臨海学校2日目だ。今日は昨日と一変して本格的な合宿だ。昨日の気分を引きずったら碌なことにならないだろう
「さて、それでは各班ごとに振り分けられたISの装備試験を行うように。専用機持ちは専用パーツのテストだ。全員、迅速に行え」
装備試験か。これは気を抜けないな。だが、何故篠ノ之が専用機持ちと同じ所にいる?
「お前には今日から専用機を」
「ちーちゃ~~~~~~~~~~ん‼︎」
何だこの奇声は?こっちに女が向かってくるが、何だあいつは?
「………束」
束だと?まさかあの女が篠ノ之束なのか?
「やあやあ!会いたかったよ、ちーちゃん!さあ、今すぐにハグハグしよう!そして愛を確かめ――ぶへっ」
織斑千冬が躊躇なくアイアンクローをかました。どうやらあの時プロフェッサーが言っていたことは間違いじゃないみたいだな
「うるさいぞ、束」
「ぐぬぬぬ……相変わらず容赦ないアイアンクローだねっ」
篠ノ之束が篠ノ之箒の所へ向かった。篠ノ之束は世界中から指名手配されているが、こんな簡単に姿を現すとはな。何を考えているんだ?
「やあ!」
「……どうも」
随分と素っ気ない返事だな。一応久しぶりに会うんじゃないのか?
「えへへ、久しぶりだね。こうして会うのは何年ぶりかなぁ。おっきくなったね、箒ちゃん。特におっぱいが」
何を言ってるんだこいつは?こんな奴が世界中がやけになって探している奴なのか
ゴンッ!
「殴りますよ」
「殴ってから言ったぁ!しかも日本刀の鞘で叩いた!ひどいよ!箒ちゃんひど~い!」
何故日本刀を持っている?
「おい束。自己紹介くらいしろ。うちの生徒たちが困っている」
「えー、めんどくさいなぁ。私が天才の束さんだよ、終わり」
自分で自分を天才と呼ぶか。まあ、自他共に認める天才は少なからずいる。こいつもそういう奴か。ん?あいつ、俺に近づいてくる。くそ、何故どいつもこいつも俺に突っかかってくるんだ
「お前がいっくん以外にISを動かせる男だね。何でお前がISを動かせるの?」
いきなりお前呼ばわりか
「知るか。そんなものこっちが聞きたいくらいだ。用がそれだけならさっさと失せろ」
「まあそんなことはいいや。お前アーマードライダーなんだよね。あれ目障りだから消えてくれない?」
「目障りか。それは残念だ」
「おい束、さっさと用事を済ませろ」
用事?
「そ、それで姉さん、頼んでおいたものは……?」
頼んでおいた物だと?一体何が?
「うっふっふっ。それはすでに準備済みだよ箒ちゃん。さあ、大空をご覧あれ!」
皆が一斉に空を見上げた。俺も見てみるが、何だあれは?何かが落ちてくる⁉︎
ズドォーン‼︎
一体あれは?あれは、ISか?
「じゃじゃーん!これぞ箒ちゃん専用機こと『紅椿』だよ!全スペックが現行ISを上回る束さんお手製のISだよ!」
あいつに専用機だと?まさか姉に頼み込んで作ってもらったのか?それに、現行ISを上回るスペックだと?
「さあ箒ちゃん、今からフィッティングとパーソナライズをはじめようか!私が補佐するからすぐに終わるよん」
「……それでは、頼みます」
「あの専用機って篠ノ之さんがもらえるの……? 身内ってだけで」
「それってズルくない?」
それ以前の問題だと思うが
「おやおや、歴史の勉強をしたことがないのかな?有史以来、世界が平等であったことななんか一度もないよ」
それは一理ある。だが、気に入らないな
「専用機を得るには、それに見合った強さがいる。貴様がそれほど強いとでも?」
「っ⁉︎貴様‼︎」
「お前さっきから生意気なことばかり言ってくるけど何なの?死にたいの?」
「俺は事実を言ったまでだが。それとも貴様はこの常識がわからなかったのか?それでよく天才と自称できるな」
「もう本当に死にたいようだね。そうだ!箒ちゃん、試しにこいつと戦ってみてよ。アーマードライダーも簡単に倒せちゃうから!」
やはりそう来たか
「はい、やってみます」
「やめろお前達!こんなところで騒ぎを起こすな‼︎」
まあ、こうなるか
「えー、だってこいつ凄くむかつくんだもーん」
「いいからやめろ」
またアイアンクローをかました
「わ、わかったよ。ちーちゃんがそう言うなら仕方ないね」
その後奴らは起動テストを始めた。飛行速度が速い。現行ISのスペックを上回っていると言っていたが、本当のようだな。それに、どこからかミサイルを撃ってきた。だが奴は全て破壊した。機体性能だけはいいようだな
「やれる……この紅椿なら」
そんな事を言っているが、貴様の力ではないだろ
「.........すごい性能だな束」
「そうでしょ~?何たってこの紅椿は『第4世代機』なんだから!!」
何だと?第3世代の開発が始まったばかりだと言うのに、もう第4世代を出すのか。これはまた世界が荒れるな
「織斑先生、大変です‼︎」
山田先生が慌てているが、どうしたんだ?織斑千冬も急に顔が険しくなった
「稼動試験は全て中止‼︎全員部屋に戻れ‼︎専用機持ちは全員集合‼︎それと篠ノ之、お前も来い‼︎呉島もだ‼︎」
どうやらまた何か起きるみたいだな。仕方がない
「では、現状を説明する」
俺たちは宴会場に集められた。そこにはディスプレイが多くある。プロフェッサーの部屋みたいだな
「二時間前、ハワイ沖で試験稼動にあったアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代型の軍用ISである『銀の福音』が制御下を離れて暴走。そして監視空域より離脱したとの連絡があった」
軍用ISが暴走だと?
