「グアアア‼︎」
更識簪はヘルヘイムの果実を食べインベスと化した。くそっ、俺がちゃんと見ていれば防げた事態の筈だ!
「なっ、何が起きたの……?」
「さ、更識さんが、怪物に……?」
「呉島、これはどういうことだ⁉︎」
どういうことだと?見ての通りだろうが‼︎
「何で……?何で簪ちゃんが……?簪ちゃん!」
「くそっ、もう手遅れか!」
俺はソニックアローで簪が変貌したインベスを攻撃しようとした。俺はインベスに狙いを定めたが……
「やめろ貴虎!」
織斑がいきなり邪魔をした。そのせいで俺は攻撃を外した。
「何をする⁉︎」
「お前こそ何してんだよ!それを撃ったら簪が死んでしまうだろ!」
「当然だ!殺さないでどうする⁉︎」
「何言ってるんだ!あれは簪なんだぞ!」
こいつ、この状況を目の当たりにしてそんな戯言を……。
「あれはもう人間ではない。人を襲う怪物だ!」
「か……簪ちゃんが……人を襲う怪物……?嘘よ……嘘よ!!」
「決めつけんなよ!あいつはまだ何もしてねえだろ!」
……どうやら何を言ってもダメみたいだな。こうなったら無理やりにでもあいつを倒すしかない。
「はあああっ!!」
「やめろって言ってるだろ!」
ソニックアローを撃とうとしたところをまた邪魔をされ攻撃を外した。そして奴は逃げ出した。
「いい加減にしろ織斑!!奴を野放しにするつもり……!?」
急に体が動かなくなっただと!?まさかこれは……
「嫁、呉島は私が押さえておく。お前たちは簪を追え」
ボーデヴィッヒ……やはりAICか!
「ラウラ!わかった、皆、行こう!楯無さん、行きましょう!」
「簪ちゃん……お願い、元に戻って……」
織斑たちはインベスを追った。あいつらのことだ。絶対に倒そうとはしないだろう。しかし、今はこのAICをどうにかしなくては……
一夏達は簪が変貌したヘキジャインベスを追いかけていたが見失っていた。
「簪、どこ行ったんだ……」
「ガアアア‼︎」
「うああ‼︎」
一夏は背後からヘキジャインベスの攻撃を受けた。
「やめて簪ちゃん‼︎」
楯無は簪を抑えようとしたが逆に振り払われた。
「簪、落ち着け‼︎」
「僕達は君を助けたいだけなんだよ!」
「だから早く大人しくしなさいよ!」
そう言うがヘキジャインベスは当然の如く聞く耳を持たず、そのまま一夏を攻撃した。
「一夏!」
箒は遂にヘキジャインベスに攻撃をした。
「箒、そんな事したら簪が!」
「わかってる!だがこのままではお前がやられるぞ!」
「で、でも……」
「篠ノ之さんの言うとおりですわ。しかし……」
セシリアは頭の中では箒の言ってる事は正しいと思っているが、やはり目の前のヘキジャインベスは簪だと思うと攻撃が出来なかった。
「簪ちゃん……」
楯無は一人インベスの前に立つと、ISを解除した。ヘキジャインベスも、急にISが解除されたので若干戸惑っていた。
「楯無さん⁉︎」
「簪ちゃん、私がわかる ?楯無よ、お姉ちゃんよ。この前は無責任なことを言ってごめんね。簪ちゃんの気持ちも考えないで……ごめんなさい!」
ヘキジャインベスは襲わずにただ黙って楯無の話を聞いていた。しかし、ヘキジャインベスは少し動揺しているようだった。
「楯無さん……」
一夏も楯無のようにISを解除した。それを見た箒達も一夏に続いてISを解除した。
「大丈夫だよ。僕達は君を傷つけないから」
「警戒なさらないでください。私達は何もしません」
「そ、そうよ。だから落ち着きなさいよ」
「さっきはいきなり攻撃してすまなかった。だが、もうそんなことはしないから安心しろ」
「簪、お前は今病気だ。だから俺たちと病院に行こう」
するとヘキジャインベスは突然苦しみだし体が植物に覆われた。そしてヘキジャインベスは簪の姿に戻った。
「簪ちゃん!」
ヘキジャインベスが簪の姿に戻ったことで楯無達は簪の元に駆け寄った。だが、それはつかの間だった。
「うわあーっ‼︎」
簪は近づいてくる楯無達を振り払った。そして、その手はインベスの手になっていた。簪の姿には完全に戻ってはいなかった。
「簪ちゃん!大丈夫よ……」
それでも楯無は簪に近づいた。だが、簪は楯無に掴みかかった。
「うっ!」
「やめろ簪!」
「ガアアッ!」
「うああ‼︎」
一夏は簪を止めようとしたが吹っ飛ばされてしまった。
「一夏!」
箒達は一夏の元に駆け寄った。そして簪は楯無も投げ飛ばした。
「ウアアア‼︎」
簪は再び何処かへ逃げ出した。
「追うぞ!」
箒、セシリア、鈴音、シャルロットは再び簪を探しだした。
俺は今ボーデヴィッヒのAICにかかり動けない。だが、奴は何故何もしてこない?動きを止めているなら攻撃するチャンスの筈だが、一体何を考えている?………?体に自由がきく。AICを解除したのか?
