小雪と一緒に、S組に移動した飛翔。最初は色々とよく思ってない連中もいたが、飛翔自身は気にしていない。それに、小雪や冬馬達が俺に話し掛けてくるので、飛翔はあまり気にしていない。
飛翔「あれ?今日はあずみさんがいないのか?」
飛翔は、いつも英雄の横にいるあずみがいないので、英雄に聞いてみた。
英雄「うむ!今日はあずみは、姉上の仕事に同行しておる!!」
冬馬「仕事ですか?」
英雄「うむ!そう言えば、昼に姉上が出る番組があるみたいだ!!」
準「昼って、もうすぐだぞ?」
小雪「じゃあ見てみよ~よ!」
小雪の提案で、教室にあるTVをつける。すると、丁度揚羽が映っていた。
揚羽『フハハハハハ!!九鬼揚羽である!!今日は、全世界の民に朗報を持ってきた!!』
『ろ、朗報ですか?』
TV番組のMCが聞き返す。
揚羽『そうだ!詳しいことは、本日の夜7時に放送するので、それで確認すればよい!!見て損はないぞ!!』
そして揚羽は、そのまま番組を去ってしまった。
準「相変わらずだな。お前の姉は」
英雄「フハハハッ!さすがは姉上だ!!」
準のツッコミも、英雄には聞こえていなかった。
冬馬「ですが、損はさせないと仰っていましたが?」
英雄「詳しい事は、今日の夜の放送を見るがよい!!」
そして英雄は教室を出ていった。飛翔達も、取り合えず夜に放送される番組を見る事にした。当然この事は、あっという間に学園に広がるのであった。その帰り、飛翔は大和達に誘われて、島津寮で一緒に見ようと誘われた。飛翔は大和の誘いを受けて、天衣と一緒にお邪魔することにした。
飛翔「お邪魔します」
麗子「いらっしゃい。あんたが飛翔君だね」
飛翔「始めまして」
麗子「礼儀正しい子だね。ウチのガクトにも、見習わせたいよ。アタシは、この島津寮の寮母で《島津麗子》だよ。分かってると思うけど、ガクトの母親だ」
飛翔「宜しくお願いします。これよかったら、つまらない物ですが」
そう言うと、飛翔は天衣が持っていた紙袋を麗子に渡した。
麗子「おや、すまないね~。皆はリビングで待ってるよ」
飛翔「分かりました」
そして飛翔と天衣は、皆がいるリビングに向かった。
大和「待ってたぞ飛翔」
翔一「もうすぐ始まるぞ!!」
皆既にTVの前に集まっていた。すると、揚羽が映り出した。
揚羽『フハハハハハ!!九鬼揚羽である!!さて、昼間に言った事だが、我は思った!世界には、まだ見ぬ強者がいると!そこでだ!我はここに、武の祭典、KOS2009を開催する!!』
『KOS2009!?』
飛翔「デカイ事考えるな」
揚羽『キングオブソルジャーズ・・・略してKOSはその名の通り、武の頂点を目指し戦いに明ける祭典だ。強いものが勝者、分かりやすいだろう?』
京「すごいね」
京の言葉に、全員が頷いていた。
揚羽『これは、九鬼がある企業を買収した祝いと、いい人材を発掘したいと思う利害の一致である!!それ故に、参加資格は誰にでもある!!ルールは簡単だ!!このKOSは、5人1組で参加する!!そして、ルールがないのがルールだ!!殺傷などは禁止だが、生きていれば問題ない』
大和「生きていればか・・・」
クリス「どういう事だ?」
クリスは、いまだにルールを理化できていない。
京「生きてれば、どんな事をしてもOKって事」
天衣「だな。腕や足を失っても、生きていれば問題ないということだ」
クリス「なっ!!」
京と天衣の説明を聞いて、ようやく事の重大さが分かったクリスである。
翔一「随分と大きく出たな」
揚羽『後、一般市民などを巻き込んだ場合は、その場で失格となる!!』
大和「一般市民の配慮も、しっかりしてる辺りが九鬼らしいな」
大和の言葉に、飛翔は頷く。
揚羽『そして、優勝者は1組だけだ!!その優勝金額は・・・500億円だ!!』
『ご、500億円!?』
とんでもない金額に、島津寮に叫び声が響き渡った。
揚羽『では、ここで放送を終了する。集まれ!全世界の強者達よ!!開催日は、8月1日だ!!それまで精進するがよい!!』
そして放送が終了した。それと同時に、飛翔は立ち上がり、島津寮を走って出ていった。
大和「飛翔!?」
翔一「どこ行ったんだ?」
天衣「・・・・・・」
そんな中、天衣だけは出ていった飛翔を見て黙っていた。
クッキー『あれ?橘はいかないの?』
天衣「ああ。それに、刀を持っている飛翔は強い」
天衣は、珍しく刀を持ってきていた飛翔の事を思いながら、飛翔が出ていった扉を見ていたのである。場所は変わり港町。揚羽はTV局を出てから、矢文が飛んできたのだ。内容は『お前の執事を返してほしければ、港町まで来い』との事だった。
あずみ「揚羽様」
揚羽「うむ。あやつらが指定した場所は、この辺りの筈だ」
指定場所にやって来た揚羽とあずみ。
揚羽「既に何処かで見ているのであろう!!姿を見せよ!!」
すると、何処からか声が聞こえてきた。
「この状況でその態度」
「さすがは九鬼揚羽と言ったところか?」
突然現れた5人の連中。
あずみ「一体何処から!?」
揚羽「そのスーツ。中東紛争で猛威を振るった光学迷彩か」
「その通りだ!さすがは九鬼揚羽だな!!」
揚羽の事をバカにしながら褒める。
揚羽「して、小十郎は無事なのか?」
自分の専属執事の心配をする揚羽。
「小十郎?あ~!あのバンダナ巻いた執事か」
「一応無事だ。ま、少しばかり煩いから黙らせたけどな」
すると、頭に拳銃を突き付けられた男が出てきた。
揚羽「小十郎!!」
小十郎「も、申し訳・・・ありません・・・揚羽・・・様」
揚羽「おのれ!!」
ボロボロになった小十郎を見て、怒りが沸き上がる。
「おっと動くなよ。動けば、コイツがどうなるか分かるよな?」
揚羽「クッ!!」
助けたいが、動けば小十郎に突き付けられてる拳銃で、撃たれないとは限らない。揚羽は男の言葉に従うしかなかった。
「それでいいんだ」
「さて、このスーツを作るのに資金がいるのだ。悪いが、我々の人質になってもらおう」
「無論、断ればどうなるか分かってるよな?」
カチャリと音を立てながら、小十郎に銃を押し当てる。
あずみ(あの馬鹿!なに主に迷惑かけてんだよ!!けど、アタイも流石に動けねぇ!どうすれば!!)
