ダンジョンで野望を抱くのは間違っているだろうか 作:黒沢さん
自分はアニメしか見ていないので、アニメの最終話が多分この小説の最終話になると思います…でも、小説も読んでみたいと思っているので、もしかしたら増えるかもです。
読んでくだされば幸いです。
おっちゃんにお礼を言って離れて、俺は今の言葉を反芻していた。
(迷宮都市オラリオ…ダンジョンねえ)
ふと空を見上げると、なるほど確かに、天辺が見えないくらいに高い塔が街の中心に聳え立っていた。多分、アレがダンジョンなんだろう。
とすると、そのダンジョンに向かって歩いている鎧を着た人や武器を装備した人達はダンジョンで金を稼ぐ『冒険者』っぽい職業の人達ってことか。テンプレだな。
(とりあえず異世界に来たからには冒険者にはなるとして…冒険ギルドっぽい所ってあんのか?)
ここまでテンプレート通りな世界なら、それっぽい施設もありそうなものだが。
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「ん?冒険者になりたいって?」
「うん。冒険者になるにはどうすればいいんだ?」
俺はとりあえず、情報収集をすることにした。と言ってもネットや携帯所か電気すらなさそうなので、基本的に人に話を聞いたり、人が話しているのを横で盗み聞きしたりしか出来ないのだが。
朝っぱらから酒を飲んでいた気の良さそうな褐色のお姉さんに話を聞いた。別に胸が大きかったからとかそういう理由で話しかけた訳ではない。ただの偶然である。そう、ただの偶然である。
「まず、ファミリアに所属しな。そうすりゃ冒険者になれる」
「ファミリア?」
「なんだ、知らないのかい?神様のグループ、眷属になる事さ。そうすりゃ神様に恩恵(ファルナ)を与えられ、ステイタスを更新することができるようになるのさ」
なるほど。話を聞く限り、この世界では神様にステイタスを更新してもらわないと強くなれないらしい。
つまり、ゲームみたいに敵を倒して経験値を溜めてすぐにレベルアップ、じゃなくて、敵を倒して経験値を溜めて、その分を神様と呼ばれる存在に更新してもらう事でレベルを上げてもらう、という感じなのだろう。
そして、冒険者になるにはステイタスを更新してくれる神様が作るファミリアという組織に入らないと行けないと。
「でも、あんたみたいなガキじゃあ、入れてくれそうなファミリアはそうは無いと思うけどねえ?」
はっはっは、と軽快に笑うお姉さん。胸揉んだろか。
「あー、でもぉ、あんた可愛い顔してるしぃ、わざわざ冒険者にならなくても良いんじゃない?」
急にねちっこく頬を撫でてくるお姉さん。俺は思わず後ずさりながら顔を青ざめさせる。
「…ど、どういう意味で?」
「はっはっは!冗談だよ、冗談!ほら、もう行きな!大人の席にガキがいつまでもいるもんじゃないよ!」
と言われたので、俺は素直にそこから離れた。
(なるほど、ファミリアに入らないと冒険者にはなれないのか…だけど、それだとこの身体じゃあなあ…)
自分の身体を見下ろす。高校生の時は平均程には体格は良かったが、今じゃあ華奢な子供だ。ファミリアってのはダンジョンで生計を立てている組織っぽいので、余り弱そうだと入れてもらえなくなる可能性がある。
(とりあえず、色々とアタックしてみようかな…)
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「また駄目だった…」
このせかいは、よそういじょうにしびあでした、まる。
空を見ると、もう太陽が傾き始め、漂う雲を茜色に染め始めていた。
俺はファミリアに入る事が出来ずに路頭にくれていた。いくつかのファミリアに入れてもらえる様にアタックしてみたのだが、どれもがどれも『もっと強くなってから来な』、『ガキが冗談言ってんじゃねえぞ』、『他のファミリアを当たれよ、坊主』と、どれも散々な口調で追い返された。
きゅー、と腹が鳴った。そろそろ足も痛いし、色々と限界だ。
(まさか、異世界に来て数日で飢え死にとか、そんなの無いよな?)
