問題児の世界に転生したら危険な姉と異世界に行くことになりました。 作:レイアメ
”現実でも見たら?”
この言葉が口癖になったのは、何時からだろう。確か俺と姉さんが6歳の時だっけ?ああ、あの頃の姉さんは可愛かったなぁ。出来るものならもう一度やり直したい。さらに強くてニューゲームだ。ハハハハハ。
「ちょっと!こんな所で現実逃避しないで!」
「いや、だって、ありえないでしょ!こんなの!」
くそう。現実を見ないといけないのは俺のほうか。
現在、姉さんが抱きついたまま何処かの異世界の遥か上空に居る。これだけならまだ良い方だ。しかし、この場には俺達だけじゃなく、他にも2人居る。しかもこっちをガン見してる。絶対変な人だと思われてるぅ!
「くそっ、こうなりゃやけだ!そっちの2人も手を掴め!」
2人の内1人は女の子だからか、姉さんの腰を掴む力が強くなるが無視する。両手が塞がったのを確認すると、特典を使用タイミングを計る。
(1、2、3、4、5此処だ!)
特典を使うと、俺達が湖に落下ギリギリで止まる。そして解除するとそのまま小さく湖に落ちた。あと地味に緩衝材みたいなものがあった。意味無かったじゃん。
しばらくして、俺達は陸に上がる。
「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空にに放り出すなんて!それに私は新斗を捨てるなんて出来ないわ!」
「姉さん、少しは自重してくれ。確かにイラっとしたけど」
姉さんは右腕に抱きついている。ほんと自重してほしい。
そんな俺と姉さんの言葉に反応するものが1人。金髪で首にヘッドホンをかけてる人だ。
「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜ、コレ。まあ、お前のおかげで助かったけどな。アレがお前の力?」
「ああ、そうだけど。特に対したもんじゃないよ」
これは実力を隠すとかじゃなく本当に対したことが無いのだ。一応さっきみたいに使える事は使えるけど、ある意味使えないのだ。それでも、
「へぇ、言う気は無いってか面白ぇ」
なんて言って、ニヤリと笑ってくる。だから誤解だって。
そんなやり取りをしてるともう1人の女の子が猫を抱えやってくる。
「此処・・・・何処だろう?」
「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねえか?」
「とりあえず、異世界ってことは間違いないよね」
とまあ、4人揃ったことだし自己紹介でもと思ったけど、その前にヘッドホンの人が言った。
「まず、間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」
「そうだけど、まずは”オマエ”って呼び方を訂正して。―――私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて」
「俺は久遠新斗。名前から分かるけど双子なんだ。よろしく。―――君は?」
「・・・・春日部耀。以下同文」
「そう、よろしく春日部さん。最後に野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」
「高圧的な挨拶をありがとよ。見たまんま野蛮で凶悪な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれ」
心からケラケラと笑う逆廻十六夜。
少し不機嫌そうに実の弟の腕に抱きつく久遠飛鳥。
実の姉に抱きつかれながらため息をついている久遠新斗。
我関せず無関心を装う春日部耀。
そんな彼らを見ていたウサ耳が1つ。そしてそのウサ耳の本人である黒ウサギは思った。
(うわぁ、・・・・何か問題児ばっかりいみたいですねぇ)
一応常識人に見えなくも無い新斗も一緒に問題児扱いなのだから、これを本人が聞けば、現実でも見たら?とやたら上からで言いそうなところ、やはり彼も問題児なのだろう。
そんな中、十六夜が苛立たしく言う。
「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」
「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」
「いや、あえて無視するという手も」
「・・・・この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」
(全くです)
黒ウサギは心の中でツッコミをする。そして腹を括り物陰から出ようとするが、
「てか、今更出てくるとしたら、それ相応の罰ゲームでも受けてもらうか?」
という新斗の言葉に決心が鈍り、さらに出づらくなった。しかし、それを問題児は許さない。
「―――仕方がねえな。こうなったら、そこに隠れている奴にでも聞くか?」
黒ウサギはその言葉につい飛び出してしまう。その際、黒ウサギが女性だったため飛鳥の機嫌が下がったのを新とは感じた。
「なんだ、貴方も気づいていたの?」
「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?新斗とそっちの猫抱いてる奴も気づいていたんだろ?」
「それこそ、当然よ新斗が気づかないわけ無いでしょ」
「いや、何で姉さんが言うのさ。まあ、そうだけど」
「風上に立たれたら嫌でもわかる」
「・・・・へえ?面白いなお前」
黒ウサギは4人の殺気の籠もった視線を感じ、やや怯む。その内1人はやや違った意味だったが。
「や、やだなあ御四人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは1つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」
そんな黒ウサギの必死な命乞いに対し、問題児は、
「断る」
「却下」
「拒否」
「お断りします」
「あっは、取りつくシマもないですね♪」
おどけながらも黒ウサギは4人を値踏みする。何かを考えているようだが問題児には関係ない。いつの間にか近づいていた耀がウサ耳を掴み、
「えい」
「フギャ!」
一気に引っこ抜く!
「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引きに抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」
「好奇心の為せる業」
「自由にもほどがあります!」
その様子を見ていた新斗は俺もと言わんばかりにウサ耳に近づこうとするが、
「待ちなさい。何他の女の耳を触ろうとしてるの?それなら私の耳を好きなだけ触らせてあげるから。それとも何?あの女に惚れたの?だったら今すぐ殺してくるわ。説明なんてどうでもいいわ。私には新斗が居ればそれでいいもの。待っててね、今すぐ殺してくるわ」
新斗は飛鳥を羽交い絞めにする。
「いやいやいや、待って待って。そんなこと無いから。頼むからそんな怖い顔をしないでくれ」
2人の苦労者の悲鳴が近隣に木霊した。