1話:9ヵ月後の彼女たち①
灰色の空の下。姿勢を低くした高速巡航で海上を行く軽巡・阿武隈は、索敵機から報告があった敵艦隊の背後を視認した。
後続をやや置き去り気味にしての突出となってしまい、後で提督や暁たちに怒られるだろうなと渋い顔になるが、それでも後続の面子が了承してくれたので、こうして好意に甘えて突っ走っている。
今の水無月島鎮守府の第一艦隊は皆、前のめりに突っ走りたい面々ばかりなのだ。
自らの速度が生み出す風にたなびく、左袖の腕章に視線を向ける。
青地に濃い灰色のラインが入り、碇のエンブレムに“水無月島鎮守府”と白で印字されている腕章。
阿武隈が背負うものの象徴。水無月島鎮守府が本格的に活動するに際して、所属鎮守府を示す腕章を復活させたものだ。
10年以上前は各地の鎮守府や泊地で所属を示すマークを作成して身に帯びていたものだと、阿武隈は暁たちから聞いている。
阿武隈としては実感がわかないのだが、各鎮守府に自分と同じ姿かたちの艦娘が居て、今この時も、各々自分と同じような、あるいは異なった任務に当たっているのだ。
同じ名前と姿の艦娘が他にもたくさん存在する。
しかしそれらは、同海域で出くわすということは、滅多にない。
他鎮守府との合同作戦時には、同名の艦娘が同じ海域で活動することは避けるようにと、“海軍”本部より支給される指南書には記載されている。
同名の艦が同じ海域に存在すると何らかのパラドックスが起こり、艤装の機能が原因不明の不調を起こしたり、あるいは艦娘自身の精神に不調を来すからだ。
オカルト方面の現象ゆえに原因究明も対処方法も未だに確立されてはいないらしいが、現状はっきりしていることは、こうして所属を明らかにする物品を身に帯びることで、別鎮守府の同名艦娘とは別の存在であると、境界を設けることだけなのだ。
水無月島鎮守府では腕章の他にも、ワッペンやロゴ入りジャージなどを皆で調子に乗って作り続け、新参組のある艦娘など「物販とかして儲け出ませんかねコレ」などと、わけのわからないことをのたまっていた程だ。
そうでなくては鎮守府との演習を行うのもままらないないというのは、同名艦と接触したことが無い阿武隈には、やはり実感が湧かない。
こんな腕章ひとつで、互いが同時に存在するという矛盾を誤魔化すことが出来るというのも眉唾物だ。
響などに言わせれば、演習などにおいては仮想の敵対者として対峙することで、初めてその存在を許容されるのだとか。
いったい何に許容されるのだと問えば、返る答えは自信無さげな「……海?」という一言だった。
思考が別方面へ飛んでしまったなと、阿武隈は敵艦隊から目を切り、後方を見やる。
二番艦以降が追いついて来ていることを確認し、自身も若干速度を落として、後方へ向けて声を張り上げる。
無線封鎖の上、各艤装の通信機能をもカットしている現状、味方艦娘との意思疎通は声と手振りと、妖精を仲介とした非常にゆっくりした意思伝達に限られる。
艤装の駆動音が邪魔するので身振り手振りが一番なのだが、交戦中となればそれでも間に合わない場合も出てくる。
そうなる前に、敵艦隊に仕掛ける前に、味方の状態を確認しておきたかったのだ。
敵艦隊の背後から仕掛けるは同行戦。
向こうの速力が上がる前に、高速で追い抜き様に打撃を与えるのだ。
かつて暁と響が夜戦で行った無謀な策。
昼の明るさと、この高速ながらも艦数を揃えた編成であれば、難易度はさらに跳ね上がる。
「第一艦隊、敵艦隊に同行戦を仕掛けます! 旗艦・阿武隈に続いてください!」