すると、小十郎が揚羽に向かって話す。
小十郎「あ・・・げは・・・様。この・・・小・・・十郎に・・・構わず、こ・・・攻撃を・・・して・・・」
「テメェは黙ってろ!!」
男は、銃の持ち手部分で小十郎の頭を殴った。
揚羽「小十郎!!」
「ったく、大人しく気絶してれば、痛い目に合わないのに。さて、おいお前ら!」
『おう!』
残り4人は、揚羽とあずみに近づいていく。すると、その場にいた全員が動けなくなった。
あずみ(こ、コイツは!?)
揚羽(物凄い殺気だ!!)
そう思ったのは揚羽達ではなく、5人の連中も同じことを思っていた。
「な、なんだ!?」
「か、体・・・!!」
「やれやれ・・・ようやく見つけたら、凄い場所に出くわしましたね」
そう言いながらやって来た人物に、揚羽とあずみは驚いていた。
あずみ「あ、貴方は!?」
揚羽「川盛飛翔!!」
そこにいたのは、川盛飛翔である。
揚羽「な、何故ここに!!」
飛翔「TVを見てて、賞金の額を聞いた時に嫌な予感がしまして。だから、急いでTV局に向かったら、揚羽さんが読んだであろう手紙が落ちてましたよ?」
そう言いながら、手紙を揚羽に見せる。
飛翔「こんな手紙、キチンと持ってるか破棄しないと」
手紙をしまうと、男達を見る飛翔。
「く、来るな!コイツがどうなってもいいのか!!」
飛翔「人質をとるとか・・・たちが悪いですね」
そう言いながら、飛翔はゆっくりと男に近付く。
「く、来るな!来るんじゃね~!!」
すると男は、飛翔に向かって発砲したのである。
揚羽「川盛!!」
当然揚羽は叫ぶ。しかし・・・
飛翔「でやああああああ!!!!」
刀を抜き、飛翔は飛んできた弾を斬ったのである。当然弾を斬られた男は、恐怖のあまり銃を落として座り込んでしまった。
「う、嘘だろ!!この距離で・・・弾を斬りやがった!!」
飛翔と男の距離は、およそ5メートル。その距離で飛翔は銃弾を斬ったのである。
飛翔「さて、その男を置いてとっとと消えてください。死にたくねぇならな・・・」
更に殺気を強める。すると、男達は全員気絶してしまった。
飛翔「おっと、やり過ぎましたか」
そう言いながら、刀を鞘にしまい殺気も消える。それと同時に、揚羽とあずみも動けるようになった。
揚羽「小十郎!!」
急いで小十郎に駆け寄る揚羽。
飛翔「大丈夫です。気絶してるだけですので、命に別状はありません」
揚羽「そうか・・・」
飛翔の言葉に、安心した揚羽である。
あずみ「とにかく助かったぜ」
飛翔「いえ。ですが、もう少し揚羽さんの警備をする人は、鍛えた方がいいですね」
あずみ「耳が痛いね~」
小十郎の教育係であるあずみは、手で顔を覆っていた。
飛翔「2人とも、怪我がなくてなによりです」
飛翔は、小雪にする癖で揚羽とあずみの頭を撫でていた。
あずみ「ちょっ!?なにすんだよ!!」
飛翔「すみません。ユキにする癖でつい」
慌てて手を離す。
「「あっ」」
何故か2人は、名残惜しそうな声を出すのであった。
飛翔「では、俺はこれで失礼します。KOSに誘われてるので」
揚羽「そうか・・・大会主催者としては、言ってはいけないと思うが、飛翔なら優勝するであろうな」
飛翔「贔屓しちゃ駄目ですよ揚羽さん。それでは」
そして飛翔は、家に帰るのであった。
揚羽「あずみよ」
あずみ「何でしょう揚羽様」
揚羽「・・・いや、何でもない。帰るぞ!!」
揚羽の様子が、少しおかしいと思ったあずみであった。