「ボーデヴィッヒ、何の真似だ⁉︎」
「……すまない」
「何?」
「更識が怪物になった時、お前はすぐに始末しようとした。あの時のお前の行動は正しかったのかもしれない。」
「そう思うのなら何故邪魔をした?」
するとボーデヴィッヒはISを解除し話を進めた。それと同時に俺も変身を解除した。
「お前の言葉を認めたくなかったのかもしれない」
「何?」
「お前は怪物になった更識を人を襲う怪物と言った。私もあの時は嫁と同じ考えをしていた。あいつはまだ何もしていない。人を襲うとは限らないと」
「それで奴を始末しようとする俺を止めるためにAICをかけた、というわけか」
「ああ。呉島、お前の言葉はすでに確信して言っている感じがした。お前は、いや、ユグドラシルはあの変な実を食えば怪物になることとを知っていたのか⁉︎」
こいつ、軍人だけあって鋭いな。
「ああ。既に前例がある」
「前例だと⁉︎では、更識以外にもあの実を食べ、怪物になった奴がいたのか⁉︎」
「ずっと前にな。だが、そいつは既に処分した」
「……まさか、そんな事が……」
……いずれヘルヘイムの事を話さなければと思っていたが、こいつには教えてもいいかもしれない。
その頃、学園では、本音、谷本、鏡、そして、本音の姉である虚が食堂に集まっていた。
「かんちゃん、大丈夫かな〜?」
「大丈夫よ本音、きっと見つかるわよ」
「そうよ、きっと大丈夫よ」
「本音、今は皆を信じて待ちましょう」
「お姉ちゃん……みんな〜……」
だがその時、扉が開き簪がふらつきながら入ってきた。
「かんちゃん⁉︎」
いきなり簪が入ってきた事で一瞬驚いたが本音はすぐに駆け寄ろうとした。
「かんちゃん、どこ行ってたの〜?」
「待ちなさい本音!」
「え〜?何で?」
虚は何かに気づいたのか本音を呼び止めた。いきなり呼び止めた事を本音は疑問に思った。
「ど、どうしたんですか?」
「そ、そうですよ、更識さんが戻ってきたんですよ」
谷本と鏡が話しかけるが虚は答えずに簪を険しい表情で見ていた。そして簪は食堂に箱に詰められて置いてあるリンゴを掴み食べ始めた。
「か、かんちゃん、何してるの〜?」
本音は簪の奇行に驚いていた。簪はこんな事は絶対にしない。そう思い簪に近づこうとした。
「本音、近づかないで‼︎」
またもや姉に止められ本音は状況が飲み込めなかった。簪はリンゴを食べるのをやめると突然苦しみだした。
「ウアアアア‼︎」
簪の体は再びヘキジャインベスになった。
「キャアアア‼︎」
食堂にいた生徒達は一斉に悲鳴をあげた。
「か、かんちゃん⁉︎」
本音は簪がヘキジャインベスになった驚きと恐怖で動けなくなってしまった。
「な、何で更識さんが怪物に……」
「わ、わかんないよ……」
ヘキジャインベスは今にも本音に襲いかかろうとしていた。
「本音‼︎」
虚が本音とヘキジャインベスの間に入り、虚は背中でヘキジャインベスの攻撃を受けた。
「うっ‼︎」
「お、お姉ちゃん⁉︎」
攻撃を受けた虚の背中から血が溢れ出した。ヘキジャインベスは虚を襲ったと思ったらすぐに逃げ出した。
「お姉ちゃん‼︎お姉ちゃん‼︎」
「とにかく、奴を野放しにしておくのは危険すぎる。一刻も早く見つけ出さなければならない」
「……ああ、そうだな」
ボーデヴィッヒとはひとまず話をつけインベスを探しに行こうとしているところだ。しかし、布仏には何て言えばいいんだ……。
『PPPPPPP』
こんな時に……谷本か?一体何の用だ?
