響かわいいです。
「失礼しま〜す……」
こっそりと金属製の引き戸を開け、中に潜入する。
派手に登場しても良いが、万が一建物を崩してしまっては主人公君が埋まってしまう。
慎重に、なるべく暴れないようにしなければ。
「それにしても……」
今更ながら、身体に溢れる全能感に気付く。
魔力強化を施した時よりも格段に強くなっている……ような気がする。
いや実際に強くなっているのだ。
ISのサポート機能、恐るべし。
「今後あれ使う機会あんのかねぇ……?」
ISを手に入れた今、わざわざ体力を消耗して魔力的な何某を使う理由はどこにもないわけで。
まぁエネルギーが尽きた時は役に立つか?
「……とりあえず進むとしますか」
その後もコソコソと進み続けていると、いきなり目の前にディスプレイが現れた。
「……もう驚かねぇぞ……えーと……?」
どうやら生体反応をキャッチしているようで、近くの壁を透過して人の形が見えている。
さすがは超科学の世界。
「奥にいるこれは……多分主人公君だな」
周りに立っている人間が10人ほど、そしてその中央のあたりに1人だけ椅子に座っているようなシルエットが見える。
おそらく手も足も縛られて……口にはガムテープってところか。
「さて……アイアンマンみたく敵だけ撃ち抜けるような武装は……」
しばらくあちこち弄ってみたものの、やはり武装は一切見当たらなかった。
拳で戦えということか。
まぁジョーカーだしこれが当たり前だろう。
「んじゃせめて何か顔を隠せるような物は……おっ、あるじゃん」
顔の上部分だけは隠せるようなメットを確認したので、画面をタッチして実体化させる。
若干見え方が変わったがこれはこれで良い感じだ。ライダーマンっぽい。
さて次。
「空は……飛べる、よな?」
確認はしていないがISだし飛べないということはないだろう。多分。
最悪飛べなくてもなんとかなる。
……よし。
準備も終わった所で、部屋に突撃した後の動きを脳内でシミュレーションする。
「入ったら椅子掴んでUターン……安全な場所まで運んでその後はマッハで撲滅、これで決まりだな」
扉の前に立ち、深呼吸する。
初の実戦、気を抜かないようにしなければ。
「よし行くぞ……3……2……1……」
カウントを数え終わると同時に扉を突き破り、椅子のある位置まで一瞬で移動する。
「な、なんだテメェは!」
「通りすがりの仮面ライダーだ!いいからそこ退け!邪魔!」
椅子を掴んで抱え込むと即座にUターン、扉までの道を塞いでいた輩はショルダータックルで全て吹き飛ばした。
「逃がすな!撃て!」
「うおっ!痛っ……くない!」
拳銃で撃たれたようだが全く痛くない。
絶対防御様様である。
「ん゛—!む゛—!」
「?あぁ、失礼忘れてた」
全力で奴らから遠ざかりながら傷つけないよう丁寧にガムテープを剥がし、主人公君の口を開放してやる。
……本当にイケメンだな。
一瞬投げ捨てそうになったが紳士なのでそんな事はしなかった。暴力いくない。
「ぶはっ……あ、あんた一体……」
「だから通りすがりの仮面ライダーだ。……っと、ここまで来りゃ大丈夫だろ。ほれ、とっとと外出ろ」
椅子を下ろし、手と足を縛っていたロープを引きちぎる。
「仮面……ライダー?」
「そ、正義のヒーロー仮面ライダーだ。覚えておけ。んじゃあいつらブチ殺……じゃない、ちょっとお話ししてくるから、そこで待ってろよ?いいな?動くなよ?絶対動くなよ?」
「あ、あぁ……」
フリじゃなくて本当に動いてもらっては困るのだが、まぁいいか。
そのうち織斑選手も来るだろう。
来た道をこれまた超高速で戻り、誘拐犯達と対峙する。
武装は……拳銃、ドス、ロケラン……ロケラン?
何であんなもんがあるんだか……
それと鉄パイプに金属バット、と。
一部を除けばヤの付く自由業みたいな装備だな。
「テメェ…よくもやってくれたな…」
「ただじゃ済まさねぇぞゴルァ!」
IS相手にこれだけ挑発するとは余程度胸があるのか、それともただの阿呆か。
まぁいずれにせよ撲滅あるのみだ。
色々試してみたい事もあるし。
「あー……生憎だがただで済まさせてもらう。とっととかかって来い」
右手を上げてちょいちょいと挑発すると、声を上げながら金属バット君が向かってきた。
本当にこれが通用すると思ってんのかね?
