-王立書士隊バルバレ支部-   作:みーきんぐ

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だいぶ寒くなってきましたね。

私の住む地域は風が強いので余計寒く感じます。

今年こそはインフルエンザにかからないよう気を付けたいと思います。


今回もよろしくお願いします。

2017/4/4 修正


出会い編 闘志

 

朝目が覚めると、リリはすでに起きており

防具を着込んでいる所だった

 

 

ゴシックメタルシリーズは、貴族の礼装のような白いシャツと、

裾が広い紺色スカートに黒タイツという、普段着の様なインナーを使用する

 

このようなスタイル(防具)は意外と多く、

水着タイプのインナーであったり、スーツがインナーだったり、

中には普段着の中に防具を着込むようなスタイルも存在する

 

リリはきちっと礼装を整え、その綺麗な金髪を結っていた

 

 

 

私が起きたことに気が付くと、いつもの笑顔で挨拶してくれた

昨日の事が無かったかのようにふるまってくれていたので、とても気が楽だった

 

 

リリはインナーに防具を装着していく

近くに置いてあった膝の部分の防具を持ち上げると、金属とは思えないような軽さに驚いた

 

たしか、書士隊技術部の試作品とか言っていたな

かなり金をかけて作られていることが、見て取れる

 

彼女が防具をつけている間に、私もインナーと着物を羽織る

 

東方系の防具のインナーは薄手の着物なのだが、

着くずれすることがあるので、普通の洋風インナーの上から羽織ることがほとんどだ

 

手早く防具を身に着けると、リリも準備が終わっていた

 

 

大きく開いた胸元からは、透き通るような肌が見えている

 

ゴシックメタルシリーズは頭防具が無いのが特徴だが、

それよりも胸元の開き方がすごいのだ(女性用にかぎり)

 

 

 

 

この防具を考案した連中の下心が、

少しだけわかったような気がした・・

 

 

 

 

再度ポーチを確認して、

さっそくフィールドへ繰り出す

 

途中イャンクック2頭(上位クラス)に遭遇したが、2人で瞬殺して通過する

剥ぎ取りはせずに討伐するのは気が引けるが、時間も惜しい

 

 

目的地に着くと、ヤツはやはりそこにいた

体中から龍属性を放出しながら、死肉をむさぼっている

 

 

 

まずは身を隠し、

罠の準備を行う

 

2人同時にけむり玉を使用し、

2か所に痺れ罠、6か所に眠り生肉を設置する

 

しかし、けむり玉の効果が消える前に、

イビルジョーは匂いで私たちを察知し、威嚇の咆哮をあげる

 

 

私はすぐにリリを後方に下げ、戦闘準備をする

 

ポーチから鬼人薬Gを取り出し一気に飲み干す

 

 

鬼人薬は怪力の種から抽出した成分によって

一時的に筋肉の収縮スピードを向上させる薬だ

 

代償としては、時間が経つと疲労度が高くなり、

全身に痛みが出ることがある

 

 

体中の感覚が高まり、自重さえ軽く感じる

 

 

イビルジョーまでの距離は約30m

けむり玉の効果が完全に消え、視界が晴れる

 

 

私は全力でヤツに向かって走り、

「いつもの」真正面からではなく、時計回りに回り込む

 

イビルジョー(飢餓)は鋭い嗅覚の割に視覚が弱い

これは、体中から溢れ出る「龍属性」が視力を蝕んでいることが原因といわれている

 

 

かく乱するように、スタミナを消耗しながら動き回る

更に毒投げナイフを使って「毒状態」にする

 

毒状態によって、

イビルジョーの動きが鈍くなる

 

 

そして今日初めて、

渾身の一撃を膝に叩き込んだ

 

 

振り上げられたブレイズブレイドχは、爪を射出していない

しかし大剣の先端にある大きな金属の刃は、確実にヤツの皮を切り裂いていた

 

ブレイズブレイドχの形状はブレイズブレイドと何ら変わりはない、少し小さいだけだ

先端部のカギ爪は、やつに対抗する私の唯一の「武器」なのだ

 

だが、傷は浅い

 

 

斬り裂いた傷口からは流血すらしておらず、

龍属性がバチバチとキズを覆っていた

 

一度距離を取り、痺れ罠へ誘導する

 

リリに合図を送り、マヒ投げナイフを準備させる

 

 

 

掛かった

 

 

 

イビルジョーは痺れ罠の起動装置を踏んで、

高圧電流を全身に浴びる

 

