機動戦士ガンダムSEED A.I.W.   作:ゆなつー

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メレアリス以外のオリキャラが出ます。説明は後ほど。


1-c

同時刻、コロニー屋外。メレアリスたちがいるモルゲンレーテに近い山林部分の高台から工場を観察している集団がいた。

彼らが着ているノーマルスーツの独特な形状をしたヘルメットは、彼らがZ.A.F.T.の一員であることを示していた。

 

「アレだ。隊長の言った通りだったな?」

 

赤いノーマルスーツ――Z.A.F.T.では士官学校を卒業した者のうち、成績上位者のみが赤い制服とスーツを与えられる――を着た少年、イザーク・ジュールは隣にいた少年に話しかける。

イザークの眼下には、先ほど自分たちがヘリオポリスに侵入した際に仕掛けた爆弾におびき出され、どこかへ運搬されようとしている奪取対象があった。

 

「つつけば慌てて巣穴から出てくるって?」

 

話しかけられた少年、ディアッカ・エルスマンも軽口でそれに応える。

 

「ああ。やっぱり間抜けなもんだ、ナチュラルなんて」

「ははは、違いない」

「……」

 

そんな二人の会話を聞き流しながら、アスラン・ザラもまた眼下の奪取対象を眺めていた。

彼はちらりと別の少年――ニコル・アマルフィを見る。

 

「……どうしたニコル? 震えてるみたいだが」

「だ、大丈夫ですアスラン。ちょっと緊張してるだけですから」

「はは、無理もないよな。だって俺たち、これが初陣だし」

 

会話に入ってきたのはラスティ・マッケンジー。アスランやニコル、そしてイザークとディアッカと同じく赤いスーツを着ている。彼ら5人は同期で士官学校を卒業し、成績上位者として赤い服装を授与されているのだった。

 

「……報告では5機あるはずだが? 残りの2機はまだ施設内か」

「なら、俺とラスティの班で行く。イザーク達はそっちの3機を」

「OK、任せよう」

 

アスランの提案にイザークがうなずく。彼の行動開始の合図によって、その場にいた全員が自身のなすべき任務を遂行すべく動き出した。

 

 

 

 

 

「何があったんですか?」

「Z.A.F.T.に攻撃されてる!」

 

研究室にいた皆を先導して非常階段のドアを開けたサイの問いかけに、避難途中の職員が応える。

 

「コロニーにモビルスーツが入ってきてるんだよ!」

「「「ええっ!?」」」

 

さらに別の職員の言葉に、先頭にいたサイを含め皆が驚く。

ヘリオポリスは地球国家「オーブ」に所属するコロニーであり、そのスタンスはオーブと同じく“戦争に対しては中立”というものだ。だというのに、なぜかモビルスーツがこのヘリオポリスへと侵入してきている……つまり、現状においてただ1つのモビルスーツ保有組織であるZ.A.F.T.からの攻撃を受けているのだ。メレアリスを含め、その場にいたほぼ全員が予想だにしない出来事だった。

加えて、Z.A.F.T.が有する量産型のモビルスーツ『ジン』は全長が20m以上もある鋼鉄の巨人だ。武装の使用はおろか、少し腕を振り回せばビルなど一撃で破壊してしまうような存在なのだ。

そのような巨人が今メレアリスたちがいるモルゲンレーテの近くで破壊活動を行ったなら。……結末は、この場にいる誰もが容易に想像できた。

 

「なら、尚のこと早くシェルターに避難しないと。みんな、急ぎましょ……って、ちょっと!」

「君! 待って!」

 

メレアリスが言い切る前に、カトウ教授の客人だという金髪の人物がどこかへと走り去ってしまう。そしてそれを追ってキラも走っていく。

 

「ちょ、キラも!? ……ああもう! サイ、ミリィたちの事頼んだわよ!」

 

このまま避難するか後を追うかでメレアリスは数瞬迷ったが、結局キラたち二人を追うことにする。

 

「えっ、メレアリス!?」

「すぐ戻るわ! 先に行ってて!」

 

