2月14日、世間ではバレンタインデーの季節である。とあるお菓子の政略でもあるが、女性が好きな男性に日頃の感謝や告白等のイベントでもある。それはここ、川神学園でも同じである。
「……」
準「凄いなお前、若達に負けず劣らずだな」
教室に入ると、机の上に山のように積まれているチョコレートやクッキーが入った包み。
冬馬「凄いですね飛翔君」
「いや、確かに凄いけど…正直ここまでとは」
準「ま、お前はエレガントクワットロ候補だしな」
「マジか!?初めて聞いたぞ」
何時の間にそんな事になってたんだよ…
準「ま~、お前が知らないのは当然だな」
「話変わるけど、あの3人は何をしてるんだ?」
見るとユキと弁慶とあずみさんが、お互いを牽制するように睨んでいる。
冬馬「察してあげて下さい」
準「無理だろ若。こいつは他の人達の事も気が付いてないんだぞ」
「何の話だ?」
準「これだよ」
準と冬馬は、俺を見ながら呆れていた。時間が経ち放課後、冬馬から分けてもらった紙袋に貰ったチョコレート等を入れていく。すると、ユキが話しかけてきた。
ユキ「飛翔~!」
話しかけるというより、普段通りに抱き着いてきた。
飛翔「離れなさい」
ユキ「ぶ~」
不貞腐れながら俺から離れる。
ユキ「あ~んして」
するとユキは、持ってたマシュマロを俺の口に入れてきた。食べると中からチョコがで溢れてきた。
飛翔「おっ、チョコ入りか」
ユキ「そ~だよ♪」
それを切っ掛けにしたのか、あずみさんや弁慶もやって来た。
あずみ「おい飛翔、これ揚羽様からだ」
そう言うと、俺にチョコを渡す。2つも…
あずみ「揚羽様は自らお渡ししたかったみたいだが、どうしても外せない仕事があったそうだ。だからあたいが預かって来た」
「ありがとうございます。で、もう一つは?」
あずみ「…あたいからだ」
そう言うとあずみさんは、さっさと出て行ってしまった。
弁慶「これは私からだよ~」
既に川神水で酔っぱらっている弁慶からもチョコを貰った。
「飛翔!」
「飛翔先輩!!」
「飛翔君!」
すると、京にまゆっち、ユミ先輩、燕先輩、清楚先輩、モモ先輩がいた。
由紀江「ひ、飛翔先輩!ここ、これをどうじょ!!」
思いっきり噛んでたが、必死な顔なのでそこは流しておく。
松風『そうだぜひ~坊!まゆっちが丹精込めた手作りチョコなんだ!味わって食えよ』
「久々だな松風。けど手作りチョコか。ありがとな」
お礼を言いながらまゆっちの頭を撫でる。
由紀江「はぅぅぅ」
そして見事に気絶したのであった。
燕「これは私らだよん」
「ありがとうございます。…流石に納豆は入ってませんよね?」
そう言うと、何故か顔を逸らす燕先輩。マジかよ…食うの怖いわ。そして清楚先輩やユミ先輩達からも貰った。因みに全員が手作りだ。モモ先輩が手作りなのが意外だったけど。あと京…何故チョコが赤いんだ。そんな事をお見ながら帰っていると、途中で李さんとステイシーさんと出会った。
李「待ってましたよ飛翔」
ステイシー「さっさと出て来いよな」
「こんにちは李さん、ステイシーさん。今日は何か?」
李「今日は2月14日…」
ステイシー「バレンタインだよ!本来アタシはこう言った事には興味ないんだがな」
そんな事を言いながら、不器用にラッピングされたチョコを渡してきた。
李「よく言いますよ。昨日泣きついてきたのはどこの誰ですか」
ステイシー「なっ!?李テメェ!!」
李さんがそう言うと、顔を赤くして抗議するステイシーさんだった。
李「では私からも」
続いて李さんからもチョコを貰った。
「ありがとうございます」
李「では私達はこの辺で。帰りますよステイシー」
ステイシー「分ってるって!!」
そして2人は帰っていった。帰って店の開店準備をしていると、天衣さんと辰子さんがやって来た。
天衣「すまん、少し遅れてしまった」
「大丈夫ですよ天衣さん。まだ店の開店時間までありますから」
天衣「そうか」
その言葉を聞いて安心する天子さん。
辰子「ね~ね~、早く渡そうよ」
天衣「そ、そうだな」
辰子さんの言葉に、少し頬を染める天衣さん。
辰子「はい飛翔君」
天衣「う、受け取ってくれ」
2人が渡してきたのはチョコだった。綺麗にラッピングされた…
「ありがとうございます」
天衣「あ、味は大丈夫だと思うぞ。しかし、なにぶん初めてなんでな」
辰子「大丈夫だよ天衣ちゃん。一緒に作ったんだし」
天衣「し、しかしな」
俺は、天衣さんと辰子さんが作ったチョコを1つずつ食べる。うん、旨い。
「美味しいですよ2人とも。ありがとうございます」
俺の言葉を聞くと、天衣さんは嬉しそうな表情になるのであった。時間が経過し閉店時間1人の客がやって来た。この時間に来るのは1人だけだ。
「こんばん~」
「いらっしゃいミサゴさん。今日もお疲れさん様です」
やって来たのは燕先輩の母親であるミサゴさん。彼女はいつも仕事終わりにウチの店で食事をする。
ミサゴ「今日も大変だったよ」
「みたいですね。どうぞ」
俺はおしぼりとお通し、そして熱燗を出す。今の季節はミサゴさんは必ず最初に熱燗を注文する。
ミサゴ「ありがとね」
そして一口飲む。
ミサゴ「…くぅ!働いた後の一杯!」
「ははは」
そして料理を出していく。ミサゴさんは料理に、俺はミサゴさんが食べた食器以外の物を終わらせる。
ミサゴ「おっと、忘れるとこだったわ。はいこれ」
すると、ミサゴさんは包装された包みを渡してきた。中を開けると、入っていたのは財布だった。
「これは?」
ミサゴ「ん?いつもお世話になってる飛翔君にね。どうせチョコは貰い飽きてると思ったしね」
「悪いですよ、こんなに高価なものを」
ミサゴ「気にしないで。貴方のお陰で燕ちゃん、随分と笑うようになったのよ。そのお礼でもあるのよ」
「……」
その言葉に俺は黙てしまう。
ミサゴ「それに、私もなんだかんだで貴方に救われてるのよ。だから…ね」
「…分かりました。ありがたく使わせていただきます」
ミサゴ「よろしい!さぁ、飲むわよ!!」
そして再び飲み始めるミサゴ。俺は、貰った財布を見ながら、チラホラと雪が降ってる外を見るのであった。