人間だもの。
すいません。
恋合佐間朗(こあいさまろう)は高校卒業後、西京都(さいきょうと)に引っ越していた。西京大学に合格したためである。原之坂町から西京大学に進学するのは恋合が初めてだった。友人や家族、さらには原之坂町の町長からも祝福され、恋合は有頂天だった。昔から勉強をすることが好きだったし、博士になりたいという夢は昔から持っていた。しかし、現実はそう甘くなかった。高レベルな公式、慣れない生活。しかも田舎者とバカにされ、いじめられる毎日。そんな日々に恋合はうんざりしかけていた。テストの点数も思うようにとれず、なんとかギリギリで進級することができた。しかし、担当教官からは諦めた方がいいかもしれない、などと言われる始末。しかしあの有頂天になった手前、原之坂には戻れない。大学を中退したその日に、同窓会の招待状が届いた。まるで中退することが分かっていたかのように。恋合は同級生に中退したことをまだ言っていない。というよりも言う気がない、という方が正しいだろうか。知られたらバカにされるに決まっている。恋合は部屋の中でやけ酒を煽っていた。これからどうするかを食堂で話し合うらしいが恋合は全く興味がなかった。むしろ、帰れないなら好都合だ。親にいうこともない。しかし、一人で飲んでいても少しつまらない。友達と無料で会話することが出来るアプリ『RAIL』で2、3人呼び出すことにした。しばらくして3人の友人が姿を表した。やってきたのは小阪大学(こさかだいがく)に進学した松明永春(しょうめいえいしゅん)、遅米田大学(ちまいだだいがく)に進学した彬水泰成(あきらみずたいせい)、川柿学院大学(かわがきがくいんだいがく)に進学した崇内博史(たかうちひろふみ)だ。全員トップクラスの大学に進んでいて、その中でも上位にくい込んでいるらしい。恋合は1番すごい大学に行き、1番最初にギブアップした。そのことが腹立たしくなった。
「それで、西大はどうだ?恋合」
聞いてきたのは崇内だ。眼鏡をかけた切れ者でいわゆるイケメン。中学校ではファンクラブができるほどだった。
「あ?ま、まあ、なんとかやってる」
「まさか恋合がなあ〜。俺だと思ったんだけど」
肌の色が少し黒い松明が呟く。松明家は由緒ある名家である。しかし松明の母親がマレーシア人ということもあって彼はハーフだ。松明は叢(くさむら)と親しくしていたうちの1人である。
「ま、恋合が一番頑張ってたからな。当然だろう」
泰成がコップを持ちながら言った。泰成はお世辞にもかっこいいとはいえないよくある「ガリ勉」タイプだ。事実、泰成の友人は彼らくらいだろう。彼ら4人は中学校時代、常に一緒に行動していたメンバーだ。学年順位のトップ争いをしていたライバルでもあった。他愛ない話は深夜まで続いた。
俺は恋合の部屋から帰るとため息をついた。相変わらず無神経なヤツらばっかりだ。指につけた指輪さえ気づかないなんて。あいつらとか別に友達でも何でもなかった。友達の『ふり』をしているだけだ。あいつらといるとわからないところがあってもすぐに教えてくれる。いい駒だった。なのに何故?何故西京大学に行ったのが恋合なんだ?絶対俺のはずだった。あいつより成績は良かったし、先生からの信頼も厚かった。高校でも同じだった。何故?何故俺は遅米田大学なんだ?それより、あいつらが死んだのは驚いた。人が殺されたのを見るのは初めてだったがあまり驚かなかった。あいつらなら死んで当然だ。叢とかはさぞ喜んでいることだろう。
その時扉がノックされた。俺は飲んでいたビールの缶をテーブルに置くと扉に近づく。どうせ恋合の部屋になにか忘れ物でもしたのだろう。扉を開けた途端、脇腹の当たりに鈍い痛みが走った。下を向くと小柄なナイフが刺さっていた。ナイフを抜かれると俺は部屋に倒れ込んだ。起き上がろうとするとナイフを向けた人物がいた。俺は死を覚悟した。そして、その人物は大きく振りかぶるとナイフを心臓に突き刺した。
そこにいたのはたった今、『俺』こと彬水泰成が思っていた人物だった。
男子 残り56名
女子 残り53名
合計 109名
死亡 4名
多分また1ヶ月後。
まあ、気楽にやっていきます。