サイにそう言い残して、メレアリスもまたキラたちの後を追うべく走り出す。

20秒ほど走っただろうか、なにやら立ち止まって口論になっている2人の姿を視界にとらえたメレアリスは彼らに駆け寄る。

 

「何してるの!? ほら、早く避難しないと――きゃっ」

 

言いかけた瞬間、メレアリスの背後で爆発が起きる。

爆風に押され、勢い余ったメレアリスの体が教授の客人にぶつかる。かろうじて転倒は免れたものの、客人がかぶっていた帽子が衝撃で落ちてしまう。

 

「ごめんなさい……って、あら?」

「え……女の子……?」

 

キラの口から意外そうな呟きが漏れる。

やや短めの金髪、強気そうな目。やや活発そうな雰囲気があるが、確かに少女だった。

 

「なっ、今までなんだと思ってたんだ!」

 

客人の少女はそう憤る。

 

「ご、ごめん! そういうつもりじゃ……」

「二人とも、とにかく避難しないと! さっき来た道は爆発でふさがれちゃったから……あっち!」

「え、あっ!?」

「あ、ちょ、放せ!」

「こんなところで話していたら、いつ爆発に巻き込まれるかわからないでしょ!」

 

メレアリスは2人の腕を引っ張って出口らしき通路へと走る。

走り出した直後は、少女はメレアリスの手を振りほどこうと少し抵抗していた。が、状況を悟ったのか、途中からは腕を引かれるがままに素直についてくるようになる。

そうして3人が開けた場所へたどり着くと、そこには驚くべき光景があった。

 

「……なに、これ」

 

メレアリスたちがたどり着いたのは、工場区の搬出口2F。屋外と地続きになっている1Fでは怒号と銃声が響き渡り、血だまりと共に数人の死体が転がっていた。

そして何よりメレアリスたちの目を引いたのは、3台のトレーラーの荷台部分にそれぞれ横たわる巨人たち。

モビルスーツと呼ばれる起動兵器だった。

 

「やっぱり、地球軍の新型起動兵器……!」

「……あなた、コレを知ってるの?」

「お父様の、裏切り者……!」

 

メレアリスの問いに答えることなく、少女は泣き崩れる。

 

「君は、一体……うわっ!?」

 

キラも疑問に思ったようだったが、それを少女に投げかけようとしたその時、どこから飛んできたかもわからぬ銃弾がキラの背後の壁に当たる。

 

「ここも、危険みたいね。早くシェルターへ行きましょう!」

「う、うん!」

 

キラとメレアリスは泣き崩れた少女を抱えて、避難シェルターを探すのだった。

 

 

 

「ここはもう一杯なんだ! 他をあたってくれ!」

「女の子が二人いるんです! 何とかなりませんか!?」

 

ようやく見つけた避難シェルターの連絡用電話に向かってキラが言う。

泣き崩れた少女は未だショック状態から抜け切れておらず自力では移動できる状態ではなかったため、この少女だけは真っ先に安全な場所へ避難させなければならないというのがキラとメレアリスの考えだった。

 

「……一人だけならなんとかなる! 左ブロックに37シェルターがあるから、残りはそこへ行ってくれんか!?」

「わかりました! ありがとうございます!」

 

程なくして、シェルターへの移動に使うエレベーターが昇ってくる。そして、エレベーターのドアが開いた瞬間にメレアリスが少女を押し込める。

ここにきてようやく少女はショック状態から立ち直ったのか、驚きの声を上げる。

 

「お前ら、何を!?」

「私たちは大丈夫だから! 行きなさい!」

 

抵抗する少女を何とかエレベーターに入れた後、急いで避難用シェルターへと送り込む。

途中なにやら少女がこちらに向かって言葉を放っていたが、聞き取ることはできなかった。

 

「さ、私たちも急がないと!」

「うん!」

 

