飛翔と由紀江の2人は、手紙に書かれていた我谷ダムにやって来た。
飛翔「随分立派なダムだね」
由紀江「はい。ここはあまり人も来ませんので、隠れるには絶好の場所かと」
飛翔「それに、この水の流れ出る音はかなり大きい。もし相手が武器を持ってたら厄介だな」
そんな事を考えながら、2人は中に入っていく。中を進んでいくが、人の姿は見当たらない。
飛翔「静かすぎる…」
由紀江「はい。いくら何でも、人が1人もいないなんておかしいです」
飛翔「これだけ広いダムなんだし、少しくらい人がいても…」
そんな話をしながら奥に進んでいくと、1つの扉があった。
由紀江「あからさまに怪しいですね」
飛翔「そうだな。ここに来るまで各部屋の中は確認して来たし…」
2人は頷くと、持っていた刀を抜く。そしてゆっくりと扉を開けて中を確認する。
飛翔「真っ暗だな」
由紀江「そうですね」
ゆっくりと進んでいくと、突然目の前が明るくなった。
「ようこそ」
目の前には沙也佳と、沙也佳を誘拐したであろう人物が立っていた。
沙也佳「お姉ちゃん!!」
由紀江「沙也佳!!」
飛翔「お前が沙也佳ちゃんをさらったのか!!」
沙也佳の横に立っている男に話しかける。
「さらった?…ああ、この娘を誘拐した男なら、そこで寝ていますよ」
指を指した方を見ると、無残な姿の男が倒れていた。
由紀江「!!?」
誰が見ても分かる。既にあの男は死んでいると…
飛翔「なら、さっさと沙也佳ちゃんを離せ!!」
「そうですね。彼女は十分役目を果たしてくれました」
男はそう言うと、縛られてた沙也佳を逃がした。
沙也佳「お姉ちゃん!!」
由紀江「沙也佳!!」
走って来た沙也佳を優しく抱きしめる由紀江。
飛翔「で、貴方の目的は何ですか!!」
「目的…」
飛翔の言葉に、男は考える素振りを見せた。
「目的は…君を殺す事だよ。川盛飛翔君」
飛翔「何故俺の名前を!?」
自分のフルネームを言われて、思わずドキッとする。
「当然だよ。君の両親には、私達の研究を邪魔されたからね。それに、必要なデータ等も全て消された。君も見ただろう?化け物になった人間の姿を」
そう言われて飛翔は、英雄の島に行った時の事を思い出す。
「まぁ、あれも結局は失敗したがね」
飛翔「失敗だと?」
「そうとも。化け物に変身はするが、こちらで制御が出来なくてね。いやはや、実に面倒な事だよ」
飛翔「……」
男の言葉に、飛翔の拳はどんどん力が込められていく。
「君の両親は、あの化け物を生み出すウイルスを全て無力化出来るんだ。既に完成しているみたいだが、どうにもデータが見つからなくてね。仮に見つかっても、君に関する事がパスワードになってるから、もし見つけられて使われても面倒だし、殺した方が早いと思ってね♪」
飛翔「ふざけんなよ…あんたらの実験の為に、何も知らずに使った人間は!!」
「だからどうだというのだね?我々の実験に協力できるのだ。素晴らしい事じゃないか!!ハハハハハハ!!」
盛大に笑い出す男。
沙也佳「あの人…おかしいよ」
由紀江「ええ」
2人は、男が言った事をおかしいと言う。
「…さて、お話はここまでですね。貴方達には、死んでもらいましょう!!!」
すると男は、自分の首に注射器を射ち込んだ。
飛翔「まさか!!」
飛翔は、あの島での事を思い出す。
飛翔「まゆっち!急いで沙也佳ちゃんを連れて逃げるんだ!!」
由紀江「で、ですが!!」
飛翔「早く!こいつはもうすぐ化け物になる!!2人を護りながらは無理だ!!」
由紀江「…クッ!!」
そして由紀江は、沙也佳を連れて逃げて行った。
