やはり俺がアークスなのは間違っている   作:函南 佳奈美

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ずっとこの日を待っていた 5

 休憩を始めて十分が経過した。運良くダーカーが現れることもなく無事に過ごすことができた。おかげでユキノも体力を回復することができた。これでまた走ることができるだろうが、無茶はできない。また体力が消耗しても今度は休憩できるかどうかわからないからだ。今回は本当に運が良かったといえる。

 

「ねぇハチマン君。さっきも言ったのだけど、どうして突然ナベリウスにダーカーが現れたのかしら。今までナベリウスにはダーカーはいないとされてきたはずなのに」

 

 ユキノがダガンの群れを突破するときに言っていた疑問を投げてきた。

 ナベリウスにダーカーはいない。そのことは研修生時に座学で教わっていた。実際ここナベリウスは数十年の間ダーカーの出現がなく、比較的安全な惑星とされていた。だから俺たちのような研修生の修了試験の地とされていたのだ。しかし突然ダーカーが現れた。ユキノが疑問に思うのも当然だろう。

 

「なぜだろうな、ナベリウスになにか狙いがあるのか、ダーカーの勢いが増してナベリウスにまで手を出し始めたのか。疑問は尽きないが今は考えてもどうしようもないだろ。今は生きて帰ることだけ考えようぜ。それに、そういう疑問は上の連中が調査してくれるだろ」

 

「相変わらずお気楽ね……まぁいいわ。もう休憩は十分とれたし、そろそろ行きましょうか。生きて帰るために」

 

 ああ、と言って俺たちは立ち上がり、再び歩き出そうとしたときだった。俺たちが走ってきた道から二人組がやってきた。片方は金髪のニューマンの少年、もう一人はよく知ったデュ─マンの少女であった。

 

「おーい、ハチマンたちー、無事かーい!」

 

 デュ─マンの少女が俺たちを手を降りながらこちらにやってくる。どうやらあちらも無事だったようだ。

 

「良かった、無事みたいだね。立ち上がるところが見えたからどこか怪我でも負って休んでたのかと思ったよ」

 

「別に怪我とかじゃない、単に走って疲れたから休んでただけだ。お前も無事でなによりだよ、フレイヤ」

 

 まぁね、と少女は笑いながら答えた。

 彼女はフレイヤ。クラスはフォース。研修生のとき俺やユキノ、ヨシテルと同じようにぼっちでそれゆえに何回かペアやチームを組んだことがある。正直こいつの性格ならぼっちになることなどないと思うのだが、フレイヤがぼっちになってしまった原因は種族にある。デュ─マンという種族は最近出現した新しい種族で、そのため数が少なく、謎が多い。両目の色が違ったり角が生えてたり、肌に模様があったりとニューマンやニューマンにはない特徴を持っている。アークスという大きな組織では差別はないが、研修生という小さなコミュニティではそうはいかず、フレイヤは周囲から避けられていた。

 

「会えたのが君たちでよかったよ、二人だけというのも心細いし一緒に行動しない?アフィン君もいいよね?」

 

「ああ、大丈夫だぜ相棒。それにしてもよかったぜ、他の試験生に会えて……」

 

 アフィンと呼ばれた金髪のニューマンはフレイヤの提案に賛成し、安堵していた。聞けばこいつらもダーカーの群れに遭遇し、逃げてきたところだそうだ。

 ……っていうかこいつ今フレイヤのこと相棒って言った?どういう仲なんだ……。

 

 

 

 

 

 

 俺たちはフレイヤとアフィンを加え四人で歩き出した。しばらく歩いたところで俺たちの前に他の試験生の姿を見つけた、どうやら一人になってしまっているようだ。

 

「おい、おーい、無事かー!」

 

 アフィンが大声を出し前方の試験生に手を振り出した。試験生もこちらに気づき、振り向いて手をあげた。

 

「よかった、こっちは四人で……」

 

 アフィンが安堵した声でこっちに呼ぼうとした瞬間だった。試験生の背後からダガンが出現しそのまま彼に斬りかかった。彼は背後からの不意打ちにやられ、そのまま倒れてしまった。

 

「あ……ああ…………そ、そんな……冗談だろ‥…」

 

 アフィンは振っていた手をだらんと下げ、絶望の表情を浮かべていた。

 

「あんなにあっけなく……人がやられるなんて……」

 

 フレイヤも信じられないというように首を振りながら呟いた。ユキノも似たような状態だ。俺もにわかには信じられなかった。先程のダガンの群れに追われていたときのことを思い出す。もしあそこで追いつかれていたら彼と同じようにあっけなく死んでいたかもしれない。突破に失敗し、ダガンの攻撃を受けて死んでいたかもしれない。そんな恐怖が身体を支配し、震えさせる。

 試験生を殺したダガンの横に新たに二体のダガンが現れる。三体になったダガンたちは俺たちに狙いを定め、こちらに襲いかかってこようとしていた。

 応戦しなければ殺られる。俺たちはそれぞれの武器を構えるが先程のショックで身体が思うように動かない。

 

「なんでこんなにたくさん来るんだよ……何が目的なんだよお前らはっ!」

 

 アフィンがダガンたちに震え声で叫ぶが奴等は止まらない。奴等との距離が数メートルになり、中央のダガンが前足を振り上げた。

 ───殺られる。

 その瞬間だった。発砲音とともに三体のダガンが倒れ、消滅したのだ。

 レンジャーであるユキノとアフィンを見るが、二人とも目の前で起こったことにきょとんとしている。こいつらがやったわけではないようだ。では誰が……

 

「いや、恐ろしいくらいドンピシャ。悠長なエコー置いてきて正解だったぜ。おい、おまえら、大丈夫か!」

 

 俺たちの背後から声が聞こえ振り返るとそこには、ガンスラッシュを構えた赤髪の顔に傷があるヒューマンの男性がいた。




どうも函南です。

今回出てきたアフィンはPSO2に出てくるキャラクターの一人ですが、フレイヤはオリジナルのキャラとなります。

アフィンはニューマンの男性でクラスレンジャー。フレイヤはデュ─マンの女性でクラスはフォースです。

それでは今回はこれで。

読んでいただきありがとうございました。
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