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2017/3/6 修正
「よう」
と低い声で一声かけられ、私もそれに応じた
集会所の客用テーブルはすべて4人掛けの円卓になっており、「荒巻」は私の左隣に座る
私はそっと右隣の椅子にウエストポーチをかける
基本的に集会所は相席上等、つめろつめろと勝手にどんどん座ってくる
同じクエストに行くパーティ(特に初対面)は
狩りに出る前に同じテーブルに座るという暗黙のルールがある
それとは別に、狩のお誘いや同行の可否を聞きたい者は、
とりあえずそのグループが座ってるテーブルの空席に座るのだ
円卓の席は4つ、一狩猟に行くパーティの定員は4名
必然的に空席が無ければ、そのパーティは満席になる
こうやって私物をあいてる席にかけるのは、
これ以上定員は増やしませんという意味だ
荒巻も席に着くと同時に、ポーチを空席に置く
私は荒巻に雑談を投げかける。
最近のハンターは質が落ちてきているという話だ
質というのは狩の腕前ではなく、いちハンターとしての質だ
十数年前までは、初心者は狩の基本を学ぶために演習所に通うのが当たり前だった
演習所の教官はどこも鬼畜で(優しく!)厳しい(愛がある!)。
しかも狩の基本だけではなく、人間としての道徳までしっかりと叩き込まれる
だが、最近はハンターズギルドの規模も大きくなり、
ハンターになることのハードルが下がってしまった
私が14ほどの頃は、村から村へ手紙を出し、
何日もかけてパーティを集めたり、または近くに住むハンターとしか
狩りに行くことはなかった
それに比べて最近は、ハンターの人数増加と各種交通手段、
また交信手段の発達で、遠方からでもすぐに必要な仲間が集められ、
期間を待たずに目的の狩に出ることができる
そのため、実力に差のあるものがパーティになってしまったり、
上級者におんぶにだっこ目的でそいつには到底見合わない
クエストを持ちかけてくるような輩もいる
私の地元ではランポスも倒せない程度の腕で
ゴアマガラの装備一式を手に入れたというハンターがいたぐらいだ
その話を聞いたときは、あまりの恥ずかしさに言葉も出なかった
演習所にも行きもせずハンターになる者も増えてくるし、モラルの低下がうかがえる
どうかハンターとしての自覚を持ち、マナーを守って狩りをして欲しいものだ
とまぁ、熱く語っていると荒巻に少し笑われた。
バルバレでは人が多く集まるため、初心者から上級者までの幅がとても広い
なので私たちのように二人で狩りに行くときには、
こうやってパーティの人数を示し配慮をするのだ
それでもたまに押し掛けがやってくるので、その時は・・・・
拳と拳で語り合うことになるだろう
荒巻、彼の性格は私に負けず劣らず個性的だが、その話題はその時が来れば話そう
さわりだけ言えば、極度の女性不審(苦手)ってところだろうか
最初はとっつきづらかったが今では私の頼れる相棒だ
プライベートの狩りもほとんど彼と行っている
そんな荒巻はファンゴのもも肉焼きとケルビのテールスープを注文した
彼がこの組み合わせで料理を注文するときはかなりストレスがたまっている証拠だ
何かあったのかと尋ねると、どうやら彼の部署の部下に2人も女性が入ることが決まったらしい
私にだったら大歓迎なのだが、彼にとっては面倒事以外の何物でもないだろう
しかも二人とも10代で、どちらもハンター兼任らしい
この雰囲気だと私も一緒に仕事(教育)に行かされるだろうなぁ
食事を終えた私たちは、すぐに荷物をまとめる
荒巻は黒い小さな箱から取り出した煙草を咥えながら、武器のチェックをしている
彼はスラッシュアックスや虫混など、ギミックの多い武器を好む
今回の獲物は「桜剣蒼斧【狂咲】」、いつも以上に輝いている
桜剣蒼斧【狂咲】は蒼火竜と桜火竜の素材を掛け合わせたハイブリッド品だ
毒と火属性を持ち、その切れ味はバサルモスの甲殻を、
プティングを掘るかのように切れるぐらいだ
私の武器は、「ブレイズブレイドχ(かい)」
工房のオヤジに頼んで作ってもらった特注武器だ
本来ブレイズブレイドは、主に大量の鉄鉱石を鍛錬し、
他の鉱石類と掛け合わせ、鋼の本体にいくつもの爪のような刃を取り付け
(本来は格納されているが武器を構えると機構が働き、爪が出てくる)
のこぎりのように切りつけることのできる大剣だ
生産も容易く、大剣を使う多くのハンターの入門武器の派生品である
愛用するハンターも多く、最終派生の[タクティクス]は上級ハンターにも愛用されている
私のブレイズブレイドχは通常身の丈ほどもある刀身を
7割ほどのサイズに小さくし、爪の部分を別の素材に変えてもらった特注品だ
普通は既製品を買うか、その既製品を改良することで、様々な派生武器を作る
派生武器といってもそもそもの武器の大きさが決まっているため、
だれがどの武器を作っても種類ごとに同じ大きさの同じものができる
何が言いたいかというと、特注武器は原則作ることが出来ないし、
出来たとしても規制がかかる
工房も基本的には竜人族が管轄し、
既存のレシピでしか作ることが許されていない
ちなみに先述した工房のおやじは人間だ
このブレイズブレイドは工房のおやじに頼みに頼み込んで
やっと作ってもらったオリジナルの中のオリジナルだ
これは世界に一本しかない
(そもそも"短い"大剣なんて使うやつはいないだろう)
ギルドと書士隊の許可を得るのも非常に苦労したなぁ・・・
さて、もう少しだけ大剣の話をさせて欲しい
大剣は良い
すべてにおいて満足させてくれる最高の武器だ
体と一体になる薙ぎ払い
モンスターの死角を取り鱗を逆なでる切り上げ
渾身の力をためて放出する強溜め切り
これだけ魅力のある武器はないだろう
ごちゃごちゃしてるのも悪くはないがやはりシンプルが一番だ
大剣使いは基本的にはヒットアンドアウェイの抜刀術を駆使するのが
主な戦術だし、大型の武器で重さもあるのでまあ当たり前のことなのだが、
わたしは、そんな大剣使いとは一味違う
まぁ、これからわかることなのでそのときに語らせてほしい
私の「大剣」の使い方を
区切りが悪くてすみません
次回、初戦闘シーンです