今回は地文が、ものすっごく少ないです。ご了承くださいませ。
走る…走る……走る………走る…………走る
——なんではしってるんだっけ?——
岩をつけたように重い足が縺れそうになる。
——いたいなぁ——
バランスを崩しながら、惨めに暗闇を逃げる。
——なんでないてるんだろう——
遂には足がつっかえ、下に倒れこんだ。
——したってどこ——
後ろを振り向くと、黒い何かが迫ってくるのが見える。
——ひと……かな?——
這いずるそれに悲鳴をあげ、立ち上がりざまに駆け出した。
——うるさいこえ、だれ?——
目の前に扉が出現し、慌ててその中に入る。
——だれ?だれ?——
しかし、その先には黒い何かが無数に待ち構えていた。
——きみはだれ?あ、それ——
喉が張り裂けんほどの悲鳴を上げて戻ろうとドアノブに手を伸ばして、気づいた。
——きみもばらのはなをもってるんだね——
伸ばした手の皮膚を中から突き破る白いバラの花ビラに……
——まっしろだ、きれーだね——
それは瞬く間に全身に広がり……いや全身の皮膚を食い破りながら生えてきた。
——こわしたいくらい——
そして、彼は真っ白なバラになった。
▼△▼△▼△▼
「なんで?なんで?なんでこんなにつらいの?」
「
「弱い?なんで、僕は頑張ってるよ……」
「頑張ってるのはなんのため?」
「それはイヴちゃんとギャリーのため……」
「それで自分は?」
「自分?」
「そう、自分のことはどうなんだい?」
「…別に何も」
「そっか、やっぱり弱いよ。君」
「え……?」
「だってそれはただの逃避だ。楽だよね。他の人が自分も気にしながら周りも気遣わないといけないのに、君だけ周りのみを気にすればいいんだから」
「そんなこと」
「まだ気づかない?いや気付きたくないのかな?どれだけ君が取り次ぐろうとも、隠すことのできない弱さだ」
「ちが…」
「楽だよね。考えずにすむんだもんね。弱いな」
「よ、よわ、弱い……?」
「そうだよ。君は弱い。だから
「君が……?」
「そう、俺がいるよ」
「でも…」
「でもじゃない。あとは俺に任せろ。君は逃げていればいい」
「やだよ……」
「怖いんだろう?お前は何もしなくていい」
「やだよ……っ」
「辛いのなら全部
「なんでっ
「だから、
「僕はイヴちゃん達を守らないと!」
「そうか、なら守らないとな」
「君は誰?」
「俺?俺はな、アキヒサだよ」
▼△▼△▼△▼
うっすらと目が開く。それはぼやけた世界を映し出すが少しずつ形をはっきりさせてゆく。
「明久……」
目の前で囁かれる彼の名前。それはあまりにも妖艶だった。
「明久……明久……」
ぼやけた視界の中で1人の少女と目が交錯する。
「明久…明久……明久」
「イヴちゃん。ごめん心配かけた…おはよう」
「うん、うん。おはよ」
触れ合う2人は双方笑顔で互いの無事を喜び合った。
今回は明久の分岐点でした。よって幕章とさせていただいた次第です。
そして恐らくはこれが今年最後の更新です
皆様、良いお年を……