サモンナイト4 妖精姫と呑気者   作:なんなんな

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お久しぶりです。失踪なんてしてませんよ?
しかし久しぶりに書いたせいか主人公のキャラがまたブレた気がします。おちゃめになり過ぎた感。
まぁ良いですかね。主人公がかわいいに越したことはないですし。


第2話 この子どこの子、迷子の子?〜You Little Dickends〜 ① (原作二話)

「いったぁあああああぁぁぁぁぁいっ!?!?」

 

「んぬぁっ!?」

 

 乱闘から一夜開けて。疲れもあって夢も見ないほど深く眠っていた私だったが、フェアの素っ頓狂な絶叫で飛び起きることになった。

 

「うゎ……ヨダレ」

 

うつ伏せに寝ていた口元があった部分には小さなシミが。疲れて寝た日は顔の筋肉が緩んでいるのかこういうことがあるから嫌だ。

 

「枕カバー洗わな……んぉ」

 

起き上がろうとした私を筋肉痛が襲う。ちくしょう……慣れない草原なんか歩くから――

 

「ナオっ! ナオー!」

 

ドアの外から大声。

あぁ、そうだった。フェアが珍しく騒いでるんだった。

 

「どうしたー?」

 

緊急の用みたいだからスポブラの上に軽く羽織りものを着て出る。

 

「ナオっ! なんかわたしの部屋に女の子が寝てて!」

「え、ん? ……へー………?」

「思いっきり噛み付いてきて……ほら、歯形が」

「その子はかわいかった?」

「えっ? うーん、まぁ、かわいかった……わよ?」

「じゃあそれは夢」

「………何それ?」

「ある日突然可愛い女の子が……って、ね」

「いや妄想とか冗談じゃなくて、本気なんだって」

「まぁ見てみないと」

 

 私もお約束的な感覚で茶化したけど、まるっきり信じていないのかといえばそうではない。可愛いかどうかは別として、私自身突然異世界に来た身だし、召喚獣には可愛い女の子の姿のモノも当然居る。そしてルニアもそうだが霊体化して壁抜けとかもザラにあるだろう。

 私とフェアの温度差はどちらかと言うと『そんなに驚くことなのか?』という疑問に起因する。

 

「え、そ、そうだね。来てっ」

 

とはいえこっちの世界の住人であるフェアがこう慌ててるんだ。このようなことは珍しいことなんだろう。許容範囲の広がり過ぎた私の中の常識を一度引き締めなきゃいけないかな。

 なんて考えてるうちにフェアの部屋の前。

 

「じゃ、開けるよ」

 

 何かを覚悟するように一呼吸置いて扉を開け、中に入る。

うん。拍子抜けするくらい平和な普通の部屋だ。

 

「………」

 

しかし当のフェアは緊張したようにベッドに近づいて……布団をバサリと取り払った。

 

「……うん」

「…………」

「……かわいい子だね」

「…………」

「かわいい竜の子」

「…………」

「いい時間だし顔洗って仕事始めよ」

「……うん」

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

「よっし、行こう」

「うん……」

 

 結論から言えば、フェアは寝ぼけていただけだった。フェアの部屋にいたフェア以外の存在は竜の子だけで、歯形はねてる間に自分でつけたものと決着した。

 

「おーい、フェア」

 

と、玄関から出て少しのところで手を振る影。

 

「グラッド兄ちゃん」

「グラッドさん、おはようございます」

「おはようございますナオさん」

「わざわざ店の前まで来るなんて珍しい」

「いえ、何か騒いでる声が聞こえたもんですから」

「あぁ、さっきの大声で」

「それで見にきてくれたの?」

「ちょうど溜池のとこまできてたしな。それにここは町の外れで男手もないし、何かあったら大変だろう。見回りのときはなるべく気をつけるようにしているのさ」

「なるほど」

「そうだったんだ……。……って、それ、わたしの声が溜池まで聞こえてたってこと!?」

「溜池どころか街中に届いたんじゃないか?」

「この時間は静かだし、ここは町のてっぺんだし」

「うえぇ……サイアク………」

「ドンマイとしか言いようがない」

「あはは……。ま、慌てて来たけどどうも俺が出る幕じゃなさそうでしたんでこうして外で待ってたんですけど。……一応話だけでも聞こうと思って。フェア、何があったんだ?」

