やはり俺がアークスなのは間違っている   作:函南 佳奈美

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ずっとこの日を待っていた 3

 初戦闘を終え、俺たちはしばらく歩きながら雑談をしていた。

 

「さっきはああ言ったけど、ここの風気持ちいいな。こういうのアークスシップの市街地でも再現できねぇのかな」

 

「どうかしらね、雨雲や落雷などは再現できるのだし可能だとは思うけれど。でも、あなた家と学校しかいないのだから再現しても意味ないんじゃないかしら。ヒキコモリくん?」

 

「俺を引きこもり呼ばわりするの、やめてくれませんかね…」

 

 ナベリウスの環境の感想と要望を言っただけで引きこもり呼ばわりされてしまった。いや、確かに学校がないときは家にいたけども。

 

「でもそれ、お前もそうだろ。学校終わったら一緒に帰ってたじゃねぇか。家に着いたらコマチと遊んでたし」

 

「あら、私はコマチさんと一緒に出かけたりしていたのよ?あなたはなにを見ていたのかしら、節穴くん?」

 

 確かにユキノが妹のコマチと出かけて行くのを見てはいたが…いつもコマチがユキノの家に泊まりに行くときだけだったような気がするんだが…

 

「あ、ハチマンくん。その先は―」

 

 そんなことを思い出しながら歩いていたせいか、ユキノの言葉に反応するのが遅れてしまった。少し歩いたところでユキノに振り向いた瞬間、背後からピーンと高い音が聞こえた。

 

「っ!」

 

 この音は…空中機雷か!それに気づき慌てて振り返り後ろに跳ぶも、空中機雷はピッピッピッという音とともに赤い光を放ち、爆発した。

 

「が…っ」

 

 後ろに跳んだものの空中機雷の爆風を浴びてしまい、地面に叩きつけられる。

 

「ハチマンくん!だ、大丈夫!?」

 

 ユキノが慌てて俺のもとにやってくる。先ほどまでの笑顔は消え、酷く狼狽している。

 

「ご、ごめんなさい。私、気づいていたのに…もっと早く言っておくべきだったわ」

 

「あー、気にすんな。俺が考え込んでユキノの忠告を聞いてなかったのが悪い。だから、ユキノが謝る必要はない」

 

 でも…というユキノの言葉を遮り、俺は言う。

 

「それより、回復薬持ってないか?トリメイトとディメイトはあるんだが、モノメイト持ってくるの忘れちまった」

 

「あなた、準備はできてるって言ってたじゃない…」

 

 ユキノは呆れながらもサイドポーチからモノメイトを取り出し、そのまま俺の前で止まった。

 …あれ、ユキノさん?

 

「?どうしたんだ、ユキノ」

 

「…ハチマンくん、そのまま口を開けていなさい。私が飲ませてあげるわ」

 

 …はい?

 ユキノは少し恐怖を覚える笑みを浮かべながら回復薬を俺の口元まで持ってくる。流石にこの歳で飲ませてもらうというのは恥ずかしいので拒否しておく。

 

「いや、一人で飲めるんだが…」

 

「いいから」

 

 俺の拒否を一蹴し先ほどよりも近くまで持ってくる。こうなったユキノはいくら抵抗しても無駄だ。なので俺は諦め、回復薬を飲ませてもらうことにした。仕方なく。

 

「ふふ、それでいいのよ」

 

 回復薬を飲み、さっきの爆風のダメージはだいぶ癒えた。アークスの技術ってすげぇ。

 ユキノは俺に回復薬を飲ませたことに満足したのか、立ち上がり俺に手を伸ばしてきた。

 

「ほら、もう立てるでしょう?少し休んで先に進みましょう」

 

 俺はユキノの手を借りず、自分で立ち上がる。ユキノが不満そうな顔をしていたが、気にしない。

 

「いや、休まなくても大丈夫だ。それにあと三十分ぐらい進めば目標地点だ。さっさと終わらせようぜ」

 

「そういうなら、進みましょうか」

 

 そう言い、再び一緒に並び歩き出した。

 

 

 

 

 五分ぐらい歩いたところで俺たちは小さめの広場のような場所に出た。

 

「他にテストを受けている人たちは今頃どうしているのかしらね。あなたの友達の…ヨ、ヨシ…なんとかくんやサイカくんたち」

 

「ヨシテルな、いい加減覚えてやれよ。あと、あいつは別に友達じゃない」

 

 なんなら知り合いでもなんでもないまである。ほんと、あいつ俺を見かけるたびに「ハチえもーん!」とか言って寄ってくるの何なの。デカくてびっくりするんだよ。だがサイカは天使。今頃どうしてんだろうなぁ…無事試験を終えたら一緒に惑星探索したい。

 

「そういえば、ヨシテルくんとサイカくん。確か今回の試験、ペアだったはずよ」

 

 なんだとあの野郎…後で殴っておこう。

 

 そんなことを話しながら進んでいると突然ビーッビーッという音とともに通信が入る。この音は確か…緊急連絡時のものだったはずだ。

 

『管制よりアークス各員へ緊急連絡!惑星ナベリウスにてコードD発令!フォトン係数が危険域に達しています!』

 

 コードDだと…?コードDは確か…

 

『繰り返します。惑星ナベリウスにてコードDが発令!空間侵食を確認、出現します!』

 

 その瞬間、俺たちの前方の地面に突如赤黒い穴が複数出現した。そしてその穴から四本脚の黒いモノが現れた。

 

「ハチマンくん。あの禍々しいフォトンは…」

 

「あぁ、あいつらは…」

 

 ユキノが怯えと怒りを含んだ様子であいつらを睨む。

 あいつらから感じるこの禍々しいフォトン。あの時のあの煙から感じたものと同じもの…。

 オペレーターは酷く慌てた口調で通信を続ける。

 

『ダーカー出現を確認!空間許容限界を超えています!』

 

『全アークスへ通達!最優先コードによるダーカーへの厳戒令が下されました!』

 

 俺は心の底から湧き出てくる黒い感情を抑えながら奴らを睨む。

 

「あいつらが、ダーカー。アークスの敵で、宇宙の敵で、すべてを食らい尽くすもの。そして、俺たちの姉さんを、ハルノを奪って行った奴らだ」

 




どうも、函南です。

今回は『空中機雷』と『回復薬』について説明します。

『空中機雷』は普段は見えず、アークスが近づくと音を鳴らし、一定のカウントをしたあとに爆発するトラップです。しかし、レンジャーは他のクラスとは違い、見えない機雷を視認することができます。
『空中機雷』以外にも捕縛トラップなどがありますが、ここでは割愛させていただきます。

続いて『回復薬』。『回復薬』にはさまざまな種類があります。値段は一番安いが回復量も少ないモノメイト。値段もそこそこ、回復量もそこそこなディメイト。値段は一番高いが、完全に回復できるトリメイト。ほかにも状態異常を回復するソルアトマイザーや広範囲を回復するスターアトマイザー、戦闘不能状態を回復するムーンアトマイザーがあります。しかし、ムーンアトマイザーはこの作品では出てこないと思います。

それでは今回はここで。

読んでいただきありがとうございますした。
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