飛翔「さて、今回は自分の武器だ。どうにかなるだろ」
「グッ…ガアッ!」
男の体は、どんどん変化してゆく。
飛翔「前の奴より酷いじゃないかよ!とにかく、広い場所に行かないと!!」
取り敢えず外に出る事にした。後ろから男が追いかけて来ているが、まだ完全に進化しきれていないのか動きが遅い。だが、それも一瞬だった。外に出た瞬間、背後から物凄い勢いで突進してきたのであった。
飛翔「がはっ!!」
そのまま手すりに叩き付けられる飛翔。
『ホウ…アノ攻撃ヲ防イダカ』
飛翔「…なるほど、意識は以前と比べるとはっきりしてるって訳か」
落ちた刀を拾いながらそう言う。
飛翔(さて、どうしたものかな…)
相手から目を離さないようにしながら、どうするか考えていた。一方、沙也佳と外に出た由紀江は…
沙也佳「こ、ここまで来れば安心だね」
由紀江「そうね」
そんな話をしてると、ダムの方から大きな音が聞こえた。
由紀江「飛翔先輩…」
すると由紀江は、持っていた刀を握り締めダムに向かう。しかしそれを沙也佳が止める。
沙也佳「お姉ちゃん!危ないよ!!」
由紀江「離して沙也佳!飛翔先輩が!!」
沙也佳「でも!その飛翔さんが言ってたじゃん!!『ここから逃げろ』って!!」
由紀江「確かにそうですけど…」
沙也佳に言われ、飛翔に言われた事を思い出す。
沙也佳「それに、いくらお姉ちゃんが強くても、あんな化け物相手にするのは無理があるよ!せめて、もう少し助っ人がいれば…」
由紀江「!!それです!」
すると由紀江は持っていた携帯を取り出し、何処かに連絡をした。さて、場所は戻ってダム…
飛翔「ふん!はぁ!!」
『グハハハ!!効カヌハ!!!』
攻撃をするが、相手の皮膚は硬く弾かれる。
飛翔「やはり、普通に斬っても駄目ですね…」
『当然ダ!コノ皮膚ハ、鋼鉄並ノ強度ナノダ!』
自分の胸を叩きながら笑う化け物に変身した男。
飛翔「…だったら、出し惜しみは出来ませんね」
そう言うと、飛翔は気を集中させ始める。
『これは…』
その光景に、流石の男も驚く。
飛翔「さぁ、第二ラウンドだ!」
『面白い!!』
飛翔「はぁ!!」
飛翔は相手が殴りかかてきたのを避け、相手の頭上にジャンプした。
『なに!?』
飛翔「一刀流…龍槌閃!!」
そのまま相手に向かって落下し、斬撃を与えた。
『グアアアアアアア!!!!!!!!』
見事に相手の右腕を斬りおとしたのであった。
飛翔「ふぅ…」
距離を取り大きく息を吐く。
『グッ…ヤルナ。ダガ!!』
すると、先程斬り落とした腕が再生し、最初のとは比べ物にならないくらいゴツイ腕になった。
飛翔「なっ!?」
これには流石に驚きを隠せない飛翔であった。
『グハハハッ!!見タカ!コノ再生能力ヲ!!!』
飛翔「クソッ!」
悔しがる飛翔。男は大きく笑い出す。その時…
「川神流…かわかみ破!!」
上空から男に向かって光線が放たれる。
『グワアアア!!!』
見事に当たり男は吹き飛ぶ。
飛翔「いったい…何が?」
「随分と苦戦してるみたいだな」
声が聞こえた方を向くと、ここにはいない人物達がいた。
飛翔「モ…モモ先輩!!?それに…」
「やっ、飛翔君♪」
飛翔「燕先輩に天衣さんも!?」
上空にはヘリがあり、そこからも次々と人が降りてくる。
「よう」
飛翔「あずみさん、それに李さん達まで。どうしてここに?」
由紀江「私が連絡したんです」
すると、逃げたはずの由紀江がいた。
天衣「私に連絡がきてな。それで九鬼に連絡したのだ」
あずみ「連絡がきた時は驚いたが、あの時の化け物と戦ってるって聞いてな。英雄様の許可をもらって来たんだよ」
