飛翔「黛さんと会ってから1ヶ月後、父さんと母さんは襲われたんです」
燕「襲われたって」
飛翔「学校から帰ると、家の雰囲気が変でした。急いでリビングに行くと、男が2人いたんです。そして、そいつらの足下には・・・」
由紀江「まさか!?」
由紀江は、自分が考えてる事が外れている事を願ったが・・・
飛翔「まゆっちの考えてる通りだよ。俺の父さんと母さんは、頭や胸を撃ち抜かれて死んでいた」
『!!!!』
その言葉に、由紀江と弓子は口に手を当てて驚いていた。他の2人も、あまり表情には出してないが、驚いているのは感じた。
飛翔「当然男達は、俺も殺そうとした。俺は逃げ出した」
燕「・・・それで、どうなったの?」
飛翔「俺は父さんの部屋に逃げ込んだ。そこには、父さんが使ってた刀《黒漆太刀》があった。それを持って、俺は追ってきた男達を・・・斬った」
天衣「・・・殺したのか?」
飛翔「ええ。男達は死にました。そして俺は、家を焼きました。父さんと母さんをそのまま焼きました」
『・・・・・・』
その言葉に、全員が黙って飛翔の話を聞いている。
飛翔「そこから俺は、資金を集めるために世界を旅した」
由紀江「せ、世界ですか!?」
燕「こ、子供の時に!?」
飛翔「日本じゃ、子供が資金を稼げないので」
弓子「じゃあ、このお店も自分で建てたの?」
飛翔「いえ、ここは父さんが生きてた頃に、趣味でやっていたのを飲食店に改装したんです」
弓子「そうなんだ」
飛翔「世界を旅してる間に、俺は刀の扱いを極めた。しかしその代わりに、刀を持たないと俺は一般人並みに弱いけど」
燕「そうなんだ」
天衣「しかし、何故戦いから退いたんだ?」
飛翔「・・・母さんの願なんですよ。母さんだけは、俺が戦うのは昔から反対してたんです」
燕「お母さんが?」
飛翔「俺は父さんに鍛えてもらいましたが、母さんは普通に生活してほしかったみたいです」
由紀江「そうだったんですか」
飛翔「だから、今になって戦いから身を退いたんだんです。今までは戦わずに、殺気だけでここの人達は追っ払えましたしね」
燕「それだけで、充分と思うよん」
飛翔「その時ですね。釈迦堂さん達と出会ったのは」
由紀江「そうなんですか?」
飛翔「うん。当然最初はかなり好戦的だったけどね」
天衣「だろうな。聞けば、川神院の元師範代だそうだ」
飛翔「その時は分からなかったけど、俺の殺気を受けても、攻撃を仕掛けてきた人は、日本で初めて会ったからね」
そう言いながら、その事を思い出す飛翔。
飛翔「その後、辰子さん達も来たけど、釈迦堂さんと戦ってる俺を見て驚いてましたっけ」
燕「そりゃそうでしょ!あの人達にとっては、師匠なんでしょ?私にも師匠がいて、知らない人と互角以上に戦ってたら、驚くよ!!」
飛翔「アハハハ」
笑って誤魔化す飛翔である。
飛翔「久々に、歯応えのある人と戦いましたよ。戦い終わってからは、共に仲良くなりましてね。聞いたら、この辺りは板垣姉弟が締めてるって聞いたんで、俺の料理をたまに食べさせる代わりに、ウチの店などに被害が出ないように交渉したんですよ。何故か、辰子さんには、かなり気に入られてしまいましたけどね」
その言葉に、4人は『飛翔って鈍感だな』と思ったとか思ってなかったとか。
飛翔「その時に、これから戦わなくていいように、辰子さんに俺の刀を預けたんです。・・・どうです?これが、俺の昔の話ですよ」
『・・・・・・』
その言葉に、誰も何も言えなかった。
由紀江「・・・私は、それでも飛翔さんと仲良くしたいです!!」
飛翔「まゆっち・・・」
燕「そうだよね」
弓子「飛翔君は、私を人身売買から助けてくれたで候!!」
天衣「私も飛翔に助けられた」
飛翔「いいんですか?俺は・・・人を殺してるんですよ」
燕「確かに人殺しはいけないよ。でも、どうしてもそうしなきゃいけない状況だったんでしょ?」
弓子「今は、飛翔君は困ってる人を助けてくれてるで候!!」
天衣「そうだな」
由紀江「もし飛翔先輩が、今でも悪いと思っているなら、これからも困ってる人を助けてあげればいいと思います!!」
松風『そうだぜ飛翔坊!オイラ達は、飛翔坊の優しさは知ってるぜ』
飛翔「皆・・・ありがとう・・・ございます!」
涙を堪えきれずに、飛翔は泣いてしまった。暫く泣いて、ようやく元に戻った飛翔。
飛翔「すみません。恥ずかしいところを見られましたね」
弓子「そんなことないで候」
燕「そうだよ!ある意味役得かもね♪」
飛翔「燕先輩」
由紀江「これからは、どうするんですか?」
飛翔「今まで通り、基本は戦わない姿勢は崩さないさ。けど、もし誰かが俺の力を借りたいなら、状況次第では手助けするつもりですよ」
燕「そうなんだ。なら、もし私が困ったら助けてね♪」
飛翔「分かりました」
由紀江「あの・・・飛翔先輩!」
まゆっちが飛翔に言う。
由紀江「もし、お時間がある時に、私に剣の稽古をつけてほしいんです!!」
飛翔「俺がまゆっちに稽古を?」
由紀江「はい!今でも鍛練は怠っていませんが、やはり相手がいる方が、もっと自分を磨けると思うんです!!」
真剣な表情で、まゆっちは俺に話す。
飛翔「・・・分かった!俺でよければ、時間がある時に手伝うよ」
由紀江「あ、ありがとうございます!!」
燕「よかったね由紀江ちゃん」
天衣「私もお願いしようかな。飛翔程の腕前であれば、私もいい意味で刺激になる」
飛翔「お手柔らかにお願いしますね」
天衣「こっちこそ」
そして飛翔は、全員の顔を見て頭を下げた。
飛翔「ありがとう。こんな俺を受け入れてくれて」
弓子「ううん。これからよろしくで候」
燕「よろしくね」
天衣「頼んだぞ」
由紀江「当然です。私達は、皆飛翔先輩とお友達です!!」
まゆっちの言葉に、俺は再び目頭に涙を浮かべるのであった。