「その後、衛星による追跡の結果、福音はここから二キロ先の空域を通過する事が分かった。時間にして五十分後だ。学園上層部からの通達によって、我々がこの事態に対処する事になった」
意外に近い。俺たちはがここにいる時に軍用ISが暴走してここの近くを通過するだと?これは偶然なのか?
「教員は学園の訓練機を使用して空域及び海域の封鎖を行う。よって、本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」
そんな重要なことを学生にやらせるなど、何を考えているんだ。よくもまあ平気で生徒達を危険な目に合わせようとするな
「それでは作戦会議を始める。意見があるものは挙手するように」
「はい。目標ISの詳細なスペックを要求します」
オルコットがスペックを聞いた。これは当然のことだ
「わかった。ただしこれらは2ヶ国の最重要軍事機密だ。決して口外はするな。情報が漏洩した場合、諸君には査問委員会による裁判と最低でも2年の監視が付けられる」
「了解しました」
画面にスペックが表示された
「広域殲滅を目的とした特殊射撃型………私のISと同じく、オールレンジ攻撃を行えるようですわね」
「攻撃と機動の両方に特化した機体ね、厄介だわ。しかもスペック上ではあたしの甲龍を上回っているから、向こうの方が有利」
「この特殊武装が曲者って感じはするね。丁度本国からリヴァイブ用の防御パッケージが来てるけど、連続しての防御は難しいと思う」
「しかもこのデータでは格闘性能が未知数だ。持っているスキルも分からん」
「織斑先生、偵察は出来ないのですか…?」
「無理だな。この機体は現在も超音速飛行を続けている。最高速度は時速450キロを超える。アプローチは一回が限界だな」
時速450キロか、ダンデライナーでも追いつけるかどうかわからんな
「でしたら、やはり1撃必殺の攻撃力を持った機体で当たるしかありませんね」
今の発言で俺以外が全員織斑を見た
「え?」
「一夏、あんたの零落白夜で落とすのよ」
「それしかありませんわね。ですが問題は」
「どうやって一夏をそこまで運ぶか、だね。エネルギーは全部攻撃に使わないといけないから、肝心の移動をどうするか」
「しかも目標に追いつける速度が出せるISでなければいけない。超高感度ハイパーセンサーも必要だな」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺が行くのか⁉︎」
「「「「「当然」」」」」
「織斑、これは訓練ではない。実戦だ。もし覚悟がないなら、無理強いはしない。最終的な決定権は私にあるから辞退しても構わん」
こんな素人に任せる気なのかこいつらは?
「………やります。俺が、やってみせます!」
こいつ、命懸けの戦いだとわかってるのか?覚悟だけではどうにもならないぞ
「よし。それでは作戦の具体的な内容に入る。現在、最高速度が出るのは誰の機体だ?」
「それなら、私のブルーティアーズが。丁度イギリス本国から強襲用高機動パッケージ『ストライクガンナー』が送られて来ていますし、超高感度ハイパーセンサーも付いてます」
「ふむ。オルコット、超音速下での戦闘訓練時間は?」
「20時間です」
「よし、それならば……」
「待った待った〜」
またあいつか
「その作戦はちょっと待ったなんだよー!」
こんな大変な時だと言うのに、随分と呑気だな。まて、まさかこいつ?