燕「それにしても…」
先程の百代の攻撃を喰らい、驚異の再生能力で体を再生した男。
百代「ほう…私の攻撃を喰らってもあの程度か」
飛翔「いえ…よく見て下さい。モモ先輩の攻撃を喰らった場所が再生されてるんです」
ステイシー「ファック!なんだよそりゃ」
燕「まるでモモちゃんの瞬間回復みたいだね」
飛翔「それだけならいいんですが、再生した場所が更に強靭になってるんですよ。ただでさえ硬い皮膚なのに…」
刀を持ちながらそう答える。
天衣「つまり、生半可な攻撃じゃあいつが持ってる再生能力で再生されるて事か」
あずみ「なら簡単だ。再生でいない程の攻撃をあいつにぶち込めばいいんだろ?」
李静代「簡単に言いますねあずみ」
燕「でも、これだけいればいけると思うよん」
それぞれの言葉に同意する。
飛翔「だったら皆さん、少しだけ時間を稼いで下さい」
『えっ?』
その言葉に全員が飛翔を見る。
飛翔「あいつを痛めつけてくれれば、後は俺が何とかします。ですのでお願いします」
百代「…分かった」
燕「了解だよ」
そして、飛翔を残して全員が攻撃を始める。
飛翔「はああああああああ!!!!!」
飛翔は今までにない位気を集中させる。
百代「川神流、富士砕き!!」
燕「やああ!!」
ステイシー「ロックにいくぜ!!」
李静代「参ります」
天衣「私について来れるか?」
それぞれが攻撃を男にぶつける。
『グウウ…チョコマカト!!』
周りから一斉に攻撃され、徐々にダメージが蓄積される。しかし…
『鬱陶シイワ~!!!』
暴れだした男の攻撃に、百代達は吹き飛ばされる。
百代「うわあ!!」
燕「きゃああ!!」
あずみ「ぐわああ!!」
ステイシー「ファック…」
李静代「…強い」
天衣「ああ…」
ボロボロになった百代達を見て、男は大笑いする。
『グハハハハハ!!!今ノ俺ニ敵ウ者等イナイ!!』
百代「それは…どうかな?」
『ナニ?』
百代の言葉に男は問う。
あずみ「ああ、あれを見てみな」
あずみの言葉に男はそっちの方を見る。そこにいたのは飛翔だった。
飛翔「皆さん…お待たせしました」
『グハハハ!!貴様1人デドウスルツモリダ!』
飛翔「いや…これで終わりだ!」
大きく刀を振り上げる。
飛翔「破邪剣征…桜花放神!!!!!」
そう叫ぶと、ピンク色した光が男目掛けて放たれた。
『グッ…グワアアアアア!!!!!!!』
光に包まれ、男は完全に消失したのであった。
飛翔「はぁ…はぁ…」
技を放った飛翔は肩で息をする。そして…
パキン
持っていた飛翔の刀は真っ二つに折れた。
由紀江「飛翔先輩!!」
すぐに由紀江を始めとするメンバーが飛翔の所に集まる。
百代「無事か飛翔!」
飛翔「え、ええ…なんとか」
燕「よかった~」
天衣「ああ」
あずみ「けど、お前の刀はこの通り真っ二つになっちまったぜ?」
折れた刀を見せる。
飛翔「そうですね…あの技にその刀が耐えられなかったみたいですね」
あずみ「まぁ、刀については九鬼でどうにかしてやるよ」
飛翔「ありがとうございます」
天衣「では戻るとするか」
そして全員が九鬼のヘリに乗り込み、由紀江の屋敷に戻るのであった。戻ると、由紀江の両親からお礼を言われ、沙也佳は無事に戻って来た由紀江と飛翔に抱き着いた。その光景を見て、由紀江を除く女性陣が飛翔達を睨んだのは言うまでもなかった。
破邪剣征桜花放神(サクラ大戦)
剣を振り下ろし、発せられる衝撃波で敵を一刀両断する。
龍槌閃(るろうに剣心)
足腰のバネを利用して相手の上空にハイジャンプし、上空から強烈な振り下ろしの斬撃を与える技。