サモンナイト4 妖精姫と呑気者   作:なんなんな

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お嬢様実況スレ楽しいです。お嬢様たちがスポーツ観戦してるのを想像しながら見てると微笑ましいです。中の人はやきう民だけど。

三日以内に投稿しようと思っていたのにまた妙に時間かかりました。そしてセリフがくどくなり過ぎ感が。反省。


第1話 流れ星拾っちゃいました〜Welcome The Shootingstar〜 ②  (原作一話)

「いい風が吹いてるね」

「うん。気持ちいいね」

 

 町の南端の門を潜って街道に出たとき、ちょうど日が沈んで星が現れ始めた頃だった。遮るものの無い一面の草原を吹く風は、おかしな表現かもしれないけどいかにも風らしい感じがした。ルニアも嬉しそうにフワフワと飛んでいる。

 

「やっぱり、違う世界」

「……」

 

ふと呟いた一言なんだけど、フェアは申し訳なさそうな顔をする。気を使わせてしまったか。

 

「ふーん…ナオの元いた世界ってこういうの無いの? 何か暮らしにくそうなところね」

「……無いことはないけど」

 

日本だと富良野とかに行けば似たような景色が見られるだろうか。

 

「何か前々から聞いてる話だとロレイラルみたいだね。名も無き世界って」

「そこまで機械化されてないけど。……確かに、私に馴染み深い"夜"は星よりも電灯」

 

虫だらけになった自販機とか。

 

「電灯ねぇ……なら夜でも外で遊び放題よね」

 

そうでもないけど…たしかにこっちの世界じゃ野球のナイトゲームなんかできないよな。アレは遊びじゃないけど。

 

「あーあ。ちっちゃかった頃はこの時分でも平気で遊び回ってたのに。むしろ少し暗くなった方がワクワクするくらいでさ」

「それでホントにすっかり暗くなっちゃって誰かさんが泣きべそかいたりね」

「う、うるさいわね! あのときはもっとうんと小さかったから仕方ないのよ!」

「何その話詳しく」

「その日は何故か丿っちゃって町全体を範囲にしたかくれんぼしてたんだけど、調子に乗って外に――」

「あーーー!! あーー!」

「リシェルうるさい」

「で、でもスゴイよねぇ。その時もフェアさん凄く落ち着いてたもん」

 

おお、さすがルシアン。下手に話題を変えずにフェアを褒めることでリシェルの恥を晒す流を変えようとしてる。

 

「まぁ、どーせ家に帰っても真っ暗で一人だしね。リシェルたちといる分マシだったのよ」

 

そして特大の地雷を踏み抜いていく。

 

「だからパパが大嫌いなのよ。フェアが夜中一人ぼっちって知ってて放ってたんだもん。家に連れていったら露骨に鬱陶しそうな雰囲気出してたし」

「しょうがないよ。こればっかりは」

「何がよ」

 

フェアの言葉にリシェルが噛み付いた。リシェルは普段高飛車で我侭だけど、こうやって他人のために熱くなれる良い奴でもある。度々迷惑をかけられ、うるさい奴だと思っている私だが、なぜか根本的にリシェルを嫌いになれないのはこういう理由かもしれない。

 

「うちのダメ親父がテイラーさんや町の人たちに迷惑かけてたからだよ。それだけじゃない。ぜーんぶダメ親父のせい。あんな辺鄙なところじゃなくて町の中に住んでたら店ももっと楽だったはずだし、貯金や家畜の少しでも残してくれてれば良かったんだよ。それなのに残ってたのは色んな人からの恨みだけ。やることなすこと私のためになった試しが無いんだもん。この腕輪を見る度つくづくそう思うわ」

 

そこまで続けざまに言ったフェアは、軽く右腕を上げて言葉を切った。

 

「親父のこと思い出すんなら外せば良いじゃん」

「そう言えばその腕輪ずっと着けてる」

 

記憶を辿れば、寝起きでも風呂上りでも腕輪を着けている姿が思い浮かんだ。

 

