バカと女神とゲルテナと   作:東雲兎

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今回は小休止、何も起こら無い平和な回ということを踏まえてお読みください。

……すすまないなぁ


第十一画目

少年はカチカチカチと、トビラに仕掛けられたダイヤルを回す。

名を吉井明久と言った。

ふと、彼は回す事を中断し、背後に極めて平常を装った声で呼びかける。

 

「ねぇ、女性の絵って12枚だったっけ?」

「そのくらいだった気がするわ。イヴは憶えてる?」

 

曖昧な答えを返したのは、高めで少々丸まった声質ではあるが、れっきとした男性の声。

その主はギャリーという、髪がどことなく海産物を彷彿とさせる男性だ。

彼は明久と背中合わせの状態で通路を見張っている。

 

それは何故か……と問われれば、原因はこのフロアに入った時まで遡る。

彼らがマネキンの並ぶ廊下を抜け、このフロアへと足を踏み入れた後のことだ。

絵画らの前を通っていた時、またもやゲルテナの作品である《赤い服の女》が出現したのだ。

 

その時はなんとか振り切れたものの、何時また現れるか判らないため、こうしてギャリーに警戒してもらっているのだ。

 

そしてギャリーがチラリと目を向けたのは、明久の隣でベッタリと離れない女の子。

宝石の如く、赤く輝く瞳を持つ少女のイヴ。

明久の手をずっと握っている方とは反対の手でダイヤルを2から回す。

 

「14枚だったよ」

「あれ?そうだっけ……あ、動いた奴も入れるのか」

 

彼女のいった通りに、ダイヤルの数字が4になると、カチリとトビラが解錠された。

 

明久から「流石だね」と称賛され、笑って照れるイヴ、その姿はまさしく年相応といったところだろう。

だが、ギャリーは聞いていた。彼の前で無邪気に笑う彼女から紡がれた決意を。

あの場所、明久と別れて行動したあの迷路で、自分に告白してくれたイヴの願い。

 

『私は、明久の役に立ちたい。その為だったら、なんでもする。明久が喜んでくれるんだったら笑顔でいるよ』

 

懇願にも近い独白に、ギャリーは息を呑んだ感覚を今でも覚えている。

何故そこまでの決意が出来たのか、これも恋というものが成せる技なのか……恋などした事のないギャリーには想像できない。

 

だからこそ、彼等の時間を邪魔するのはギャリーにとっても偲びないのだが、そうも言っていられない状況になった。

 

「ごめんけど、2人共早く中に入って。何か近付いてくるわ……」

 

途端に緊張が走る。明久は迅速にトビラを開けて部屋へと入り、他の2人を中へ招き入れる。

そして誰も見ていないかを確認しつつ、音を極力立てぬように閉めた。

 

「ふぅ、なんとか見つからなかったみたいだね」

 

明久は、ほっと息を吐き、バクバクと聞こえる心拍音を抑える様に、体の力を抜く。と声をかけられた。

 

「明久、こっちに」

 

振り返ればイヴが手招きしている。手元には花瓶がひとつ。彼女がバラをさせと目で語っている。

断る理由も無いか。と明久は判断し、白いバラをイヴに預け、自分は既に捜索に入っていたギャリーと合流する。

 

胸の痛みを表面に出さ無いように。

 




もうちょいテンポ良く、もしくはペース早めに書いていった方が良いのかな?

誤字脱字があればご指摘下さい。
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