ついに来てしまった、学園祭。すでに女子たちのテンションは上がっている。俺ははっきり言って乗り気ではない。というよりこのテンションに着いていけない。それはまあ学園の一大イベントだからなのだろうが、周りのテンションが高いと、どうも調子が崩れる。まあ、俺は俺の仕事をこなそう。俺は接客担当。執事の服装で。要するにタキシードを着ている。タキシードを着ることについてはもう割り切った。接客のやり方も普通の生徒に対してなら別に構わない。問題はユグドラシルの誰かが来た時だ。その時に俺が接客をすることになれば……駄目だ想像もしたくない。第一、このタキシードは本当に似合っているのか?
「呉島君似合ってるよ」
「うん、かっこいい」
と、谷本と鏡は言っていたが、お世辞であれば自信をなくす。時間だ。学園祭が始まった
ユグドラシル
「じゃあ湊君、行ってくるよ」
「プロフェッサー、本当に行かれるのですか?」
「ああ、せっかくだから行ってあげようじゃないか」
「そうですか。では、お気をつけて」
1組のご奉仕喫茶は朝からもう忙しい。まあ、だいたい織斑目当てだろうが。実際接客で一番忙しいのは織斑だ。ちなみに他の接客はデュノア、オルコット、篠ノ之、ボーデヴィッヒだ。このメンバーの中に俺が混じっている。最初はどうかと思ったが俺は文句を言える立場ではない故にこうなった。これはしょうがない。現にあいつらは俺のことなど気にしていない
「いらっしゃいませ♪こちらへどうぞ、お嬢様」
デュノアはもうノリノリである。俺もすでに何回かやっているがどうも慣れない。最初にやった時は
「呉島君、それじゃ駄目だよ!」
「もっと笑顔で!」
と、厨房にいたはずの谷本と鏡に駄目だしされた。いったい俺に何を求めるんだ?ちなみに時折教室の外を見ると長蛇の列だ。
「はーい、こちら二時間待ちでーす」
「ええ、大丈夫です。学園祭が終わるまでは開店してますから」
といった対応を整列係がしている。多すぎるだろ、もう殆どの連中がここに来てるんじゃないのか?と考えてる間にも客が来た。これは俺が接客か
「いらっしゃいませ。お嬢様、こちらへどうぞ」
やはり慣れん。とりあえず俺は客を席に案内させた
「オルコット、後は任せる」
「最後まで自分でやってください!」
といった感じで席に案内させた後はもう他人任せというようにしている。奴の文句は受け付けん。織斑と凰が何かやっている。あれは『執事にご褒美セット』という奴か。それは執事に食べさせられるというものだ。その執事の対象は織斑に向かうが。また客が入ってきた。他の奴らはすでに接客している。また俺がやるのか。……あれは
「そこの執事、早く案内したまえ」
……よりによってプロフェッサーが来るとは。それに、何故短パンだ?バカンスか?
「……いらっしゃいませ、こちらへどうぞ」
とりあえずプロフェッサーを席に案内した
「ご注文は?」
「コーヒーを一杯」
「かしこまりました」
俺は注文を伝えた。プロフェッサーが俺にカメラを向けてくる。今の俺を他の奴らに見せるわけにはいかない
「お客様、店内でのカメラの使用はご遠慮願います」
くそ、プロフェッサーにこんな口調で話さなければいけないとは……
「別にいいじゃないか、それよりほら、コーヒーが出来たみたいだよ」
完全に笑いをこらえている。今の俺はプロフェッサーの言われるがままだ
「お待たせしました。コーヒーです」
適当に置いてテーブルを汚すわけにもいかない
「ありがと。じゃ、もう下がっていいよ」
湊さん、目の前の男をぶん殴ってもいいですか?
俺はその後も接客を続けた。その度にプロフェッサーがカメラを向けてくる。もう諦めるしかない。プロフェッサーはあれからもう何十分もいる。いい加減出ていけ