は、何時ッ!、何処からッ! 誰が来ようともお嬢様を守ることだろう。それを、よくわからん垂れ込みを間に受けて、コースを変えた挙句に、お嬢様を見失うとはッ!?」

 

 二度、三度、男の頭を踏み抜く勢いで、蹴りつける。

 もはや地に伏せた男は、意識はなく、虚ろな瞳で、虚空を見上げるだけで合った。

 

「スクワラッ、お嬢様を探せッ!! ついでだ、トチーノを連れていけッ、状況首尾よく行けば、正式な護衛と認めよう。なんとしてもお嬢様を探しだせッ! 見つけ次第俺に連絡しろッ!」

「OK、リーダ。行くぞトチーノ、その能力の真価見せてもらうぞ」

 

 部屋の中で、成り行きを見守っていた、褐色肌の男は、独特な揉み上げをした男を伴って部屋を出る。

 ドアが閉まる瞬間、スクワラが指笛を鳴らすと、何処からともなく、何十もの猟犬達が姿を現した。

 その光景にトチーノは、若干の驚きを見せながらも、確かな足取りを持って、スクワラの後へ続いて行く。

 

「予言があったというのに、此の体たらく―――」

 

 部屋に残ったダルツォネルは、苛立ちを抑えるように、残った男の首を斬り飛ばす。

 地面に転がった首は、まるで自分の状況が信じられないかのように、大きく目を開きながらも、恐怖で引きつった表情であった。

 

 

 

「嬉しいですッ!? まさかあのサンビカ=ノートン先生に会えるなんて。先生の書いた、『死体の囁き』はとってよかったです。あのサインもらってもいいですか?」

 

 近くのカフェに入り自己紹介を行ったところで、ネオンは何かを思いだしたかのように、手にした鞄から本を取りだすと、目の前の白衣の女性に見せつけるように差し出す。

 よくよく見ると、その本の著者には、今しがた目の前で名乗った女医と同じ名前が書かれている。

 まさか、そんな偶然ないだろうと思ったが、まさか本当にこの本の作者が目の前の女医であるとは、驚きを隠せない。

 まさか、某スタンド使いじゃあるまいし、念能力者どうしは引かれ会うのかッ!? とひそかに思ってしまった。

 

「でも、まさか今日講演予定のノートン先生に会えるなんて、超ラッキーッ!」

 

 年相応に楽しそうに話すネオンを見ていると、悪癖な趣味さえなければ彼女も普通の女の子なんだなぁと考えてしまう。

 そう、会話の端々に、臓器のホルマリン付とか、筋肉を傷つけない皮膚のはがし方とか、恐ろしい単語が飛び交っていなければの話だが……。

 俺は本当に、ここに居ていいのかと悩むアザミだったが、よくよく考えれば、ネオンは原作のヨークション編を過ぎても生き残っていた。

 ならば、彼女の近くに侍っていれば、俺も生き残れるのでは……。

 一瞬そんな考えが頭をよぎるが、すぐに考えを否定する。

 彼女が無事でも、周囲の人間が無事な補償などなかった。

 彼女の護衛の一人がとちって、はく製にされていたのを思いだすと、まだ梟さんの所に居る方が安全のような気がする。

 一様俺の能力は、瞬間移動らしきものであるようだし、上手く使いこなせれば、旅団が来ても逃げ出すことはできるだろう――、そう思いたい。

 だが、せっかく梟さん以外のまともそうなハンターに会えたのだ、このさい原作キャラだとか贅沢は言わない。できればサクサクとこの能力の使い方を教えてほしいものだ。

 

「あのノートンさん、ネオンさん。盛り上がっているところ悪いんですが、できれば俺はさっきの能力について聞きたいんですが?」

 

 その言葉に、ネオンははっとしたような表情を見せると、再びノートンさんに向かってまくしたてる。

 

「そうそう。私のゴースト。私は天使の自動書記(ラブリーゴーストライター)って読んでいるんですけど、あれって何なんですか? 護衛の人は何か知ってるらしいんですけど、全然教えてくれないんです。これってもしかして、やっぱり本物の天使様なんですか? でも、だったら何で私の手に? もしかして、私って、本当に天使の生まれ変わりだったりして?!」

 

 嬉しそうなネオンとは対照的に、ノートンさんは、ゆっくりと俺達を見比べたうえで、淡々とした口調で語りだす。

 

「それは、特別な訓練の元に身に付けることができる技術で(す)。しかし、時折(に)、貴方たちのように、本能的に身に付けてしまう人もいます(ね)。本来、その能力は一般的に公開されていないもので(す)。ただ、身に付けてしまったならば、最低限知っておくべきことでしょ(う)。確認しますが、貴方たちの能力は誰かに教えられて身に付けたものではないのです(ね)?」

 

 その言葉に、ネオンはいち早く、首を上下に動かして「はい」と答える。

 

「俺も気が付いたら、出て来ただけで、誰かに教えてもらったものじゃないです」

「では、師匠はいないのです(ね)?」

 

 師匠という言葉に、梟さんの事が頭に浮かぶ。

 おそらくあの人が俺の師匠になる? のだろうか? はっきり言ってあの人に教えてもらったのは、銃の撃ち方と整備の仕方くらいなのだが。

 

「今は、梟さんの所にいます。ただ、念についてはまだ、詳しく話してもらっていません」

「梟? あの運び屋です(か)? 」

 

 どうやら梟さんは、ハンター業界でも結構有名な運び屋であるらしい。死体から宝石まで、何でもポケットに入れて持ち運べる能力は、確かに便利なものだろう。

 それにたしかあの人は、原作で不意を付いたとはいえ、旅団の一人、ちょんまげ男を捕まえていたはずだ。

 ガチの戦闘でどれだけの戦力なのかは分からないが、実はあの人、かなり優秀だったのではないだろうか?

 そう原作を思いだすと、余裕ぶっこいて1コマでやられた他の陰獣と比べて、最も優秀な人に拾われたのではないかと思えてくる。

 ノートンさんは、梟さんの名前を聞いた直後、静かに考えるそぶりを見せるとゆっくりと口を開いた。

 

「お二人(に)、提案したいことがありまッ!?」

 

 突然、地面に床に押さえつけられたことに驚くと、次の瞬間には、鋭い爆発音が響き、渡った。

 

「―――ッ!?」

 

 やっぱりネオンなんかに出会うなんて、死亡フラグだった―――。

 そう思いながら、とにかく現状を乗り切るため、精神を安定させる為に、最も手じかにあった力。真っ黒な拳銃を握り占めながら、これから訪れる未来を生き延びられるように、祈られずにはいられなかった。

 




当初は、地雷とメタてんこ盛りの内容が、ネオンとノートンの間で交わされる予定でしたが、ちょっとネタに走りつつ、真面? な内容にしてみました。
そして、ノストラード組参戦。

興が乗った方は、感想など書いていただければ幸いです。

次回更新日は未定ですが、エタらせるつもりだけはないです。
此処まで読んでいただきありがとうございました。
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