「私だ」
『呉島君すぐに来て!更識さんが!』
「何⁉︎わかった、すぐに向かう!」
「どうした、呉島?」
「学園に更識が現れた」
「なんだと⁉︎」
俺はすぐにサクラハリケーンを展開した。
「待て呉島、私も乗せろ!」
いきなり乗せろと言い出してきたが断るのも惜しかったためヘルメットを渡しボーデヴィッヒを乗せ学園に向かった。
その頃、一夏達は簪を探していたが見つけられなかった。
「そっちはどうだ?」
「駄目ですわ。どこにも見当たりませんでしたわ」
「鈴は?」
「結構探したけど全然見つからなかったわよ」
「僕も駄目だったよ。何処にもいなかった」
「私もだ。一体どこへ逃げたと言うんだ……」
「そうか……楯無さん……」
楯無は貴虎の言うとおり簪が人を襲うと思うと気が気でなかった。
「ん?あれは、貴虎とラウラか?」
一夏が見た先にはサクラハリケーンに乗っている貴虎とラウラがいた。
「どうやら学園に向かっているみたいですわね」
「僕達も行こう。もしかしたら何かわかるかもしれないよ」
「そうだな、皆、行こう」
一夏達は貴虎とラウラを追うように学園に向かった。
学園に着いた。俺たちは谷本に言われた場所に向かっている途中、誰かが担架で運ばれていた。あれは……
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
布仏⁉︎じゃあ担架で運ばれているのは布仏の姉か⁉︎それに、あの人は生徒会の……
「呉島、これはまさか……」
「これは、間違いない」
「呉島君!」
「谷本、鏡」
後ろから谷本と鏡が来た。こいつらはもう見てしまったのか……
「呉島!」
更に織斑千冬までもが来た。
「一体何があった?」
「織斑先生、4組の更識さんが急に怪物になって……」
「更識が怪物になるだと……どういうことだ⁉︎」
「教官、本当です。私の目の前で更識は怪物になりました」
「なんだと……呉島、詳しく説明しろ!」
「……そのつもりだ」
「虚ちゃん‼︎」
今度は更識楯無が来た。他の奴らも一緒か。
「虚ちゃんしっかりして!虚ちゃん‼︎」
布仏の姉は気絶しているみたいだ。
「……俺のせいだ」
「呉島君……?」
「俺が早くあいつの様子に気付いていれば、更識簪もあんな姿になんてならずに済んだ。そして布仏の姉も傷つくことはなかった。全部俺のせいだ……」
「呉島……」
「これ、本当に簪がやったのかよ……?」
「……だから言っただろ、あれは人を襲う怪物だと」
「そんな……簪ちゃんが、虚ちゃんを……」
「ねえ、かんちゃんどうなっちゃうの〜?」
「あいつは……」
『PPPPPP』
「……私だ」
『貴虎、大変な事になったようだねえ。ひとまず来てくれたまえ』
「……わかった。すまない、ユグドラシルに行ってくる」
俺は一旦別れユグドラシルに向かった。
ユグドラシルタワーに着いた俺は会議室に向かった。そこには、プロフェッサー凌馬とシドがいる。
「貴虎、随分と浮かない顔をしているね」
「当然だ、目の前で人間がインベスになったんだぞ」
「まあ無理もねえよ。目の前で人間がインベスになられちゃあな」
そこに湊さんが来た。
「プロフェッサー、問題のカテゴリーHが見つかりました」
「わかった。貴虎、行くよ」
「……ああ」
俺たちはインベスを倒しに向かった。
「キャアアア‼︎」
簪が変貌したヘキジャインベスが街で暴れていた。そしてヘキジャインベスは近くにいた親子に襲いかかろうとしていた。
「はっ!」
そこに更識楯無が現れ、生身でヘキジャインベスを攻撃し親子を逃がした。
「楯無さん!」
「皆、手を出さないで」
一夏達はそう言われると楯無の言うとおりにした。
「簪ちゃん、もうこんな事はやめて!あなたはこんな事をする子じゃないのよ!」
ヘキジャインベスは黙って聞いているが、警戒していた。
「それでもこんな事を続けるなら、あなたはもう、簪ちゃんじゃない!」
そして楯無はISを展開した。それと同時にヘキジャインベスも楯無に襲いかかった。楯無はヘキジャインベスの攻撃を避けるとヘキジャインベスに攻撃を仕掛けた。スピードでは圧倒的にISが有利である。そして続けて楯無は蒼流旋で攻撃をした。だが、攻撃する度に楯無は簪の面影が見えた。
