-王立書士隊バルバレ支部-   作:みーきんぐ

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好きな髪形は一つ結び一回転ひねり?です。

今回もよろしくお願いします。

2017/3/29修正


出会い編 リリ

バルバレに戻った私は

すぐにサクマに防具の着物部分の洗濯を頼んだ

 

サクマは鼻を抑えながら外へ持って行っていた

 

さっとシャワーを浴びてジンベイとハラマキを羽織る

 

 

籠手(腕防具)は塗装が剥がれてしまったため

工房のオヤジのところへ持っていく

 

オヤジはその籠手のありさまを見て

すぐに私の両手を引っ張ってまじまじと見た

 

まるで私の先日起こった出来事を全てわかっているかのようだった

 

 

しかし私の腕はベリルの良薬のおかげで、やけど跡は一切なく

オヤジは不思議そうな顔をしていた

 

仕事は半日で請け負ってくれるという

焼き付け塗装のみでお値段16万ゼニー

 

部分修正は経費がかさむうえに

耐熱塗料も上乗せしたので、なかなかのお値打ちになった

(G級クラスの防具一式セットでだいたい15万ゼニー程度)

 

 

バルバレ支部に着くと受付嬢に連絡し狩猟報告をする

書士隊の連中はすでにグラビモスの眼球とラングロトラの皮を持って行ってたようだ

 

 

VIPルームでくつろいでいると、ベリルが部屋に入ってきた

一応新米ではあるが、私の許可を貰っているので同伴で入室ができるのだ(1名まで)

 

彼女は、紺色のビキニにホットパンツとサンダルという

私以上にラフなスタイルだった

 

健康的な小麦色の肌がまぶしい・・

 

しかしながら、彼女の髪はびっしょり濡れていた

曰く、シャワーの後は自然乾燥主義とのこと

 

さすがに濡れすぎていたので

部屋のタオルでゴシゴシ拭いてやった

 

 

彼女は私の両腕のことを心配してきてくれたらしい

 

大丈夫だと一言答えると、いつもの笑顔で

今度は私の頭をゴシゴシと撫でてくれた

 

 

 

ベリルは明後日から荒巻と任務があるらしい

今度は「寒冷地」、ということですごく嫌そうだった

 

南国人にはきつい任務になるだろう

 

 

疲れも溜まっていたようで、

これから帰って寝るらしい

 

その格好で寝られると風邪をひきそうだと、

冗談で私のハラマキをあげると、ベリルはその場でつけて帰って行った

(に、似合わない・・・)

 

 

 

さて、少し経つと、今度はリリがやってきた

 

 

この子の普段着はいつも貴族みたいな恰好をしている

 

今日はマキシ丈で水色のパステルカラーのワンピースに、

薄手の白いカーディガンを羽織っていた

 

服に対して色白の肌と金髪がよく似合っている

(どこかの元気娘とは全く違うなぁ・・・)

 

 

リリは私の対面に座り明日の打ち合わせが始めた

 

 

明日の任務は遺跡平原での大連続狩猟になる

しかも「6体連続」で、全て「キングサイズ」とのこと

 

ギルドはクエストの難易度を決めかねて

書士隊に託したのだという(というか私に)

 

 

リリは話の途中

私の隣に座り、私の目をじっと見て話をしていた

彼女にもまた、自分が見透かされているような気がした

 

ただその感覚は工房オヤジの時のようなものではなく

心をえぐられているかのような、そんな感じがした

 

 

 

話が終わると、彼女はいつものふわふわした温厚な空気に代わり

仕事帰りの私を気遣って夕食に誘ってくれた

 

 

日も暮れかけ、二人でバルバレの下町を歩く

 

夕暮れ時のバルバレは、きれいな橙色に包まれて

全てを温かく感じる様だった

 

その日の店じまいを始めている露店の並ぶ景色に、

少し哀愁漂うものを感じた

 

 

道中、工房のオヤジのところに寄ると

すでに籠手は完成していた

 

 

 

「綺麗だ」

 

 

一言つぶやいてしまったことを後悔する

オヤジはにやにやしながら嬉々として反応する

 

うざい・・・

 

新しく塗られた籠手は元の黒一色に対して、

黒地にぼんやりと赤色の煌めきを持っていた

 

ツヤのある表面には金火竜の鱗を用いた彫刻が打ち込められており

東洋の伝説の生き物「龍」があしらわれていた

 

工房オヤジによるとかなり赤字で拵えてくれたみたいだ

 

そもそも彫刻は頼んでいなかったし

どうせ弟子の制止を振り切って凝ったものを作ってしまったのだろう

(さっき弟子が工房の後ろで泣いていたのはこれか)

 

籠手を袋に入れてもらい

再度歩き出す

 

 

夕暮れが夜を連れてくる頃

町の広場では夜の屋台が立ち並びはじめる

 

 

家に寄って籠手を片付けた

 

私の大和【極】装備は、重々しい甲冑姿ではなく、

肩当や兜を外した軽量装備である

 

籠手のような当てものは他に胴当て、脛当て、腰巻くらいだ

あまりにも綺麗になった籠手と比べると、他の当てものがずいぶん霞んで見えた

 

どうせなら他の防具も新調してしまおうかなぁ

 

 

準備を終え、サクマを呼び出して肩に乗せた

彼女はリリに撫でられてにゃふにゃふ鳴いていた

 

 

港の方面にある木造の建物に入る

 

ここは最近できた海鮮料理屋らしい

中は白熱色の照明と、窓のない開放感のある室内だった

 

仕切りもなく、オープンにテーブルが並べられており

100人近い人がわいわい騒ぎながら飲み食いしていた

 