「待って待ってぇ! 浅瀬は苦手なのおぉぉ!!」
後続から了解の意が返ると思って敵艦隊へと視線を戻した阿武隈は、威勢の良い了解ではなく情けない涙声を耳にする。
悲鳴の主は、第一艦隊二番艦を任されているドイツ製の重巡洋艦・プリンツ・オイゲン。
軍艦時代に浅瀬で座礁した過去を持つ故か、艦娘となった今でも浅瀬に対して苦手意識を持っているのだ。
艦娘がそう簡単に座礁するものかと苦笑いする阿武隈だったが、プリンツとその後続である利根の艤装を見てしまうと、その考えもあながち間違っていないのでは無いかと思えてくる。
艦娘本来の艤装に追加される、大型の補助艤装。
莫大な推力を得るための巨大な機関を複数と、防御性能を向上させるための分厚い装甲、そして追加され軍艦時代と同数となった砲塔や機銃の類。
電探などのレーダー類を含め艤装の全パーツを一度分解して再構築すれば、彼女たちの元となった軍艦の縮形を再現するという徹底振りを見せるこの補助艤装、その特性から名前を“補完艤装”と呼ばれている。
巡洋艦以上の排水量の艦娘に適用可能な艤装であり、そして、艦娘のプロトタイプたちが最初期に使用していた艤装の発展系でもある。
荷重軽減をかけても水面が大きく歪むどころか船底が海中に沈み込むため、確かにプリンツの言うとおり、かなりの浅瀬ならば座礁する恐れもあるだろう。
本来の軍艦の構造や動作に近付けることによってオカルト方面の力も増強されるようで、艤装本来の鋼の装甲に加えて不可視の力場の壁が発生して、敵の砲弾や雷撃が炸裂する衝撃をも削ぐのだと言う。
接続点である腰を中心にコの字状の背部艤装及び砲塔類を装備した基本形態に、船体を模したパーツを分割変形させたもので両舷を挟み込んだ形が、現在のプリンツの姿だ。
阿武隈のような脚部艤装を変形させたボードとは違い、喫水線以下にまで気を使わなければならないとなれば、確かにプリンツのような座礁の過去を持つ艦娘ならば、恐怖を覚えもするだろう。
荷重軽減機能を用いてもその重量は四桁を超え、操舵も一筋縄ではいかない上に急な回避運動も取り辛い。味方同士で衝突する危険性も以前より遥かに高いものとなっているのだ。
それでも、プリンツと利根は建造された初期からこの補完艤装に体を慣らしていたこともあり、今では体の一部であるかのように自在に扱う姿を見せてくれる。
阿武隈とてこういった補完艤装を扱えないこともないのだが、対応速度が極端に落ちる点から使用を見送っている。
艦隊の旗艦として行動することが多いため、後続の艦娘たちにまで気を配らなければならないとして、火力と防御力の強化を見送ってまでも身軽な艤装のままで水上を行くのだ。
「プリンツよ、ここいらの深度ならば座礁の心配は無用じゃ。ここよりも高雄たちが向かった先の方が浅瀬じゃからのう?」
涙目のプリンツを慰めているつもりなのか、三番艦に位置する利根があっけらかんと笑って見せる。
此度は索敵を重視した航空巡洋艦形態での出陣であり、右舷側には砲塔の列が、そして左舷側にはカタパルトを備えた万全の姿だ。
無線封鎖状態での作戦行動中と言うこともあり、偵察機を展開して周囲の情報収集に努め、味方の別動隊の動きをも逐一阿武隈に報告しているのだ。
「阿武隈よ。高雄たちの第二艦隊は間もなく目的地に到着するぞ。こちらもそろそろ仕掛ける時じゃ」
「プリンツー? 大丈夫ですかあー?」
「わ、わかったから! だから、あとで暁もふもふさせてね……! 絶対たくさんもふもふするからね!」
つまりは了解と言うことかと、阿武隈は勝手に頷いて、四番艦以降の後続をちらりと見やる。