筋肉は硬直し、動きを止めることに成功した

 

私は両手で柄を持ち、声を荒げて切りかかる

大剣の連続攻撃、「デンプシー」だ

 

 

切っ先のみでやつの顔面をめちゃくちゃにしていく

やつは声も上げれず詰まったような鳴き声をあげている

 

痺れ罠が切れると同時に私は大きく距離を離す

イビルジョーは更に猛り狂い、筋肉は皮膚を割らんばかりに膨張している

 

全身から龍属性を垂れ流し、猛烈な突進を繰り出す

 

距離は約20m

避ける余裕はない

 

素早くポーチに手を入れ、

一番取り出しやすい位置にしまっておいた「それ」を取り出すと

衝突の寸前で、イビルジョーの顔面に思いっ切り投げつけた

 

 

「こやし玉」だ

 

 

強烈な腐臭を放つこのアイテムは、着弾したところで爆発するしくみだ

ちなみに中の構造については、あまりにも汚い話になるのでやめておく

 

 

突然の臭気に、イビルジョーは急停止して大きく仰け反る

すかさず私は大声を上げる

 

 

「今だ!リリ!」

 

 

次の瞬間、イビルジョーは仰け反ったまま背中から倒れこむ

大きなおなかが丸出し状態だ

 

 

 

そう、この策は、こやし玉をくらった時のモンスターの反応から考えたアイデアだ

リリはこのタイミングのためにマヒ投げナイフを用意していた

 

通常の麻痺であれば、立ったまま硬直させることが出来るのだが、

必ずしも優勢になるわけではない

 

 

特に相手はイビルジョー(飢餓)だ、ほとんど弱点が無い

しかし麻痺状態であれば、一時的にその力を抑えることが出来る

 

 

しかも、先ほど毒状態にしたことで、一時的に体内の免疫を落とし、

麻痺の効果をさらに上げるという特典付きだ

 

 

こんなことが出来るのも今までの経験のおかげだ

久しぶりにハンターらしい戦い方をしているが、まぁ、悪くない

 

 

体の免疫が一時的にダウンしたイビルジョーは、

その体から放出している龍属性も今だけはかなり少ない

 

ここで一気にたたみかける

 

 

やつの腹の上に乗った私は、股関節の柔らかい部分を狙って

一ヵ所のみをめった突きにしていく

 

ようやく皮膚に刃が通り、血しぶきが舞い上がる

これだけの「入口」があれば十分だ

 

 

腹の上で跳躍し、武器を大きく振り上げる

自らの体重と武器の重さに重力加速度を加え、

 

ずぶり・・・とブレイズブレイドχの刃をやつの肉に沈めていく

 

 

 

力一杯かつ繊細に、骨と骨の間、筋肉の間を縫うように刃を滑らせ侵入させる

この芸当を使うのは久しぶりだ

 

私にとってモンスターの骨格、筋肉の付き方、臓器の位置なんてものは

全て頭の中に叩き込まれている

 

モンスターがじっとさえしてくれれば

生きたまま3枚卸にすることだってできる・・・と思う

 

 

 

ちょうど柄の部分まで突き刺したところで、

ブレイズブレイドχの先端の爪だけを射出する

 

 

ぐしゃん・・・・

 

 

射出した爪が心臓を貫く感触を確認する

 

 

しかしここでやつの麻痺状態が切れる

時間を使いすぎてしまった

 

心臓を潰されたというのに、すさまじい勢いで立ち上がると

私はその反動で吹き飛ばされ、武器を手放してしまった

 

 

 

・・・語弊があった、武器は刺さったままなのだ

 

 

 

地面に激突させられたが、なんとか受け身を取りすぐに起き上がる

 

 

 

 

目の前には全身からこぼれるように龍属性をまき散らす「凶暴竜」がいた

溢れる龍属性はイビルジョーの全身をつつみ、まるで別の生物のようだ

 

 

 

心臓を失ったというのに、なんという闘志だろう

 

 

 

その強い闘志は一点、私の瞳に向いていた

 

私は、動くことが出来なかった

 

 

 

やつは咆哮を呻るように鳴らし、ゆっくりと前進する

余裕があるのだろうか

 

否、それが限界なのだろう

 

 

私もまた、限界だ

体は動かない

 

 

このモンスターの闘志に、「私は負けた」のだ

 

 

 

 

 

 

 

 

やつは大きな口を開けて私を屠りにかかる、その時だった

 

 

 

 

 

 

