「椎名…」
京「もういいよ。それ以上皆を傷つけないで!!」
「だが、こいつはお前に酷い事をしたんだぞ」
京「確かにそうだけど…でも、これ以上飛翔がそんなことしなくていい!!」
「……」
その言葉に、俺は溜めていた気を消し百式観音も姿を消したのである。
「ホッホッホ。なにやら大変な事になってたみたいじゃの?」
すると、別の声が聞こえ全員がそちらを向く。そこにいたのは、ピンク色で黒○徹〇ヘアーの老婆だった。
鉄心「誰かと思えば、お前さんじゃったか」
「…節婆」
やって来た人物は節乃という名の老婆であった。この人こそが、俺の料理などの師匠である。
節乃「やれやれ、随分と派手に暴れたみたいじゃの飛翔ちゃんや」
「……」
節婆の言葉に黙る俺。
節乃「あたしゃが作ったブレスレットも壊れたか。ま、だからあたしゃもここに来たんじゃがの」
鉄心「まさか、セッちゃんの弟子じゃったとはのぅ」
ヒューム「フン!」
鉄心さんは納得の表情をし、ヒュームさんは鼻で笑う。
節乃「言っておくが、飛翔ちゃんを弟子にしたのはあたしゃだけじゃないじょ。ジローちゃんやゼブラも飛翔ちゃんを弟子にしておる」
「「!!?」」
節婆の言葉に、鉄心さんやヒュームさんは驚いていた。他しかにそうかも知れない。ジロー爺さんと仲がいいって、前に本人から聞いたし。
鉄心「まさか彼が、二郎どころかあのゼブラの弟子じゃったとはの」
ヒューム「貴様ら、化け物でも育てる気か」
ヒュームさん、流石にそれは酷くないですか!!
節乃「ホッホッホ。まぁ、あたしゃとジローちゃんから、十分力の使い方を教えたんじゃが、どうも今まで制御出来ずにいてのぅ。じゃから、それを押さえ付けるのに、足下に落ちてるので制御しておったんじゃ。まぁ、気休め程度じゃがの。さて…今回こんな原因を起こしたのは何かあったじょ?」
「……」
無言のまま俺は、未だに腰を抜かしてる屑を見る。
綾小路「あ、あややや」
節乃「ふむ…」
すると節婆は、ゆっくりと屑の方に歩いて行く。そしてその前で立ち止まった。
綾小路「な、なんでおじゃる…」
節乃「あたしゃ大体は予想できるじょ。飛翔ちゃんの気を感じ取ったからのぅ。あの子は、滅多なことでは怒らない子じゃ」
綾小路「だ、だまりゃ!!」
節乃「やれやれじゃの。親である綾小路大麻呂の息子がこうじゃと、あ奴も苦労しておるの」
綾小路「な、何故麻呂の父君を知っているでおじゃる!?」
節婆から出た自分の父親の名前に驚く屑。
節乃「知ってるも何も、一時期じゃがあ奴に戦いの仕方を教えたのはあたしゃとテッちゃんじゃぞ」
綾小路「!!?」
その言葉に、物凄く大量に汗をかきだす屑であった。そして思い知っただろう、自分はとんでもない人間の弟子に手を出したことを。
節乃「で、あたしゃの可愛い孫弟子を怒らせた理由……聞きたいのぅ」
言葉を聞いた感じは優しいが、節婆から出る物凄いプレッシャーが屑に襲い掛かっていた。
綾小路「あ、あやや…」
そして、屑は気絶してしまった。
節乃「やれやれ。あれくらいで気絶するとは情けないのう」
鉄心「セッちゃんや、孫弟子が可愛いのは分かるが流石にあれではわしですら気絶するぞ?」
鉄心さんの言葉に、誰もが頷いていたのであった。
節乃「そうかの?もし飛翔ちゃんが、
『!!!?』
節婆の言葉に、失神してる連中を除いた全員が驚いたのだった。わざわざ言わなくても。
あずみ「嘘だろ…」
燕「あの美食人間国宝の節乃さんや、ノッキングマスターで有名な二郎さんより強いの!?」
百代「ゼブラと言えば、この世界で唯一危険指定されている人だよな?」
ルー「その3人よりも強イ。飛翔君、君ハ一体…」
ほらぁ、モモ先輩達も驚いてる。で、場所は変わり学園長室…
