アーマード・ストラトス   作:ドランザーF

63 / 70
62

襲撃事件が終わり授業が再開された。と言っても、いつも通りの授業だが。それにしても、量産型の戦極ドライバーが奪われたのが気がかりだ。奪った連中が本当に亡国機業だとしたら、かなり厄介な事になる。普通の戦極ドライバーであれば、最初に使った奴しか変身することが出来ないが、量産型となれば話は別だ。量産型の戦極ドライバーはそのような制約は無い。故に、使い回しが可能だ。奴らに戦極ドライバーが使われたら、悪用されかねない。それだけは未然に防ぎたいが、実際のところ、奴らの情報はあまりにも少なすぎる。対策は不可能と言っていいだろう。

 

「ねえ、たかたか〜」

 

「どうした、布仏?」

 

「かんちゃん今日来てないみたいなんだよ〜」

 

「来てない?」

 

聞いた話ではあいつはもう回復したらしいが、来てないとすると、もしかしたら自分の専用機が破壊されたことが気になって自分の部屋に閉じこもっている可能性があるな。

 

「とりあえず、放課後にあいつの部屋に行ってみるといい。親友のお前なら、何か悩み事があった場合に相談に乗ってやれるだろう」

 

「じゃあたかたかも一緒に行こ〜」

 

「お、俺もか⁉︎」

 

「うん。行こうよ〜」

 

俺が行っても正直何もしてやれない気がするのだが

 

「それ、俺も行っていいか?」

 

「何?」

 

何故ここで織斑が?そうか、更識のタッグのパートナーはあいつだったな。それに、織斑の性格を考えると、こういうことに食いつくのは当然か。

 

「布仏、どうする?」

 

「私はいいよ〜」

 

「だ、そうだ」

 

「サンキュー、貴虎!」

 

サンキューと言うが、許可を出したのは俺ではなく布仏だ。礼を言うなら布仏に言うんだな。

 

「待て、嫁が行くと言うなら私も着いて行くぞ」

 

「ラウラもか?」

 

ボーデヴィッヒが話に割り込んできた。ちょっと待て、お前と更識に接点はあったか?

 

「僕も行くよ。僕も彼女の力になってあげたいし」

 

デュノアは……、まあ、デュノアなら良い相談役なってやりそうだな

 

「私も行きますわ。同じ代表候補生として、相談に乗って差し上げるのが当然でしてよ」

 

オルコットはそれらしいことを言っているが、趣旨が違う気がするのは気のせいだろうか?

 

「だ、だったら私も行くぞ」

 

遂には篠ノ之までが食いついてきた。一度布仏と目を合わたが、ため息を漏らしてしまった。

 

「いいだろう。放課後に来い」

 

これで、放課後に更識の部屋に行くことが決まった。

 

 

 

 

放課後になり、布仏に更識の部屋まで案内してもらった。そして何故か、話を聞いていないはずの凰がいた。結局織斑の周りの奴ら全員が集まったというわけか。いや、いきなりこんな人数で行って大丈夫なのか?すると、更識の部屋の前に先客がいた。

 

「あれは、更識楯無……」

 

「っ!みんな、どうして……」

 

姉である更識楯無が既にいた。いや、普通か。

 

「俺だって簪の事が心配ですよ。だから皆で相談に乗ってあげようと思いました」

 

「みんな……ありがとう……」

 

勝手に話が進んでいるが、まあいいか。

 

「かんちゃ〜ん、いるの〜?いたら返事して〜」

 

返事が来ない。これはもしや居留守か?

 

「簪、何か悩み事があったら俺たちが相談に乗ってやるぞ」

 

それでも返事が無い。やはり居留守なのか?

 

「簪ちゃん、この前は勝手な事を言ってごめんなさい。でも、みんな簪ちゃんのことが心配なの。だから、出てきてくれない?」

 

やはり返事が無い。これは本当に居留守なのか?それとも……、ん?あれは……

 

「おい、鍵が開いているぞ」

 

「えっ?簪ちゃん、入るわね」

 

更識楯無がそう言って俺たちも部屋に入った。だが、そこに更識簪の姿はなかった。

 

「簪ちゃん⁉︎」

 

「ここにもいないぞ!」

 

どうやらトイレにもシャワールームにもいないらしい。これは、飛び出して行った可能性が高いな。

 

 

 

 

その頃、簪は街を彷徨っていた。今の簪には、かつて姉に言われたある言葉が巡っていた。

 

『あなたは無能のままでいなさい』

 

(私は……結局、何も出来ない無能なんだ……)

 

その事を思う度に、簪は涙を流していた。そして彷徨っているうちにある作業場へと辿りついた。

 

 

 

 

 

「簪ちゃん、どこに行っちゃったの……?」

 

「これだけ探していないのなら、もう学園にいない可能性が高いぞ」

 

「じゃあ、街に行って探してみようぜ。それだったら見つかるかもしれないだろ」

 

「そうだね、ここで待ってるより可能性はあるね」

 

「行きましょう、楯無さん!」

 

「そうね、じゃあ手分けして探しましょう」

 

「俺と布仏は残らせてもらう。もし戻ってきた時の為にな」

 

「じゃあ、お願いするわね」

 

そう言って俺と布仏以外で更識簪を探しに行った。

 

「かんちゃん、見つかるかな〜?」

 

「大丈夫だ、きっと見つかるさ」

 

『PPPPP』

 

「私だ。……わかった、すぐに向かう。布仏、俺もある用事が出来た。谷本達と一緒に待っているんだ」

 

