2017/3/34 修正
今日は荒巻と二人で沼地に来ている
書士隊の任務だが、討伐任務を兼ねている
内容はゲリョス亜種が大量発生したらしく
少なくとも20頭以上が確認されたとのこと
ゲリョスは群れとしての個体数が、多くても10頭前後なので
今回の大量発生は恐らく2つの群れが偶然おなじエリアになわばりを取った可能性がある
私はこういった連続狩猟が得意である
G級特別許可ランクの個体であっても、
ゲリョス程度なら会的して30秒以内に仕留めることが可能だ
荒巻でも、ものの数十秒で仕留めるだろう
(平均的なG級特別許可証ハンターのゲリョス狩猟時間は1時間~2日
kingと同等のハンターは国に1人いるかいないかのレベル)
荒巻と1時間足らずで24頭のゲリョス亜種を討伐した私たちは
各々の調査も終え、現地キャンプで晩御飯にしようというところだった
しかしここで私は「しでかして」しまった
サクマに渡された弁当を忘れてきてしまったのだ
もちろん荒巻の分もだ
荒巻にその経緯を話すと非常にへこんだ様子でタバコをふかし始めた
あたりは暗闇になっていて夜虫の鳴き声が静かに響く
しかたない、と一言言って一人でフィールドへ繰り出す
荒巻には火の番をお願いした
というより今回は私が飯を何とかするのが筋である
空腹だ
サクマが今朝用意してくれた
温野菜とチキンのグリル弁当を楽しみにしていたからなおさらだ
ちなみに、私も荒巻もスタミナを回復するアイテムはドリンク剤しか使用しない
肉を焼く暇があるならその間に戦闘が終わってしまうからだ
さて、
フィールドに出た私はどうするか考える
あまり遠くに出ても帰りが遅くなってしまう
というわけで一番近い洞窟に行くことにした
このフィールドの洞窟は水晶の結晶が壁一面を覆っており
その水晶は微小な振動によって発光する性質をもっているため、夜でも明るい
(風や地核の動き程度の振動で発光する)
ここなら「例のアレ」を見つけることが出来るだろう
壁伝いに歩いていくと、ところどころに水晶が強く光っている場所がある
私は持ってきたボロピッケルを振りかぶると、水晶が壊れると同時に
赤子の泣き叫ぶような音が鳴り響き、何かが飛び出してきた
壁から飛び出してきたソレを
私は横からしっかりと両腕でキャッチし、そのままギュッと力を込める
バキバキと骨が折れた感触を確かめて
肩に担いでキャンプまで持ち帰る
キャンプに着くと、荒巻はゆっくりこちらを見上げて
私の抱えている白い獲物を見た
そう、こいつはフルフルベビーだ
フルフルベビーとはその名の通り、電竜フルフルの幼体で
湿地や寒冷地の外壁を巣穴とする習性がある
他のモンスターの体内に寄生することもあるが、この場合生存率はかなり低い
フルフルの成体の体内(臓器内)には、
強酸が充満している
この酸があの雷ブレスのもとになるのだが、それはまた別の機械に話そう
フルフルは、産卵時に強酸を外壁にねじこみ巣穴を作る
穴の大きさは小タル3個分ほどだ
その穴の中に粘液状の卵の集合体を産卵する
その数約15~20ほど、一つのたまごの大きさは握りこぶしくらいだ
親はその穴を完全にふさぎ、後の育児は一切しない
卵は1週間程で羽化し、親の残した体液を食べて大きくなる
その体液がなくなると、子供たちは共食いをして最後の1匹がその巣穴の主となる
羽化して1か月ほどで巣穴に収まりきらなくなり、外へと出るのだが
不思議なことにこの時点では手足が生えていない
書士隊の調査では穴倉で生活するには必要ないから、という見解が一般的だが
ここ最近の調査では、「生えていない」のではなく
「引っ込んでいる」というのがどうやら正答らしい
実際に近似種のギギネブラ(ギィギ)やザボアザギル(スクアギル)も
同様の成長過程があるようだ
フルフル成体の、皮と肉の間には「霜降り」と呼ばれる部位があり、
まさに霜雪のようないわゆる「さし」の入った肉なのだが、
その見た目とは裏腹に味はとても不味い
更に腐食も早く、討伐してから剥ぎ取ると、肉に触れるまでに腐ってしまうレベルだ
(条件が揃えば、素材として確保することもできる)
だが、フルフルベビーとなると話は別だ
筋肉がついておらず、ほとんど動かない生活をするため、
とても柔らかい皮が分厚く付いているのだ
その厚さ約5cmほど
もっちりした食感で、コラーゲンがたっぷりだ
肉は薄桃色で、脂がたっぷりと乗っている
臭みもなく、非常に食べやすい
ハリマグロの大トロのようなとろける食感だ
フルフルベビーはその見た目と気持ち悪さから、食用にするハンターはまず居ない
しかし一部の美食家たちにとっては高級食材でもあるのだ
(雪国などでは採取クエストとして生きたまま持ち帰ることもある)
さて、今説明した内容は全部言葉にして荒巻に説明したわけだが、
彼の口からは涎があふれていた
それもそうだろう
空腹な上にたいそうな講義をしてしまったせいで
荒巻の頭の中はもうフルフルベビーでいっぱいだ
大きな岩の上にフルフルベビーを乗せ
ナイフで綺麗に捌いていく
プリンでも切っているかのように柔らかい
皮はほとんど脂質なので、細かく切って
ホルモン焼きのように整える
桃色のトロ肉は拳サイズに切り分けて鉄串に刺す
キャンプ地に生えていたユリ科の植物の球根を間に挟めば
豪華な焼き鳥の出来上がりだ
荒巻には高級肉焼きセットを準備してもらって
2人で火を囲む
数十秒、じゅぅぅう、とまんべんなく火を当てる
ポーチに入れていた醤油(東方の調味料)をたらりと垂らす
さて、こんがりきつね色に焼きあがった肉をかぶりつく
じゅわ、っと唇に油が絡み付き、口内から涎があふれ出るのを感じる
噛んだ感触さえ分からないほど柔らかいそれは
口の中で暴れ花火のように旨みが広がった
もぐもぐと口を動かすと、あまりの柔らかさにすぐに呑み込んでしまう
芳醇な肉の香りと醤油のアクセントが非常にマッチしている
次に皮のあぶり焼き
少し強めに火を通し、岩塩で味付けしたものを口の中に放り込む
パリッとした感触の後に、トロッと溶けた脂があふれ出す
噛むたびに旨みが染み出してくる
これも味付けは岩塩のみだが、
それだけで本当に充分だった
酒が無いのが残念だが、二人で無言になって食べ尽した
捕えたフルフルベビーは重さ約8kg(この内食べれるのは4kg程度)
ものの30分ほどで平らげた後、
明日早朝までの送迎便まではゆっくりと寝ることにした
家に帰ると、サクマはプンすか怒って猫パンチをかましてきた
何度も謝ったが、決して豪華な焼き鳥を食べたなんて
言えるはずもなかった…
荒巻もなんだかんだ凄腕ハンターです。
kingはパワータイプの天才型
荒巻は回避タイプの秀才型
バルバレ支部の書士隊、ハンター含め随一の実力を持っています。