-王立書士隊バルバレ支部-   作:みーきんぐ

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お買いもの編

アイルーってほんとかわいい


2017/3/18 修正


出会い編 サクマ

仇やかな天気、すこし乾燥した空気がにじむ汗を乾かし、

べたべたと肌に張り付く

 

先日狩りの翌日で体がきしむのも気にせず、

大きな伸びをしてベットから起きる。

 

枕元にいるオトモ猫のサクマが長いひげをピクリとさせ、

こちらへ、トテトテと歩いてくる

 

オトモ猫とはハンターが雇うことのできるアイルー族たちのことだ

アイルーはおもに白毛の獣人族で、大きな目とおおきな耳、

手足は短いが二本足で歩くかわいらしい生き物である。

 

知能がかなり高く、街に住むアイルーのほとんどが人語を介することができる

 

また社会性も高く、以前はただのペットのように扱われていたが、

最近では彼らに対しての法制度も整ってきており、その雇用体制の確立や、

社会保険なんてのもある

 

彼らの仕事はおもに狩りの手伝いや、給仕であるが、

独自でアイテム販売や農業などを集団で営んでる者たちもいる

 

私がこのバルバレに来たときは一匹狼だったのだが、

ギルドに登録した際、大長老(クソジジイ)に引き渡されたのだ

 

サクマと名付けたのも私で、地元東方の地名からの由来だ

彼女(一応雌であるので)は体全体がシルバーに似た淡い毛皮で、

濃いグレーの虎模様が背中からおでこにかけて生えている

 

瞳はきらきらした蒼色で、じっと見つめるとキュンとなるかわいらしさだ

性格はかなりおっとり、しゃべるのもゆっくりで、

さらに寒がりなのでいつもモフモフした着物を着ている

 

彼女は私のメインオトモであるが、狩り自体に連れて行ったことはない

サクマは周りの生き物に対してかなり臆病なのと、純粋無垢なせいか、

殺生を好まない

 

なので基本的には私の給仕係や部屋の掃除、家の留守番などを頼んでいる

 

「起きたかにゃ?」

 

と甘ったるい声でこちらを見ながら首をかしげる姿に癒され、

私はこくりとうなづいて小さな頭をなでてやる

 

ゴロゴロ、と目を閉じて喉を鳴らすサクマに今日の朝ごはんを尋ねる

今日は食料の在庫が少なかったから寄せ集めのスープにしてくれたらしい

 

オニオンの香りが鼻をくすぐるコンソメスープだ

具として入っているモスのバラ肉がとてもおいしそうだ

 

コップ一杯分のスープを一気に飲み干す、スープとはいっても温度はほぼ常温だ

彼女たちアイルー族はみんな猫舌なので、あまりアツアツの料理は作らない

 

だがうちのサクマは食材をおいしく私好みに調理してくれるので

この常温でほのかな温かさのスープはとてもおいしかった

 

今日は食材もだけど、いろいろ買いたいものがあるから

街に行ってくるとサクマに伝える

 

「分ったにゃ、いい子にしてお留守番してるにゃ」

 

かわいい声で見送ってくれたのでいつまでも彼女のほうを見ながら後ろ向きで歩いてると

前を横切るアプトノス車にぶつかりそうになってこけてしまった

 

サクマは目を線にして笑っていた

 

外の空気はいつもと同じで、乾いた砂と、

露店からあふれるジューシィな肉を焼いた香りが漂っている

 

ここバルバレという街は、地図には載っていない

 

バルバレはその中心である集会所が巨大な飛行船でできている。

季節や何かのイベントがあるときは移動ができるのだ

 

現在は山脈の麓と湖、

そして広大な砂海に四方を囲まれた港に陣取っている

 

バルバレがやってくるとその周辺には移動型の商店や露店、

歩き売りなどが多く集まり、街を作る

 

周りの商店もよく見ると屋台にであったり、

車を引くためのアプトノスたちが集められていたり、

まさに浮足立ったお祭り会場のような雰囲気がある

 

人々も方々から集まる

 

毎日多くの人・竜人・獣人が町を賑わし、

朝からたくさんの声が飛び交っている

 

ちなみに私の住まいも移動型である

書士隊専用の居住タイプの小さな飛行船だ

 

4部屋あり、私(サクマと同室)と荒巻が使っている

荒巻はまだ寝ているだろう

 

さて、私は用事を済ませに行くとしよう

 

食材はかさばるから後に回すとして

先に手紙を出して、それから工房へ立ち寄ることにする

 

昨日の狩りの帰りに書いておいた2つの手紙を郵便屋さんへ届ける

一通は書士隊本部行きの速達(伝書鷹を飛ばして高速で届けてくれる)

と、もう一通は地元へ送る普通便(郵便猫たちによる手紙リレー)を出した

 

地元のみんなは元気でやっているだろうか?

