問題児の世界に転生したら危険な姉と異世界に行くことになりました。 作:レイアメ
プロローグ
蒸し暑い空気と蝉の音がうるさい葉月中旬。
俺こと、久遠
「あ゛あ~暇だ~。姉さんは帰って来ねえしなぁ~」
俺は転生者という奴だ。何か、俺の魂が本来存在できない場所に居たらしく、気に入ったので転生させてくれたらしい。しかも特典付き。強くてニューゲームというやつだ。ただ、問題が1つ。それは......
「戻ってきたわよ!」
そう大声で言い、つかつかと早足で俺に近づき、ガシッと抱きついてくる姉の久遠飛鳥。
飛鳥は、ブラコンだ。
贔屓目無しでかなりの美人だ。しかし姉だ。
美人に抱きつかれるのは男として喜ぶことだろう。しかし姉だ。
こっちも抱き返してやりたい。しかし姉だ。
何回も言うが、飛鳥は姉だ。それも重度のブラコンだ。欲情なんてしないし、嬉しくも無い。だから俺はいつものように言う。
「姉さん、現実でも見たら?」
「あら、酷いわね。現実なんて嫌でも目に入るじゃない。それより聞いほしいの」
「そういう意味じゃないんだけどなぁ。―――で、何?」
「大の大人が私のような小娘に頼んだのが、大爺様の説得よ。呆れ果てたわ。大爺様もたった一言で終わったわ。ほんと、詰まらないわ。まあ私には新斗が居ればいいのだけれど」
「まあ、同情はするよ。でもさぁ、そろそろブラコン卒業したら?」
「いや」
そうですか。と俺は答え、そのままベットに身を投げ出す。姉さんの分の体重もかかり、大きく揺れる。
そして小さな異常に気付いたのは飛鳥だった。
「ねえ、新斗?」
「何?又抜け出そうって言うの?」
「この部屋に誰か来たの?女?女なの?私が居ながら他の女に手を出したの?大丈夫よ、その女は私が殺しておくから正直に話しなさい。そうすればおしおき程度で済ましてあげるわ。新斗を誑かすなんてよっぽど死にたいようね」
「いや。意味分かんねーよ」
早口で捲くし立て、しかも噛まずに言う飛鳥を俺は何度見たことだろうか?少なくとも3桁はいってるだろう。しかも全部女性関係の誤解だ。
姉さんは俺が他の女性と居るのを極端に嫌がる。例外は一応居たけど片手で数えても少ないと思うくらい。
「姉さん、姉さん。現実でも見たら?そもそも、この部屋に誰も入れさせないようにしてたじゃん。それに誰か来てたら何らかの証拠「じゃあこれは何なの?」......が、って何それ?」
俺のセリフに被らせながら言う姉さんの手には2枚?2通?の手紙があった。
何時の間に?というか誰が?
「いや、待ってよ。その手紙よく見たら俺だけじゃなくて姉さんの分もあるじゃん」
「挑戦状ってことかしら?いいわ、上等よ」
額に青筋を立てて怒り心頭、といった感じの姉を無視して俺も手紙を開ける。
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
その
己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、
我らの‘箱庭‘に来られたし』
「私には新斗を捨てることは出来ないわ!」
そんなことを言い、俺と姉さんはこの部屋から消えた。
飛鳥ヤンデレはいける!