由紀江達と夕食を済ませて、風呂に入りのんびりと縁側で夜風に当たっている。
飛翔「ふ~・・・いい風だな」
そんな事を言うと、誰かが飛翔の所にやって来た。
「あの・・・」
振り返ると、そこには由紀江の妹の沙也佳がいた。
飛翔「やぁ沙也佳ちゃん。どうかしましたか?」
沙也佳「・・・」
話しかけるが、何も言わない沙也佳に飛翔は自分の横に座るように床を叩く。
飛翔「ひとまず座ったらどうです?なにか話をしに来たのでしょ?」
そう言われて、飛翔の横に座る沙也佳。暫く沈黙が続いたが、ようやく沙也佳は口を開いた。
沙也佳「あの・・・飛翔さんは、どうしてあんなに強いんですか?」
飛翔「・・・・・・」
沙也佳「私は、お姉ちゃんみたいに才能があるわけじゃありません。お父さんみたいに、周りの人に教えれる力もありません」
そんな話を飛翔は黙って聞いてる。
沙也佳「黛は、お姉ちゃんが継ぐと思います。私には何もできないんです」
そう言ってしょげる沙也佳に、飛翔は頭を優しく撫でる。
沙也佳「飛翔さん」
飛翔「沙也佳ちゃん。はっきりと言って、私は全然強くありません」
沙也佳「えっ?」
飛翔の言葉に、沙也佳は意外な表情をした。それもそうだ。自分の父や姉に勝つほどの強さを持っているのに、その自分が弱いと言うからだ。
沙也佳「何故ですか?」
飛翔「・・・・・・」
そう質問されて、飛翔は閉じていた目を開いた。
飛翔「私は知っての通り、刀を持たないと素人同然の強さになります。何故そうなのか・・・」
沙也佳「・・・・・・」
飛翔の話を黙って聞く沙也佳。
飛翔「昔私は日本から離れて、賞金稼ぎ等をしてました。だから、普段の生活から刀を手放す事が出来なかったんです」
沙也佳「賞金稼ぎ…」
飛翔「はい。沙也佳さんの年齢より若かったですね。多分、そのせいで刀を持たない生活に何処か憧れがあったんだと思います」
そう言い終わると、飛翔は縁側から立ち上がった。
飛翔「湯冷めしてもいけませんし、そろそろ寝ますね。お休みなさい」
沙也佳「は、はい…」
そして飛翔は、割り振られた部屋に戻って眠りについたのであった。翌朝、目を覚ますと何やら騒がしかった。
飛翔「ん…何かあったんでしょうか?」
布団から起き上がり、声がする方に向かう。その場所に向かうと、大成や由紀江達がいた。
由紀江「あ、飛翔先輩」
飛翔「おはようございますまゆっち、大成さん。何かあったのですか?」
2人に声をかけた飛翔。しかし、3人の表情は暗い。
大成「ええ、実は…」
大成は持っていた紙を飛翔に見せる。そこにはこう書かれていた。『お前の娘は預かった。無事に返してほしければ、黛家の家宝を持って我谷ダムまで来い』と
飛翔「それじゃあ、沙也佳ちゃんは…」
沙紀代「はい。ウチは毎朝近くの養鶏所に新鮮な卵を貰いに行っていまして」
大成「その間に沙也佳を誘拐したと思うのだ」
3人は沙也佳の無事を願う。
飛翔「それで、この手紙に書かれてる黛家の家宝とは?」
大成「うむ、それはこの短剣なのだ」
懐から短剣を取り出す大成。
大成「この短剣は、代々この黛家当主となる人間が受け継いできた」
飛翔「けど、それなら黛家に関わってる人しかなれないのでは?」
由紀江「違うんです」
由紀江が話に割って入る。
飛翔「違うって?」
由紀江「確かにその短剣は、黛家の当主になるのに必要な物です。ですが、それは黛の血が流れていなくてもいいんです」
大成「その通りだ。この短剣をかけて現当主と試合を行い、勝てば晴れて黛家の当主となれるのだよ」
飛翔「そんな風になっているんですね」
その話を聞いて、驚いた飛翔であった。
紗紀代「ですが、その戦いに挑めるのは生涯でたった一度だけとなっています」
飛翔「つまり、この犯人は…」
大成「おそらく、昔私に負けている奴で間違いないだろう」
飛翔「逆恨み…という訳ですか」
すると飛翔はその場から離れていった。そして戻って来た飛翔を見て大成は驚いた。
大成「飛翔君…その刀は」
見ると、普段飛翔が愛用している刀を持っていた。
飛翔「一応念の為に持ってきていたんです。使うことがなければよかったんですが…」
自分の刀を見ながら、少し表情が暗くなる
飛翔「大成さん、沙也佳ちゃんの事任せてもらってもいいですか?」
大成「なんだと!?」
その言葉に、大成は勿論由紀江達も驚いた。
飛翔「どうも嫌な予感がするんです。ですので、私が代わりに沙也佳ちゃんを助けます!!」
大成「しかし、これは黛家の問題だ。君が気にすることは…」
飛翔「誰かが困っているのに放っておく事はできません!!」
その言葉に大成は言葉を失った。
大成(健太、優奈さん。貴方達の息子はしっかりとしています。誰かが困っているのを見過ごせない。その性格は健太、お前にそっくりだ)
昔の事を思い返していた大成であった。
大成「…分かった」
その言葉に由紀江と紗紀代は驚く。
由紀江「父様!?」
紗紀代「あなた!?」
大成「ただし!由紀江を一緒に連れて行ってくれないかな」
飛翔「ええ、寧ろこちらからお願いしようと思っていました。お願い出来るかなまゆっち?」
由紀江「は、はい!」
こうして飛翔と由紀江は、沙也佳を救出するために我谷ダムに向かったのであった。
松風『気合入れていくぜ~!!』
飛翔「いたんだ松風」
大成「由紀江…」
紗紀代「あなた、まだその癖治っていなかったのね…」
変わっていない娘の姿を見て、2人は悲しくなったとさ。
松風『オイラの出番がないんだ~!!』