「っ⁉︎簪ちゃん……」
それでも尚、楯無は攻撃を続けた。それを見ている一夏達は
「こんなの、あんまりですわ……」
「どうしてこんな事になっちゃったのよ……」
「悲しすぎるよ。どうして姉妹で戦わなくちゃならないの?」
「これが、現実だと言うのか……」
「俺達に何かできないのかよ⁉︎」
「……」
それぞれが自分の思う事を述べたがラウラだけは黙って戦いを見ていた。そしてついに楯無はヘキジャインベスを追い詰めた。
「簪ちゃん、これで終わりよ……」
楯無はヘキジャインベスにとどめをさそうとしたが、ヘキジャインベスに怯えている簪の面影が重なった。そして楯無はとどめを刺すのにためらい始め、ついには武器を捨ててしまった。
「……無理よ……。あれは簪ちゃんなのよ……。実の妹を殺すなんて……できるわけないじゃない‼︎簪ちゃん!お願い……元に戻ってよ……簪ちゃん‼︎」
楯無は泣きながら呼びかけた。一夏達はただ黙って見ているしかなかった。だが、そこに
『メロンエナジー』
『チェリーエナジー』
『レモンエナジー』
『ピーチエナジー』
『『『『ロック・オン!』』』』
『『『『ソーダ!』』』』
『メロンエナジーアームズ!』
「簪ちゃん‼︎簪ちゃん‼︎」
必死で呼びかけを続ける楯無に斬月・真は攻撃をした。
「キャアア‼︎」
「楯無さん⁉︎」
楯無はISを解除され一夏達のいるところまで吹っ飛ばされた。
「あれは……」
一夏達は攻撃がしてきた方を見るとそこには4人のアーマードライダーがいた。1人は斬月・真。そして『アーマードライダーシグルド チェリーエナジーアームズ』、『アーマードライダーデューク レモンエナジーアームズ』、『アーマードライダーマリカ ピーチエナジーアームズ』が立っていた。
あいつは俺のせいでインベスになった。だから俺が……
「待てよ貴虎」
何故かシドが変身したシグルドに呼び止められた。
「……なんだ?」
「全部お前1人で背負い込む必要はないんだぜ」
「シド、しかし……」
「あいつは俺がやる。はっ!」
シグルドはインベスのいるところに飛び降りた。そしてシグルドはインベスに斬撃を決めた。
「簪ちゃん‼︎」
「やめろ!そいつは人間なんだ‼︎俺達の仲間なんだよ‼︎」
織斑達はやめさせようとしているがシグルドは一切聞く耳を持っていない。
「嫁!あれはもう更識簪ではないんだ‼︎」
「ラウラ⁉︎お前、何言ってんだよ⁉︎」
ボーデヴィッヒがいきなりそういう事を言うとは、割り切ったのか?
「ハアッ‼︎」
シグルドは逃げようとするインベスに矢を放った。そしてそのまま斬撃に移った。
「お願い!やめて‼︎殺さないで‼︎」
「俺達が止めてやる!」
「やめろ嫁!あれでいいんだ!」
「あんた、何言ってんのよ‼︎」
「ボーデヴィッヒさん、どうしたのですか⁉︎」
「ラウラ、どうしてそんなこと言うの⁉︎」
「お前、見損なったぞ!」
「……なんとでも言え」
シグルドはロックシードをソニックアローにセットした。
『ロック・オン!』
段々とソニックアローにエネルギーが溜まっていく。これで、あいつは終わる……。
「やめてええええ‼︎」
「やめろおおおお‼︎」
「はっ!」
『チェリーエナジー!』
シグルドは弓を引くとチェリーを模したエネルギーが発射されインベスに直撃した。そのチェリーを模したエネルギーはインベスを挟み込んだ。そしてインベスは爆発し、そこには何も残らなかった。
「「「「「「ッ‼︎」」」」」」」
「簪ちゃあああん‼︎」
更識楯無は泣き崩れた。いいんだ……これで、いいんだ……
「どうして殺したんだよ⁉︎そいつは!」
「何故かって?人を襲う化け物を始末したんだぜ。こいつはいわゆる、正義ってやつだろ?」
「ッ⁉︎ふざけんなあああ‼︎」
織斑はISを展開してシグルドに襲いかかった。だが、シグルドは簡単にはねのけた。
「やめろ、嫁!」
「ラウラ……」
シグルドがインベスを倒した事で、更識簪は死亡した。