利根から後ろは、駆逐艦・巻雲、朝霜、清霜と夕雲型が続く。いずれもやる気に満ちた顔でしっかり着いて来ている。
しっかり着いて来ているのだが、巻雲の口の端にはチョコレートを拭った跡があるし、朝霜は気持ち頬赤めで時折しゃっくりが見られる。
じっと半目で後方を見やれば、巻雲も朝霜も明後日の方を向いて口笛を拭きはじめる。
まあ、清霜がしっかり手振りで密告してくれるので良しとしよう。姉2隻はあとで間宮さんからこっぴどく叱られるといい。
鼻息荒くそんなことを考えていると、肩にまで下りてきた見張り妖精にぺちぺちと頬を叩かれた。
どうやら敵の艦数及び、艦種・等級がはっきりしたようだ。
対する敵艦隊も、阿武隈たちと同数の6艦編成。
「敵艦6、単縦陣。旗艦からル、ル、リ、ツ、ロ、イ! 第一艦隊は魚雷発射の後、第一戦速で続いてください!」
阿武隈の声に、此度は“ようそろ!”と了解の意が返る。
安堵して息を吐き、阿武隈は即座に戦闘行動を開始した。
○
脚部からボードへと移設した前方の魚雷発射管を指向して、一番から順に投下。即座に速度を上げつつ左舷側へ大きく舵を切る。
敵艦隊の動きは速度を上げて位置を取り直すのではなく、砲塔を回頭させて即座に攻撃態勢を整えるつもりのようだ。
回避を捨てた動き、と言えば聞こえはいいかもしれないが、要は砲雷撃を重点的に受ける後続の艦を見捨てての攻撃力保持だ。
敵に戦艦級が2隻もいるのだからそういった強気のやり方もするのだろうと、阿武隈は冷静に思考して、しかしむっと眉根を寄せて怒りを押し殺す。
そんな動きは、少なくとも自分たちは取らない。
水無月島鎮守府の艦娘は、仲間を盾にして勝ちを拾おうなどとは考えない。
提督がそんなことを許すはずがないのだ。
もしも追い詰められた時に同じことを言えるかどうかは定かではないが、少なくとも阿武隈は、自分と提督はその意志を貫き通すのだと信じている。
後続の朝霜が気持ちを代弁するかのように、「島生まれ舐めんなああ!」と威勢良くも可愛らしい声を上げている。
そう、島生まれだ。
この第一艦隊は皆、水無月島鎮守府の工廠施設で建造された艦娘たちだ。
深海棲艦から奪取した艤装核を用いて建造された艦娘。
見えないリスクを背負い、しかし前へと進むのだ。
魚雷投下とともに速度を上げて、後続を意識しながら、阿武隈は右腕部にマウントされた単装砲を構えた。
艤装も衣装も改造の際に新調したが、右腕の単装砲はそのままだ。
お気に入りの品だという理由もあるのだが、旗艦で先陣を切ることが多いため、身軽なれど最低限主砲は残して置きたかったのだ。
敵艦隊の六番艦は魚雷の直撃を受けて大破炎上している。
砲も魚雷も潰れていることを一目で確認した阿武隈は、その前方で迎撃体勢を整えたばかりのロ級に仰角零度の砲撃を叩き込んだ。
爆破炎上して黒煙を立ち上らせる敵艦ふたつは後続の姿をしっかり覆い隠してくれるはずだと、阿武隈は更に姿勢を傾けて加速、敵艦隊から距離を取った。
味方から離れて突出すれば集中砲火を喰らうが、その分味方に向けられる砲身は少なくなる。
やっていること自体は敵艦隊と同じだとも阿武隈は思うが、この突出は決して自らを捨てる策ではない。
その証明だとばかりに、阿武隈は自らに降り注ぐ砲弾の雨を、危なげ無く余裕を持って回避してゆく。
先に投下した魚雷の方向から敵艦隊の回避行動を予測、敵艦隊の回避位置からの阿武隈を砲撃するまでにかかる時間と精度を計算、その上で最も安全な回避ルートを行く。