キラとメレアリス、2人が走り出す。現在いるブロックと37シェルターのあるブロックは搬出口を挟んで反対側にあるため、一度搬出口に戻らなければならない。

もしかしたら37シェルターにも2人分の空きがないかもしれない。そう考えると2人のスピードは自然と速くなっていった。

程なくして、搬出口へとたどり着く。相変わらず銃声が断続的に二人の聴覚を刺激する。メレアリスがちらりと見れば、先ほどよりも死体が増えたように思えた。

今は離れたところから見ているため多少の恐怖や吐き気で済んでいるが、至近距離で見ようものなら一瞬で恐慌状態に陥るだろうとメレアリスは考える。

 

「まだ子供が!? あなたたち、どこへ行くの!?」

 

不意に1Fから女性の声が聞こえてくる。二人が1Fを覗き込むと、モルゲンレーテの技術士官らしき女性が、拳銃を片手にモビルスーツの陰に身を隠しながらこちらの方を向いていた。

 

「左ブロックのシェルターに向かいます! お構いなく!」

「あそこはもうドアしかない! こっちへ! ……オリノ、カバーお願い!」

「わかりました!」

 

オリノと呼ばれた男性の技術士官――彼は別のモビルスーツの上にいた――の応答と同時に、左ブロックへの入り口から爆風が噴き出す。

それが意味するのは、左ブロックではすでに火の手が上がっているということ。37シェルターを探して無闇に入れば死んでしまうかもしれないし、万が一見つけられたとしても、シェルターへのエレベーターが機能していなければ意味がない。

 

「……くっ、行くしかないのか!?」

「……そうみたいね」

 

2人は女性の言葉に従い、1Fへと降りるべく手すりを飛び下りる。

普通の人間、つまりナチュラルでは高さによっては死んでしまうかもしれないような行為だが、メレアリスもキラもコーディネーターである。持ち前の身体能力のおかげで難なく着地すると、女性の元へと向かうべく走り出す。

――が。

 

「きゃっ!?」

「メレアリス!?」

「怪我はないわ! 大丈夫!」

 

流れ弾なのか、それとも襲撃犯の恣意的な攻撃なのかはわからないが、突然飛んできた銃弾により立ち止まったメレアリスが荷台の陰に取り残されてしまう。

 

「キラ、先に行って!」

「で、でも……!」

「行きなさい! 私は大丈夫だから!」

「……くっ!」

 

キラが先へ向かって走り出す。

 

「……どうしたら……」

 

取り残されたメレアリスは呟く。

今出て行った場合、先ほどの銃撃が流れ弾であればキラや女性と合流できるだろう。ただ、自分やキラを狙ったものだったとすれば、次は確実に撃ち殺されてしまうだろう。……想像するだけで、足がすくむ思いだった。

出ていくか、ここで立ち止まったままでいるか。2択を迫られたメレアリスの心臓は、普段では到底考えられないほどの早鐘を打っていた。

 

(……落ち着いて、落ち着いて考えないと。まず、周りをよく見て……)

 

メレアリスは自身を落ち着かせるために深呼吸をした後、何か使えるものはないかと周りを見渡す。今隠れているトレーラーの荷台を見やると、そこには荷台の上へあがるための梯子が備え付けられていた。

 

(そういえば、コレの上にはモビルスーツがあったけど……。一旦、上ってみる……?)

 

メレアリスの記憶では、先ほど2Fから見下ろしたとき、この荷台にあるモビルスーツの上にはオリノという男性がいた。もしかしたら彼と合流することで結果的にキラたちとも合流できるかもしれない。

ただ、それは彼がまだモビルスーツの上にいるという仮定から成り立つ希望的な観測だ。もし彼がすでに移動していたり、死んでしまっていたりしたら、メレアリスは単にモビルスーツの上という目立つ場所へと無防備な姿を晒すだけで終わってしまう。

再び迫られる選択。どちらにせよ、今のままではまずかった。襲撃犯はこちらを攻撃するために移動を始めているかもしれなかったからだ。

 

「ラスティーーーーッ!!」

 

不意にどこか近くで男性の怒号が発せられる。その音を合図に、メレアリスは梯子へと手を掛けた。




オリノさん。AA組のクルーになると思われます。
なんか原作見た感じ、頼りになるというか、指標になりそうな大人の人って少ないんですよね。AAの人たちの中って。
なので、今回こういうオリキャラを入れてみようと思い立ちました。
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