「好きで着けてるワケじゃありません。…外れないのよ。コレ」

「へぇ……って、ええー!?」

 

突然ルシアンが出した声にルニアがビクッと数センチ飛び上がった。…、元から飛んでたけど。

 

「え、そんな驚くこと?」

 

腕輪とかが外れなくなるとか、たまに聞く話だと思うのだが。テレビとかだと興味本位で局部にナット嵌めたら抜けなくなったとかいうファンキーな事故も紹介されている。確かに、ここにはテレビやラジオは無いが、その分腕輪とか足輪とか、ファンタジックなアクセサリが身近だ。となればそのアクセサリに関するトラブルも当然頻繁になるはずで、そんなに大声をあげることでもない気がするんだけど。

 

「ナオは知らないでしょうけど、あの腕輪ってフェアのパパが旅に出るときにくれたものなのよ。……それで、そのときからずっとなんでしょ?」

「うん。一度も取れてない。ま、ゆとりが有るから服とか着るのにも邪魔にはなってないけど」

「そういうことよ」

「あぁ……納得」

「ちょっと待ってよ!? それ、おかしいよ!? だって、小さい頃から身につけてたんでしょ? 成長したら大きさが絶対合わなくなるはずなのに……」

「しかも、ゆとりは残しつつ手首は抜けない絶妙のサイズ」

「にも関わらず、なぜか常にぴったりの大きさのままなのよ…。壊して外そうにも鋸くらいじゃ傷もつかないし」

「不気味ね…」

「お守りとかなんとか言ってた気がするから、ショボいなりにも何かの魔力が有るのかもね。夜でも微妙に光ってて寝るときとか鬱陶しいし」

「おかしな呪いとかだったりして」

「言わないでよ……真剣にそう考えたこと有るんだから」

「……なぁ」

「ん?」

「腕切り落として腕輪抜いた後回復魔法でくっつけたらどう? それか手首から先ちょっと潰して―とか」

「ええ……」

「何か、アンタが魔天使喚べた理由が分かったわ」

 

発言の意味は分からないが、何だか引かれた気がする。良い案だと思ったんだけど……と、私とルニアは首をかしげるのだった。

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

「うわぁ……すごい星………」

「こういう場所で見ると迫力が全然違って見えるね」

「これは……」

 

 頭上だけではなく真横にも星が広がり、夜空に包まれているような気さえする。最新式のプラネタリウムでもここまで見事な星空は作れないだろう。そして、それがホンモノの世界にあるという事実が人を感動させる。

 星見の丘……その名の通り星を見るには絶好の場所だ。

 

「ふふん。どう? 来て良かったでしょ」

「うん……」

 

どうやらこの星空は"現代人"の私だけではなくフェアも魅了したようで、すっかり上の空だ。

 

「ねぇ、ナオ」

 

と、リシェルが悪戯っぽい笑みを浮かべながら耳打ちする。

……そして私は一瞬で理解した。

 

「ん、何? あれ」

「どうしたの? ナオ」

 

ちなみに別に何もない。ただの演技だ。

 

「いや、何か……ちょっと見てくる」

「え、なになに? アタシも行く」

「あんまり遠くにいったらダメだよ」

「分かってるー」

 

ルニアもついてきて、ルシアンとフェア二人を残してその場から少し離れるかたちになった。

 

「いやー、理解が早くて助かるわ」

「その辺は自信アリ」

「まったく、弟がああもヘタレだと苦労するわ」

 

どの口が苦労とか言うのか、とは思うがここでは口に出さないでおく。

 

「今回だって、フェアを元気付けるために星を見に行こうって言い出したのはホントはルシアンなのよ。なのに『恥ずかしいから絶対言わないで』なんて」

「自分が自分が――ってのも良くないけど、主張が無いのも」

「アレよねぇ。コレで気の利いた一言でも言えれば良いんだけど」

 

二人の様子を見てみたが……

 