炎の燃えたぎる音が私とイビルジョーの間に現れる

正体なんて他にいようがない、リリだ

 

 

彼女は煌剣リオレウスの切っ先で、

イビルジョーの上あごを突き上げていた

その眼は力みで血走っている

 

 

本当に切っ先だけ突き立っていて、刃は通っていない

 

 

邪魔されたことに怒りをみせたのか、

イビルジョーは唸りをあげながら彼女を潰しにかかる

 

 

リリは必死に踏ん張るが、足首は地面に沈んでいる

煌剣を支える両腕も震えている

 

 

 

やつの体が大きく膨らみ、ブレスを放とうとする

心臓はもう止まっているはずだ、何故ここまで動けるのか

 

 

 

 

考える余裕は無かった

 

リリが叫ぶ

 

「っ・・・、king!!」

 

 

 

 

尽きかけた全身に力がみなぎる

 

 

 

 

気が付くと、ブレスを吐こうとするその大口の下に立ち

自らの筋肉がちぎれるほど強く、アッパーパンチを突き放っていた

 

大和【極】の籠手と煌剣リオレウスが摩擦され、

さながら炎の一撃のように手元が発火する

 

 

リリの大剣はその勢いで弾き飛ばされた

 

そしてイビルジョーはブレスを放つが、

その口は私の拳で閉ざされていた

 

 

 

ブシャっと肉がつぶれる音と

大量の龍属性が私に降りかかる

 

 

 

そして、終にイビルジョーは力尽き、

その巨体は地面に沈んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は全身に龍属性を浴びてしまい、体中に赤黒い雷が纏わりついている

意識はあるのだが、どうにも体が言うことを聞かず、腰から崩れ落ちてしまった

 

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

リリが後ろから支えてくれる

どうやら彼女は龍属性を浴びずに済んだようだ

 

 

良かった

 

 

彼女はポーチからウチケシの実を取り出し

私に食べさせようとするが、口が開かない

 

しかし困った様子も見せず、リリは片手でその実を握りつぶすと

そのまま私の口にねじ込んだ

 

急にのどに異物が入り、うっと吐き気を催す

 

 

しかし次の瞬間

 

ゴクリと音が鳴り、ウチケシの実は私の喉を通った

 

リリが水を口移しで与えてくれたのだ

 

 

正直視界はぼやけていてはっきりとは覚えていないが、

その時の彼女は、まるで別人のような気配だった

 

言いようがないが、

「白く澄んだ温かい光」のような・・・

 

 

 

 

とにかく、リリであって、リリでない

そんな感じだったのだ

 

 

 

すまない、と謝り、立ち上がる

体はちゃんと動いてくれているようだ

 

ただ右手は火傷と筋肉の断裂

全身打撲で満身創痍に変わりはない

 

リリは心配して肩を貸そうとしてくれたが、大丈夫だと断った

 

 

 

 

 

 

凶暴竜の前まで行くと、私は驚愕した

 

なんとまだ息をしているのだ

 

 

信じられない

なんという生命力だ

 

 

立ち上がることは出来ないとはいえ、

その眼の戦う意思(闘志)は、一切消えていなかった

 

 

だが、もう体は動かないようだ

次第に息が弱まっていく

 

 

リリに頼んで、こいつの血液を採取させた

ついでに粘膜や体毛も、書士隊特性の保存瓶に採取する

 

 

 

その間に、刺さったままの大剣を引き抜く

柄を持ち力を込めて引き抜くとき、イビルジョーは小さな声をあげ、

 

 

 

 

 

死んだ

 

 

 

 

 

ずるりと引き抜いたブレイズブレイドχの爪の間に、何かが挟まっている

よく見ると、それは「凶暴竜の宝玉」だった

 

 

宝玉はとても大きく、人の顔ほどもあった

(本来のサイズも様々ではあるが、大きいものでも拳程度だ)

 

 

リリは驚いたようであるが、

しっかりと目の前で起こったこと、そして戦闘の記録をメモしていた

 

 

 

 

 

そう、この任務はまだ終わっていないのだ

 

ベリルの秘薬を応急的に飲み、

軟膏をやけど跡に塗り込む

 

 

道具の確認をして、武器を研ぎ、こんがり肉を食べる

素早く準備を済ませ、私たちは次の猟場へ向かった




イビルジョーは私の好きなモンスターのひとつです。

外見ではなく、戦闘スタイルが好きなのです。

もっと熱い戦闘を書けるようになりたいです。


次回も、宜しくお願いします。
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