あったとしたら、俺は神様を恨む。
(ん…?ダンジョンから冒険者達が出てきた…)
ダンジョンの近くを通りかかると、そこからぞろぞろと朝の様な防具や武器を装備した冒険者達が出てきていた。
「今日は大量だったなぁ」
「ああ。早速ギルドに行って換金だ」
話を盗み聞きするに、冒険者達はダンジョンでモンスターを倒し、魔石を手に入れ、それをギルドと呼ばれる機関に持っていき換金する事で生計を立てているらしい。
(ギルド、か…。もしかしたらそこでファミリアを紹介してもらえるかも)
とりあえず、俺は目の前の冒険者達の後ろにこっそりとついていくことにした。
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「うーん…冒険者になりたい、かー…」
「どこか入れそうなファミリア無い?」
ギルド内部で、俺はエイナさんという名前のエルフっぽい受付嬢さんに話を聞いていた。
それにしても、耳がとんがっている。エルフっぽいじゃなくて、本物のエルフなのかも…まさにファンタジーだ。
「お姉さんは、エルフ?」
「え?ああ…そうね。私はエルフだよ」
恥ずかしそうに俺の質問に答えて、耳を弄るエイナさん。可愛い。
「それよりも、君のことだよ。正直言って、君はまだ幼いから…冒険者になるにはまだ早いと思うな」
「えー。冒険者になりたいんだよ。それに、冒険者にならなきゃ飢えて死ぬ」
「…そっか…」
困った顔を作るエイナさん。
(迷惑なのは分かるけど、ここが最後の頼みの綱なんだよ!)
俺はエイナさんを見上げて、必死な顔を全力で作って言った。
「お願いだよ、お姉さん!俺、どうしても冒険者に(なってハーレム王に)ならなきゃいけないんだ!」
「うーん…そうは言っても…」
「おーい、エイナさーん!」
と、ここで乱入者が。
後ろを振り返ると、そこには真っ白な少年がいた。
白色の短髪に、真っ赤な目。まるで兎みたいな少年だった。
「あ、ベル君!ちょうど良かった!」
「へ?」
エイナさんが何かを思いついたかの様に笑顔を作って、俺の肩に手を置いてベル君とやらに差し出す。
「ね、ベル君!この子、君のファミリアに入れてあげられないかな?」
「ええ!?」
ずい、と差し出される。ベル君は驚いた顔で俺を見た。
「え、エイナさん!?そんな急に言われても…その子、誰なんですか?」
「この子、どうしても冒険者になりたいんだって。でも、どこのファミリアも入れてくれなくて困ってるんだ」
「ど、ども…」
いきなりの事態に俺は困惑しつつベル君とやらに会釈して、エイナさんを見上げた。
「ふふっ。任せて♪」
もの凄くご機嫌そうに小声で言って、ベル君に向き直る。
「あのね、ベル君。やっぱりダンジョンにソロで挑むのは、少し危険すぎると思うの。仲間がいた方が沢山モンスターも倒せるし、何より安全だよ?君もこの前冒険者になったばかりなんだし、この子と一緒にダンジョンに行けたら、将来的に考えても良いと思うの」
「た、たしかに、そんな気も…」
なるほど。ここで俺はエイナさんの行動の意味を理解した。
エイナさん、ただこのベル君とやらが心配なだけみたいだ。話の流れから察するにベル君はソロの冒険者、つまり一人でダンジョンに毎日潜っていたらしい。そこで俺を同じファミリアに入れてパーティーにすることで、安全を確保しようとしているのだろう。
(とんだお節介焼きだな、お姉さん)
まあ、そう言う事なら遠慮なく乗らせてもらおう。
「えっと、俺、高梨…いや、ヒスイ・タカナシって言います。ベル君、俺からもお願いです。ファミリアに入れてください!」
「えっ!?あ、その、あの…」
ベル君は少しだけ動揺して、そしてすぐに笑顔を作ってこう言った。
「わ、分かったよ、ヒスイ。神様にお願いしてみる。きっと歓迎してくれると思うから、安心して」
「やったね、ヒスイ君!」
「あ、うん…」
エイナさんに顔を近づけられて、俺は非常にドギマギしてしまう。ええい近い近い良い匂いがする胸が当たってる!
「僕はベル。ベル・クラネル。敬語じゃなくてため口で良いよ。よろしくね、ヒスイ!」
「…はい。よろしくお願いします、ベル君」
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