「ダメダナ(・✕・)」

「はぁ……そわそわもじもじしちゃってまぁ。乙女か」

「フェアの方は全然意識してないのがまた……」

「フェアもああ見えて守られたい願望持っちゃってるからねぇ。良くてかわいい弟分にしかならないか。こりゃチャンス作ってあげるよりそもそもイチから鍛えなおさなきゃいけないわね」

「結婚させるって本気か」

「そりゃ見ず知らずの男連れて来られて『結婚する』なんて言われるの、ちょっと想像できないもの」

「へぇ」

 

……何かリシェルも友情とは別の何か抱いてないか? これ。

 

「まぁ、今のところは祈るしかないわねぇ。……あ、いいところに流れ星!」

「ん? って、え、多くない?」

「流星雨よ! キレイねぇ……」

 

綺麗は綺麗だが……ちょっと何かヤバい雰囲気を感じるのは私だけ?

ほら、何か空気揺れてるし、スッと消えないし、どんどん近付いてるし………!!

 

┣"ゴゥンッッ

 

「ぬっ!?」

「きゃぁっ!?」

「姉さん! さっきの……!」

「間違いなく落ちたよね、今のは……」

 

流れ星は私たちの頭上を通り越して、丘の外れに落ちたようだ。薄く煙? ……土埃? がたっている。

 

「行ってみましょ!」

「ちょっと、リシェル!」

 

 じっとしていられないと言わんばかりに駆け出したリシェルの後を追って走ると、それはすぐに目に入った。

 

「うっひゃあ……派手に落ちたもんねぇ」

 

その辺の家程度ならすっぽり収まりそうなクレーターが出来ていた。周りの草も放射状に倒れていて、その衝撃が窺い知れる。

 

「町に落ちてたら大惨事」

「って言うかもう少しズレてたら私たちがぺしゃんこだったね…」

 

縁起でもないことだけど、事実だ。

 

「結果的に私たちには落ちなかったんだから、どっちでもいいのよ。今はこの状況を楽しみましょ! ……て、早速面白いことが!」

「ちょっ、姉さん、危ないってば!?」

 

またも駆け出すリシェル。今度はクレーターの縁までなんの迷いもなく近付いてしまった。

 

「ほら、見てよあれ!」

「あれって……? ……!!」

「えぇ……」

「流れ星、だよね?」

「でも、どう見ても卵よね」

 

 クレーターの中心にあったソレ。……リシェルの言うとおり、確かにいわゆる卵形の、人の頭程度の大きさの何か。卵と言い切れないのは……

 

「七色に光る卵って有り得るの? あんな光見たことないよ……」

 

脈打つように明滅しながらオーロラのような光を放っていること、

 

「それよりあの衝撃で割れてないのは……」

 

砕けた岩に半ばめり込むように鎮座しているその姿が原因だ。

 卵というより何か危険な鉱物を含んだ魔術的なアレっぽい。若しくは卵にしても侵略的な宇宙怪獣辺りの。

 

「フェア、アンタちょっと行って見てきなさいよ」

「ええっ!? ……気になるんだったら自分で確かめれば良いじゃない」

「何言ってんのよ。自分で行くのがイヤだからアンタに言ってるんじゃない」

「ぐう聖リシェルネキ、失踪。ぐう畜リシェカス発見される」

「何語よ」

「そんなこと言ってる場合じゃないよ!」

「何よルシアン……って、ええ!?」

「う、動き出した!?」

「さっきより光が……!」

「ぁゎゎゎゎゎ」

「と、とりあえず伏せろぉっ」

 

どんどん光が強く大きく膨らんでいく。これはもうダメかもわからんね。

 と、思ったが、私が予想していたようないわゆる爆発とかそんなことは無く。急にしゅんと縮んで消えてしまった。

 

「なによ、びっくりさせないでよね」

「ねぇ、見てアレ」

「ん? …これは……」

 

そして、クレーターの中心にはさっきまでとは別のモノが。

 

「もしかして、竜?」




そう言えばセブンスドラゴンの2次を書こうと思ってハーメルンに来たのになんで書いてないんでしょう。

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