-王立書士隊バルバレ支部-   作:みーきんぐ

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もう冬ですね。

私の住む地方はすでに雪がぱらついたりしています。

ついに大連続編もクライマックスです。


今回も見ていただけると嬉しいです。
宜しくお願いします。

2017/4/5 修正


出会い編 気持ち

 

ラギアクルスの生態は、比較的調べられているほうであり、

謎多きモンスターということはない

 

ラギアクルスは、水生モンスターの中ではかなり長寿で

古龍種並みの生命維持機能と、代謝能力を持っている

 

亜種と希少種については、通常種が年を重ねることによって変化する形態のひとつだ

 

 

亜種は、寿命による生命力の低下で、

体色が薄く白くなってしまった状態を指す

 

しかしながら、死に際のパワーはすさまじく、

雷の威力は通常種を上回っている

 

心肺機関が弱っている個体が多く

水中より陸上で行動している時間が長い

 

 

希少種は、非常に高い生命力を持つ通常種が、

その体色を青黒く染め上げ、発生させる雷さえも黒く変色させた異常種である

 

確認されている個体は、そのほとんどがキングサイズを超えるもので、

ハンター達の噂話では、ナバルデウスと見間違えるほどの大きさの個体がいたという

 

 

また、希少種は深い海に生息し、あまり陸には姿を見せない

 

黒く染まった雷だが、実際は純粋な雷属性であり、

龍属性のような特別なものではない

 

黒く染まる理由は、個体数の少なさもあり完全に解明されていない

 

ただし、その電熱は亜種をはるかに上回るが・・・

 

 

 

 

 

初撃を回避した3人は、それぞれ散らばり、戦闘を開始する

 

 

リリには記録を頼み、回避に専念してもらう

 

 

トトは武器を収めた状態で全力疾走し、奴の目をかく乱させながら背中の背雷殻を狙ってもらう

その動きは実に見事で、砲撃を10発20発と確実に当てていく

 

 

しかし冥海竜は彼女の攻撃など全く気にすることなく、その長い首をぐるりと回し、

大気を歪ませるほどの熱量を持った雷球を放つ

 

トトはガードするが、大きくのけぞり体勢を崩してしまった

やつはさらに追い打ちの一撃を放つ

 

彼女は素早く体をひねり緊急回避するためにジャンプする

しかしやつの攻撃射程範囲からはギリギリの距離だ

 

 

 

瞬間、何かがトトの前に現れる

 

リリだ

 

 

 

彼女は記録を中断し、身を挺してトトの前に立ち、煌剣リオレウスで雷球を受け止める

大剣はきしむように唸り、リリごと後方へ吹っ飛ばした

 

大量の雷を浴びたリリは後ろ向きで宙を舞うが、

地面に着く前にトトがしっかりキャッチしていた

 

 

リリは、直撃は免れたものの大量の電撃を浴びてしまい、その場にへたり込む

トトがリリをかばいながら突進し、冥海竜の後ろ足にフルバーストを叩きこんだ

 

大量の弾丸が火薬とともに発射され、やつは踵を返すように方向転換する

だがダメージはあまり入っていないようだ

 

 

 

その時、トトが声を上げた

 

「今よ!」

 

 

 

 

その声を待ちわびて、「私」は岩陰から飛び出し

ディアブロスが突進するかのごとく、奴めがけて前のめりに突進する

 

 

ブレイズブレイドχは右手だけで抜刀し

引きずるように下段で構える

 

 

もちろん刃先が地面に当たることなんてない

筋力と速力で刃は完全に浮いている

 

 

冥海竜が私に気付く前に、やつの背中に乗りあがる

背電殻からは電撃が放出されているが気にしない

 

 

ビキビキと音が鳴るほどに右腕に力を込める

ラギアクルスは背中の異物に気づき、振り向こうとする

 

 

一瞬、目と目が合ったが・・

 

 

 

 

ズバン!!

 

 

 

 

ブレイズブレイドχの黒雷の音とともに

両者の視界は朱に染まった

 

私が地面に着地すると、目の前には囮を引き受けてくれたトトと

少々疲れ顔のリリが座り込んでいた

 

リリは目の前の状況についていくことができていなかったが、

その表情は次第に安心に変わったようだ

 

 

トトは初めから分かっていたようにニヤリと笑う

そうしてリリに手を差し伸べ、よっこいしょと立たせていた

 

 

 

私の後ろでは、首の頸動脈が切られた冥海竜が

なす術もなく崩れ落ちている

 

 

私は血に濡れたブレイズブレイドχをそのまま納刀し、

生命の粉塵を二人に振り撒いた

 

 

冥海竜は大量の血を吹き出し続けているが、もう動かない

瞬間的に致命傷を負ったためか、筋肉があちこちで痙攣している

 

 

 

そう言えば・・・

 

トトは、私の狩りのスタイルと力加減は見慣れているだろうが、

リリは私の全力を見たのが初めてのはずだ(先のイビルジョー戦はまた別である)

 

 

彼女はこと切れた冥海竜の、その首筋の大きな切り口を

じっと見つめていた

 