「この度はご迷惑をおかけして本当に申し訳ありませんでした」
俺は迷惑をかけた人達に謝罪していた。
鉄心「ほっほっほ。気にすることはない。今回は綾小路先生が原因じゃったんじゃから。お主は友達を護ろうとしたかったんじゃろ?」
「はい」
ルー「だったラ、これからもその気持ちを大切にネ」
鉄心「その通りじゃ。綾小路先生には、一ヶ月自宅で謹慎してもらい半年の減俸することにしておる」
節乃「少し甘いんじゃないかの?」
屑の処分を聞いて、節婆が鉄心さんに言う。
鉄心「先程、綾小路大麻呂に連絡をして、謹慎の間の一ヶ月に息子の根性を鍛え直すそうじゃ」
節乃「そうかそうか。なら、あ奴の腕に期待するかのぅ」
「ところで節婆、今日は何でここに来たの?」
今まで疑問に思ってた事を聞く。
節乃「おぉそうじゃった。元々は飛翔ちゃんの腕を確認しに来たんじゃよ」
「俺の腕を?」
節乃「そうじゃ。それで、もし別れた日から腕が上がっていたらこれを授けようと思っての」
そう言うと節婆は、鞄から木の箱を取り出した。蓋を開けるとそこに入っていたのは布に包まれた一本の包丁じゃった。
鉄心「!?」
「そ、その包丁は!?」
包丁を見た瞬間、鉄心さんと俺は驚きを隠せなかった。
節乃「そうじゃ。あたしゃの師匠が使っていた包丁…【シンデレラ】じゃ!」
「節婆の師匠が使っていた包丁…」
机に置かれた包丁は、しっかりと手入れがされており物凄く美しかった。
「けど、何で俺に?」
節乃「あたしゃが一人前になった時に、この包丁を下さった。そして、師匠も自分の師匠から一人前になった時にこの包丁を授かったそうじゃ」
「けど、仮に俺が包丁を貰ったら、節婆はどうするの?」
そう聞くと、節婆は懐から一本の包丁を取り出す。
節乃「これがあたしゃの今の包丁じゃ。この包丁は、飛翔ちゃんがあたしゃの弟子になったその日に作ってもらったんじゃよ。…飛翔ちゃん」
「はい」
真剣な表情になる節婆に対し、俺も真面目に答える。義祖母と孫ではなく師匠と弟子の表情だ。
節乃「今後、自分に弟子が出来た場合、今度は飛翔ちゃんが新しい包丁を作り、この【シンデレラ】をその弟子に授けるんじゃ。そして今度はその弟子がまた別の弟子に、そうしてこの包丁は生き続けるんじゃ」
「……」
その言葉は、俺に重くのし掛かる。しかし、しっかりと心にも伝わった。
節乃「さぁ、手を出しなしゃい」
そして俺は節婆から包丁シンデレラを受け取ったのであった。受け取った瞬間、シンデレラは激しく光り出す。
「なっ!?」
鉄心「ぬっ!?」
ルー「ま、眩しいネ!」
そして光が収まると、先程と包丁の形が変わっていた。
「これは…」
節乃「その包丁が、飛翔ちゃんを主と認めたんじゃよ。じゃから、飛翔ちゃんに馴染む形に変化したんじゃ」
「……」
俺は、シンデレラを軽く握る。
「凄い…今までにない位手に馴染む」
節乃「よかったのぅ」
「けど、腕前はよかったの?」
節乃「あの時、飛翔ちゃんの闘いを見て確信したじょ。あたしゃが教えた技は使っていなかったが、誰も殺してはいなかった。怪我はあったが加減はしていた。昔じゃったらまずシンデレラは与えられなかった。じゃが、今回がいいきっかけになった事は間違いない。だから、その
そう言いながら取り出したのは、俺がずっと腕に着けていたブレスレットと同じ形をした物だった。
節乃「もうこれに頼ることもない!これからも、その優しい心を忘れてはだめじゃぞ?」
「はい!」
節乃「うんうん。これにて、川盛飛翔は無事一人前なった!頑張るんじゃぞ」
「……」
その言葉に俺は、涙が溢れ出したのであった。その光景を鉄心さん達は温かく見守っていたのであった。