イヴが出ない……ちくしょうめ……
それをご了承の上ご覧くださいませ。
「アキ!秀吉達がDクラスと渡り廊下で交戦状態に入ったわよ!」
「ん。じゃあこっちもボチボチ始めますか」
窓の外を眺めながら部隊を待機させていた明久は部隊のメンバーに前進の指示を出す。
「アキ、試召戦争のルール覚えてる?」
「昨日ざらっと読んで覚えた」
「……その記憶力をなんでテストで使わないのかしら……?」
その記憶のキャパは絵に使ってるし、何しろ面倒だからだよ。とは口にしない明久である。
一、原則としてクラス対抗戦とする。各科目担当教師の立会いにより試験召喚システムが起動し、召喚が可能となる。なお、総合科目勝負は学年主任の立会いのもとでのみ可能。
二、召喚獣は各人一体のみ所有。この召喚獣は、該当科目においてもっとも近い時期に受けたテストの点数に比例した力を持つ。総合科目については各科目最新の点数の和がこれにあたる。
三、召喚獣が消耗するとその割合に応じて点数も減点され、戦死にいたると0点となり、その戦争を行っている間は補習室にて補習を受講する義務を負う。
四、召喚獣はとどめを刺されて戦死しない限りは、テストを受けなおして点数を補充することで何度でも回復可能である。
五、相手が召喚獣を喚びだしたにもかかわらず召喚を行わなかった場合は戦闘放棄とみなし、戦死者同様に補習室にて戦争終了まで補習を受ける。
六、召喚可能範囲は、担当教師の周囲半径10メートル程度(個人差あり)。
七、戦争の勝敗は、クラス代表の敗北を持ってのみ決定される。この勝負に対し、教師が認めた勝負である限り、経緯や手段は不問とする。あくまでもテストの点数を用いた戦争であるという点を常に意識すること。
以上が明久の覚えた試召戦争のルールだ。
そして、今は先攻部隊として秀吉たちが前線でDクラスとかちあっている。
前方では鉄人……西村先生がなにやら奮闘している。
『て、鉄人!?嫌だ!補習室は嫌なんだっ!』
『黙れ!捕虜は全員この戦闘が終わるまで補習室で特別講義だ!終戦まで何時間かかるか分からんが、努力を無下にしたことも含めてたっぷりと指導してやる!』
『た、頼む!見逃してくれ!あんな拷問耐え切れる気がしない!』
『拷問?そんなことはせん。これは立派な教育だ。補習が終わる頃には趣味が勉強、尊敬するのは二宮 金次郎といった理想的な生徒に仕上げてやろう。』
『お、鬼だ!誰か助けっ——イヤァァーー(バタン、ガチャッ)』
「……これはひどい」
「な、なぁ、吉井。俺たちあそこに逝くのか?」
「ん?行くけど?精々死なないようにね、戦死されたら助けようがない」
「り、了解」
「さて、消耗した秀吉達の撤退を援護するぞ!作戦は命を大事に。相手は2つ格上、互いに庇い合いながら殺し尽くせ!補習室送りにしてやれ!そうだ、俺たちはただのゴミじゃねえ!Fクラスの底力って奴を見せてやろうぜ!」
「「「おおおッッッッ!!」」」
どうやら鼓舞は効いたようだと明久は内心ほくそ笑む。昔の彼ならばこんな計算しながらの鼓舞など出来ようはずもなかった。だが、彼は必死に勉強した。絵を描くために、友達を取り戻す為に。
そんな彼に、美波は耳打ちするようにつぶやく。
「アキってば悪い奴よねぇ……」
「なにが?」
「ああやって使い潰すつもりでしょ?」
「否定はしないよ」
くはっ、と小さく笑い、そして前を見る。
既に前線は崩壊し始めていた。ちょうどいい頃合いだろう。
「進めぇっ!」
「「「おおおおっっっ!!」」」
明久の号令とともに、共に進軍していたメンバーが突撃を開始する。そのゴタゴタに合わせて秀吉の部隊が撤退を開始する。
「すまぬ、明久!助かった!」
「いいよ、早く残ってる奴らに点を補充させて来てくれ。お前たちが戻ってくるまでもたしてみせるから」
「相変わらず、カッコつけるのぉ……じゃが頼りにさせてもらうぞ!」
交代の意味合いを込めてハイタッチを交し、明久は美波を連れて前線に、秀吉は残る自身の部隊のFクラスを率いて教室へと戻って行く。
「各員方円を維持!点数を消耗したら無理せず他のメンバーと交代しろ!穴は俺が埋める!」
「あは!ウチもいるわよ!」
「頼りにしてる!」
あらかじめ説明しておいた陣形を取らせて耐久に入る。美波は全力で自身の得意教科であり最も前衛の数学のエリアで大暴れしている。
負けじと明久も戦場を絵に見立てて足りない場所へ補う様に指示を出す。
「吉井……明久ぁっ!」
「確かあんたは清水さんだっけ?」
「忘れたとは言わせませんよ!あの時の屈辱……ここで晴らします!」
「ごめん、忘れた」
「キィィィッッ!!」
わざと煽り、相手の判断力を削ぐ。そして……
「覚悟してもらいます!
冷静さを失った相手が場所をわきまえずに召喚獣を召喚したところで、
「「「
周りのメンバーで袋叩きにする。するとあっという間に清水の点数は0になる。
「な、汚いですよ吉井明久!」
「状況判断できなかった貴様が悪い。鉄人。戦死者を補習室へ」
「言われなくともっ!戦死者は補習!」
「ちょ、待ってください。私はまだ言いたいことが……」
「問答無用!」
そうして清水とプラスαにご退場願った。
そんな明久に美波は取り敢えず目の前の敵を倒しながら、うわー。と呻いた。
「酷いわ……酷すぎるわ……」
「勝てばよかろうなのだ」
戦闘は始まったばかり……しかし少しずつ、確実に明久たちは相手の戦力を削り続けた。
決着は案外近いかもしれない。
ウチの明久はひん曲がってます。原作ほど純粋ではありません(謎)
今週中にはもう一つあげたいなぁ……
感想くれればスピード上がるよ?(チラッチラッ)