アーマード・ストラトス   作:ドランザーF

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「―――であるからして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合は、罰せられ……」

 

今は副担任の山田先生によってIS関連の座学を受けている。はっきり言って退屈だ。大体のことは参考書を見て覚えた。だが俺は授業は真面目に受けることをポリシーとしている。これも例外ではない

 

「では、ここまでで質問がある人はいますか?」

 

ちゃんと先生をやっている。少しだけ見直したぞ

 

「織斑君は何かありますか?」

 

「えっ⁉︎えっと……」

 

あいつ、何もわかってないな

 

「質問があれば遠慮せずに聞いてくださいね。何せ私は先生なんですから‼︎」

 

あんたが先生だというのは百も承知だ。そこまで自慢気に言うことでもないだろうに。先生じゃなかったら何だ、ただの外部講師か

 

「…山田先生‼︎」

 

「はい、織斑君‼︎」

 

「ほとんど全部わかりません‼︎」

 

「ええぇ⁉︎全部ですか⁉︎」

 

やはり何もわかっていなかったか

 

「今の段階でわからない人はどれくらいいますか?」

 

0だ。当然だ、皆ここに来るために勉強してきたのだからな

 

「呉島君はどうですか?」

 

「大丈夫だ、問題ない」⬅︎フラグではない

 

俺はもう覚えたからな

 

「織斑、入学前の参考書は読んだか?」

 

「…分厚いやつですか?」

 

「そうだ」

 

「古い電話帳と間違えて捨てました」

 

…こいつはどうしようもない馬鹿だった。こいつと一緒にいると馬鹿が移りそうだ

 

そしてまた出席簿で叩かれた。やはり音が凄まじい

 

「必読と書いてあっただろうが馬鹿者。まあいい、後で再発行してやるから一週間で覚えろ」

 

「えっ、一週間であの分厚さはちょっと…」

 

「やれと言っている」

 

「…はい…」

 

自業自得だな

 

「ISはその機動性、攻撃力、制圧力と過去の兵器を遥かに凌ぐ。そういった『兵器』を深く知らずに扱えば必ず事故が起こる。そうしたいための基礎知識と訓練だ。理解が出来なくても答えろ。そして守れ。規則とはそういうものだ」

 

遥かに凌ぐか、だがそれもいずれ覆されるがな。それにしても織斑のやつ、拗ねているのか?

 

「織斑、『自分は望んでここにいるわけではない』と思っているな?」

 

いきなり何を言い出すんだこの女は

 

「望む望まざるにもかかわらず、人は集団の中で生きてなくてはならない。それすら放棄するなら、まず人であることを辞めることだな」

 

弟のためを思って言っているのだろうが言っていることが無茶苦茶だ。いきなり人であることをやめるなどと言うか。教師としてあるまじき発言だろう。だが弟のための発言はよしとするか。光実にも甘やかさないで厳しくしないといけないな

 

さて、やっと終わったか。皆俺のところに来なくなったきたな。さっきのオルコットとのやりとりをみているからか。それはそれで助かる。ん?オルコットのやつ今度は織斑の方へ行ったか。どうせ俺の時と同じ話をしているのだろう。まあ少し話を聞いてみるか

 

「あ、質問いいか?」

 

「ふん。下々のものの要求に応えるのも貴族の務めですわ。よろしくてよ」

 

あの女貴族だったのか

 

「代表候補生って、何?」

 

あいつは馬鹿の極みか?読んで時の如くだろう。話を聞くのはやめよう、時間の無駄だ

 

キーン コーン カーン コーン

 

さて、次の授業か

 

「それではこの時間は実践で使用する各種装備の特性について説明する」

 

担任直々に教壇に立つのか、この授業は。山田先生までノートをとるものなのか。だが俺はこれも完全に覚えたがな

 

「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」

 

なぜ今それを決める必要がある

 

「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……まあ、クラス長だな。ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点で大した差は無いが、競争は向上心を生む。一度決まると一年間変更は無いからそのつもりで」

 

要はただの雑用係か。まあ俺には関係ない

 

「自薦、他薦は問わない。誰かいないか?」

 

「はい、織斑君を推薦します‼︎」

 

「私も織斑君を‼︎」

 

完全に人任せか。これはただの興味本位でやっていることなんだろうな

 

「おっ、俺⁉︎」

 

「他にいないか?いなかったら無投票当選だぞ」

 

「ちょっと待ってくれ千冬姉、俺はそんなのやら…」

 

「織斑先生だ、それに、他薦された者に拒否権はない。男なら覚悟しろ」

 

本人の意志を尊重しないとは、それでも教師なのか?

 

「で、どうだ?」

 

「私は呉島君を推薦します」

 

俺に推薦は意味が無い。それは先生もわかってるはずだ

 

「呉島か、他は?」

 

何?

 

「織斑先生、俺は授業以外ではユグドラシルを優先させる条件があったはずですが」

 

「私のクラスではそんなのは関係ない、私に従ってもらう」

 

「おかしいですね、理事長は承認していましたが」

 

「このクラスでは私が法だ、お前もこのクラスにいる限り私に従ってもらう」

 

「自分が法だと?たかがクラス担任という身分で、独裁者を気取れるとは、流石ブリュンヒルデは格が違う。そういえば貴様はドイツの軍にいたと聞いたが、まさかそこで独裁でも学んできたのか?」

 

今の発言が気に入らずに殴りに来たか。そんなものが俺に通用するとでも?