気の遠くなるような複雑な演算も、改造と近代化改修を重ねた艤装の恩恵があれば、こうも容易い。
自分の頑張りという数値化出来ない項を無視したとしても、充分に成果を発揮できるだけの計算を持って行動するのだ。
それにこうして、一撃離脱した阿武隈を追ってル級の砲が仰角を調整すれば、後続のプリンツたちはその懐に飛び込むことが可能となる。
黒煙を裂いて敵艦隊に接近した後続は次々に砲弾を叩き込み、速度を落とすことなく離脱して阿武隈に着いてくる。
味方艦隊に損害無し。敵艦隊は軽巡、駆逐級が大破炎上。
このまま足を止めずにル級の射程から離脱して、魚雷の次発装填の後、再突入をかける。
速度は落とさず、このままを維持して。
魚雷装填機の駆動を耳で確認する阿武隈は、ル級の砲撃がまだ止まないことに意識を向ける。
もうすぐル級の射程圏内からは逃れるが、どうやら最後尾の清霜に狙いを絞り、なんとしても1隻沈めようという腹積もりらしい。
砲撃の精度も夾叉までになり、敵の装填の間隔からすれば、5秒後に清霜が直撃を喰らう。
言葉も手振りも間に合わない。そう判断した阿武隈は、投射機から爆雷をひとつもぎ取り、手動で炸裂深度を再設定。後方へ放った。
横の回転がかかった爆雷は緩やかに海中へ侵入し、設定上の最低深度で炸裂、平坦だった海面にわずかな起伏を生ずる。
直後、清霜がその起伏に差し掛かり体勢を崩して傾斜して、――頭と艤装のすぐ横を敵ル級の砲弾が掠め、巨大な水柱を上げた。
顔をひきつらせた清霜が「助かりましたー!」と手でサインを送ってくるのを同じくサインで返し、阿武隈は一足先にル級の射程から離脱した。
全艦がル級の射程から逃れ、魚雷の次発装填。足並み揃えて再突入をかけようかと言うとき、利根が展開している偵察機とは別の航空機の機関音が迫って来た。
阿武隈たちが進んできた方角から、その音の主は現れる。
一式陸上攻撃機、12機編隊。水無月島鎮守府に新設された飛行場より飛び立った翼だ。それらが低空で敵艦隊に迫り、次々に魚雷を投下していったのだ。
その結果は、敵艦隊の大破炎上。味方の損害は無し。文句なしの完全勝利だ。
対空防御能力のある軽巡、駆逐級を大破に追い込んでいたことが吉と出たなと、阿武隈は一仕事終えてご満悦な陸攻の妖精たちに敬礼して、そして手を振って見送る。
妖精たちもこちらに対して気さくに手を振り返してくれるのだが、誰も彼もがコクピットの中に乗り込んでおらず、巻雲などはずっとはらはらとして落ち着きなく見守っている。
妖精たちの仕事に文句をつけるつもりなどさらさら無いわけではあるが、さすがに翼に載ったり尾翼にぶら下がったりして飛んでいる航空機隊を見ると、なんとも言えない気持ちになってしまう。
提督曰く、「仕事はきっちりしてくれているのだから、彼らのペースでやってもらおう」ということだ。
しかしまあ、この一式陸攻たちが発進した飛行場の管制管理をしているのが、何を隠そう我らが提督その人なのだ。
いつぞやのようにサボり妖精たちが島の荒れ地を勝手に整えて、目を離した隙に飛行場を拵えてしまったことが、陸攻を運用することになった切っ掛けだ。
それから半年、こうして実戦運用にこぎ着け、今では立派な戦力の一角となっているため、サボり妖精たちの手並みも馬鹿に出来ない。
――と言うかだ、と。阿武隈はぷくりと頬を膨らませる。提督も提督だと、不服の矛先は一気に提督へ向かうのだ。
無線封鎖で現場の状況が確認できないとは言え、一応形だけでも責任者なのだから執務室に詰めていて欲しい。