集会所とは違って普通の市民や竜人族もいる

 

 

私たちが中に入ると少しの静寂が生まれた

 

前にも同じようなことがあったが、最近ではリリも有名人になったようだ

彼女は私と荒巻、そしてベリル以外のハンターと一切狩をしない

 

彼女もその容姿のせいか、男女ともに引く手数多のようだ

 

 

変な輩に誘われることもしばしば、その全ての誘いを断り

暴漢などは片手であしらっているそうだ

(この細い腕足のどこにそんな力があるのか・・・)

 

 

ちなみに、私以外の3人の仲間を簡単に数値化(相対比較)すると

 

荒巻:力50俊敏100

リリ:力90俊敏20

ベリル:力25俊敏45

 

ざっとこんなところだ

そうそう、最近荒巻がリリに腕相撲で負けてしょげていたなぁ

 

 

テーブルに着くと、

近くから子供用の高い椅子を持ってきてサクマに座らせる

 

サクマはお礼を言ってぴょんと席に着いた

私は空いている椅子にポーチを置く

 

リリはふふっと笑って私を冷やかす

 

ここは集会場じゃないのに、どうやらテーブルに座ると

ポーチを置く癖がついてしまっているようだ

 

 

しかしだ・・・

 

私は彼女の笑顔についドキッとしてしまった

 

 

あまりプライベートでの食事などしないためか

もしくは武器を置いてドレスを着ているためか

 

私は少しだけ、その綺麗なグリーンの瞳に集中してしまった

 

リリはきょとんとした顔で私と目を合わせると

もう一度にっこりと笑ってくれた

 

 

サクマがウェイターを呼ぶと

若い青年が注文を取ってくれ...って弟子!?

 

最近なんだか驚いてばかりいる気がする

彼は営業スマイルでてきぱきと注文を取ってくれた

 

まったく、神出鬼没な奴だ

さっきまで工房にいたのに

 

 

注文したのは

サシミウオの浜焼き

ハリマグロのお頭煮付け

キレアジと枝豆のなめろう

ケルビの軟骨つくね串

キャラバン御用達海鮮炒飯

といったコースだ

 

どの料理も鮮度の良い魚を使っていて非常に美味だ

サクマも目を縦線にして夢中になって食べていた

 

 

 

食事中の話題は次の大連続狩猟にについてだった

 

6体のモンスターの狩る順番が一番の重要ポイントだ

 

リリ自身も力試しがしたいというのがあるだろうから、

戦闘に参加させる必要がある

 

 

狩猟するモンスターは

 

イビルジョー(飢餓)、ショウグンギザミ(亜種)、ディアブロス(亜種)

ナルガクルガ(亜種)、ラギアクルス(亜種)、テツカブラ(変種)

 

テツカブラは何かしらの変異が確認されているらしいが詳細は分かっていない

揃うことが珍しいメンツなので、組み合わせ次第では厄介になるだろう

(経験から言うと、3体以上の異種が同フィールドに存在することはほとんどありえない)

 

変種個体は数が非常に少なく、希少種として認定されないレベルの情報量になるので

この個体だけは私一人で狩ることにした

 

 

 

だいぶ話し込んでいると

肴が旨いせいか、いつもよりもアルコールを摂りすぎてしまっていたようだ

 

便所に行くために立ち上がると、

ふらっと視界が崩れる

 

 

さっとリリが動いて肩を貸してくれた

ゆっくり席に戻して貰い、水を飲まされた

 

彼女は普段弱みを見せない私がこんな状態であるのが珍しかったらしく

ちょっと意地悪な笑顔でからかわれた

 

サクマは弟子店員を呼んでお会計を済ませた

 

店の外は少し肌寒いまさに砂海の夜で、

冷えた風が心地よく感じた

 

リリに肩を預けたまま近くのベンチに座った

彼女は私が倒れ無い様に、すぐ横で体を支えてくれた

 

サクマは一旦うちに帰って酔い止め薬を持ってくるそうだ

まさか女性二人に飲みで助けられるとは・・情けない

 

 

肩を預けているリリの体から努力の証(筋力)が伝わる

私や荒巻に合わせるために、必死に特訓したのだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを考えていると、リリが口を開けた

 

 

「kingさんは、奇跡・・・信じますか?」

 

 

最初は何を話しているんだろうと思ったが、

彼女の口調ははっきりとしていて、冗談ではないとすぐに理解した

 

 

奇跡・・・か

 

 

これまでたくさんの出会いがあった

 

特にこのバルバレに来て、

自分が変わっていくのを少しずつ感じてきた

 

楽しいこともあったが、考えさせられることもあった

だが、モンスターに対する憎しみは何も変わらなかった

 

今の自分は目的のために動けているだろうか

最短距離で目標に向かって走れているだろうか

 

 

いろんな感情が渦巻いて、私がリリにぽつりと返した言葉は

 

 

 

 

「信じない。」

 

 

 

 

この一言だった

 

酔いのせいであまりよく状況が呑み込めていなかったが

リリは私の言葉を聞いて、俯きながら少し悲しい目をしていた

 

 

サクマが薬を持ってきた頃には立てるくらいに回復していたので

リリに面倒見てもらいながら帰宅した

 

 

お互いの自室に入る前に、

彼女は私にこう言った

 

 

 

「私は、kingさんに出会えてよかったです。荒巻さんもベリルちゃんにもです。

 これからも、一緒に頑張っていきましょうね。」

 

 

どうしたんだ改まって、と思ったが

照れくさいのを隠しながら、軽く返事をしておいた

 





kingの能力を数値で表すと

力150俊敏90

ってところです

本格的な化け物って感じです。


次回も見て頂けると嬉しいです。
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