「……出て行け」
「聞いて聞いて!ここは断然!紅椿の出番なんだよっ!」
「何?」
やはりな。あの無人機の時と同じことをしようとしている。あの時無人機を送り込んできたのはこいつで間違いない。今回は紅椿のお披露目と篠ノ之のデビュー戦というわけか。それも織斑とセットで
『PPPPP』
しまった、マナーモードにするのを忘れていた。まあ鳴ってしまったものはしょうがない。ここは一旦出るか
「失礼する」
「おい、待て呉島!」
「ちーちゃん、あんなのはほっとこうよ」
俺もあいつらを無視だ。部屋を出た俺は携帯を見たプロフェッサーからだ
「俺だ」
『貴虎、大変な事になったみたいだね』
「流石プロフェッサーだな。その情報もとっくに知っているのか」
『ああ。所でそっちで何か変わった事はないかい?』
「あるぞ。篠ノ之束が現れた。そして妹に専用機を渡した。第4世代のな」
『今ので大体の察しはついた。彼女の思い通りにさせるわけにはいかない。そっちに3人を送っておいた。そろそろ到着すると思うから迎えてくれ』
そう言って電話が切れた。3人?一体誰が来るんだ?とりあえず外に出よう
外に出たは良いものの、どこから来るんだ?と思ったら車が来た。それも軍で使うような。成る程、あいつらか。車が止まり3人が降りてきた
「ボンジュ〜ル、白いお方」
凰蓮・ピエール・アルフォンゾ。この人はユグドラシルの傘下の『洋菓子店シャルモン』でパティシエをしている。だがフランス国籍を取得するために従軍していた経験がありかなり強い。そのため戦闘訓練をする時もある。時々フランス後混じりで喋る。そしてオネエ。俺は何故か白いお方と呼ばれている
「久しぶりだね、貴虎」
この人は城乃内秀保。いつもメガネをかけている。一応策士だ
「しばらくだな」
そしてこの人は初瀬亮二。短気だがいい奴だ。猪突猛進な部分がある
「久しぶりだな。今回はプロフェッサーの命令か?」
「ええ。何でも軍用のISが暴走したって言うじゃない。それを止めるためにワテクシ達が呼ばれたのよ」
「だが、2人は大丈夫なのか?」
失礼だが城乃内と初瀬はアーマードライダーだがあまり強くはない。そのため凰蓮に特訓を受けてもらっているところだが
「見損なってもらっちゃ困るね。俺たちも早々捨てたもんじゃないんだよ」
「そうだ、こんな時のために鍛えられてきたんだぞ、俺たちは。な、城乃内!」
「ああ、男子三日会わざれば刮目せよってな!」
これは、随分と張り切っているが、逆に不安になって来た
「大丈夫よ、この子達はワテクシが鍛えたのだから。行くわよ、坊や達!」
3人は戦極ドライバーを装着した。まずは凰蓮が『ドリアンロックシード』を出した
「変身」
『ドリアン!』
ロックシードを解錠するとドリアンが現れた。そして凰蓮はロックシードを装着した
『ロック・オン!』
ギター音楽が流れた。そしてカッティングブレードを倒した
『ドリアンアームズ!』
ドリアンが被さった
『ミスター・デンジャラス!』
アーマーが展開された。凰蓮は『アーマードライダーブラーボ ドリアンアームズ』に変身した
「城乃内、俺たちも行くぞ!」
「OK!」
城乃内は『ドングリロックシード』を、初瀬は『マツボックリロックシード』を出した
「「変身‼︎」」
『ドングリ!』
『マツボックリ!』
解錠し、ドングリとマツボックリが現れた。2人はロックシードをセットした
『『ロック・オン!』』
城乃内の戦極ドライバーからはファンファーレが、初瀬の戦極ドライバーからは法螺貝が流れた。そしてカッティングブレードを倒した
『 カモン!』
『ソイヤッ!』
城乃内にはドングリが、初瀬にはマツボックリが被さった
『ドングリアームズ! Never give Up!』
『マツボックリアームズ! 一撃・イン・ザ・シャドウ!』
城乃内は『アーマードライダーグリドン ドングリアームズ』に、初瀬は『アーマードライダー黒影 マツボックリアームズ』に変身した。ちなみにグリドンという名前は初瀬が勝手に付けた
「さあ、行くわよ!」
3人はダンデライナーを展開した
「おい、それでは奴のスピードに追いつけないかもしれないぞ」
「大丈夫、倍以上のスピードが出るようになったから。そうそう、あなたにも命令があったわ」
「俺に?」
「ワテクシ達の邪魔をさせないようにすること。って言ってたわよ」
成る程
「わかった。では、頼んだぞ」
3人はダンデライナーを飛ばした。確かに今までよりも確実に早い。さて、俺は俺のするべきことをしよう