本来の“海軍”提督とは違って重要書類の確認等がないとは言え、フットワークが軽すぎるのだ。
陸攻の管制ならば秋津洲などにやらせて置けば良いのだ。わざわざ提督が出る幕ではない。
……そんなことを頬を膨らませながら考えていると、後続の艦娘たちが口元に手を当ててによによとこれ見よがしに笑んで見せるので、これ以上は思案に耽ってはいられない。
阿武隈的には非常に釈然としないが、艦隊の指揮を放ってまで物思いに耽っていられるものではないのだ。
島に帰還する陸攻たちの内、最後尾の1機が敵機発見の発光信号を送ってくる。
今しがた付近に着水した利根の水偵も同様だ。
この近海にまだ敵艦隊が展開しているという知らせだ。
「こっち、南の方も敵の巣窟ってんだもんなー。最初の脱出案ってさ、南のルートもあったんだろ? 正気じゃねえよなあ……」
速度を落とした阿武隈に倣って後続も速度を制限する中、五番艦の朝霜が両手を後頭部に置き、そんなことを聞いてくる。
その言には阿武隈も苦い顔で頷かざるを得ない。
今でこそ見送りとなった敵支配海域脱出計画だが、見送りにして良かったと、最初期に偵察を行った阿武隈は考える。
思い出しただけでもぞっとする。
北も南も敵ばかり。観測出来ただけでも、姫・鬼級で30を超えていた。
少人数で、どれだけ敵に見つからないように気を付けても、脱出など不可能。
それが、9ヵ月前に鎮守府内ではっきりと出された結論だった。
「阿武隈さん! 釣った利根四号から報告。敵艦隊は飛行場姫を含む6艦編成です! 飛行場姫は頭部に大きな裂傷有り。特徴から個別コード:スカーヘッドと断定。……ええっと、なんかもう飛行機いっぱい来るそうです! 真っ直ぐこっちに向かってきます!」
“利根四号”を頭上に掲げた清霜が大声で阿武隈に報告しつつ、並走する利根の飛行甲板にクレーンで偵察機を降ろしてゆく。
「あたしたちが敵機やり過ごしちゃうと、第二艦隊の方に向かうコースかあ。陸攻の第二陣はまだまだ先……」
逡巡するのも一瞬、阿武隈が次の指示を出そうとするが、後続の面々はすでにその内容を知っているかのように話を進めていた。
「では、もう一仕事じゃのう? 念のため、第三艦隊への連絡に1機向かわせるぞ?」
「こっちは対陸地用のランチャー積んでるから、ばっちりですね!」
「浅瀬じゃなければあ……、大丈夫!」
「飛行機も来てんだろー? 巻雲姉ぇ、高射装置持ってるかー? 間違ってマカロン……」
「ちゃんと装備してますー! 前の失敗蒸し返さないでくださーいー!」
思わず笑みになりそうな顔を努めて引き締め、阿武隈は肺から空気を叩きだすように声をつくる。
「プリンツ、利根は三式弾用意! 巻雲、朝霜、清霜は長10センチ砲及びWG42準備! 砲撃戦、対陸地戦装備で行きます! 敵が航空機を運用してくる以上、天候の操作はないものとして挑みますが、充分注意してください!」
威勢の良い了解の声を背に、阿武隈は再び速度を上げる。
此度の第一艦隊の任は、あくまで第二艦隊が作戦行動を安全に行うための陽動だ。
敵艦隊の眼を惹き付けど、死ぬ気で倒しにかかる必要はない。
それでも、この威勢の良い面々ならば、姫級であろうと鬼級であろうと一掃出来てしまいそうな、そんな頼もしさを感じるのだ。
水無月島鎮守府が脱出計画から友軍の救援活動に舵を切った9ヵ月前とは違う。
今では第四艦隊までを編成できるほどの艦娘を揃え、練度も気合も充分だ。
脱するが早いか、それともまさか、海域の奪還か。
可不可はともかく、今はもう一仕事。
陽動その2。相手は姫級含む敵艦隊だ。