問題児の世界に転生したら危険な姉と異世界に行くことになりました。 作:レイアメ
「―――あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために小1時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うのに違いないのですよ」
「何故だ。何故俺がこんな目に合わないといけないんだよ。何?何で俺にはこんなに女運が無いんだ」
「大丈夫よ。女運が無くたって。他の女なんて要らないわ。私が居れば十分でしょ?」
「いいからさっさと進めろ」
一言でこの場を表すなら、ダークである。
問題児×2にウサ耳をもみくちゃにされるわ、姉の暴走を止めるのにお願い1つ(このお願いは何をされるか分からない)をでは足りなく3つくらい必要だったり、約2名の胃にダメージをあたえる結果となった。その内1名は現在進行形で悩まされているが。
しかし、問題児はそんなことは知ったこっちゃない。早くしろと催促の声。黒ウサギは泣きそうになる。
「それではいいですか、御4人様。定例文でいいますよ?言いますよ?さあ、いいます!ようこそ、‘箱庭の世界‘へ!我々は御4人様にギフトを与えられた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼンさせていただこうかと召喚いたしました!」
~黒ウサ説明中~
「え~とおさらい程度に言うけど、
・箱庭=色々なもんから
・箱庭ではコミュニティに参加しないといけない。
・『ギフトゲーム』では主催者が提示したものが得られる。
・主催者とは様々で、チップには何でもあり。
・ゲームは期間内に登録で開催できる。
・ギフトゲームは勝てれば、何でも手に入る。
こんな感じでいいか?」
新斗が簡単にまとめたがだいたいこうである。ちなみに‘チップに何でもあり‘のところで飛鳥が目を光らせていたのだが、気づいていたのは新斗1人である。
今は説明も終わったので黒ウサギが新斗たちをコミュニティに連れて行くところなのだが、そこに待ったをかけるものが。
「待てよ。まだ俺が質問してないだろ」
十六夜である。
「・・・・どういった質問です?ルールですか?ゲームそのものですか?」
「そんなものはどうでもいい。腹の底からどうでもいいぜ、黒ウサギ。ここでお前に向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃねえんだ。世界のルールを変えるのは革命家の仕事であってプレイヤーの仕事じゃねえ。俺が聞きたいのは・・・・たった1つ、手紙に書いてあったことだ」
彼は言葉を切り、黒ウサギ、他の3人、巨大な天幕によって覆われた都市を見る。
新斗も何となく、この言葉の続きを予想することが出来た。
「この世界は・・・・面白いか?」
―この世界は面白いのだろうか―
新斗だけでなく、飛鳥や耀も無言で返事を待つ。
飛鳥も新斗は捨てる気は無いが、元の世界に飽き飽きしていたのは確かだ。
「―――YES。『ギフトゲーム』は人を超えた者だけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」
◇◇◇
「しっかし、まさか異世界に来るとは思わなかったわ」
「そうね。でも、いいんじゃない?中々楽しそうだし。黒ウサギも手紙のことについて色々したし、それさえなければ、中々面白い愛玩動物だわ」
(この気にブラコン卒業してくれればいいけど)
コミュニティに行くために箱庭の中に向かう途中、2人はそんな会話をしていた。ちなみに黒ウサギは先頭で浮かれているため気づいていない。
「よし。俺はちょっとあっちに行ってくるぜ。新斗も来r「何を言ってるのかしら?私の新斗を行かせるわけないでしょ?」・・・・そうか」
これには十六夜ですら圧倒された。あの唯我独尊、お前のものは俺のものを地でいく十六夜が圧倒されるほどのブラコンパワー。十六夜は少し新斗に同情の念を抱いた。あくまで少しだが。
「じゃあ、行ってくるぜ」
そう言って颯爽と森のほうへ行く十六夜を見つつ、これからのことをどうするか話し合う。
「黒ウサギになんて言う?」
「ほっといて、いいんじゃない?」
「それでいいと思う」
「んじゃ、それで」
それがつい先程の会話。現在、
「な、なんで止めてくれなかったんですか!」
「‘止めてくれるなよ‘と言われたもの」
「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」
「‘黒ウサギには言うなよ‘と言われたから」
「嘘です、絶対嘘です!実は面倒くさかっただけでしょう御3人さん!特に新斗さん!貴方は私と同じだと思っていたのに!」
「・・・・へえ」
(ヤバイ)
黒ウサギの‘私と同じ‘という部分に飛鳥が低い声を出す。もちろん苦労人という意味だが、飛鳥には‘私と同じ(運命の人的な)‘意味で聞こえてしまい新斗の苦労の元を増やしてしう結果となった。
「た、大変です!‘世界の果て‘にはギフトゲームのため野放しになっている幻獣が」
ここで解説。今言ったのはジン=ラッセルという少年である。
「幻獣?」
「は、はい。ギフトを持った獣を指す言葉で、特に‘世界の果て‘付近には強力なギフトを持ったものがいます。出くわせば最後、とても人間では太刀打ちできません!」
「あら、それは残念。もう彼はゲームオーバー?」
「ゲーム参加前にゲームオーバー?・・・・斬新?」
「いや、きっとその幻獣と一緒に逞しく生きていくだろ。ナ○シカみたいに」
「冗談を言っている場合ではありません!あと○ウシカって何ですか!」
「ジ○リ」
ちなみに昭和生まれの飛鳥がゲームオーバーという言葉を知っているいるのは、新斗が教えていたからである。
ちなみに転生者ということも速攻にバレた。
「はあ・・・・ジン坊ちゃん。申し訳ありませんが、御3人様のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「わかった。黒ウサギはどうする?」
「問題児を捕まえに参ります。事のついでに―――‘箱庭の貴族‘と謳われるこのウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります」
怒りのオーラ(飛鳥の不機嫌オーラには程遠い)を全身から出しながら、その黒い髪をうすい緋色に染める。
「一刻程で戻ります!皆さんはゆっくりと箱庭ライフを御堪能ございませ!」
そう言って黒ウサギは弾丸のような速さで飛び去っていった。
「・・・・。箱庭の兎は随分速く跳べるのね。素直に感心するわ」
「ウサギ達は箱庭の創始者の眷属。力もそうですが、様々なギフトの他に特殊な権限も持ち合わせた貴種です。彼女なら余程の幻獣と出くわさない限り大丈夫だと思うのですが・・・・」
(つうか、そんな有名な貴種なら何でこんな所に居るんだ?)
そんな新斗を他所に話は進む。(飛鳥は気づいていたが)
「黒ウサギは堪能くださいと言ってたし、御言葉に甘えて先に箱庭に入るとしましょう。エスコートは貴方がしてくださるのかしら?」
「え、あ、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢十二になったばかりですがよろしくお願いします。3人の名前は?」
「久遠飛鳥よ」
「久遠新斗だ。姉さんとは双子の姉弟だ。で猫を抱えているのが」
「春日部耀」
「さ、それじゃあ箱庭に入りましょう。まずはそうね。軽い食事でもしながら話しを聞かせてくれると嬉しいわ」
飛鳥はそう言って新斗の手を引き、箱庭の外門をくぐるのだった。