A.P.238/2/20
『オラクル』
それは、惑星間を自由に旅する巨大な船団だ。
その誕生と共に、外宇宙への進出が可能となり、新たな歴史は始まった。
そして今や、我々の活動範囲は数多な銀河に渡る。
行く先々で見つかった、未知の惑星には『オラクル』内で編成された部隊……
『アークス』が、惑星に降下し、調査を行う。
『アークス』は、『オラクル』に存在する四種族からなる。
バランスに秀でたヒューマン
フォトンの扱いに長けたニューマン
屈強な身体を持つキャスト
高い攻撃力を誇るデューマン
それぞれが補い合い、協力することで、我々『アークス』は成り立っているのだ。
……到着したようだな。
これより向かう惑星はナベリウス。
文明は存在せず、原生生物は凶暴だ。決して油断はするな。
健闘を祈る。
「はー、随分と肩の凝るアリガタイお言葉だな。ここに来てる奴等はみんな分かっていることだろうに」
キャンプシップのモニターからの映像が終わり、口を開く。
映像から聞こえた言葉は研修生の頃に散々聞かされた話だった。
修了試験をしに来た俺たちには今更過ぎる言葉だ。
「そうね、聞き心地のいいことしか言わなかったわね。嘘とまでは言わないにしても」
隣にいた少女が返してくる。
「十年前の襲撃で、かなりアークスも減ったみたいだし、人材確保に必死なんでしょうね」
そう言うと少女はどこか遠くを見るようにキャンプシップの窓を見た。
俺は思い出す。十年前のあの光景を。俺を庇って赤黒い煙に飲まれ、苦しむハルノの姿を。俺に言い聞かせた時の彼女の笑顔を。
もうあれから十年だ。俺たちが別のアークスシップに避難するときにも彼女は戻ってこず、後日事件の調査に向かったアークスたちも彼女の姿どころか死体さえも見つからなかったという。
死体も見つからないのなら、あの赤黒い煙にと共にどこかに行ってしまったのかもしれない。攫われたのなら、まだ生きてるかもしれない。
そう信じて俺たちは生きてきた。───そう信じないと耐えられなかった。
彼女を探し出す。そのために俺たち、俺とユキノはここまできた。
アークスならば。様々な惑星へ自由に降り立ち活動できるアークスならば。彼女を見つけ出すことができるだろうと信じて。
そんな過去を思い出していると、オペレーターの声が聞こえてきた。
『転送座標の設定終了。アークスは順次出撃して下さい』
どうやら俺たちが降りる準備ができたようだ。
その声を聞き、俺はユキノに声をかける。
「準備できたみたいだぞ。ユキノは準備できたのか?」
「当然でしょう。むしろ、あなたの方ができているのかしら?ずっとボーッとしていたみたいだけど」
「ふっ愚問だなユキノ、準備ができていたからボーッとしていんだ。むしろ準備が早すぎて用意した持ち物を忘れるまである」
「忘れてはダメでしょう…」
そんな冗談を言いながら俺とユキノはテレプールへと向かう。ここに飛び込めばさっき言っていた座標まで飛ばされる。
「やっと、ここまで来たのね」
横にいるユキノが目を閉じて呟く。
それに対して俺は言う。
「なに言ってんだ。それはこの試験が終えて、ここに戻ってきた時に言う言葉だ」
「…そうね。ちゃんと戻ってきたらまた言うとするわ」
「おう。それじゃ…行くぞ!」
俺は短く返し、テレプールへと駆け出した。
それにユキノも続く。
「ええっ!」
俺たちはテレプールに飛び込み、光に包まれた。
どうも、はじめまして函南です。
この度はこの「やはり俺がアークスなのはまちがっている」を読んでいただき、ありがとうございます。
昨日はプロローグとして三人の過去に起こった出来事を投稿させていただきました。
昨日の投稿でお気に入りが5件に感想まで頂き、胸の内が暖かくなり、とても嬉しかったです。
さて、ここではPSO2を知らない方に向けた用語説明をしようと思います。
本文でちゃんと説明できればよかったのですが、難しくてできませんでした。申し訳ありません。
それではまず一番最初に出てきた『オラクル』について。
『オラクル』というのは本文でも書かれているとおり、宇宙を旅する船団のことです。『オラクル』を構成しているのは、一つの旗艦『マザーシップ』とそれの周囲を飛ぶ無数の『アークスシップ』。
『マザーシップ』は全長約500Kmほどの巨大な宇宙船。そこに一般人や普通のアークスは入ることが許されていません。
アークスたちに送られる情報をここで収集・解析しています。
そして『アークスシップ』の統制管理を行う中枢があります。
『アークスシップ』は全長約70Kmほどの宇宙船。そこには一般人やアークスたちが約100万人生活しています。
『キャンプシップ』について。
『キャンプシップ』はアークスたちが『アークスシップ』から惑星に向かうための宇宙船です。そこでは倉庫にアクセスしたり、装備品の補充などが可能です。他にも戦闘機を格納していたりします。
アークスたちはこの『キャンプシップ』にある『テレプール』から惑星に降り立って行きます。
『テレプール』について。
『キャンプシップ』に設置されている円形のプールのようなものです。アークスたちはここに飛び込み惑星に降り立って行きます。
惑星には帰還用の『テレパイプ』と呼ばれるものが置いてあり、そこから『キャンプシップ』に戻ることができます。
これ以上書くとあとがきが長いと苦情を受けそうなので止めておきます。
『アークス』とはなんぞやと思っている方もいるかと思いますが、それは本文中に書いていきます。きっと。
それでは今回はここで。
読んでいただきありがとうございました。