 

「…発言には気をつけろ…」

 

「貴様の独裁者気取りもな」

 

あの出席簿、普通のものだったな

 

「他にいないならこの2人で投票だが」

 

俺の発言は無視か。やはり独裁者だ

 

バンッ‼︎

 

今の音は織斑先生が叩いた音ではないな

 

「納得がいきませんわ‼︎」

 

またあいつか

 

「そのような選出は認められませんわ‼︎大体、男がクラス代表だなんていい恥晒しですわ‼︎私に、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか⁉︎」

 

またヒステリックになったな。貴様の演説は立派だが、誰も聴く耳を持っちゃいない

 

「実力から行けば私がクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります‼︎私はこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ‼︎」

 

遂に日本人を猿呼ばわりしたか。このような島国?イギリスだって島国だろうに。それとも島国より大陸が良かったのか?

 

「いいですか⁉︎クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはこの私ですわ‼︎」

 

実力トップがなる、それは正論だ。だがそれは本当に貴様か?

 

「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で」

 

「イギリスだって大してお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」

 

何故お前がキレる。

 

「あっ、ああなたは! 私の祖国を侮辱しますの⁉︎」

 

「先に日本を侮辱したのはそっちだろう」

 

確かに奴が先に日本を侮辱したが、そこまでキレるようなことなのか

 

「決闘ですわ‼︎」

 

この流れで何故そうなる

 

「いいぜ、四の五の言うよりわかりやすい」

 

お前も何故受ける

 

「言っておきますけど、わざと負けたりしたらわたくしの小間使い――いえ、奴隷にしますわよ」

 

奴隷とかこいつはいつの時代の人間だ

 

「侮るなよ。真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない」

 

「そう? 何にせよちょうどいいですわ。イギリス代表候補生のこの私、セシリア・オルコットの実力を示すまたとない機会ですわね‼︎」

 

この茶番はいつまで続くのだろうか

 

「ハンデはどのくらいつける?」

 

「あら、早速お願いかしら?」

 

「いや、俺がどのくらいハンデつけたらいいのかなーと」

 

こいつはどこまでいっても馬鹿だった。代表候補生相手に初心者がハンデをつけるなど本当に何なんだ

 

「「アハハハ‼︎」」

 

「お、織斑君、それ本気で言ってるの?」

 

「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」

 

「織斑君は確かにISを使えるかもしれないけど、それは言い過ぎよ」

 

クラスの女子も馬鹿だった。笑どころを間違えている。それになにより、ISを過信しすぎている。

 

「……じゃあ、ハンデはいい」

 

 

「ええ、そうでしょうそうでしょう。むしろ、私がハンデを付けなくていいのか迷うくらいですわ。ふふっ、男が女より強いだなんて、日本の男子はジョークセンスがあるのね」

 

 

何を勘違いしているのだろうか女子どもは。女が男より強い?そんなもの、ISを使っている時だけだろうが。常に強いわけがない

 

「ねー、織斑君。今からでも遅くないよ? セシリアに言って、ハンデ付けてもらったら?」

 

こいつら、男そのものを馬鹿にしているな。だったら最初から男を推薦するな

 

「男が一度言い出したことを覆せるか。ハンデは無くていい」

 

「えー? それは代表候補生を舐めすぎだよ」

 

今この女が言ったことは正論だ

 

「それで、あなたはハンデはいりますか?」

 

何故俺にふる?

 

「こんな下らない茶番に俺を巻き込むな」

 

「茶番ですって⁉︎」

 

「茶番だろう、こんなもの。たかがクラス代表を決めるだけでこんなくだらない議論になる?それに、お前、女は男より強いと言ったな」

 

「当たり前でしょう、世界の常識ですわ」

 

「ならここにいる女は全員男より強い、そういうことだな」

 

「そうですわ、女性は強いんですから」

 

「そうなんですか、先生方?」

 

「えっ?それは…」

 

「呉島、何が言いたい?」

 

「俺が言いたいのは、女が強いのは、ISが使えるから。逆に言えば、ISを使っていない時は弱い。そういうことだ」

 

今の発言でここの殆どが敵になったか。だがこれが現実だ。所詮女どもはこの程度ということだ

 

「あなたはさっきから生意気な事ばかりおっしゃいますけど、どうせあなたの所属するユグドラシルだって男しかいないのでしょう。それにISのについて何もしていない時代遅れな企業なんかに負けるとは思いませんわ」

 

女の人だっているが

 

「それはユグドラシルに喧嘩を売ってるのか?」

 

「そう受け取ってもらっても結構ですわ。でもどうせ何も出来ないでしょうがね」

 

「ユグドラシルは売られたケンカは買う方向性だ。そのケンカ、買ってやる」

 

「話は纏まったな。それでは来週の月曜の放課後に第3アリーナで試合を行う。それでいいな?」

 

「先生、俺は代表ではなく、ケンカを売られたユグドラシルとして試合を行う。いいですね?」

 

「…いいだろう」

 

俺は、ユグドラシルとしてセシリア・オルコットと試合をすることになった

 

 

 

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