やはり俺がアークスなのは間違っている   作:函南 佳奈美

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ずっとこの日を待っていた 2

 俺たちを包んでいた光は消えていき、辺りは先ほどまでいたキャンプシップではなく。木々に囲まれた場所だった。

 

「ここが惑星ナベリウスか、見事に緑ばっかりだな」

 

 ナベリウスに降り立ち、率直な感想を口にすると横のユキノがふむと頷きながらもそっと顎に手をやる。

 

「木々囲まれ空気は澄んでいてとても気持ちいいわね。研修生の時も来たけれど、やっぱりここは好きだわ」

 

 ユキノは穏やかな微笑みを浮かべていた。

 風に揺られる彼女の長く綺麗な黒髪とその微笑みに少し見惚れていると、彼女はこちらに顔を向けた。

 

「あなたのその腐った目もここなら幾分かマシになるんじゃないかしら?」

 

 ユキノは楽しそうに俺の目を罵倒してきた。

 

「さいですか…」

 

 適当に返し歩き出す。降り立った時点で修了試験は始まっているのだ。談笑している暇などない。

 

「試験はもう始まってるんだ、さっさと目標地点まで行くぞ」

 

「わかっているわよ。今回の試験の内容はここから制限時間までに目標地点まで行き、帰還すること。でも時間はかなり余裕があるのよ?少しぐらい風景を見ていてもいいじゃない」

 

 眉を少し寄せ、拗ねた様子でついてくる。

 確かに制限時間まではかなり余裕がある。だがそれはここから何も起きずに到達できた場合だ。これは試験で、ここは惑星ナベリウス。道中では原生生物たちが襲いかかってくるだろう。二人で行動しているとはいえ、正規のアークスになってすらいない俺たちに実戦経験などほとんどない。襲いかかってきた原生生物の対処に時間はかかるだろうし、数が多ければ最悪の自体が起こる可能性は少なくない。風景に目を奪われ、原生生物の接近に気づくのに遅れれば命取りだ。そのことをユキノに言うと彼女はバツが悪そうに目を逸らした。

 

「…悪かったわ、初陣で浮かれていたのかしら。ここも危険がある場所だっていうのを忘れていたわ」

 

 ユキノが謝罪をし、また二人で歩き出した。

 

 

 しばらく歩いていると前方に影が見えた。人ではない、あれは原生生物だ。

 俺は横を歩いているユキノの前に手をだし、彼女を止める。

 

「ユキノ、あそこになにかいる。見えるか?

 

「あれは…ウーダンね。どうやら食事中のようね、まだこちらに気づいていないわ」

 

「そうか。ユキノ武器を出しておけ、気づかれたら襲いかかってくるぞ」

 

 ええ、と頷き彼女は自分の武器、アサルトライフルを構えた。

 

 ユキノのクラスはレンジャー。射撃武器を用いた中距離戦闘を得意とするクラスで、アサルトライフルとランチャーを専用武器として使用する。

 

 俺も自分の武器、ワイヤードランスを手に取る。

 

 俺のクラスはハンター。打撃武器を用いた近接戦闘を得意とするクラスで、ソード、ワイヤードランス、パルチザンを専用武器として使用する。

 

 俺の使うワイヤードランスは強固なワイヤーの先に穂先に刃があり、それを振り回すことでソードやパルチザンよりも広範囲に攻撃することが可能だ。

 他にもワイヤーで敵を捕縛しそのまま振り回すといった攻撃もできる。昔読んだ漫画で紐を武器にする奴に憧れていたからという理由も少なからずある。

 

 俺たちの前にいる原生生物ウーダン。ウーダンは明るい茶色をした猿のような生物だ。しかしその身体は俺たちの肩ぐらいまである。

 攻撃手段は主にひっかきや突進。どれも今の俺たちには脅威だ。

 

 ウーダンが食事する手を止め、俺たちのほうを見た。

 気づかれちゃったかー、食事終えてどこかに行ってくれればよかったんだけどな。

 

「どうやら気づかれたようね。どうするの?」

 

 ユキノが俺にウーダンに目を向けたまま尋ねてきた。

 

「まず俺が近づいて攻撃する。ユキノはーー」

 

「援護ね、了解したわ」

 

 俺の言葉の途中でユキノが言葉をかぶせてきた。

 わかってるならいいんですけどね。最後まで言いたかった…。

 

「よし、じゃあ行くぞ」

 

 そう言い、俺はウーダンに向かって駆け出した。

 初陣の初戦闘だ。

 

「キーッ!キーッ!」

 

 ウーダンは叫びながらその場を二、三回跳び俺を威嚇してくる。

 俺はウーダンの攻撃が届かない距離をとり、右腕を降りながらワイヤーを射出する。ワイヤーは右腕の動きに合わせて動き、穂先の刃がウーダンの身体を切る。

 

「ギィーッ!」

 

 ウーダンは叫び、その場で怯んでいる。隙だらけだ。

 追撃をしようと踏み込もうとした瞬間、背後からタタタンッと音がしたと同時に前方のウーダンが倒れた。動かない。どうやら今ので倒せたようだ。

 

 ふぅと息を吐いた後、後ろを振り向くとユキノが勝ち誇った顔していた。そんな顔も可愛いから困る。

 

「ナイスショット、ユキノ」

 

「ふふ、当然だわ」

 

 短い言葉を交わしながら、俺たちはまた歩き出した。

 横に戻ってきたユキノは少し嬉しそうな顔をしていた。

 




どうも、函南です。

今回は『クラス』について説明します。

『クラス』は全部で8種類。

近接打撃戦闘を得意とする『ハンター』
その派生系で激しい近接戦闘を得意とする『ファイター』
中距離射撃戦闘を得意とする『レンジャー』
その派生系で近接射撃戦闘を得意とする『ガンナー』
遠距離法撃戦闘を得意とする『フォース』
その派生系で近接戦闘と支援を得意とする『テクター』
打撃と射撃で戦闘を行う『ブレイバー』
打撃と法撃で戦闘を行う『バウンサー』

ここでは八幡はハンター、雪乃はレンジャーという設定にしました。今後変わるかもしれません。

ブレイバーとバウンサーは八幡たちの時ではまだクラスが設立していないため、出てくるのはあとになると思います。
しかし、バウンサーは動きがおもしろいのでもしかしたら早く登場させるかもしれません。

それでは今回はここで。

読んでいただきありがとうございました。
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