ディオの奇妙な冒険 ManicStreet (ジョジョ1部+7部) 作:ヨマザル
19世紀末のイギリス
ディオ・ブランド―という下層階級の少年と、ジョナサン・ジョースターという地方貴族(ジェントル)階級の少年がいた。
当時のイギリスは階級社会だ。
下層階級の泥まみれな現実を勝ち抜いてきたディオ。ジェントル階級で星のように輝く理想の紳士を目指すジョナサン。本来出会わないハズの二人だ。彼らは兄弟として一緒に成長し、やがて互いの命を賭けて戦うことになる。そしてその因縁が血を繋いで現代まで持ち越され、ジョースター家に連なる者たちを『奇妙な』冒険にいざない続けることになるのだ。
だがこの物語は、二人がまだ『兄弟』であり『友人』だったころ……因縁が生まれる前、まだディオが『人間』であった頃の物語だ。
人類は知らない。だが地球から幾積星のかなたに銀河系の中心部がある。そこは巨大な恒星が狭い空間にひしめきあう灼熱地獄なのだが、そのただなかに不定形な泥のかたまり:『泥塊』とでも称するしかない天体がある。
もし人間がその『泥塊』に降り立つことが出来たなら、そこで目にするのは完全に『非人間的』で、徹底的に『冒涜的』な景色のはずだ。
それは一目見ただけで……いや、ただ近づいただけで周囲の瘴気に精神が破壊され、完全に発狂してしまうような、恐ろしい場所だ。
誰にも知られないまま、『泥塊』地表の黒い泥、赤い泥、黄色い泥……おぞましくぬらぬらとした泥の塊は、あたり一面に蠢めきつづけている。泥は蠢き続け、あちこちで盛り上がり、ボコッと膨れ、弾ける。
ヌメヌメと黒光りする無数の蟲達がカチカチと不愉快な音を立てながら、泥や影、そして互いに取りつきあい、離れ、噛みつきあい……泥の上に群がる。
その群がる様はまるで曇だ。
その『蟲の雲』を切り裂いて、大きな『影』が躍り狂っていた。
『影』は人型のような、蛸のような、蝶のような、何とも言い難いそのおぞましい体を、伸ばし、縮ませ、体液を振りまき、蠢き、踊り続けていた。
『$ ……・&*@@※』
名状しがたき金切り声をあげ、『影』が泥の上に舞い降りた。『影』は昆虫のような(だが触手があちこちから生えている)肢を伸ばし、泥をすくいとる。そして、蠢く泥を『口』にいれた。 その『口』だけは人間的な形状をしており、ぷっくらと肉感的で、異様なまでに艶めかしく、そして濡れている……
異形の怪物は蠢く泥をすすりながら空を見つめ、瘴気の先で煌めく星々をあおぎ見た。
『泥塊』の底から見る星々は、瘴気を通してすっかり捻じ曲げられ、ゆがめられている。
そんな星々を見ながら、怪物はその退廃的で淫らな口を大きく開いた。
『&X^%Exyッ、……おぉをを……いぁ……イあッ……をッ』
名状しがたい声を上げ、怪物は星空に向かって手にした泥を投げつけた。