バカと女神とゲルテナと   作:東雲兎

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今回、新しいキャラがちょこっと出ます。


第二画目

明久は家路につくと、取り敢えずため息をついた。

 

「試召戦争ねぇ……まったく厄介なことで……」

 

彼自身もあの待遇には不満があるし、幼なじみである体の弱い姫路瑞希のことを考えればなんとかしてやりたいとも思う。だが、試召戦争となれば話は別である。

試召戦争で勝ち抜いていけば、いずれはAクラスとかち合う。そうなればイヴも出てくるだろう。

誰にもイヴとは戦わせたくない。そんな自分勝手な欲求が彼自身を支配する。しかしそれはただの独占欲である。

 

「イヴと愛し合って(殺し合って)いいのは俺だけだ」

 

誰にもその役目は渡さない。渡してなるものかと。彼は決意した。

 

 

 

 

 

 

「明久」

「ああ、イヴ。そっちはもういいのか?」

 

石ころを蹴り飛ばしながら歩いていると後ろからイヴが追いついてきた。

 

確か彼女はAクラス代表を霧島翔子に譲るためにあれやこれやと色々やっていたはず。

 

しかし彼女の姿を見るに何も問題はないようだった。

 

「意外とすぐに終わったよ。さぁ早く帰ろ?」

「ん」

 

短く了承の意を示した明久はイヴを連れてマンションへと帰宅する。

 

「ただいま……」

「おかえりなさい明久」

 

イヴは背中から優しく明久を抱きしめる。

 

イヴのその感情に明久は悲しさを覚える。所詮これはギャリーの代わりとして扱われているに過ぎないのだと、明久は思っていた。

 

そして、明久はそれを許容している自分は最低だとも考えていた。

それは好きな人に見ていて欲しいからと言う幼稚な独占欲からきている事に明久は気づいていた。

 

明久はそっと回されたイヴの手に触れる。その手は暖かかった。

 

「イヴは暖かいね」

「明久こそ……暖かいよ」

 

そんな事はないと明久は断じた。もはやプラスの感情が死んでしまった冷血な男にイヴのような陽だまりの暖かさなどは存在しない。

 

「さぁ、ごはんを作ろうか」

「そうだね……でももう少しだけこうしてて良い?」

「……ああ」

 

 

 

眠りに堕ちる。そして、それは始まりを意味した。

 

「また……か」

 

明久は大きな広間にいた。そこには明久以外の人間も佇んでいた。否、人間ではない。人の形をしたもっと違う存在。その存在が雄々しく応える。

 

『おうとも、また貴様はここに来た。これは夢だ。眠れば見るのは当然の事だろうに』

「うるさい。わかってんだよそんな事」

『そうか?お前はまるで癇癪を起こした子どものようにこの事実を否定したがっているのではないか?』

「それを含めてわかってるって言ったんだよ」

『そうかそうか、愚問だったか、それは悪かった。それでそろそろ始めても良いか?』

「蹂躙をか?」

『いやいや決闘と呼ぶべきだろう。何せ俺とお前の憧れ(ユメ)同士をぶつけ合うのだからな』

「はっ、僕は絵描きだぞ?絵空事を描くのは得意だが、憧れなんてものはもうとっくの昔に棄てたよ」

『ならばなぜ俺に立ち向かってくる?勝ち目がないというのに、諦めず抗うのだ?』

「それこそ愚問というやつだろう?俺はそれしか知らないからだ。あんたから魂を操る法を教えてもらうまで、俺は抗い続けよう。これが俺の愛の形なのだから」

『くは——くはははははっ!そうだ、それでこそゲルテナの後継者よ。さて、始めようか!』

「いつでも準備は出来てるさ」

 

直後、衝突があった。明久は相手の肋を粉砕した後、頭を吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

翌日、明久はFクラスで目を瞑っていた。

 

「どした明久、中二病でも再発したか?」

「黙れ赤ゴリラ」

 

実力で目の前の赤ゴリラに腹パンをして、もう一度精神統一を図る。

島田美波が心配したのか問いかけてくる。

 

「アキ、ホントにどうしたの?」

 

ズキリと痛みが走った。島田の姿にあの少女の姿が重なる。

 

「いや、集中力を高めてるだけだから。あんまり心配しないで」

「そ、そう。ならいいんだけど」

「おおい、三人とも、準備完了じゃ。姫路も補充試験の開始を待っておる」

「んじゃあ始めますかねぇ。テメェら!狙うはDクラス、その大将平賀の首ただ一つ!しまってけよ!」

『『『『『『『『おう!!』』』』』』』

 

そうして彼らの試召戦争が始まった。




夢の正体は後々明らかにしていきます。
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