 

 

ちなみに後から分かったことだが、

私たちが倒した冥海竜は、通常種から希少種へ変化する途中段階の個体だったらしい

細胞の変化が完全ではなく、非常に珍しい状態だったため、書士隊本部は歓喜していたそうだ

 

私も冥海竜は3頭ほど討伐したことがあるが、

今回のサイズは小さく、鱗もやわらかい感触があった

 

 

 

私達はその後すぐに解体を開始した

 

作業途中、やつの背中にある「青くて透明な背電殻」を、

ポケットに入るサイズではあるが少々拝借しておいた

 

後の素材は、持ってきた皮袋にすべて積み込み

仕事を終えた3人は、来た道を戻って入り江まで引き上げた

 

時刻は、夕焼け空が海を綺麗に照らす頃

びっしょり濡れた防具を絞り、帰宅準備をする

 

 

この時リリの方はできるだけ見ないように気をつけた

 

トトはそんな私をみてクスクスと笑っていた

 

ポーチの中から気球信号を取り出し空高く打ち上げる

 

ふわふわ空高く舞い上がった小型気球は、地上500mくらいの高さで爆発し

黄金色の発光体が強く光った(雷光虫の発光を利用したもの)

 

 

これで復路便の気球が来てくれることになっているが、

今日はギルドではなく「荒巻達」が直接迎えに来る手はずになっている

 

前にも説明してあるが、私たちの家は移動式飛空艇になっている

実は1週間後に4人での任務が控えているのだ

 

 

トトに状況を説明し、彼女は別便で帰宅することとなった

 

もとより彼女はもう少し樹海潜りをするらしく、

今からキャンプまで戻るそうだ

 

まぁ彼女の足なら日没までには到着するだろう

 

今日の礼を言ってトトと別れる

 

普段は事務所仕事ばかりでストレスも溜まっているのだろう

 

存分に残りの休暇を楽しむよう伝えておいた

 

 

 

私たちは、入り江の近くの洞窟で一泊することにした

キャンプ地までは距離があるため、暗闇の樹海を戻るのは困難だと判断したからだ

 

私一人であれば何とかなるだろうが、

リリの命の面倒まで見るとなると、さすがに厳しいだろう

 

 

洞窟には5頭くらいのクンチュウがいるくらいで、

入口も狭いし、安全のようだ

 

 

携帯肉焼き器の燃料を使って火をおこす

肉焼き器の火力は強すぎるので焚火にするのは調整が難しい

 

焚火が整ったところで防具を取り外し

火に当たりながらインナーを乾かす

 

塩水に浸かったインナーなので、乾くとぱりぱりして気持ちが悪いが

近場に水が無かったので我慢しなければならない

 

 

 

 

さて、仕事の間の緊迫した空気はすでに解け、・・るはずだったのだが

何故かやけに気まずい

 

リリは、いつものほほんとした感じで、

明るくで武器バカの普通の女の子なのだが、今日はとても静かだ

 

 

先ほど釣り上げたハリマグロが、

焚火にあてられ、パチパチという音だけが洞窟内に響く

 

 

「もう、焼けたと思うぞ」

 

 

そう一言伝えると、リリはやっと口を開いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「kingさんは、モンスターが憎いですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-おまけ[一方彼らは・・]-

 

 

ベリル「北極調査、寒かったっすね」

 

 荒巻「俺はそうでもなかったぞ」ズビ

 

ベリル「寒かったでしょ?」

 

 荒巻「・・・」ズビ

 

ベリル「はい、ティッシュ」

 

 荒巻「・・・」ズビー!

 

ベリル「やーでも、この樹海支部はジメジメしてて気持ち悪いっすねー」

 

 荒巻「俺の故郷の雨季(梅雨)に比べたらかわいいもんさ」

 

ベリル「ちょっと湿度我慢できないんで脱いでもよか?」

 

 荒巻「・・・ここで脱いだら飛空艇から突き飛ばすからな」

 

ベリル「でもアニキ私のこと[突け]ないっすよ?」

 

 荒巻 (光焔斧リオエクシードに手をかける)

 

ベリル「ひゃー!ごめんなさいー♪」

 

 荒巻「ふん・・・・・」ズビ

 

ベリル「はい、ティッシュ」

 

 荒巻「・・・」ズビー!

 

 

ベリル「あ、気球信号の光っすよー!無事に終わったみたいっすね!」

 

 

 荒巻「kingがいるんだ、失敗はありえない。(飛空艇のエンジンを点火する)ゴウンゴウン!!

    イビルが狩猟対象に入っていたようだが、まぁあいつなら乗り越えるさ」

 

 

ベリル「えっ?ごめんよく聞こえなかったっす!!」

 

 

 荒巻「・・・なんでもない」

 

 荒巻「・・・・・ズビー」

 

 

ベリル「はい!ティッシュ!!」




次回大連続編の締めになります。

リリにとって、kingはどう見えるのか。

何故こんな質問をしたのか。

彼女は、ついに胸の内を話します。

彼女の気持ち、彼女の過去を・・・・



次回も、宜しくお願いします。
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