 

といってもそんなにたくさんの知り合いがいるわけではない

無事村長のもとへ届いてくれれば、あとは何とかなるだろう

 

 

東方・・・

 

 

私の故郷であり、私がハンターになったきっかけの村

 

 

大切なあの人が眠る悠久の土地

 

 

また、目的が果たせたら、一度里帰りしたいなぁ

 

 

すこしボーっとしながら工房を目指して歩く

 

途中行商人のあばちゃんから魚!肉!どうだい!?

としきりにキャッチされたのだが、やんわりと断って、てくてく歩く

 

あそこのおばちゃんとこの肉はちょっと硬くて臭いからね・・

 

 

工房へ着くと見慣れた渋い顔がこちらをのぞく

 

前に説明した例のオヤジ(人間)である

でっかい葉巻をふかしながら私を待っていたかのようにこちらへ体を向ける

 

「頼んだ品は、もう完成するか」

 

と聞くと、オヤジは少し眉間にしわを寄せて

一応の完成を教えてくれた

 

しかし続けて、

 

この大剣は未完成だ

お前が本当にこの剣を触れるようになったら、もう一度ここへ来い

 

とだけ言って、白い布に巻かれた大きな包みをテーブルへ置く

 

私はその包みを丁寧にはずし、その柄を握る

周りから視線を感じたので、すぐに布で巻き直し、肩に担ぐ

 

たしかに、目立つ武器ではある、

あまり周りに見せるべきものではないだろう

 

オヤジに礼を言って先に自室の棚に包みを置きにいく

さすがにこれを担いで食材は買いに行けないからね

 

 

それから小一時間後

 

両手に沢山の新鮮な食材(荒巻の分も)を抱えて帰路につく

 

サクマはニコニコしながら食材を受け取り、

 

「今日はフンパツにゃ!おいしい物作るにゃぁ!」

 

と袖をまくって調理室へ向かう

私はそのまま荒巻の部屋へ行く

 

今はちょうど昼過ぎといったところだが、まだ彼は寝ているようだ

彼を起こし、武器が完成したことを報告する

 

「ついに、か、」

 

と、困った顔で話を聞いていたが、私にとっては喜ぶべきことなので、

そのまま話を続けた

 

もう本部へ手紙も送っているし、明日にでも試しに行こうと彼を誘ったが

荒巻はまだお前には無理だと諭され、あとは無言で私が買ってきた

食材を整理し始めた

 

私は自室に戻り、先ほどの包みを再度開ける

 

新しい武器、新しい片腕、窓から光を受けきらりと光るその刃先は

美しい光沢だったが、どこか闇をまとったような深い気持ちにさせる、

 

淡い輝きだった

 

 

これで、これで私の目的により一層近づいた

 

 

やっと、あの時の復讐を、あの時の雪辱を晴らす時が来るのだ

 

 

そう、近いうちに・・・・

 

 

心の中でそう自分に言い聞かせ、武器を棚にかける

 

 

ブレイズブレイドχと同じ

 

 

短く、そして黒い大剣を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーおまけー

 

工房にて・・・・

 

オヤジ「ついにできちまったか・・」

 

工房の弟子「おやっさんずっとこの剣を一人で作ってましたね、

      ほかの仕事もせずに」

 

オヤジ「うっさいわ!この剣に使われる素材は目を離すとすぐに使い物に

    ならなくなっちまうんだよ!」

 

弟子「ふーん、おかげで工房中がてんやわんやですよ。

   いっときますけど、これから2週間は休みないと思ってくださいね?」

 

オヤジ「うげ。そんなに仕事溜まってやがったのか・・」

 

弟子「はい、それはもう猫の手も借りたいほどに」

 

オヤジ「猫なんかに武器作らせてたまるかってんだ!」

 

弟子「冗談なのに・・・」

 

オヤジ「馬鹿野郎!猫こそ正義!猫こそジャスティス!

    あぁ、うちにもかわいい猫が欲しいぞにゃんにゃんーー!」

 

 

 

弟子「」(キモいなこのくそオヤジは・・・)

 

 

 

オヤジ「ああ!かわいい猫ちゃんが欲しい!猫にゃーーーん!」

 

通行人A~P「」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弟子(それにしても。あの黒い剣、ほとんど作るとこ見せてもらえなかったな。

 

   レシピもなんか竜人だった語みたいだし・・・。

   なんか、あんまりいい気分じゃないんだよなぁ・・・・)




次回は女の子が出てきます

次回もお楽しみいただけると幸いです
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