「……言いたくない」

「?」

 

こちらに向けられたグラッドさんの目が『どういうことですか?』と語りかける。

 

「フェア……私が代わりに有ること無いこと事細かに面白おかしく話そうか?」

「優しげな仕草と声でろくでもないこと言わないでよ」

 

不服そうに私が肩においた手をはらう。

 

「……話すけど、笑わないでよ?」

 

――――

―――

――

 

「うん。じゃ、俺は見回りの続き行ってくるから」

「喋らせておいてそれは酷くない?」

「そうだな……一つ言うとすれば………フェア、それはただの夢だったって分かってるんだよな?」

「う、うん」

「なら、いいんだ……」

 

うわ、すっごい爽やかスマイル。

 

「ヒドい」

「ナオさん、コイツも色々苦労してるんで、悩み事とか相談に乗ってやってくださいね」

「はい。私にできることは」

「今まさに心にキズができてるんだけど?」

「はははっ……まぁ、切り替えて今日も頑張れよ。じゃあな」

 

グラッドさんは軽く手を振りながら爽やかに去っていった。いやぁ、爽やかな好青年だ。爽やかすぎて逆にモテなさそう。

 ……さて、ソレは置いておいて。そろそろ本当にいい時間になってきてしまった気がする。

 

「……私らも行こ」

「………」

 

……いい時間だけど機嫌は最悪だな。

 

「拗ねてる?」

「別に」

 

ぷいっと顔を背けられてしまった。かわいい。……じゃなくて、ちょっとイジり過ぎたかなぁ。

 仕方ない。

 

「……見て見て、面白い顔」

「アンタねぇ――……ブフゥッ!? うははははっ! ちょっと! 本気で面白い顔はやめてよっ」

 

良かった。どうやらツボにハマったらしい。

 

「自信作」

「自信作って言うか……フフッ………子供が見たら泣くけどね 多分」

「そしてお嫁にも行けない」

「分かってるならやめなさいよっ!」

「機嫌直してくれた?」

「分かった、分かっ↑たから」

「直してくれた?」

「あー、もう! 直したから変な顔で近付かないで!」

「『変な顔』とか……傷つく」

「えぇっ!? そっちから面白い顔したんでしょ!?」

「でもさっきの言い方は傷ついたな」

「えっ、えー、じゃあ、ごめん……? ……ってなんでわたしが謝る流れになってるのよ。おかしいでしょ」

「バレたか」

「『バレたか』って……はぁ、フッ………もう良いわ。さっさと野菜貰いに行きましょ」

「うん」

「…………ぶふっ」

「え、何?」

「い、いや、思い出し笑――アハハハッッ! ちょっとその顔で待ち構えてるのホント無理ッ!!」

「え? なになに?」

「回り込まないでっ! もう! その顔禁止だからっ」

「ええー」

「えー、じゃないわよ。……もぅ、ふふ、無駄に疲れたわ」

 

 フェアも機嫌を直してくれて、平和な一日が始まる。

昨日は『事件の始まりかも』なんて言ったけど、これからもこうしてバカな話をしながら暮らせれば良いな。




ナオの変顔の再現方法
①顎をしゃくれさせる
②片腕を後頭部から廻し、人差し指と薬指をそれぞれ上瞼に引っ掛ける
③もう片方の手の人差し指と中指を口の両端にそれぞれ引っ掛ける
④両手で顔を上下に開くように引っ張る(この時口も下顎を突き出すように開く)

レッツトライ!
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