それでは、どうぞ
「■■■■■■■__!!!!」
「うお、とっ、わあ!?」
拝啓。今もどこかで見ているかもしれない、名前も知らない堕天使さんへ。
「ちっくしょう、いきなり魔女結界とか笑えねーよクソが!」
転生早々、俺死にそうなんですけど。
* * *
さて、ここで俺が堕天使から貰った力について説明しよう。
それは__前世俺が愛読していた漫画に登場した『
彼等の見た目や基本的な精神構造は人間に似ている。というか、殆ど人間とは違いがない__『人間しか食べられない』という致命的な一点を除いて。
捕食もしくは戦闘の際に紅く変化する『
そして、赫子には
・肩甲骨あたりからガスが形状をもつ様に現れる、瞬発型の『
・みぞおちの裏あたりから昆虫の羽のような形状を持って現れる、防御型の『
・腹部あたりから触手のような形状を持って現れる、攻撃型の『
・尾てい骨あたりから爬虫類の尾のような形状を持って現れる、万能型の『
以上の四種類が存在し、羽赫は甲赫に、甲赫は鱗赫に、鱗赫は尾赫に、尾赫は羽赫に弱いという四竦みの関係となっている。
……流石にあの堕天使もこの能力をそのまま実装したわけではなく、いくつか変更が加えられていた。
まず捕食するのは人間ではなく魔女であり、また魔女以外のものも味覚的には普通に食べることができる__結局消化しても栄養にはできず(むしろ体調を崩す)魔女か使い魔を食べなければ飢え死ぬことには変わりないのだが。
「__あぐっ!?」
不意に、左足に鋭い痛みが走った。見れば巨大なネズミのような使い魔ががっぷりと食いついている。考えごとをして動きが鈍ったスキを狙われたか。
「……へえ、
自然に漏れた『旨そう』という言葉に自分で驚いた。
熱を持つ瞳と、体内の何箇所かで蠢くナニカ__赫子が、自分が既に人外であることを伝えてくる。
「なあ、知ってるか使い魔クン?__猫を噛んだネズミの大半は、逃げきれずに喰われて終わるんだよ?」
腰__腎臓の辺りからだろうか?皮膚と服を突き破り、六本の触手が突き出した。
ザラザラとした鱗のような表面からして恐らく__『鱗赫』か。危機を察知したのか俺の足から歯を離して一目散に逃げ出した使い魔を一本の触手で追尾して貫き、他の五本もバラバラに伸ばして何匹かの使い魔を屠った。そのまま直接使い魔を構成していた魔力を吸収する。
「■■■■■■■■■■__!?」
他の使い魔達が逃げ出した。どうやら思わぬ反撃を受けてパニックになったらしい……まあ
「逃がすつもりはさらさらないんだけどね」
そう__『足りない』。一度喰べて理解した。この程度では全く『喰い足りない』。
ずるり、と触手が体内に引っ込んみ、代わりに肩甲骨の辺りから不定形のガス状の赫子__『羽赫』が噴き出す。足に力を込めて跳躍し、使い魔の群れを飛び越えて前方に回り込む。再び目の前に現れた先程の脅威に、使い魔が怯えたような金切り声をあげて逆方向に逃げ出そうとした。
「バラけて逃げてりゃ生き延びられたかもしれないのにね……ご愁傷サマ」
羽赫が右腕を軸にして、名前通りの巨大な羽のような形に拡散する。
「それじゃ__ごちそうさまでした」
巨大な黒羽が群れを一瞬で薙ぎ払い__後には塵一つ残らなかった。
* * *
「……使い魔喰ったはいいけど、ここは一体どこなんだ?」
結界が解除された後には、何の変哲もない路地裏だけが残っていた。現在地がどこかも、家がどのなのかも現時点ではわからない。
「制服は見滝原中学か……なんでこんなにボロボロなんだ?」
あちこちが血や砂で汚れ、破れている箇所もある。
「ん?塗料がついてら……なるほどね。そういうことか」
どうやらこの体の元々の持ち主は、かわいそうなことにクルマに轢かれた後証拠隠滅のため路地裏に投げ込まれたらしい。全く、犯人も制服くらい引っぺがして持って行けばいいのに。
「お、学生証あった。えーと名前と住所はっと」
見滝原中学2年3組、鹿目葉介……
「『鹿目』だあ!?」
え、嘘だろ?鹿目って、『あの』鹿目か!?こんな珍しい名字そうそういないだろうし……ちょっと待て。いや本当に待て。主人公の親戚とか聞いてないんですけど天使様。ああでもなんか『聞かれませんでしたから』とかにっこり笑って言われるビジョンが浮かんでくるわ。
とりあえず、誰かに道聞くなりして早いとこ学生証にあった住所に戻るとしますか。
* * *
「……ただの擦り傷だけで入院ってどうよ」
「何言ってるのお兄ちゃん!?頭打ってたりしたらどうするの!?」
特に異常もないのに入院するハメになりました。ちなみに今は本編の一年と少し前で、俺はまどかの一つ年上の兄という立ち位置らしい。
……巴マミと同学年か。面倒なことになりそうだな。
改善点などがあればどしどしお願いします。