「よっ……ほい」
バットを掴むとメシリと音を立ててひしゃげたので、そのまま取り上げて遠くへ放り投げた。
「なっ……嘘だr「はい1人目—」ゲフゥッ!」
軽〜く、本当に軽〜く腹パンを食らわせる。
ニーサンではない。断じて。
それにしてもこの一発だけで動かなくなってしまったが、大丈夫だろうか?
まぁ気にする必要はないか。
「う、うわああぁ!」
「おぉ、今度はドス君かい……」
悲鳴を上げながら向かってきた男の刃をISの太い指でタイミングを合わせて摘まみ、 これまた取り上げて放り投げて腹パン。
うぅむ、つまらん。ワンパターンすぎる。
まだラウラと組み手をしている方が手応えがあるというものだ。
未だに勝てたためしは無いが。
「クソッ……撃て!撃って撃って撃ちまくれ!」
ボスらしき奴の怒号と共に、大量の銃弾とロケット弾が飛んでくる。
こんな場所で使って自分達が埋もれる可能性を考えてないのかよ。
銃弾は気にする必要がないのでスルー、ロケット弾は…
「柔よく剛を……制すッ!」
ISの機能によって延長された感覚を活かして弾の下に手を当て、体を右に傾けつつ軌道をずらす。
スネーク元帥の強力すぎる右ストレートを受け流すために覚えた技が役に立った。
後方に弾き飛ばされた弾は爆発を起こし、その爆風で何人か吹き飛んで気を失う。
「ひ……ば、 化け物……」
「いやIS乗ってんだからこれくらい普通だろ……」
ぶっちゃけ今の俺でも元帥閣下には勝てない自信がある。
残った1人、威厳の欠片もないボスらしき奴は、腰を抜かしたのか間抜けな姿勢のまま後ずさる。
……待てよ?
「あぁ……良いこと……思いついちゃったなぁ……」
「い、嫌だ……やめてくれ…ごめんなさい許してくだ…あ……ああああぁぁぁぁ!!!」
◆ ◆ ◆
「ふぅ……これこそまさに快・感……ちょっとやりすぎたか?」
10分ほど経っただろうか。
目の前には、少し人前に出すのに躊躇する見た目になったボス(笑)の姿があった。
ここまでやってしまえば拘束する必要もないだろう。放置しておく。
他の気を失った奴らは……一応一纏めにして柱に縛り付けておいた。
都合よく縄も落ちていたし。
ドライバーを戻してメモリを引き抜くと変身……もとい装着状態が解除され、装甲がバラバラになって舞い上がるように消えてゆく。
これすっげえ好きなんだよなぁ。再現してくれてよかった。
余韻に浸るのもほどほどにして、入り口に向けて歩き出す。
いつまでも主人公君を一人にしておくわけにはいかない。
もっとも織斑選手が居る可能性もあるが。
「初陣、うまく戦えてたかなぁ……」
戦いというよりは一方的な殲滅だったような気がするが、それでも初の対人戦だ。
若干、本当に若干だったが緊張もしたし、正直相手を殺してしまわないかヒヤヒヤしたし……あれ?なんか違う?まぁいいか。
そんなことを考えているうちに入り口が見えてきた。
さぁて何て説明しようかね。
まさか神に連れてきてもらったなんて言えんし……うーん……
まぁなるようになる。ケ・セラ・セラってやつだ。
カンヤ祭前夜の折木君だってそう言っていた。
結果的にあれも完売できていたし、大丈夫だろう。多分。きっと。
……それにしても外が騒がしくないか?
「なんかあっ、た……の……」
『そこを動くな!動けば撃つ!』
「……え?」
目の前には軽く20人を超えるであろう機動隊、後ろの方には主人公君と仁王立ちした織斑選手。あぁ実際目の前にすると凄く強そう。
『手を頭の後ろに当てて、大人しく投降せよ!』
「え……あ…………はい……」
動くなって言ったじゃん、などとつまらないことを言う余裕は既に無く、俺は大人しく降伏のポーズを取ったのだった。
戦闘()終了。
次回はどうなる事やら。