「どこ行くの〜?」

 

「用事だ。すぐに戻る」

 

そして俺も学園を出た。

 

 

 

 

 

簪は作業場に佇んでいた。だが、そこに

 

「キャアアア‼︎」

 

「ッ⁉︎なっ、何……?」

 

簪は悲鳴がした方向を見ると作業員が何かから逃げているのが見えた。そしてそこではセイリュウインベスが暴れていた。そしてセイリュウインベスは簪を見つけると簪に向かって歩き出した。

 

「い、イヤ……来ないで……」

 

簪は逃げ出した。だがセイリュウインベスは追いかけてくる。それでも簪は逃げ続け物陰に隠れた。

 

(誰か……助けて……)

 

「うおおおお‼︎」

 

その時、一夏達が悲鳴を聞きつけてやって来たのか、一夏は白式を纏いセイリュウインベスを攻撃した。

 

(お……織斑君……!他のみんなも……。それに……お姉ちゃん……?)

 

簪は一夏達が助けに来たと思っているが、一夏達は簪に気づいてはいなかった。

 

「みんな、行くわよ!」

 

「はい!」

 

楯無の合図で一夏達は戦闘を始めた。インベス一体に7人がかりで戦っているためもう既に有利な状況だった。その戦いを見ている簪は、ある感情を抱いていた。

 

(どうして私には無いの……?みんなのような力が……。やっぱり、私が無能だから……?無能だから……、手に入れても、すぐに無くなるの……?)

 

簪がそう思っているうちに一夏達はセイリュウインベスを追い詰めた。

 

「みんな、とどめよ‼︎」

 

一夏達はセイリュウインベスにとどめをさそうとしていた。だが、セイリュウインベスの周りには、ヘルヘイムの植物が生えており、当然果実も実っていた。セイリュウインベスは果実をもぎ取り食らい始めた。

 

「グっ、グオオオオ‼︎」

 

「な、何だ⁉︎」

 

果実を食べたセイリュウインベスは巨大化し、強化体となった。

 

「う、嘘でしょ⁉︎」

 

「あんなに大きくなるなんて……」

 

「これは少しやばいね……」

 

「くっ……」

 

だがそこに、ある攻撃がセイリュウインベスに当たった。

 

「今のは……?」

 

「貴虎!」

 

攻撃は斬月・真によるものだった。

 

 

 

 

インベスを倒しに来たのはいいが、何故あいつらがここにいる?更識を探しに行ったのではなかったのか?そんな事より、インベスが巨大化している。あれはもう果実を食ったな。ふん、上等だ、

 

「行くぞ。ハアッ‼︎」

 

俺はソニックアローで斬撃を食らわせた。的がデカイと攻撃が当たりやすい。だが、インベスは今の攻撃のせいか暴れ始めた。

 

「ムダな足掻きを」

 

そして今度は光の矢を放った。撃てば当たる。そして奴は火球を撃ってきた。俺はそれをかわしながらソニックアローを撃ち続ける。尚も奴は暴れ回る。これで終わりだ。俺はロックシードをソニックアローにセットした。

 

『ロック・オン!』

 

狙いは定まった。

 

「とどめだ」

 

俺は弓を引いた。

 

『メロンエナジー!』

 

ソニックボレーが直撃し巨大インベスは爆発した。どうにかあの巨大インベスを倒す事が出来た。

 

「す、すげえ……」

 

「更識簪はどうした?見つかったのか?」

 

「いや、まだだ。まだ見つからない」

 

「そうか」

 

「簪ちゃん、どこに行ったの……?」

 

 

 

 

 

「力……私にもみんなと同じ力があれば……」

 

だがその時、楯無の言葉が頭をよぎった。

 

『あなたは無能のままでいなさい』

 

『無能』この単語が頭から離れなかった。

 

(無能……。私は無能……。無能の私が、力なんて手に入らない……)

 

そう思った瞬間、簪の目にヘルヘイムの果実が写り込んだ。

 

(なんだかこれ……すごく美味しそう……。それに、これを食べれば……力が手に入るかも……)

 

そして簪は果実に手を伸ばしてしまった。

 

 

 

 

 

ガサッ

ん?今の音は風か?いや、あれは、更識簪か?まさかあいつ、ずっとここにいたのか?それに、少し様子がおかしい。

 

「簪⁉︎ここにいたのか⁉︎」

 

「簪ちゃん!良かった、無事で!心配したわよ!」

 

更識楯無は見つかった喜びで泣いているが、更識簪は一切顔を向けない。何があった?

 

「私は……無能じゃない」

 

「か、簪ちゃん⁉︎」

 

いきなりの発言に更識楯無は走るのを辞めた。一体どうしたと言うんだ?

 

「簪、どうしたんだよ⁉︎」

 

「私は……無能なんかじゃない」

 

「簪ちゃん、何言ってるの⁉︎ねえ、簪ちゃん‼︎」

 

「もう……無能なんて言わせない!」

 

あれは、ヘルヘイムの果実か⁉︎あいつまさか⁉︎

 

「私に……私に力を‼︎」

 

まずい、果実を食べ始めた。

 

「おい、吐き出せ‼︎」

 

だが、もう遅かった。

 

「うっ……ウアアアアアアアア‼︎」

 

「か、簪ちゃん‼︎どうしたの⁉︎」

 

「おい、簪‼︎」

 

俺の叫びも虚しく、簪の体は植物に包まれそして、簪はインベスへと変貌した。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。